Live Depot
Every Thursday, PM7:00〜from TOKYO FM HALL
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Vol.181 2004/12/02 ON AIR (guest:き乃はち
「こんばんは!大江千里です。ようこそ!今日この会場に開演前にクリスマスソングが流れたんですけど、楽屋でボリュームあげて聴いてましたけど、一気にクリスマスモード高まりますね。2004年も12個目の月が始まりました。最後までよろしくお願いします。さて、Live Depot、今夜ご紹介するのは日本の伝統楽器、尺八が奏でる現代音楽です。ユーロサウンドからダンスビートまで取り入れて、これまでのイメージをガラッと変えた、番組としても大注目のこの方です。尺八奏者のき乃はちさんです」
(き乃はち登場)
千「こんばんはー、初めまして。切りっぱなしの黒のケミカルな素材のジャケットを着てアウトサイジングでなかなか洒落坊ですけど。はじめまして」
き乃はち「はじめまして」
千「き乃はちさんは東京の下町根岸生まれということで。おじいさまが尺八演奏家初代の佐藤錦水さん、小さい頃から尺八とか三味線とかに親しんで、そのあと琴古流の三橋貴風さんに師事、現在は国立劇場とかで古典を演奏する、いわゆる邦楽家の演奏家の方なんですけど、十年ぐらい前からロックバンド『六三四』に参加してキューバ、ドイツ、イタリア、海外での演奏活動やって、その時分からダンスミュージックまで取り入れて、つい先月二枚目のソロアルバム出まして」
き乃はち「11月10日に出まして」
千「先月は京都の方に」
き乃はち「はい、一週間、京都駅の中の大階段ってところがあるんですけど、そこでやってました。ちょうど紅葉の季節で、人が一杯で、すごい楽しかったですね」
千「いろんな聴き方で尺八に接する人がいると思いますけど、き乃はちさんとしてはどういう聴き方をして欲しいですか」
き乃はち「今までの尺八のイメージをきっとみなさん持ってると思うんですよ、どうしても古くさいイメージだとか。そのイメージを少しでも払拭できればいいなと。本当にメロディ楽器なんで、可能性のある楽器なんで、そのへんを自分も追求しつつ、お客さんはそのへんを楽しんでいただければ」
千「じゃ、ラジオを聴いてるみなさんに一言だけ今日のき乃はちワールドへの誘いをお願いいたします」
き乃はち「尺八のイメージを変えられるようなライブになればいいなと思っております」
(き乃はちライブ)
『侍〜Something Bright〜』『子の星』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)東京FMホールから生中継、大江千里のLive Depot、僕もステージの下手のピアノに向かって、いよいよセッションタイムがスタートです。今夜のゲスト、尺八奏者のき乃はちさんでーす!」
き乃はち「こんばんは、よろしくお願いします」
千「今日はこんなセッションを二人でやってみようと思います」
(セッション)
『コンドルは飛んで行く』(有名な曲ですがピアノと尺八での演奏も雰囲気があって良かったです)

千「フォルクローレと呼ばれる音楽ですけど、ケーナという楽器をみなさんご存知でしょうか。尺八に少し似てますよね」
き乃はち「よく似てる楽器だと思います」
千「ケーナという民族楽器の調べでおなじみの曲ですけど。ここでちょっと尺八についても教えていただきたいと思います。ここに五本並んでるんですけど長いのでだいたい…」
き乃はち「70cmくらい、二尺一寸という」
千「はい。短いので…」
き乃はち「一尺四寸という」
千「30cm強ぐらいですかね。これは重さはどれぐらいなんですかね」
き乃はち「そんなに重くはないですね。ちょっと持っていただけますか」
千「でもやっぱりずっしりと。これはいい竹だなって(笑)。僕はイメージ先行型なんで(笑)」
き乃はち「そうですね(笑)。これは真竹という細い…」
千「穴が四つ開いてるんですけど、今お持ちになってるやつは」
き乃はち「基本は尺八は五つなんです」
千「表に四つ、裏に一つ、五つ開いてるわけですね」
き乃はち「今日聴いていただいてるサウンドをやるときには五つだと厳しいものがありまして、二つ足して七個尺八という。大体これが今主流になってきてると思います」
千「五つの場合でも穴を半分…」
き乃はち「そうです。半分開けて対応したりしてたんですけど、速い曲だと対応が大変なんで」
千「単体で聴いてみたいんですけど吹いていただいてもよろしいでしょうか。(き乃はちさんが吹いたメロディが怪談に出てきそうなものだったので)ろくろ首〜。失礼しました(笑)。この息の成分の多い…」
き乃はち「むらいきっていう奏法なんです」
千「これはかなり腹式というか腰あたりに力が」
き乃はち「腰で尺八吹いてるんで腰が結構疲れるという」
千「これはキーごとに長さが違ったりするわけですよね?今お持ちのやつのキーは?」
き乃はち「これはC#ですね」
千「長いのになればなるほど低くなるんですか。この中で一番高いやつっていうのは?」
き乃はち「これですね」
千「これかなって思ってました(笑)。(き乃はちさんがその尺八を吹くのを聴いて)音色がケーナに近い。僕、今、値段が高いって(いう意味で)聞いたんですけど(笑)。そんなこと粋じゃございませんよね、聞くべきじゃないですよね(笑)。いろんなところの部分の竹でそれぞれに表情が違うっていうか同じ尺八はない?」
き乃はち「ないですね、やっぱり」
(き乃はちライブ)
『長月』『山車』『宙へ』
千「本当に音のシャワーで映像的にもPCで見てる方はわかると思うんですけど、かなり煙もたかれてまして、すごい状態に(笑)、今なってますけど。お疲れ様でした!」
き乃はち「ありがとうございました」
千「尺八を吹いてすごく集中してる表情って格好良かったですね」
き乃はち「じゃ、普段はどうですか」
千「(笑)、いやいや、そういう意味で(笑)。今日初めて会ったじゃないですか。そんなツッコミされるとは思わなかったです(笑)」
き乃はち「いやいや、すみません(笑)」
千「さて、今夜もき乃はちさんとっておきの写真を持ってきてくれました。(ディスプレイ見ながら)天ぷらそば、うどん!っていう、これ立ち食いですよね?そこに腰かけて外向いて腕を組んで尺八持ってんですけど、これは?」
き乃はち「これは新宿の思い出横町というところの立ち食いおそば屋さんで。今回、自分のアルバムのジャケットを撮っていただいたケビン・ウェスティンバーグという…」
千「U2とかスティングを撮っている人ですよね」
き乃はち「撮っていただけることになりまして、彼がここを選んで、ここで撮りたいと」
千「思い出横町で、ここがいいと?(笑)」
き乃はち「そうなんですよ(笑)。自分はどうなのかなっていうね(笑)」
千「いや、でもそのケビンさんからの目で見ると」
き乃はち「なんかやっぱり不思議ですよね、できあがって」
千「『ブラックレイン』とか、西洋人の見た…」
き乃はち「そういう感じだと思います」
千「その先月出たセカンドアルバムのジャケットの写真の一つっていうことですけど。尺八は初めてだっていうリスナーの方いると思うんでニューアルバムのここをき乃はちとしては聴いてほしいっていうところを」
き乃はち「尺八が持ってるコブシとか、さっきいったむらいき、ああいう土臭い部分を感じていただければ。日本人の持ってるコブシだと思ってるんですね、自分では。そういうところをこだわって今回は製作したんですけど」
千「木管というか喉に近いところで」
き乃はち「声に近いと思ってるんで、どう吹こうかというよりも、どう歌おうかっていう意識でいつも接してるつもりなんですけど」
千「サウンドもかっこいいんですけどメロディがシンプルで覚えやすいっていうか、キャッチーですよね」
き乃はち「あ、ありがとうございます。そこを自分もこだわってるんです。シンプルが一番いいと思ってるんで」
千「(ライブのお知らせ)あえて聞きたいと思いますけど、これはどんなふうに?」
き乃はち「瞬間瞬間をいつも大事に吹いてるんですね。あまり先のことは考えてないというか。このライブは自分が今まで33年生きてきたものを出せればなと思っております」
エンディングテーマは『Two Wings』