Live Depot
Every Thursday, PM7:00〜 from TOKYO FM HALL
http://www.tfm.co.jp/senri/
Vol.217 2005/07/21 ON AIR (guest:宮川彬良・平原まこと)
千「(千里さんのピアノ演奏)こんばんは、まずはピアノでご挨拶、大江千里です。今週は梅雨も明けて夏本番って感じですけど、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。今夜のLive
Depotはちょっとムードが違いますね。いつもは東京FMホールにたくさんのリスナーのみなさんをお迎えして華やかにお送りしてますが、今夜は東京FM7階のスタジオ・イリスからお部屋感覚でジャズのスタジオライブをお届けしたいと思います。早速お客様を紹介しましょう。音楽家の宮川彬良さんとサックスプレイヤーの平原まことさんです」
(宮川さんと平原さんの演奏。♪Live Depotお招きありがとう、これからの一時間お楽しみに…という歌詞付き)
千「いやー素晴らしい、ありがとうございます。まずはお二人のプロフィールを紹介したいと思います。宮川彬良さん、1961年東京生まれ、お父さんは宇宙戦艦ヤマトを手がけたあの宮川泰さん、そして宮川彬良さんは芸大の作曲科に通っている時から数々の舞台音楽を手がけている音楽家でいらっしゃいます。みなさんがよく知っている曲といえば、これですよ、これ(笑)。(マツケンサンバIIが流れ出す)これ、宮川さんの作曲で編曲もそうなんですけど、本当に小さいお子さんからお年寄りまでみんながハッピーになれる…」
宮川「作った人としては嬉しいです」
千「街中で歩いてて流れてくることってあると思うんですけど、そんなときはどんな気分ですか」
宮川「なんかおっかなびっくり、その状況を観察してしまいますね」
千「なるほどね。自分の手元を離れてちょっと寂しいようなそんな話も」
宮川「いやいや、まだまだ手元離れてません。まだこれをこういうふうに演奏して欲しいと色々注文がございますので」
千「今日はお客さんがいないんですけど三人で盛り上がってラジオの前のみなさんに伝えていきたいと思います。そして平原まことさんですけど8種類以上の楽器を吹きこなされてジャンルを問わずプレイするサックス奏者、日本を代表する方です。オリジナルのアルバムもリリースされてるんですけど、B'zとかパフィーとかミスチルとか、いろんなレコードに参加しているわけなんですけど、例えばこの曲も平原さんの(平原綾香の『BLESSING祝福』が流れる)娘さんですけど、普段はどんな会話をされるんですか、家で」
平原「ごく普通の親子の会話ですよ」
千「音楽を介すると途端に変わるんですか」
平原「厳しくなりますよね。あそこがどうだ、ここらがどうだ、ああしろとかね」
千「年間1000曲くらいレコーディングされてるってことなんですけど、ご自分の吹かれたフレーズっていうのは」
平原「聴けばわかるんですが、どれでやってるかよくわからない(笑)。いつも家族に言われます、どれやって来たの、誰やって来たの」
千「M1とかM2とか表記されてますからね」
宮川「曲名は決まってないもんね、まだ」
『さっちゃん』
(歌詞の中でさっちゃんは遠くにいってしまうんだけど、どれぐらい遠くなのか、もしかするともう二度と逢えない遠くへ行ってしまってしまったのではないだろうか…そんなMCのあと、物悲しい音色で演奏されました)
千「グーッと特定の人が浮かびましたね。さちこではないんですけどね」
平原「いい聴き方をして頂きましたね」
千「童謡として完璧に頭の中にあるんだけど」
宮川「ちょっと不意を打たれたでしょ?」
千「打たれまくりですね」
宮川「平原まことのこの何とも言えない切ない音色ね、息なんだか音なんだかよくわかんない、そこを味わって頂きたいですね」
『あんがたどこさ』
(猟師は狸を煮て焼いて食って、そして何を木の葉で隠すのか。『さっちゃん』とは対照的にユーモア溢れた曲になっていてサックスの音が臭い(笑))
千「こういうのってアドリブ、その日その日テンションっておっきいんですか」
宮川「そうですね。小さいところでライブという形であったり体育館でやらしてもらったり、いろんなところでやって来て一番ウケたものを今やってるんですけど(笑)」
千「イメージがどんどん膨らみますね」
宮川「見えないものを想像しながら聴くのって一番音楽で楽しいんですよね」
千「いたずらっ子な感じですね、お二人とも、やんちゃで。音で遊ぶ子供って感じですけど(笑)」
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)大江千里のLive Depot、今夜は東京FM7階のスタジオ・イリスからお送りしています。改めて紹介しましょう、宮川彬良さん、そして平原まことさん」
(セッション)
松平健『マツケンサンバII』(歌詞なしのインストですが、やはり楽しくなるメロディです)
千「この曲の魅力を討論してみたいと思いますが(笑)、いつぐらいからこの曲はあったんですか」
宮川「これは今11歳の方がお生まれになった頃に作曲したんですよ」
千「あ、11年前に」
宮川「11年前っていうのを回りくどく言ってみたいんですけどね」
千「(笑)、そもそもメロディから生まれたんですか」
宮川「いや、僕の場合は舞台の音楽をずっと作り続けてきましたんで、舞台の音楽では曲先行ってことはまずあり得ないんですね。すべて表現したい何かがあって、そこから曲になっていくものですから、もちろんこれも詞が先ですね」
千「舞台の最後にみんなで歌って踊れるような、こういう気分になれるってところから詞が生まれて、それに曲をつけていくと」
宮川「だからCDが売れるといいなとかそういう邪念は一切入っておりませんで(笑)、作ったわけですよ」
千「その劇場にいらっしゃるお客さんのために書かれた曲だったわけですね。ところで平原さんにも話を伺いたいんで寸が、平原綾香さん、学校でサックスを専攻されてると」
平原「そうですね、大学でもずっとサックスをやってます」
千「一緒にサックス合戦なんて」
平原「ステージでは二回ほどやったことがありますけど」
千「どんな感じなんですか」
平原「普通の親子なんですけど音楽になるとちょっと厳しいかなと」
千「それはお父さんの方が綾香さんにってことですか」
平原「そうですね。彼女も聞きますし、サックスに関してはね」
千「音楽に入るコツとか音楽に心を込めるやり方って身近に大先輩がいるっていうのは」
平原「よくライブには聴きに来てましたよね」
千「サックスとボーカルって、みなさんもこの声をお聴きになると、低い方も高い方も」
宮川「平原綾香さんの魅力っていうのは、あの太い低音からすごいきれいな高音まで出ちゃうってところがまず第一じゃないですか。それとサックスを吹く前のようなスーッていうブレスね。これはパパ仕込みなわけですよ。低いところは平原さんのテナーサックスにそっくり、高い部分はソプラノサックスに本当に似てるんですよ。(試しに平原さんがテナーサックス、ソプラノサックスで平原綾香さんの曲を吹いてみる)信じられないでしょ?歌舞伎町からマリア様って感じで」
千「声っていうのも喉を筒にして空気を調節して声帯でポンプのように出すわけじゃないですか。やっぱり同じなんですね」
平原「サックスで息を吸う時は思いっきり吸いなさい、出す時はあったかい息をハーッと出しなさい、それは守ってるみたいですね」
(宮川彬良・平原まことライブ)
『イスカンダル〜深海バージョン』『宇宙戦艦ヤマト〜砂漠の川バージョン』『序曲から無限に広がる大宇宙』
千「どうもありがとうございます。あの曲がまた新しいイメージで伝わってきますね」
平原「自分をずっと掘り下げていくと心の奥に何があるのか、いつも問いかけてます」
千「ビリビリビリって感じる時があるのは、そういう感覚でお吹きになってるからかな。すごくストイックでリリカルなあの間合いっていうのは」
平原「ちょっと緊張してましたね、今日は(笑)。大江さんの前で」
千「いや、今の演奏、きましたね」
平原「そうですか、良かったです」
千「お二人にとってヤマトの音楽ってどんな存在なんでしょう」
宮川「僕はこれを聴いて育ちましたから。これの印税のおかげでここまで大きくなれたし」
千「(笑)」
宮川「最近ね、思うんです。昔は父なんて絶対超えられない存在だなってプレッシャーがあったり、わざとちょっと道をずらしてここまで来たんですけど、40代過ぎて入ってみると父の音楽を一番表現力豊かに演奏できるのは自分しかいないって今は勝手に思いこんで。だから弾いてる時にいろんな思いを自由に楽しめるっていうんですかね、これは僕の役目だし、かつ与えられた楽しみというか。嘘一つもなく演奏している自分を感じられます」
千「僕、宮川さんと同い年なんですけど、すごくわかります。親父の影、お互いライバルみたいな、反発し合うようなとことか。あと、この年齢になって素直にできることっていうのがね」
宮川「感じますよね」
千「だんだん見えてくる部分もありますしね」
宮川「不惑の年ですからね、迷わず生きたいなと私としては思っております」
千「今回新たにアレンジするに当たってこだわったところ、意識したところっていうのはあるんですか」
宮川「それは不思議なことにテストテープが全部OKになったという」
千「それ、スタジオのアシスタントもグッジョブですね。お二人は生まれた時から周りに音楽がある生活だったと思うんですけど、プロになってみて、一番この瞬間が満たされるなっていう、最高だなと思える時っていうのはどんなときなんでしょう」
平原「素晴らしいパートナーに巡り会って得も言えないようないいことができて二人で息があって、それがやってて良かったなって思いますよね」
千「音楽って一人じゃないですよね。宮川さんは?」
宮川「もちろんそれに尽きるんですけど、もうひとつだけ作家として言わせてもらうなら、机の上でピアノの前で詞をもらって最初に涙流すのは自分なんだよね、これが快感っていうか(笑)」
千「(笑)、いいっすね。今日は本当にありがとうございました。最後に一言ずついただきましょうか」
宮川「本当にお招き頂いて光栄でした。ありがとうございました。はじめましてって後になって言わせて頂きますけど(笑)、とてもいい時間が過ごせました」
平原「本当に呼んで頂いてありがとうございました。楽しかったです、大江さん、大好き(笑)」
千「(笑)、あー、嬉しいですね。また、この番組にお二人でいらして下さい」
エンディングテーマは『音楽人』