Live Depot
Every Thursday, PM7:00〜 from TOKYO FM HALL
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Vol.222 2005/08/25 ON AIR (guest:溝口肇)
「こんばんは、大江千里です、ようこそ!台風、大丈夫でしょうかね。そんな中、会場にたくさんいらして下さってありがとうございます。東京FMホール、今夜はしっとりとクールにチェロの演奏をお届けしたいと思います。チェロといえばこの方です、溝口肇さんです!」
(溝口肇登場)
溝口「こんばんは」
千「こんばんはー、お久しぶりです。チェロを持って登場です。ダンディなジャケットで。大変だったじゃないですか、今日、チェロ持ってくるの」
溝口「持ってくるのはいいんですけど、この湿気とかね、たまんないですね。僕だけの表現かも知れないけどベチャベチャになるっていうか、楽器が」
千「ちょっとベタッと」
溝口「そう、指にまとわりつくような、納豆のような(笑)」
千「溝口さんの口から納豆という言葉が出てしまいましたけど。溝口肇さん、芸大でチェロを学び1986年にデビュー、来年で20年ですよ!『世界の車窓から』とか『ジェットストリーム』のテーマ、数々耳馴染みのある曲手がけてらっしゃいます。そして作曲家、チェリスト、プロデューサーに加え、つい最近GLAYのコンサートで」
溝口「そうなんです。指揮者を初めて。デビューですね」
千「憧れだったんでしょ?」
溝口「三歳で音楽を始めるきっかけが指揮者になりたいっていうものだったんで。40年かかって初めて一万人の前で、ドームツアーだったんで、指揮したら気持ち良かったですね」
千「みんながこの俺の指の奏でる音で…」
溝口「そこまでは考えませんけど(笑)」
千「冷静に指揮されて(笑)。去年の秋に『ジェットストリーム』の一万回記念で海外ロケ」
溝口「四カ国行きましたね。十何回飛行機に乗って」
千「どんな場所で演奏したんですか」
溝口「例えばインドだとインドのシタール演奏者と宮殿のようなところへ行ってセッションしたりとか、いろんなことをさせられました」
千「結構苛酷な旅だったと聞いてます。そして昨日ニューアルバム『yours』が出ました!初のカバーアルバムということですけど、あとでゆっくり話を聞くことにしてラジオを聴いてるみなさんに今日はどういう感じになるのか一言」
溝口「この台風に負けずにいい音をお届けしたいと思います」
(溝口肇ライブ)
『遙かなる影』『スマイル』『ミスター・ロンリー』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)東京FMホールから生中継でお送りしています大江千里のLive Depot、今夜のゲストはチェリスト溝口肇さんです!先ほどまで(サポートの)古川さんが弾いてらしたグランドピアノに今度は僕が向かいました。この角度で見ると随分不思議な感じですね」
溝口「そうですか。前はよく彼のこと見てたんです。最近は後ろ姿でわかってるって感じで」
千「気配で入る瞬間とかわかるわけですね」
(セッション)
スティング『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』(千里さんのピアノと溝口さんのチェロでシンプルなアレンジの演奏でした)

千「この曲は今回の『yours』の中にも入ってるんですけど」
溝口「『yours』の中でも一番新しい曲ですね。60年代、70年代の曲を集めたんですけど。この曲は大好きで、ただ元のオリジナルがリズムがいっぱい入ってたりしてたんで、ちょっと他の雰囲気と合わすためにアレンジをしながら」
千「今日は大江千里、溝口肇二人でやったわけですけど、今日会って合わせた感触っていうのは生々しいというか」
溝口「セッションで楽しいなと思うのは、さっきリハーサルと全然違うこと弾いてますし(笑)」
千「リハーサル二回やってるんですけど、すいません、違うことやって(笑)。今日の気温とか」
溝口「そうです、お客さんの反応とかパワーをもらって、またそれでどんどん演奏が変わっていくこともありますし」
千「この静かな瞬間の中でいくつもキャッチボールをね」
(溝口肇ライブ)
『恋よさようなら』『世界の車窓から』『青春の輝き』
千「下世話な話ですけどチェロってすごいやつだと何千万っていう」
溝口「一番上は何億っていうような。買えませんよね、そんなの」
千「(笑)。お疲れ様でした、今日はいかがでした?」
溝口「楽しかったですね。弾きながら最後の『青春の輝き』ってあるでしょ、これ弾くといろんなことが走馬燈のように頭の中出てくるんですね。中学、高校時代に聴いて、今弾いても昨日のことのように思い出してくるし。このホールってデビューした86年にコンサートやってるんですよ」
千「じゃ、そのときの響きというか何かを心が覚えてて」
溝口「いろんなこと思い出して。つまんないことも思い出してくるんですけどね」
千「弾いてらっしゃる時ニコッとされるんですよね」
溝口「そうですね、自分で思い出してる瞬間ありますし、後ろのピアニストもいいもん弾いたなっていろんなこと考えながら弾いてますね」
千「なるほど。今夜もお宝写真を持ってきて下さいました。(ディスプレイ見ながら)パスタの写真…」
溝口「お宝でも何でもないですよね(笑)」
千「(笑)、これはご自身で作られたんですか」
溝口「そうです。ホームパーティやってて15人くらい集まってたかな。僕が料理長としてパスタで三〜四種類、次から次から出して」
千「今映ってるのはペンネ」
溝口「これは野菜ペンネ」
千「あとは何があったんですか」
溝口「あとはトマトソースが一個でしょ、あとはお肉のなんか…」
千「こうやって十人とか仲間が寄って」
溝口「そのときはいろんな人が集まって」
千「昨日ニューアルバムが出たじゃないですか。こうやってパーティやってるときにインスピレーションとか人と会話して曲がひらめいたりすることとかってあるんですか」
溝口「よくどこで書くんですかって、多分大江さんもされると思うんですけど、僕は基本的に旅で綺麗なものを見たときはそれだけなんです。それを楽しむだけ、うわぁ綺麗、すごいって言ってるだけなんです。じーんと打ちのめされてる感じですね。それを仕事場で曲を作るぞっていうときに心の引き出しみたいなところから、あのとき綺麗な風景見たなっていうのを思い出して、そこからインスピレーション作ってるんですね」
千「なるほど。インスピレーションといえば『ニューシネマパラダイス』とか『明日に架ける橋』とか耳馴染み深い曲がたくさんあるんですけど、カバーをやるって難しくなかったですか。個性を出すっていう」
溝口「難しいです。すごく売れた有名な曲じゃないですか。それを僕が弾いてなんぼや、みたいな(笑)、そんなプレッシャーがあるんですよ」
千「あえて原曲に忠実に」
溝口「そうですね。今回はメロディが美しいんでアレンジは極力シンプルにして」
千「聴き手としてそれ正解っていうか、聴いてて禅の世界じゃないけどすごく膨らむ…」
溝口「そうですか。やっぱり僕は聴く音楽もそうですけど弾く音楽も映像をどこかで浮かび上がるようなものを弾いてたいですね」
エンディングテーマは『肇の5/4』