Live Depot
 Every Thursday, PM8:00〜 from TOKYO FM HALL
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Vol.37 2002/01/10 ON AIR (guest:国本武春
「こんばんは!ハロー!(笑)。何がハローだ?みなさん、東京FMホールにようこそおいで下さいました。そしてラジオを聴いてるみなさん、ブロードバンドで見ているみなさん、こんばんは、大江千里です。木曜日夜8時、Live Depot、今年もいろんなジャンルからとにもかくにも素晴らしい音楽を生にこだわって生中継、生演奏でお送りしていきたいと思います。今年も番組同様私もライブ頑張りたいと思いますんで、このLive Depot、よろしくお願いします」
 (国本武春登場)
国本「こんばんは〜、よろしくお願いします」
千「久しぶりっす」
国本「どもども、ご無沙汰」
千「僕達は某番組で出逢って、僕のライブにも…」
国本「そうですね、ゲストに呼んでいただいて」
千「出ていただいたこともあります。もう変幻自在でね(笑)。ホントにこの三味線があれば場所を選ばない。今日もたっぷりそこらへん聴かせて下さい。国本さんといえば僕と同い年なんですね」
国本「そうです。こんなに様子の違う同い年も珍しい」
千「今は白シャツにベスト」
国本「演芸場じゃないですから今日は着物じゃないです。洋服でひとつ。洋服っていうか(笑)、ま、洋もので」
千「国本さんも学生時代にカントリー音楽とか演劇に夢中になって浪曲をやりながらロック、R&B、ミックスさせていろんなタイプの音楽を作りだしているというね。今日はそこらへんの神髄をひとつ聴かせて下さい」
国本「わかりました」
千「今日はあれですね、国本さん一人だけステージに」
国本「三味線一丁でやらさせていただきます」
千「そして武春さん江と」
国本「これ、ホントはお湯のみが乗るんですけど、私の場合はリズムマシーンが乗っております(笑)」
千「(笑)。お湯のみの代わりに」
-CM-

(国本武春ライブ)

『ロックンロールうらしま』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノに国本さんの三味線が絡む)久しぶりにセッションしますけどね。ちょっと間を取ったり」
国本「間を取って。阿吽の呼吸が。どんどんいきゃいいってもんじゃないですから。やはり我々ぐらいに重ねてきますと少し引いてみようと」
千「もう、引いて、引いて」
国本「引いて、引いて、引いて、誰もいなくなっちゃうかも(笑)。気をつけないといけません」
千「(笑)。こっちが引いてるうちに向こう側が引かれちゃうっていうね。気をつけましょう。やっぱり最後はガツンといきたいですからね」
国本「何か即興でということで」
千「今日はメールと会場のお客さんから即興で演奏してほしいというお題、いうなればテーマですね。ちょうだいしました。まずはメール。『おみくじで凶を引いた女の一年』」
国本「長いですね」
千「『忘年会三昧で3kg太った女』」
国本「災難な女ばかりですね(笑)」
千「何かね(笑)。『毎年年賀状に今年こそはと書く女』」
国本「最後に女をつけないといけないの(笑)」
千「そして次の。『正月休みも終わり私のお腹もお餅の栄養でまん丸です。なのでお餅を食べ過ぎたお腹』。これ若干引き気味ですね(笑)」
国本「何か私を見るようですけどね」
千「食べましたか?お餅」
国本「食べましたね。雑煮食べまくりですね。我慢というものをしないっすね」
千「この中でひとつ選ぶとすれば」
国本「おみくじで凶っていうのいいんじゃないの。まだこの年始だというのに凶を引いて今年一年どうなるんだという。それにつなげてもう一つ二つ、みなさんから」
千「会場のみなさんからね。ひとつみなさん、何でもいいんでね、お題をいただきたいと思いますけど。お題のある方、挙手!あ、いらっしゃいました。真ん中の方にいらっしゃる黒の帽子をかぶった方」
客「えっと、最近こういうご時勢なんで、よく聞く言葉なんですけど『氷河期』というお題。一見後ろ向きな言葉に聞こえるかもしれないんですけど、そういう中にもやったるぜ!っていう力強さというか、前向きさっていうのがあると思うんで」
千「『氷河期』からですか?」
国本「いろいろ想像までしていただいて。他にありませんかね?(笑)」
千「(笑)。他にお題ありませんか?じゃ、一番下手側のスーツを着た男性の方」
客「月並みなんですけど午年なんで『楽しい馬』ってことで」
国本「楽しいっていうのはどういう?」
千「それはよくぼけるっていうことですか?」
客「やっぱり明るい年になって欲しいんで、楽しい雰囲気が出ればいいかなと」
国本「『氷河期』と『馬』で大変ですね、楽しむまでに。もっとありませんか?(笑)」
千「じゃ、そのチェックのセーターの」
客「シーズンというのと、義理の弟が今年成人式なもんですから『紋付き袴を着たい成人式の男の子』」
国本「それ、考えながら言われても(笑)」
千「どこに落ちつくのか迷ってしまいました、聞く方も」
国本「もうありませんか?」
千「じゃ、その赤いセーターの」
客「ちょうど年始でバーゲンのシーズンなんで『バーゲンに駆け込む人々』とかどうでしょうか」
国本「あ、今、拍手来ましたね。いいということでうすかね」
 (このあと客席の拍手の多さでお題を決定)
国本「馬とバーゲンと凶を引いた女…」
千「これでいってみましょうか」
 
(セッション)
伴奏は千里さんのピアノと国本さんの三味線
バーゲンで服を買ったあとに神社に寄る→買った服を広げて、やっぱり買うんじゃなかったと後悔→
引いたおみくじは凶だった→バーゲンが悪い、これからは正価格で買うわ→凶が出るまでおみくじをひくわ→
いつか王子さまが白馬に乗って来るわ→楽しいことが、幸せがあるように、いい年になりますように
 といった感じ?での即興曲

千「やりながらね、国本さんに引き込まれていきますね」
国本「やめたくなくなる感じが…」
千「どんどん続きますからね。お題をいかに広げていくかっていうね。ポイントは何かあるんですか」
国本「特に…。うわ〜っとうなってるようで考えている(笑)」
千「なるほどね(笑)。国本さんはご両親も浪曲師で、始まりは古典の浪曲なんですか」
国本「いまだに古典はやってるんですけど、なかなか、浪曲界も若手がいないし、見る人もやる人も若い人が少ないし。元々は流行りものだったんですけど、今、古典芸能みたいなとこに追いやられ気味なんで、もうちょっと自由だぞと、楽しいぞ、面白いぞと。昔はうけたんだから今も絶対うけるぞっていう感じでやってんですけどね」
千「いろんなお題目があるじゃないですか。その中で今日みたいにお題目をもらって新しい何かが生まれてくる。こういう広がりみたいなのを元々持ってるものなんですか」
国本「元々はその日にあったニュースを頭の方でやってみたり、そこからいろいろ、その日のネタにもってったり、結構自由なところがあって。浪曲で初めて今日のニュースを知ったみたいなことがあったらしいですね。毎日のように寄席があって、お客さん達は仕事して、すぐに寄席に飛び込んだら、その浪曲師から今日のニュースを教えてもらう。そういうふうに生活に密着してたんですが、今は浪曲でも聞きにいくか、いや、敷居がたけえからなとか。歌舞伎なんかは大分柔らかくなって、みなさん、行くようになりましたけど、浪曲とか義太夫とか、落語とかはお笑いだからいいですけど、泣かされんじゃねえか、臭いこと言うんじゃねえかとか、いろいろ思われがちですが、ま、なんでもあり、お話しがあってそこに歌が入ってれば、で、三味線が伴奏してれば、それが浪曲でいいんじゃないかという、そういう感じですね」
千「国本さんの間、ためますよね。あの瞬間、つい引き込まれて笑ったりね」
国本「そういうのは浪曲を聞かない人でも、みなさん持ってるんだと思うんですね」
千「日常の会話の中に?」
国本「何か言うばっかりじゃなくて、言いたいときこそためてみるとか、技術として必要かもしれない。で、それをわかってるのが日本人だし、そこらへん、阿吽の呼吸というのをそろそろ復活させるとよろしいんじゃないかと」
千「三味線の他にギターとかマンドリンとか」
国本「フラットマンドリンという平らなマンドリンを。中学、高校はブルーグラスという音楽をやってましたから、それで弾いてね。マンドリンは4本ぐらい持ってんです」
千「どうですか、やっぱり音階とか違って」
国本「そういうふうなのやってたおかげで三味線でマンドリンとかバンジョーとかのフレーズをいれたり。今、三味線弾きの若手の人たちがたくさん出てますけど、基本的に日本の芸能っていうのはワンコード、コードが展開しないもんですから、腕自慢じゃないですけど、曲芸みたいな方に行っちゃって、音楽になかなかなりにくいところがあるんですけど、やっぱ、こういうふうに一緒にやれる楽しみがありますよね」

(国本武春ライブ)
『アジアの祈り』『ええじゃないか』
--CM--
千「お疲れさまでした」
国本「どうもありがとうございました。みなさんもノって立ってくださってね。踊る方あり、パンツを脱ぐ方あり。いや、それはいなかったですけど(笑)」
千「つられていっちゃいますよね」
国本「思わずそういう気持ちになるらしいですね」
千「そうなんですか?」
国本「いや、わかりませんけど(笑)」
千「いや、今ちょっと妄想が(笑)。さて、去年の12月5日、ニューアルバムが出ましたね」
国本「『国本』っていうのが。今年の2月に『武春』というのが出ますから。『国本』っていうのはちょっと音楽寄りで好きなオリジナル音楽で、『武春』っていうのは園芸寄りというか浪曲も入ってたり。国本さん、国本さんって言う人は音楽の人だったり、ミュージカルの人たちは国本さんですけど、演芸の人たちは武春さんていう下の名前で呼ぶ人が多いです」
千「活動の方もいろんなね。例えば俳優としてドラマに出たりとか」
国本「死体専門ですけどね(笑)」
千「(笑)。いろいろ今年の新たな企てを聞かせて欲しいんですがぁ!」
国本「今年はミュージカルを海外で。『太平洋序曲』というのが」
千「亜門さんの」
国本「宮本亜門さん演出でブロードウェイミュージカル。それを今年はニューヨークとワシントンでやるということに決まりました」
千「元々日本を題材にしたミュージカルでしたっけ?それを日本でやって、逆に…」
国本「作者の方が見に来てくれて、是非こっちでやってくれということで」
千「じゃ、そこらへんの解釈…、どういうふうに向こうのオーディエンスに受け入れられるか楽しみですね。国本さんはバイクとかも好きでツーリングで三味線一個持っていろんなとこ行くんですけど、アメリカに行ったら…」
国本「そうですね。できれば横断したいですね」
千「一緒にそれやろうっつったんだけど、俺が免許がないから、国本さんのうしろにしがみつかなきゃいけないっていう(笑)。それも何だかね(笑)」
国本「キーボードと三味線と持ってね。危ないね(笑)」
千「いつかやりたいと思ってますけどね」
最後のエンディング曲のタイトルは『血と汗と涙と』
「すごく自由な国本さんのスタンスにいつも惹かれ続けています」