「こんばんは、大江千里です。みなさん、ようこそおいでくださいました。桜も早く咲いて早く散って、ほとんど葉桜で、昨日もスタジオでレコーディングしてたんですけど、スタジオに貼り紙がしてあって、『4月7日にみんなで騒ぎましょう、お花見です』って書いてあるのが虚しく響いてしまいました。今日から2年目に入りまして、ポカリスエットLive Depotということで頑張りたいと思います」-CM-
(辛島美登里登場)
辛島「こんばんは〜」
千「辛島美登里〜(会場から拍手)!このオーディエンス、熱いですね。暑苦しいとも言えるような」
辛島「そんなことはないですよ(笑)」
千「今日は辛島さんは、これはプードルですか」
辛島「プードルのようで、ここがアヒルになっているという不思議な」
千「顔のところがアヒルになってるプードルの絵付きのTシャツですけど。なんかカジュアルというかドレッシーというか、大人な」
辛島「(笑)。大人じゃないです。でも普段だとドレスの長いもの着るんですけど、今日は春だし、このホールでアットホームにやれるんじゃないかなと思って、ほとんど自分のオフの気持ちに近いものを選びました」
千「本番前に時間があったんで打ち合わせをしてると、そのときはすごくカジュアルな格好をされてたんですけど、本番まで時間があるからロングドレスに着替えてくるっていう話になってて、もしかして引きずって登場されたら(笑)」
辛島「(笑)。そうそうそう、お待たせってこんな感じでね」
千「メイクで顔2倍ぐらいになってたりね(笑)」
辛島「宙づりも考えたんですけど(笑)」
千「(笑)。プリンセス天功みたい。いやでもいい感じ。オフな感じのステージを聞かせてください。春ということで自己紹介をするシーズンでもありますけど、一問一答いってみましょうか。好きな食べ物は?」
辛島「果物」
千「果物の中では?」
辛島「これからだとサクランボウが好きですね」
千「ご趣味は?」
辛島「趣味は散歩とガーデニングが今趣味です」
千「そうですか。わりと平坦な会話になってしまいました(笑)。後ほど膨らましていきましょうね」
(辛島美登里ライブ)
『melting』『closed』-CM-
千「セッションタイム(千里さんのピアノ演奏)。さっきまで辛島さんが弾いていた中央のピアノに僕がやってきて弾いております。今日の状況はですね」(セッション)
辛島「状況は(笑)」
千「(笑)。状況は辛島さんがワイヤードのマイクでこのピアノの前に立たれて、1m強ぐらいの近い距離で。昔、こういうジャズの番組とかありましたよね、テレビでね」
辛島「ありましたね。こうやってもたれて」
千「(ピアノ弾きながら)今夜の映画を紹介しましょうみたいなね(笑)」
辛島「今日のカクテルはとか(笑)」
千「(笑)。ノリますね〜。そんな状況で楽しんでいただきたいと思います」
大江千里『ありがとう』(辛島美登里ライブ)千「どうもありがとうございました。ドキドキしました」
辛島「ドキドキしました〜。なんとかうまくいきましたね」
千「私の曲の『ありがとう』なんですけど、この選曲は辛島さんなんですよね」
辛島「大江さんが弾いてくださるっていうのを聞いて、パッと。そんなにたくさん大江さんの曲知らないんですけど(笑)」
千「言わへんかったらわからへんのに(笑)。今すごい溝を作りましたね、自ら」
辛島「(笑)。ゴメン、ゴメン、ゴメンね。でも、あ〜これ歌いたいと浮かんできて、私の周りにいっぱいファンの人がいるんですけど、大江さんの『ありがとう』ってどうかな?って言ったら、オリンピックっていうのがあるから絶対いいって言われて。それでもう、これにさせていただいて」
辛島「あの〜他のアーティストの曲とかってよく聞かれるんですか」
辛島「実はあまり聴かないんです。ホントすいません(笑)。多分今日会場にいらしてる方のほうがずっと私よりも知ってると思うんですけど。ホント歌謡曲な女の子で」
千「へぇ〜、ちっちゃい頃から?」
辛島「そういう番組ばっかり見てて。普通にカーペンターズが流行るとかビートルズをちょこちょことは聴いてましたけど、でもほんとに何に傾倒してってのはないんですよ」
千「じゃテレビで流れてくる音楽、お祭りマンボとか?」
辛島「そりゃ(笑)。私、何歳なんですか?(笑)」
千「すいません(笑)。ちょっとこっちから溝を作ってしまいました(笑)。じゃ天地真理だったりとか」
辛島「ん〜あの、聖子ちゃんとか明菜ちゃんとか」
千「今、溝作りましたね。世代という溝をね」
辛島「作りました、今。あえて作りました(笑)」千「前作の『Eternal-One』ってカバーアルバムで」
辛島「あれも普通に聴いてて、多分音楽をやってるとマニアックなことを言うのがカッコいいのかなみたいな雰囲気があるけど、聴く耳はどの耳も同じ耳で聴いてて、いいなと思う曲は意外と目立たない曲だったりすることもいっぱいあって。そういうのを自分なりに表に出してあげたいという気持ちがあって作りました」
千「なるほど。つい最近デビュー12年目にしてスランプだったっていう話を聞いて。会場のアンケートにもあるんですよ。『辛島さんは今回のアルバム作成時にスランプに陥ったと聞きましたが、辛島さん、大江さん、それぞれのスランプ脱出法があれば教えてください』」
辛島「私はあんまり何か入り込まないようにしました。できないなら、あ、できないんだって認めてあげる。ダメなんだね〜、あっそうか、そうかって言ってあげると楽になって」
千「そういうときは無理に曲を作ろうとしないで」
辛島「そういうときはなるべく人と会うようにしますね」
千「あ、それは僕もありますね。一人で入ってるときってシェルター状態で結局自分の視線じゃないですか。煮詰まったとき、ふっと外に出て人の会話聞いたりすると、フワーッと時間が動き始めるっていうね」
辛島「それだけで空気が良くなっていくっていう感じがあって、だからあえて人に会うようにします」
千「あと、家の中の日常のこととかやられたりとか?」
辛島「花を育てるのが好きなんですけど、朝起きたときにじょうろで水をかけてあげると、あれってマイナスイオンの効果があると思う、水滴が。自分もすごく気持ちが良くなって」
千「美登里、感激〜」(会場から笑い)
辛島「(笑)。もう〜(笑)」
千「あれって苗植えて、ちょうど今花が咲いてるいいシーズン?」
辛島「ホントに元気が良くて、水をあげるとゴクゴクゴクッて音がするかなみたいなぐらい活きがいいんですよ」
千「なんか魚みたいですね、活きがいいって(笑)」
辛島「いいのが入りましたみたいな感じで(笑)。それからまた元気をもらうみたいな感じが今の朝はホントにそうですね、毎朝」
千「名前付けたりしてんですか」
辛島「名前までは付いてないです(笑)」
千「結構周りで見てると土をいじってる人って分厚い軍手をして、ほっかむりして」
辛島「大変なの。冬寒いときなんかホントに帽子かぶって上着を3枚ぐらい着こんで。お前が泥棒か、みたいな感じで」
千「大家さんがたまたまそのマンション見てると泥棒が入ってるよ、辛島さんて(笑)」
辛島「私ですみたいな(笑)。それぐらい不様な格好なんですけど。夏は夏で…」
千「不様(笑)。不様って単語も久々聞きました(笑)」
辛島「ちょっと死語でしたね(笑)。夏になったら日焼けとかあるんですけど、麦わら帽子かぶったりして。うん、でもそれはそれで楽しいですよ」
千「そうやってスランプを脱出してニューアルバムが完成して先月出ました、『melting』。私も聴かせていただきましたけど、辛島さんの今の話とは程遠い物憂げな、とても軍手をしているふうには(笑)、見えない物憂げな表情の写真が」
辛島「開けても開けても辛島の顔、顔、顔。ごちそうさんみたいなね(笑)」
千「(笑)。自分で言わなくても大丈夫。でも出来上がってみていかがですか」
辛島「なんかやっぱりアルバムって、そのときの日記みたいなところがありますよね。『melting』作り終えて自分で改めて聴いてみたら、あ〜なんか今の自分は前よりは少し肩の力が抜けて、いい意味でアバウトになってきてるのかなって気がして、私自身ホッとしました」
『あなたの愛になりたい』『夜間飛行』『LULLABY』--CM--
千「なんか部屋の感じでリラックスして聴かせていただきました」
辛島「でも私はすごい緊張しました、やっぱり(笑)」
千「家で弾かれてるときもこういうピアノに向かって?」
辛島「あんまり練習しないんですよ、私(笑)。ピアノはあるんですけど、何となくなでたりしてるうちに、もういっか、今日はとか(笑)」
千「辛島さん、ゆっくり話しましょう、あとで(笑)。いかがでしたか、今日のこの会場のムード」
辛島「緊張感はあったんですけど、でもなんか一人一人の気持ちが手に取るように分かるっていうか、あ〜なんかすごく自分自身が優しくなるような、そんな気持ちがして嬉しかったです」
千「なんかいいバイブですよね。年末にオーケストラと一緒にコンサートされたりとか、いろいろやられてますけど、もうすぐツアーが厚生年金会館で。こちらの方はどんな感じになりそうですか」
辛島「今日ピアノでお届けしたんですけど、ピアノももちろんありますし、今回はアコースティックギターとコントラバスが入って、ちょっと変則的な感じなのでCDとも全然違う空気感をみなさんと楽しめるかなぁと」
千「ライブならではの取り合わせですね。どういう聞こえ方をするのかすごく楽しみです」
エンディングテーマは『key melting』