Live Depot
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Vol.80 2002/11/14 ON AIR (guest:サンダルバッヂ
「こんばんは、大江千里です。ようこそ。秋も深まってきました。夜はかなり冷え込みますけど、今年も流星群がまた見えるって噂ですけど、どうでしょうかね。ギターとか持って外に出て曲なんか書きたいなって。僕はギターじゃないんで、ピアノを持って出て行くっていうのはなかなかたいそうになってしまいますけど(笑)」
(サンダルバッヂ登場)
千「簡単に紹介させてください。今日は、何色っていうんだろう」
赤松「これは友達に染めてもらってんですよ」
千「へ〜。半袖の。サンダルバッヂは赤松邦之さんのソロプロジェクト。弾き語りでもバンドが一緒のときもサンダルバッヂ。1981年愛媛県生まれ、今年三月にシングル『思ヒ空』、これは『思ヒ』の『い』がカタカナのヒなんですよね」
赤松「ちょっとこだわっちゃったんですけどね。パソコンに入力するときに一括変換できないんですよ。だから少しでも覚えてもらえるようにと思って」
千「まず、そこで引っかかりますもんね(笑)。10月の30日にファーストアルバム出ました!その名も『サンダルバッヂ』!」
赤松「ありがとうございます。僕たちにとって一番大切なもんだし、目で見て手で触って足で歩いたものがそのまま出てるアルバムなんで、みなさん是非聴いてもらいたいですね」
千「匂いぷんぷんですね、きっと。デビューして最初の秋は学園祭、インストアとか、そういうプロモーション…」
赤松「そうですね。今津々浦々回ってきたんですけど、何が嬉しいかって言うと全国でアルバムが発売できたのが嬉しいし、その土地土地でみんなに聴いてもらうっていうのが嬉しいと思ってます」
千「自分の思いを奏でたやつが知らない町に行ったら、それを聴いてくれる人に直接会って…」
赤松「そうなんです。そうそう。そこで話ができたりして嬉しいですよね」
千「地方にいって結構走ってるって噂聞きましたけど」
赤松「(笑)。町並み見るのが好きだったんですけど、その中でずっとキャンペーン中に回ってたら、その先で走り初めて。今10キロ以上ゆうに走ってます」
千「(笑)。キャンペーン中にひざを壊さないようにお祈りしてます」
(サンダルバッヂライブ)
『河川敷ノ唄』『秋桜』
-CM-
千「セッションタイム!(ピアノを演奏しながら♪サンダルバッヂ〜という歌声)今ちょっと訳わかんない始まりかたで(笑)」
赤松「でも地味にかっこ良かったですよ」
千「地味に(笑)。サンキュ。ステージには赤松さんが中央にギター、アコギですね。そして僕がキーボードの前に座りました」
(セッション)
河島英五『酒と泪と男と女』

千「じゃ、赤松さん…、赤松さんって(笑)。何かやっぱりサンダルバッヂって感じがしてきたね(笑)」
赤松「あ、そうですか(笑)」
千「リハのときは赤松さん、赤松さんって言ってたんだけど」
赤松「そうですね。曲選んでって言われたときに居酒屋とか行って、ピアノのあるバーとかギターを僕が持ってきて歌うんだったらこれかな〜って」
千「リハーサルとのときそうだったよね。ここのボックスでコードとか書き込んで」
赤松「二人でどうしよう、どうしようみたいな(笑)。楽しかったですね」
千「この曲ってのはちょうど小学生ぐらいのとき?聴いたのって」
赤松「僕は親父から教えてもらったんですけど」
千「親父さん、音楽好きな人だったの?」
赤松「元々聴くのはほとんど洋楽なんですけど、その中で河島英五さんがライブツアーで回ってきたときに親父とおふくろがコンサートに行って」
千「あ、いいですね、夫婦で」
赤松「で、即売のカセットがあるじゃないですか。それを買ってきて、『ちょっと聴け』と。『これが男なんだ』と。そういう男っぽさみたいな音楽を習ったのはそこでしょうね」
千「サンダルバッヂの作る曲っていうのもそうですよね。男っぽさって、いわゆるマンだけじゃなくて、任侠じゃないけど、これだけは許せないとか、ここを信じて突き進むんだ、みたいな。そういう思いみたいなの感じるんだけど」
赤松「潔さって絶対必要だと思うし、あと人生って前進するだけじゃないと思うんですよ。例えば引っ込んだりして後退することもあると思うけど、その中で何か自分があったとき、次にどうするか、いわゆる三歩下がったんだったら次に二歩前に出て、次に一歩出て、次にもう一歩出て。できればそのまま四歩前に出てワンステップとれれば一番いいんですけど。やっぱり最終的に自分がどうあるかっていうのは自分自身が潔くなきゃできないことだと思ってるんで。それはバンドのメンバーと五人で話し合ってね」
千「歌の中で一か所アァ〜ッていうすごい、あの叫びみたいなのが飛び込んでくるときに、あれも潔いっていうか、あそこでグアッとね」
赤松「一回ピークに達しないとダメ、みたいなね(笑)」
千「子供時代に中島みゆきさんの歌がすごい好きだったって」
赤松「それは僕がステージに立つきっかけになった曲ですね。いわゆる喜びを覚えたというか」
千「何ですか?『わかれうた』?」
赤松「『悪女』。おふくろがシングルのSPを持ってて、それをかけて覚えて」
千「SPって首相の傍に立ってるんじゃなくて(笑)。SP盤」
赤松「(笑)。学芸会で歌ったんですよ。僕は訳もわからず歌ったんですけど、何か知らないけど、お父さん、お母さんに浸透しちゃって。『あらっ、くにちゃん、いいじゃない』と(笑)。あ、中島みゆきさんを歌うと通じるんだなと思って。そのときに、お小遣いとかためていって中島みゆきさんのLP買い揃えたっていうのがきっかけなんです」
千「気持ちを濃く歌っていくっていう、それを形にしていくっていう、そこらへんの洗礼もあるような。ガソリンスタンドの話は今も?」
赤松「今も普通に働いてますよ(笑)。さすがにこのごろちょっと忙しくて月に一回二回とかなんですけど。実家がガソリンスタンドなんですよ。赤松石油店(笑)。何かあったときのために上京してからもガソリンスタンドで働いてて。僕がミュージシャンになってからも続いてて、ずっと仲間なんですよね」
千「そこで働いてる?」
赤松「普通入れ替わりが激しい職業だと思うんですけど。寒くて暑くて、条件的には悪い職業なんです、やっぱり。その中でみんなで一緒に頑張って耐えていって、仲間意識ができてきて八年間スタッフ誰も変わってないんです」
千「それ、すごいですね」
赤松「みんな、僕についてきてくれて」
千「今、もうそういうポジションで?」
赤松「つい最近まで社員だったんですけど、このごろ掛け持ちはできないのでアルバイトとしてやってるんですけど」
千「今その真剣なまなざしはアーティストじゃないですもん。ガソリンスタンドを仕切ってる責任感でキラキラ光ってましたね」
赤松「(笑)。そういう仲間たちが後押ししてくれて。僕が歌うなかで一番大切なものっていうのはバンドのメンバーであり、スタッフであり、お客さんであり、リスナーのかたであり、ガソリンスタンドの仲間ですね」
千「曲を練ってるときに、ガソリンスタンドで働いてるときに、例えば油が水たまりに入って、あれが虹色に見えたりとか」
赤松「あ、見えます、見えます」
千「あるじゃないですか。ああいうときに湧いたりするんですか」
赤松「思わず見とれちゃいますね」
千「普通プロを目指すミュージシャンの人は通らない道を…」
赤松「僕は得してると思ってて。大切なものがふたつあるっていうのは」
千「しかも甲子園、春の選抜優勝、しかもベンチウォーム」
赤松「(笑)、ベンチウォーマー。でも一応三年連続甲子園行かせていただいて、春の大会で二年生のときに優勝ですね。ま、行ったは行ったっというだけなんですけど」
千「山本譲二さん以来ですかね」
赤松「なんですかね(笑)」
千「そのあと航空自衛隊」
赤松「それは進学に失敗して。いわゆる親父に入れられた口なんですけど(笑)。いわゆるひとつの線路をたどっていってたわけですよ、親に言われて。そのレールに乗って、それにこう自分のなかで脱線したときがあって、そのなかで自分が思い描いたのはパイロットって憧れたときがあって、パイロットの試験も結局落ちちゃったんですけど、飛行機の管制塔ずっとやってましたね」

千「会場のかたのアンケートに答えていただけますか。『赤松さんは四国のご出身だと聞きましたが、関東の習慣と違うことは何かありますか?ちなみに私は納豆に砂糖入れます』」
赤松「え?」
千「『みんな顔しかめます』」
赤松「それもおかしいっすよね。納豆に砂糖でしょ?あ、でも愛媛はちくわぶがないですね。関東に出てちくわぶ見たときに、あっおっきいちくわだと思って食ったらモチモチしてるじゃないですか。一回吐き出したことを覚えてますね」
千「そういう話はじめると蕎麦とかいろいろ…たぬきとか」
赤松「そうそうそう。あと向こうの人って結構挨拶好きです」
千「道で会ったりしても?」
赤松「知らない人でも会釈とか挨拶とかして。それはすごい好きなんですけどね。知り合いがいっぱいいる感じで。東京にいて思うのは挨拶がなかなかできる場所じゃないなって、何か寂しい思いもしますよ」
千「隣に誰住んでんの?ってわかんないまま何年も住んでたりとかありますもんね」
赤松「僕の故郷だったらお互い何してるか知ってなんぼじゃないですか。おかずとか持ってきてもらったりして、今度僕がお米とか与えたりして」
千「物々交換ですね」
赤松「そういう違った意味での感情とか湧いたりして。そういうものを今のところ僕は東京では習ってないから」
千「さっきから話聞いてるとガソリンスタンドもそうだけど、対人っていうか人とキャッチボールっていうか」
赤松「大好きですね。いろんなものが見いだせるような気がしてます」

(サンダルバッヂライブ)
『思ヒ空』『a day』
赤松「ちょっとドラムのトラブルがあったんですよ。申し訳なかったです」
千「今頭をこりこりかきながら(笑)。お疲れ様でした。いかがでしたか?」
赤松「楽しくできましたね、この空間てなかなか味わえるようなもんじゃないので呼んでもらってありがたいし、またいつか必ずいい音楽を届けようと新たに思いました」
千「ファーストアルバムですけどまさに『サンダルバッヂ』」
赤松「故郷みたいなもんです。僕が二作目、三作目のアルバムを作っていくなかで、もし迷ったら一作目に帰ろうというようなアルバムができたんで、何か子供みたいなもんです、僕のなかでも」
千「子供であり届けたい誰かであり…」
赤松「実は自分自身かもしれないしね」
千「でき上がってみてどうでした?物量感というか、手に取ってみて」
赤松「やっぱり何にも代えられないし、里親みたいなもんですよ。みんなに迷惑かけてないか、みんなにちゃんとかわいがってもらってるか。ホントに一人でも多くの人に聴いてもらいたい」
千「ご両親とか、周りの友達とかどうですか?反応は」
赤松「結構淡々としてんですよ(笑)」
千「淡々としてますか(笑)。でも、ご両親とかどうですか?愛媛帰ったりすると。ご両親のこと歌った歌とかも入ってるじゃないですか」
赤松「帰っても、僕親に似てるんですけど、感情を表になかなか出さない、普段は。お酒を飲んだときとかに泣いたりとかね(笑)。カラオケ歌ってるときに感傷的になったりするっていう親なんで、帰っても、『まぁまぁ』とか『こんなもんだろう』とか(笑)」
千「あ、ホント?ジャケットにうつむく、野球少年かな?イラスト、帽子かぶって」
赤松「あれは電車の中で描いたんですけど」
千「あ、あれは自分で描いてる?」
赤松「30秒ぐらいで描いた絵なんですけど」
千「何線ですか?ちなみに」
赤松「新幹線でした。山陽新幹線」
千「(笑)。今電車の中って言ったから埼京線とか、自分の中でストーリーがバーッとね(笑)。川べりがあってガタンゴトン。新幹線ピューじゃないね」
赤松「(笑)。人が胸にあごがつくぐらいうなだれるってどういうことだろうかねって描いたのがあの絵なんですよ。僕の中で一番大切なのは、その次に首をあげたとき自分がどうあるかっていう。歩き出してるのか、それとも上を見上げて笑ってるのか、もしかして泣いてるのかもしれない。でもやっぱり進むべきだし上を向いて笑うべきだし、次の行動が大切だと思って、あの絵を描いたんですけどね」
千「さっきちょっと聞いたんだけど曲を作るときってどういうふうにできるの?」
赤松「日記を学生時代からつけてて、そっから気になってる言葉を抜粋して、そこから原稿用紙を置いて。で、万年筆を置いて。形から入ってんですけど」
千「(笑)。結構形から」
赤松「まずは、そのまま感情を込めて書くっていうのが僕の作風ですね。完全に僕は文字というより形で見てますね。ちゃんと文になってるのか、やっぱり川柳と一緒で僕の声で表現するっていうのは読み上げる心なんですよね。筆で例えば『あ〜』という文字を書いたとしても『あ〜』も余分な言葉じゃないんです、僕の中では」
千「その中で自分の思いが…」
赤松「そうですね。感情が全部込められて歌えるのが僕の歌詞だと思ってます」
千「さぁ、サンダルバッヂ、ライブがあります」
赤松「そうですね。とても楽しみです。それもちっちゃいステージの中でやれるのが僕は好きだし」
千「いや、今はそれがいいよ、直接こう…」
赤松「そうなんですよ。みんなの心も伝わるし僕の心も伝えられるし。いくらこれから大きいところでやり始めても必ずライブハウスに帰ってこようと思うし」
千「電気が伝わるような感じで言葉が伝わっていくといいですよね」

エンディングテーマは『遠い風のにおい』
「詳しく甲子園の話聞けなかったんだけど、ベンチをあたためてたって話を聞いて何となく風ってのが浮かんだんですけど、いかがでしたか」