Live Depot
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Vol.86 2002/12/26 ON AIR (guest:林田健司
「こんばんは、大江千里です。みなさん、ようこそ~!2002年もあと五日ですよ。全然大掃除やってないですけどね(笑)」
(林田健司登場)
千「ようこそ!はじめまして。よろしくお願いします」
林田「はじめまして。よろしくお願いします」
千「白の刺繍がある開襟シャツに黒のスーツで登場ですけど。今年は林田さんはどんな一年でしたか」
林田「自分なりにはいろいろできたなと。かなり実感を持ってやれたなという一年でした」
千「リスナーのみなさんに超特急で林田さんのプロフを紹介しますけど。91年にデビューされてソロ活動に加えていろんなアーティストに楽曲を提供されたことをみなさんもご存じだと思いますが『青いイナズマ』、SMAPのね、ブラックビスケッツの『スタミナ』などなど。そして12月18日にニューアルバム『Cross Point』出ました〜。さてバンドでのライブは久しぶり?」
林田「そうですね。三月、四月ぐらいにツアーがあって以来はドラムが入ってっていうのは久しぶりですね」
千「今日はもしかして歌い納め?」
林田「そうなんです!今日歌い納めです」
千「思いきりやったってください」
(林田健司ライブ)
『Cool』『冬の空飛行機雲
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)」
(セッション)
林田健司『青いイナズマ』(演奏はバンドに千里さんが加わるというもの。ボーカルはふたりで交互に)

千「僕今回林田さんのレジュメを見たら林田さんの歌ってる『青いイナズマ』の方が先なんですね。ということは、その曲聞いてSMAPがカバーしたっていう?」
林田「そうです。使っていただけたっていう。くださいましたって感じです」
千「今日このセッション、何回も何回もテープに入れてくださって。三パターンぐらいあって、結構凝り性?」
林田「(笑)。いろいろ考えたんで」
千「どんどん湧いて来るんですか?ああいうアレンジが」
林田「みなさんでいろいろとお話をしながら、みなさんのアイディアが入りながら」
千「林田さんは2000年の三月ぐらいから、ちょっと休まれてたんですよね」
林田「はい、お休みをしておりまして」
千「一年ぐらいですか?休んでたっていうのは」
林田「全部で一年ぐらいですね」
千「曲とか書いたり?」
林田「いや、ほとんど何も音楽活動はせずに、もっぱらアウトドア、ま、似合わないんですけど、アウトドア系の暮らしをしておりました」
千「いやいや、似合わないことはないですよ」
林田「そうですか?似合いませんねってよく言われて。なんでだよって思ってたんですけど」

千「(笑)。休んだっていうのは、ずっと曲書いてて、言葉悪いけど、燃料切れじゃないけど、ちょっとインターバル置こうかなと思ったんですか。帰って来れないんじゃないかとか…、もうやめる!って言っちゃうと、なんかこの世界結構そういうのあるじゃないですか」
林田「かなり覚悟はしてたというか、もう戻れないと思ってましたけど。でもそのときの僕には休みを取ることしかなかったというか、音楽から離れて、もう一回音楽をちゃんと楽しくできるように自分がならなきゃいけないなと思ったので」
千「林田さんは音楽始める前ってバイトしながら曲書いてたりっていう時期あったんですか」
林田「すごいやってました。いろんなバイトしてました」
千「じゃ、その頃曲を書いてたりしてたときのがむしゃらな感じっていうのがだんだん薄れてきてたみたいな感じがあったんですか」
林田「アマチュアの頃って一生懸命曲を作ってるときって、これがどうなるか分からないけど頭の中でずっと鳴ってて、毎日毎日バイトしてる時間にその曲がどんどんすごいことになって膨らんでいて、それでやっとレコーディングしてデビューして表に出ていくわけじゃないですか。なんだけどデビューしてしまうと、ちゃんと熟さない前に出ちゃうんですよね」
千「作ってかなきゃいけない、みたいな。サイクルの中で」
林田「この曲ってホントにいいのかなって思ってるのに出してしまってるような気がして、ちゃんと自分で消化しきれてない感じがあったんですよね」
千「歌手としての林田さんというのはどういう自覚だったんですか。昔から歌手になるっていう感じだったんですか」
林田「それは全然ないですね」
千「曲書きが好きでずーっとやってたって感じ?」
林田「曲を作るのが好きなんですけど、作った曲を歌うのが林田健司なんですよ」
千「ニュアンスとして伝えるのは林田健司が一番うまい?」
林田「そうなんですよね。頭の中で考えてるのを伝えるのは林田くんが一番得意なんでやらせてるんですけど、基本的には作って、いい曲じゃ〜んって言われるのが好きなんです」
千「あ、でもそれはあるよね。誰かにほめてもらいたい」
林田「ほめられたいんですよね(笑)。ほめられたがりなんです」
千「休んでる時期に鼻歌歌ったりカラオケ行ったりとか、そういう変化はあったんですか」
林田「休んでるときはただ自転車に乗ったり山登りしたり。復帰してから何回かカラオケ屋さんには行きました。懐かしい曲の話をしてたら行きたくなって行きまして。あ、カラオケって楽しいなっと」
千「(笑)。思った?そのときに」
林田「思いました」
千「自分の曲なんかピュピュッと入れてみたり?」
林田「それはやめてくれっていうんだけど入れられて歌ったりして、死ぬ程嫌な感じでした」
千「(笑)。なんで?」
林田「歌えねえよ、俺、歌えねえよって感じで(笑)」
千「(笑)。微妙な感じだったんだ」
林田「そうですね。恥ずかしいもんありますよね」
千「去年の秋、活動を再開されて、全部リセットしたやつがもう一回始まって…」
林田「そのときはまだようやくリハビリしてる状態みたいな感じで、全然音楽やれてる感じがなかったというか、必死でやってたんですけど、だんだんまた音楽の楽しさに目覚めてきたというか、すごい楽しいもんだなって思えるようにようやくなってきたので、今が一番グッと来てる感じです。音楽ってスッゲエ!」
千「(笑)。それ、どう受け止めていいのか。演奏してるのを見てると楽しそうっていうか、ホントにみんなで作ってんですね、生グルーヴというか」
林田「特に今回のアルバムはみなさんのアイディアをいろいろと盛り込んでいただきまして、手作りな感じで」

(林田健司ライブ)
『キャンドル・ヴォイス』『$10
千「『今の気分を色に例えると何色?』っていう質問がありますが」
林田「最後が『$10』で今年をしめたことに疑問を感じながら」
千「(笑)。なんで?」
林田「あの曲ってやっぱ赤い感じだったんですよね。おかしいな。今年は紫だと思ったのに」
千「あ、部屋をその色でっていう話を聞いたんだけど」
林田「仕事部屋を紫色に塗りました(笑)」
千「自分で?壁も?」
林田「天井まで全部。紫ってみなさん誤解してると思うんですけどラベンダー色ですよ」
千「いや、まだ全然誤解する隙がなかったですから」
林田「ホントですか」
千「(会場の反応に)あれ?なんだ、この止まった感じは(笑)。ラベンダー畑の中で寝てるような」
林田「優しい感じでやっておりますね」
千「ばっちり曲はできてますか」
林田「まだ一曲、二曲ぐらいです。それ以来こもってる暇がないんですよね」
千「この『Cross Point』っていうタイトルはどういう意味合い?」
林田「元々はあっけなくつけてしまったっていうとつけてしまったんですけど。デビュー前によく出ていたライブハウスっていうか、その店の名前がCross Pointって名前だったんですよ。こっから先の僕はまた出発点になるであろうと思ったので、Cross Pointというのをつけて初志貫徹して、一からやるぞみたいな気持ちでつけてみました」
千「歌う喜びみたいな話もしたんだけど、林田さんのイメージって僕の中で勝手に作ってるだけかもしれないけど、綿密にパーフェクトに部屋の中で音を作り込んでやるのかなと思ってたけど、今回のアルバムを聞いているとグルーヴがでかいっていうか」
林田「そうですね、変わりました。おっきく物事をとらえられるように、ようやく大人になれました」
千「(笑)。すごく力強い曲、例えば今日頭の方でやってくれた『冬の空飛行機雲』、あの曲なんかアルバムの顔ですよね。すごくシンプルで。今回の曲ってどっか行って書いたりしたんですか」
林田「今回はなるべく打ち込みをするのがヤだってコンピュータの前に向かいたくなかったので、河口湖の方に行きまして四泊五日ぐらい合宿をしました」
千「メンバーもみんな?」
林田「メンバー行かないです。僕だけ」
千「あ、一人?ま、泊まりに行って」
林田「泊まりに遊びに行ったってことです。部屋が飽きたってことです」
千「なるほど。河口湖、スワンのボートがあったり」
林田「でも乗らなかったですけど」
千「(笑)。一人で乗ってたら怖いね(笑)。霧に吸い込まれて行ったり」
林田「怖いもんがありますね。外周が20キロぐらいあるんですよ。そこを散歩しながら録れるようなのあるじゃないですか、持って」
千「ボイスレコーダー?」
林田「ボイスレコーダーみたいなの持って。ヘヘン♪とかやってました」
千「じゃ、そのヘヘンとかやったときのメロディとかが今回元になってたりとか?」
林田「なってます、なってます」
千「『今回の作品のジャケ&歌詞カードには素敵な写真が満載ですが、ご自身によるもんですか?写真お好きなんですか?』」
林田「表紙は僕ですけど。他にもスタッフが撮ったやつもあって、もちろん僕が撮ってるのもあるんですけど、みんなでコンベンションをしまして優秀者が選ばれたと」
千「でも象徴するようなパワーがあったでしょうね」
林田「スコーンと抜けてる感じがいいなと思ったので」
千「細かいことがあまり気にならなくなったって、さっきも話してたけど、楽しくなったっていうのはそういう部分なんですかね」
林田「うーん、細かいことがそういろんなことに影響はないな(笑)って思うようになってきたんですよね。そんなことより芯の部分で何がしたいのか、伝えたいのかってことが大切だなって思うようにようやくなってきたなってことです」
千「自分が何を伝えたいのかっていうことが音楽の芯の部分で」
林田「そうですね。サウンドの方向に行くんじゃなくてメッセージの方向に進もうというふうに年々なってきてるんだと思います」
千「長い音楽生活の中で、今ってどういう時期だと思いますか」
林田「いつも今が一番吸収してると思ってやっているので、まだまだダメだ、お前頑張れよって感じです」
千「来年はこのアルバムを引っさげてコンサートがあります。これはどんな感じに?」
林田「今回の『Cross Point』中心にやろうと思ってます。多分全曲やりますね」
千「やる気満々で。じゃいい年になりますよう」

エンディングテーマは『さざ波』