「こんばんは、大江千里です。みなさん、ようこそ。ラジオをお聴きのみなさんも明けましておめでとうございます。僕、明日からツアーが始まります。札幌からなんですけどね。今、歌詞が頭の中をグルグルグルグル回りながら今日もこの会場に来ましたけど」(国本武春ライブ)
(国本武春登場)
千「髪を、前髪がギバちゃんのように」
国本「ちょっと上げ気味で」
千「一年ぶりのご無沙汰です」
国本「本年もよろしくお願いします」
千「元旦はどんなふうに過ごされてたんですか」
国本「元旦は実家に帰りましたけど二日から寄席がありましたんで仕事を」
千「忙しかった、結構?国本さんは僕と同い年です。タメなんですね」
国本「なんと反応していいのか分かんないようなこの客席が…」
千「(笑)。いきなりそこに来てもね。古典も語る浪曲師でもありますし、ロックやR&B、語り、三味線、全部ミックスした武春流という音楽をずっとやってますけど、去年はアメリカでミュージカル。大活躍で。そこらへんの話、たっぷり聞かせてくださいね。今日の調子を一言」
国本「何か湯に浸かったような感じで、いい気持ちになるように。寒いところにちょっとあったまるような感じで。それほど芯からあったまるんじゃなくて、上っ面をあっためるぐらいな感じにできればと思いますね」
千「(笑)。微妙なね」
国本「あんまり芯から行かないところがまたいいところでね(笑)」
『Hobo』『GRANDFATHER'S CLOCK』『同じ空の下』-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノと国本さんの三味線の演奏)今日のセッションは今年もやります、みなさんのお題で即興演奏!メールと会場のお客さんからのお題をいただきまして、それをテーマにして即興で演奏してしまおうというわけですけど。まずメールでたくさんいただきました。その中からふたりで選ばせていただきました、二枚。このどちらかに決めたいと思いますが、まずは『羊』」(セッション)
国本「干支ですね」
千「『深い意味はありませんが年女なんです。羊には親近感があります』」
国本「24歳ですかね?(会場から笑い)」
千「ま…でしょうね。願望が入ってますよね(笑)。もうひとかたは『厄年に負けない、これどうでしょうか?私は今年厄年です。そのせいか周りの友達は体調崩してる人が多く』」
国本「周りの友達?」
千「同い年なんじゃないですか」
国本「あ、そうか、なるほど。同級生が」
千「『自分はいつ回って来るのか、大丈夫なのか、毎日不安におびえる日々。ちょっと大げさですが。そこでおふたりに厄払いの音楽をお願いします』」
国本「厄払いの音楽?」
千「(笑)。今年も健康で楽しい一年がみなさんと共に過ごせますように、ということですね。どっちにいきますか?我々は自慢じゃないですけど厄ですよね」
国本「厄なんですよね。厄も明けるかって感じなんですけど」
千「そうそうそう。なんかありました?厄」
国本「ありましたね」
千「あった?俺もありましたね」
国本「これ、ちょっと長く…」
千「またの機会にしましょう(笑)。厄いっちゃうと即興、ちょっとまとまりきらないっていうのありますかね」
国本「他のお題がかすんでしまう恐れが。無難なところで干支で(笑)」
千「24歳、羊ということで(笑)。じゃ会場からふたつほどお題を頂きたいと思いますけど」
客「年末年始ということで『帰省ラッシュ』」
千「今、ちょうど帰省ラッシュが終わった…感じで(笑)」
国本「ちょいズレなタイムリーな。他にも?」
客「羊って出たので同じウール製品ということで『マフラー』を」
千「マドラー?」(←ウール製品でマドラーはないかと…(^_^;)
国本「マフラー。マフラーって羊の毛なんですか。羊の毛がウールってことなんすか。ま、一応聞いときましょう(笑)」
客「今年は鹿児島でも積もったということで『雪の日』でお願いします」
千「鹿児島でも積もったんですね。寒いですもんね〜」
国本「底冷えしますね。芯から冷えます」
千「ホンットにそれは僕思いますね、今年は」
客「羊つながりなんですけど、新年会とか忘年会とかある時期なんで『酔っぱらったメリーさんのヒツジ』」
千「みなさん、かなりひねりがありますね」
国本「なるたけ歌にしにくいようなものを」
千「イジメですか、これは(笑)。お題どうでしょう?もうちょっといってみたい気も」
国本「何かつながりが濃いですからね。離れたところとか」
千「エアロビクスとか、バナナとか。全く違う」
客「『書き初め』」
国本「なるほど。タイムリーでもあるし今までと違う感じで」
千「じゃ今出たのを復誦したいと思います。微妙にタイムラグがある『帰省ラッシュ』、ウールのお友達『マフラー』、『雪の日』、『酔っぱらったメリーさんのヒツジ』、『書き初め』。どうします?我々で選んじゃいましょうか」
国本「『書き初め』っていうのはいいですね」
千「何か広がりそうな感じ」
国本「あとはここらへんの中のひとつを拍手で」(お客さんの拍手の数で結局『雪の日』に決定)
国本武春&大江千里『新春お題でどん!』(国本武春ライブ)
(主婦の女性が雪の日に振り袖を着て書き初めをして、羊の綿のような雪を見ながら「いい人に出会えますように(←もう主婦なのに)」とお祈りをしていると子供たちがやってきてメイメイ(←羊の鳴き声とかけて)書き初めを始めるといった内容)
『最悪の明日に』『ええじゃないか』
千「まずはお疲れさまでした。一年ぶりのTFMホール、どうでした?」
国本「やっぱりめでたいって感じですよね。何かわかんないけど無性にめでたい」
千「今うつろな目をしてますけど(笑)。今日は男心を歌ったロックな曲が多かったですよね」
国本「浪曲というと何が言いたいんだというテーマ性が多少あるわけですよ。ちょっと説教臭いところあるんですが。他の漫才とか落語とかと違うのは浪曲っていうのはちょっとそういう教訓が入っているという。身なりで人をばかにするなよ、とかね、親兄弟大事にしろ、そういう義理人情みたいなことがあるんですよ。そういう教訓めいたものもパッと」
千「ロックなメゾピアノぐらいの大きさで始まって、メロウじゃないですか。その中からだんだん上がってくるというね。教訓も教訓ぽく聞こえないっていうね」
国本「歌のいいところは、みなさんそれぞれが共有できる素晴らしさがありますよね。浪曲の場合、一人の主人公をちゃんと描かなきゃいけないので時間がかかりますけど世界ができますから」
千「自分のルーツの浪曲から自分自身の音楽に帰るっていうか、そっちに戻った今日は瞬間だったんですね」
国本「浪曲がどうとか音楽がどうのとかじゃなくて同じ、浪曲以上にポップスとか普通の歌が身の回りにあるわけじゃないですか。それを隠さずに。浪曲もやってるんですが影響を受けたものは自然に入れていきながらやっていこうと」
千「同い年ふたりによる新年に思う今年の抱負なんか話してみましょうかね。国本さんはちょうど一年前登場してくれたときにアメリカでミュージカルをやる…」
国本「元々向こうにあったミュージカルを宮本亜門さんの演出で。それが2000年こちらでやったものを向こうの作者の人が見に来て、是非アメリカに呼ぶからと。いつ呼ぶんだ(笑)、調子のいいこと言ってってのが去年二年越しで実現して、ニューヨークとワシントンでやって来たんですけど」
千「内容はアメリカ人が見た日本の幕末の」
国本「ペリーが行ったときに日本人はこんなに慌てふためいて大騒ぎしてビックリして。だけど今やこんなに経済発展を遂げたってところで結んでるんですが」
千「ニューヨークに7月、9月にワシントン、二回行ったんですね。国本さんはどんな役割で?」
国本「私はナレーターというね、ちょっと狂言回しというか解説の役も含め、劇中では将軍になったり天皇陛下になったり」
千「それは英語でやるんですか」
国本「日本語でやって字幕を出して。彼たちは字幕を見ながらホントに細かい身ぶり手ぶりまでよく見逃さずに見て、わーっと笑って、いつやむんだぐらいの拍手をくれるわけですよ。こっちはナレーターなんで次の台詞を出さないと進行しないんですけど、いつまでもやまらないわけですよ。ニッコリ笑ってると何分でもしてるわけですよ。で、こわごわと何とかって言うとスーッとビックリするように拍手がやむんですよ」
千「(笑)。ホントに感動してたんじゃないですか」
国本「向こうの人たちが楽しみ方というか、そういうのよく知ってるっていう。自分が楽しんで自分も盛り上がるっていうような感じ」
千「準備をして、その気持ちになって来てると。拍手をするぞ、楽しむぞ、と」
国本「元はとるぞっ!と。そういうのハッキリしてますよね」
千「ワシントンはニューヨークと違いみたいなのありますか」
国本「キャパが半分ぐらいだったんですよね。ワシントンは見る場所が違うんですね。同じものやっても見てる場所がとても細かいんですね。ニューヨークは音楽ノリだったんですけどワシントンに行くと芝居ノリになって。演劇だったんだっていうのを出演してる連中が確認させられるみたいな、そんな感じがありましたね」
千「経験としては最高ですよね」
国本「世界の人たちっていうか、喜んでくれる人がいるんであれば、いろんなところでやりたいなっていう気持ちがどんどん出て来るんですよね」
千「音楽は身ぶり手ぶり、声の大きさ強さで気持ちが伝えられますもんね。今年はどういう予定なんですか」
国本「9月からアメリカに留学に行こうという。さっきマンドリン弾きましたが、中学ぐらいからブルーグラスってのをやってまして、そっちのほうの勉強をしながら、アメリカのテネシー州の大学に入って」
千「ブルーグラスが発祥したような場所で」
国本「で、日本のルーツも教えてやろうというような。三味線を持ってって一緒にセッションしたり、浪曲も聞いてもらうっていう」
千「一年日本を留守にするっていうことは日本の浪曲界というか自分が今までやってた場所はどうするんですか」
国本「私が一年ぐらいいなくなったぐらいではなんら変わりはありません。ま、高齢のかたが何人かお亡くなりになることはありましても状況的にはなんら変わらないと思います。なくなることもないし流行ってることもないと思います」
千「(笑)。正月早々いろんな話をありがとうございます。いい年にしましょう」
エンディングテーマは『国本』
「アメリカに行くっていう話は国本さんと飲むときに昔から聞いてた話なんですけど現実に叶えちゃうってすごいですよね」