「どうもこんばんは、大江千里です。みなさん、ようこそ。大江千里はツアーが始まりまして札幌、仙台、新潟と今ツアーまっただ中です」(一青窈ライブ)
(一青窈登場)
千「はじめまして。去年の10月に『もらい泣き』でデビューして、アルバムの『月天心』もヒット中ということですけど」
一青「はい(笑)」
千「自分でヒット中って言われても困っちゃいますよね(笑)」
一青「そうですね。照れちゃいますね」
千「生活は何か変化はありますか」
一青「そうですね。メールの件数が圧倒的に増えましたね」
千「(笑)。友達の友達とかですか」
一青「何々で見たよ〜っていっぱい報告してくれるんで」
千「マメにメールを返して?」
一青「見てくれたか、ありがとう〜って返事します(笑)」
千「今日のライブは2003年初ライブということでラジオを聴いてるみなさんに窈さんのほうから今日の意気込みを」
一青「意気込み…」
千「ちょっと堅いですが(笑)、一言」
一青「私のおうちに遊びに来てくれてる感じで、たゆたっていただければ、ゆらゆらと」
千「いいですね。おうちにこういうステージがあって、いつも歌いとき、曲ができたとき弾いてね。いいっすよね」
『月天心』『心変わり』-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)」(セッション)
デビット・タオ『飛機場的10:30』(千里さんはピアノでバンド演奏に加わり北京語のコーラスも)(一青窈ライブ)
千「今日はリハーサルのときから近いとこで歌ったほうが波動があるからいいだろうねってトーク席のピアノ近くに窈さんに来てもらって」
一青「私が近くに行きたかったんです(笑)」
千「あ、ありがとうございます。すごいいい曲でビックリしました、これ」
一青「これ、私のいっちばん好きな台湾のR&Bの歌手で、ホントに歌えるだけで幸せです(笑)」
千「これ、北京語ですよね?」
一青「はい。一生懸命覚えてくれましたね」
千「今日ちょっと練習しまして(笑)」
一青「すごい。バッチリGoodです」
千「これ、僕がコーラスさせてもらった『☆△○(北京語の歌詞で何て言ったかわからない(^_^;)』、どういう意味なんですか」
一青「(笑)。これは10時半の飛行機で彼女が戻ってくるって約束してたんだけど帰ってこないね、きみは、という切ないラブバラードなんです」
千「なるほど。デビッド・タオという歌手、窈さんは大ファンなんですか」
一青「今までは台湾のR&B、そんなにかっこいいと思ってなかったんですけど、このデビッド・タオさん聴いてからがらっと変わって、何だ全然かっこいいじゃんと思って」
千「エンタテイメントの中で、父親とか母親とか、そういう世界でちっちゃい頃からいた人みたいですね。幼い頃って台湾のほうで?」
一青「幼稚園卒園するまでは台湾に住んでたんですけど、今でもおうちがあるんで行ったり来たりはしてるんですよ」
千「元々音楽の最初の洗礼っていつぐらいだったんですか」
一青「多分お父さんが幼稚園卒園してからは台湾に一人で残ってたんですよ。その距離を埋めてくれようとしてディズニーのお話レコードを毎月一枚送ってくれて」
千「お母さんとお姉さんと三人で日本のほうに来て?」
一青「はい。それのディズニーの音楽が私の寂しい時間を和らいでくれてて、だからミュージカルっぽい音を聴くとちょっとほろっといけるんですね」
千「『星に願いを』とか」
一青「あ〜そうですね」
千「なるほど。僕もアルバム聴かせていただいて、今日のライブでもそうですけど、詞が他にないじゃないですか。窈さんの言葉っていうのがグサッとくるんだけど、作詞を始めたのは?」
一青「多分、その離れたときにお父さんに手紙を書いてたんですよ。その手紙が日記帳であったり散文詩に変わってきたりして、ずーっと日記を書いてたんで元を正せば手紙かもしれないですね」
千「かなりたまってる?」
一青「かなりたまってますね」
千「じゃこうやって人と会ったリセッションしたり、番組出て、また家帰って詞を日記のように書くんですか」
一青「そうですね。多分今日なんかは書きやすいですよね(笑)」
千「詞を書くときに日本語、英語とか、北京語、どういうふうに使い分けるんですか」
一青「やっぱり日本語が一番書きやすいんですけど、音的に中国語のほうがスピード感が出るなと思ったら一生懸命辞書を開いて(笑)探すんで」
千「今日この会場に来てくださってるかたにアンケートをとりましたので、質問とかあるんで、ちょっとぶつけてみましょう。『窈さんは歌ってるときのスタイルが独特だと思うんですが、歌を作るときはどんな格好、服装で作られるんですか』。非常にマニアックな質問ですけど(笑)」
一青「えーっと、パジャマよりかは頑張っていて外着よりか頑張ってない感じですよね」
千「あ〜わりと緩い感じの。ゴム系のとか」
一青「そうですね。縛り付けると声出ないんでね。これ、結構恥ずかしいですね、言うと(笑)」
千「(笑)。でもね、僕も曲書いてるときそうですね。なるだけ自分が外から力を受けないっていう状況ですよね」
一青「でも裸じゃないですよね?」
千「(一瞬の間)…まぁ、あの(笑)、ねぇ。僕も返答に困っちゃいました(笑)。『テレビで歌うときなんで座って歌うのですか』」
一青「すごい緊張するんですよ。地べたに座ってるときが一番自分の家に近い感じなので、だから裸足だったりとか、地べたで」
千「別に一階に住んでるとかってことじゃないですよね(笑)」
一青「それは違いますね(笑)。でもレコーディングのときも結構そうやらさせてもらってて」
千「よくマイクが固定されてて、レコーディングのときに。その前に吹いちゃいけないように、こういうストッキングみたいな丸い金魚すくいのああいうやつが置いてあるじゃないですか。じゃハンドマイクに変えて?」
一青「いや、それはないですけど。それをすごい低い位置まで下げもらってべトンと座って」
千「じゃいきなりスタジオに出前に来た人とか、何やってんだって思うんでしょうね。『最近のマイブームは?』」
一青「マイブーム…。左手でものを書いたりものを掴んだり」
千「(笑)。右利きでしょ?」
一青「そうなんです。でも、こっちを鍛えたら何かいいことあるかなって思って最近やってるんですけど」
千「両方の脳が働くとかね」
一青「どうでしょうね?大江さんは何利きですか」
千「僕は左なんですよ」
一青「じゃ、右とかはやりずらいですか?書くときとか」
千「右は矯正して一応両方使えるんですよね。同じことをシンメトリックにやるときって非常に便利ですよね。まゆげを両方いっぺんにかくとかね(笑)。ま、めったにしませんけども(笑)。『一青さんの得意料理が』、これなんですか?『津軽海峡茶漬け』?」
一青「何でそんなこと知ってるんですか?うわ、すごいですね」
千「『記事を読んだのですが具体的に教えてください』」
一青「一文字抜けてます。津軽海峡鮭茶漬けなんですけど。要するに鮭おにぎりを一回あげて、お茶漬けにして食べようという。一番最初に私が作った手料理で好評だったんで、家族に(笑)」
千「塩味がきいててね。『一青さんのストレス発散方法を教えてください。また眠れないときに何している?』」
一青「使わなくなったテープレコーダとかウォークマンとか解体してフンッて曲げたりしますね」
千「え?」
一青「中に入ってる回路?緑色のがすごいきれいで好きなんですよ。よく解体して、それだけ取って眺めて、飽きたら捨ててたんですけど、曲げたりしたら結構スカッとしますよ。もう壊してもいいものじゃないですか」
千「いや、淡々と話されると今ちょっと怖かったですよ(笑)。一人でやってる絵が今浮かんでしまいましたけど。10月にデビューして、あんまりデビューしたって感じが…、デビューってあんまり関係ない感じなんですかね」
一青「すごい嬉しいことのひとつなんですけど、多分私自身、今わかってないんだと思うんですよ。一生懸命泳いでいくのに精いっぱいで」
千「毎日歌で表現することは楽しく?」
一青「はい、うん。変わらず毎日が訪れて」
千「忙しくなって、たくさんいろんな人に、いろんなパワーのある人に会って詞ができ始めたってこと…」
一青「キャンペーンで地方の面白い人に出会いますからね」
『翡翠』『もらい泣き』『ありが十々』
(プロデューサーの武部聡志さんもピアノで登場)
千「お疲れさまでした」
武部「緊張しますね、こういうのって。窈ちゃん、緊張した?」
一青「緊張しましたよ、とっても(笑)」
千「僕、リハーサルからずっと見させていただいてるじゃないですか。武部さんとのやり取りがすごく面白くて」
一青「面白いですか?」
千「すごくクリアというかロジカルというか。ここ四小節をこのフェイクでとか(笑)。非常に明確なやり方なんですよね」
一青「あ、そうですね。完成された美しさを追求してますよね。そんなことないですか」
武部「それをいつも壊すほうでしょ?」
千「(笑)。今日の感想を一言ずつ」
一青「そこの上の、なんだろ?会場にある上のやつがガラガラガラッて赤ちゃんがやるやつに見えて和んだんですけど」
千「そんなとこ見てたんですか」
一青「それを見て落ち着かせてたんです」
千「(笑)。あ、そっか、そっか。武部さんは?」
武部「僕はピアノと歌だけでやるのがすごい気持ち良かったです」
千「キルトのように歌とピアノのフレーズがもつれて非常に綺麗でしたよね。後半のステージをテレビ画面で見てたんですよ。ファーストアルバム、12月に出たんですけど、曲によっては構想二年とか」
武部「『月天心』とかは一番最初に出会った二年半くらい前に最初にできた曲ですね」
千「元々はどういうきっかけでおふたりは知り合ったんですか」
一青「私の事務所の社長が武部さんを紹介してくれたんですけど。聴覚障害者のイベントで歌ってたのが元々のきっかけで事務所の社長とは出会えたんですけど」
千「最初、窈さんの歌声に触れたときはどんな?」
武部「本人はR&Bとかやりたいのかなって思ってたんだけど、フェイクとかやるとなんか独特のね。日本ぽいともいえるし中国ぽいともいえるし。だから、すごく面白い歌を歌うなぁっていうのと、何よりビックリしたのは詞ですよね。詞の世界は一青語ってあると思いますよね」
千「絵も描かれるじゃないですか。絵と詞と、たまたま詞になったり、たまたま絵になったりって感じがあるじゃないですか」
一青「絵は産む苦しみってたくさんあるんですよ。詞はさらさら出て来るんですけど」
千「へえ〜。詞を先に作って、そこから音楽が生まれてきて、逆に曲があって、そこに詞を後から乗せるって作業もあるじゃないですか」
武部「それは僕が予想しないような言葉をつけてくるんですよね。普通僕らが曲を書いたら、きっとこんなような言葉が来るんじゃないかという言葉を見事に裏切ってくれるっていうか。僕らが日常会話の中で使わないような忘れてた日本語とか、そういうの、すごく大事に使ってくれますよね」
千「台湾にいて外から日本を見て、というか、あまり国境を意識しないというか、日本語の良さみたいなものを敏感に感じてるなって自分の意識としてありますか」
一青「日本人の持つ言葉の曖昧さが私は好きで、どっちともつかない、例えば『もらい泣き』って言葉自体もそうですけど、面白いな〜っと思って、すくいあげてるんですけど」
千「『もらい泣き』って言葉で怒りを感じる人もいるかもしれないし悲しみを感じる人もいるだろうし。お二人で作業するときって、ここは絶対意識しようと思って気を遣ってらっしゃることってあります?」
武部「やっぱり一青にしかできない世界を作りたいと思いますよね。曲と詞とサウンドと、いろんなものがあいまったムードみたいなのがホントに窈ちゃんの世界になる、それが一番大事なことだと思うんで」
千「歌ってる姿を見てて、常にミュージシャンと会話してんのね。ピアノの音が(鍵盤を鳴らして)入ったりすると表情変わるんですよ」
一青「それはやっぱり大江さんのさっきのピアノもハッピー、ハッピーって弾いてるから私も嬉しくてハッピー、ハッピーって歌って」
千「僕、ハッピー、ハッピーって弾いてましたよね(笑)」
一青「(笑)。弾いてました。すごい楽しかったです」
千「キャッチボールできる楽しさってありますよね」
武部「すごくミュージシャンシップのある人だと思うんですよね」
千「ファーストアルバム、仕上がって自分で聴いていかがでした?」
一青「号泣しました」
千「もらい泣きどころじゃない?」
一青「こんなに私のこと思ってくれてる人間がいるんだって感動しました」
千「いろんな人の結晶ですもんね。ズバリ一青窈の魅力っていうのを伺いたいと」
武部「枠に入らないというか、どんな音楽も吸収できるキャパシティがあるっていうか。だから全然新しい分野の音楽を作れるんじゃないかなって思いますね」
千「これからの予定は二月に全国ツアーがあるということですが、どんなライブにしたいですか」
一青「今日よりかは頑張って(笑)、もっとみなさんが楽しめるように。今日ホント緊張しててごめんなさい、ハイ」
エンディングテーマは『雪』
「さっきハッピーって言われたんで、最後はハッピーなコードで終わってしまいました(笑)」