Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜 from TOKYO
FM HALL
http://www.tfm.co.jp/senri/
Vol.91 2003/01/30 ON AIR (guest:千綿ヒデノリ)
「こんばんは、大江千里です。みなさん、ようこそTFMホールへ。今日の会場は何かが起こる予感がね、じわじわ、そんな感じです」
(千綿ヒデノリ登場)
千綿「え〜みなさん、こんばんは。大江さん、はじめまして!」
千「はじめまして、よろしくです。全身黒の。黒の皮パンですね」
千綿「はい。これ、もう4年ぐらいはいてる感じです(笑)」
千「(笑)。お気に入りの皮パンで。千綿さんはすごくライブをたくさんやってるという。この三年間で500本って聞いたんですけど」
千綿「気づいたら。数を競ってたわけではないんですけど(笑)。気づいたら、そんな本数になってしまっていたと」
千「今年明けてから、どっかでやりましたか」
千綿「もう1月4日から歌い始めてますね。もう10本ぐらいやってますね」
千「もう既に?ライブがあって、歯磨くように…」
千綿「(笑)。もう一部になってますね、生活の」
千「今年はライブの年にしようかなというような勢いで始まったわけですか」
千綿「そうですね。今年は飛躍の年にしたいですね」
千「プロフィールを見たら佐賀県出身で72年生まれ、空手2段、書道6段って書いてあるんですけど(笑)。空手は…」
千綿「やりますよ」
千「おーっと(笑)、ちょっと怖かったですよ、今(笑)。いや〜上がるな、足が。長さが違うんですけどね。(会場の笑いに)悪かったね。自分でぼけてつっこんでますけど(笑)。どんな感じのステージになりそうですか、今日は」
千綿「いつもやってる感じと変わんないのですが、歌を大事に届けようという熱いライブにしたいなと思っています」
千「じゃあラジオを聴いてるみなさんに一言、今日の抱負などを」
千綿「映像をラジオの前で観ることができませんけど、電波に乗せて思いを飛ばそうと思ってますので、是非受け止めてください」
(千綿ヒデノリライブ)
『枯れない花』『満月と夜の詩』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)」
千綿「さぁ大江さん、セッションですよ」
千「セッションですね〜。ステージ中央に千綿さん、そして僕はキーボードの前におります。今日は70年代の、みなさん聴けば、あ、というような曲ですね」
千綿「そうですね。いくつかカバーされてる曲ですよね、これ」
(セッション)
BAD FINGER『WITHOUT YOU』(演奏はピアノとギターのみ)
千「今日は『WITHOUT YOU』という、これはBAD FINGERの曲ですけど、ニルソンという歌手もカバーしてますしマライア・キャリーも」
千綿「そうですね。僕はこういうお仕事をしていながら全然詳しくなくて。初めてこの曲聴いたのはマライア・キャリーの曲で聴いたんですけど、それから実はこれマライア・キャリーの曲じゃないんだって知りまして、そっから聴き直した曲というか興味をもって昔に戻っていった、そういう曲でもあったんですけど」
千「じゃあ千綿さんの音楽遍歴というか、最初曲を書き始めたっていうのはいつぐらいなんですか」
千綿「いつぐらいですかね。僕、一番最初は94年に二人組でデビューしたんですけど、そんときは曲も書いてなかったですし弾き語りでもやってなかったんですよ」
千「別の人が書いたやつをボーカルで歌っていたと」
千綿「そうですね。そのあとソロになろうと思って98年ぐらいから曲を書き始めて、99年の夏ぐらいから本格的にライブをやろうということで日本全国どこでも歌ってます」
千「じゃ、その頃コードを覚えて曲を書きつつ。この響きはこれだ、みたいな」
千綿「そうですね。さっき裏で話したら大江さんもそんな感じだとか言ってましたね」
千「僕もそうなんですよ。あのコードってなんだろうって頭の中で鳴ってるやつを探すっていう」
千綿「そうなんです。だから勝手にコードができちゃって。僕、わかんなかったからコードがついてる本を買ったんですね、楽器屋で」
千「太いやつでしょ?」
千綿「あっついやつ。くまなく探したんですけど僕が押さえてるコードっていうのがコード表に載ってなくて。だから勝手に、ほらメロディを作ってるとき、ここらへんで鳴ってる音があるじゃないですか、それを勝手にコードにつけちゃうみたいな。そうやって自己流でやってきましたけどね」
千「今日やってるメンバーっていうのは、その頃から一緒に組んでやってる…」
千綿「そうですね。僕が弾き語りを始めたときから常にサポートしてくれてるメンバーですけどね」
千「この三年間に500本って聞いて、これ、生半可な本数じゃないですよ。場所移動して何回かとか」
千綿「三本とかやってましたね。もう声が出なくても体調悪くてもとにかく歌うんだと」
千「伝えるんだと」
千綿「伝えるんだと。一人でも多くの人に聴いてもらうんだっていう。これだけ続けてると声も消耗品ですから、その日によってダメなときとか、風邪ひいたりするときもありますけど、いっぱいやってると、風邪ひいてて声が出なくても人に伝わった感じというんですかね、みんなが本当に感動して涙してくれるとか。60代70代のおじいさん、おばあさんが駆け寄ってきて、うちにCDプレーヤがないからCDは買えないんだけど、これで何か買っておいしいもんでも食べてって言って、おひねりもらったこととかありますよ。(会場の反応に)ホントだよ(笑)」
千「おひねりってホントにひねってんの?」
千綿「くしゃくしゃっとした一万円札でしたけど(笑)。ライブいっぱいやってると僕自身がより強く思うようになりましたね。言葉とか年齢とか育ちとか関係なくて、音楽っていうのは本当に人の心を動かす力があるんだなって、僕はライブから教わりましたね」
千「千綿くん、説得力あるよ」
千綿「(笑)。いやいや」
千「でも晴れの日ばっかじゃないでしょ?屋外で雨ダーッて降ってきて、テントに雨ダーッみたいなことないですか」
千綿「ありましたよ。九州のほうの、ほら、サッカーで有名になった中津江村ってあるじゃないですか。あそこの山奥でライブをやったことがあったんですけど。すごくフォークの大御所さんとか何年も前からずっと来てくれてて、そのイベントに参加させてもらったときに土砂降りだったんですよ。ほんとは前行きたいんだけど中途半端な体育祭とかで用意してるようなテントですか、あれをステージの上に置かれて。僕は前に行きたいんだけど、テントでギターも濡れちゃうしなぁと思っていたら、隣にいた相棒の、伊藤可久っていうんですけど、出てまえ〜っ!て前に出て。俺もそれにつられて、もういいや、ギター濡れて音出なくなってもと思ってびしょ濡れになりながら」
千「楽器も濡れたら音も」
千綿「もうぐちゃぐちゃですよ。そこで1000人ぐらいいたらまだしも30人ぐらいしかいなかったんですけど(笑)。でも、その30人のために中途半端なライブはできんと思っていきましたよ」
千「その30人があのときの話を一人100人ずつに喋って」
千綿「(笑)。そう」
千「どうしてそんなに本数、まぁ結果的にその本数になったかもしれないけど、ライブで伝えていこうと思ったきっかけはあるんですか」
千綿「前は二人組でやってたときは全然ライブに興味なかったんですよ。怖かったというか。あるとき自分たちにできることを始めないと、人任せにしててもうちらの商売、レコード会社が何だと言ってても、自分が何をしたいんだ、自分が足を運んで動いていないと多分伝わるもんも伝わんないと思って。やっぱりいろんな人に出会っていきたいなと思ったんですね。ファンのみんなも含め全国にいるいろんな関係者の人ともこっちが足を運んで進んでいかないと誰とも出会わないと思ったんで、とにかく一人でも多くの人に出会いたい、一人でも多くの人に伝えたいっていう一心で、一昨年は220本くらいやってましたね」
千「さっき今年もやるのかなって言ったら、結果的に多くやると思うけど、それは願ったりだとか言ってたもんね。俺こないだ偶然ね、テレビの深夜番組見てて、子供さん連れた女の人が千綿くんがギター持っていて、いろいろ悩みを話して、それを聞いて歌をプレゼントするっていうのやってたでしょ?」
千綿「一か月間四週に渡って特集してもらったんですけど。大江さんはわかんないですけど、僕は今まで目の前の人だけのために曲を作るなんて経験あんまりなくて。でも世の中にはいろんな悩み持った人がいて、少しでも僕の歌で前向きになったり元気をもらってくれればいいかなって。で、そういう企画だったんですよ。初めはどうなることかと思ったんですけど意外にできるもんですね」
千「僕はテレビ通して見てて、言ってたことがそのまま言葉になって出てきててビックリしたんだけど」
千綿「音楽って、歌ってこういうものかなって改めて原点を見たような気がしましたね。この人のために、目の前の人のために曲を作る、そこで感動させられないときっと世の中変わんないと思うんですよね」
千「その歌を聴いたときに目頭熱くなるような感じが彼女もあって、でも少し照れくさいというか、何か優しくされるのに慣れてないような感じをちょっと感じてね。切ない瞬間があったね」
千綿「僕もあそこでもらい泣きしそうになりましたけどね」
千「でもその感じが、やっぱ歌って、ライブやってるときもそうでしょ?一対一でしょ?」
千綿「そうですね。お客さんが一人であろうが武道館で一万人だろうが、それは変わんないですからね」
千「一対一が50あるとかね」
(千綿ヒデノリライブ)
『祈り』『Cry』『陽のあたる場所へ』
千「いかがでしたか、今日は」
千綿「なんか緊張しました(笑)。でもすごく、ここってどれぐらい経つんですか、この建物」
千「え〜っとね、ちょっとそこつかれると(笑)」
千綿「(笑)。でも中々こう天井高い会場ないですよね」
千「いろんな名ライブがここで行われてますからね」
千綿「ですよね。そういう雰囲気のあるところだなって思いました」
千「声が伸びてく瞬間、気持ちいいですよね。お疲れさまでした。1月24日初のオリジナルアルバム出ました。『キセキ』〜!」
千綿「ありがとう〜!」
千「僕も聴かせていただきましたけど個人的に今日やらなかった曲ですけど『ほこり』って曲がすごい好きで。なんでこんな緊張感が持続してるんだろうって。一発で録った?」
千綿「一発で録りました、はい」
千「いつ頃から曲を書きためてたんですか」
千綿「えーっと、どれぐらいですかね。二年ちょっとぐらいですかね。特にこのアルバムのために新しく書き下ろしたというわけではなく、今まで98年からソロでやり始めたその第一期集大成といいますか、いろんな顔が見せられるアルバムにしようかなと」
千「思いがあって曲が出て来る瞬間にわからないコードもあって、その都度曲ができてコード覚えて」
千綿「ホントそうです。そんな感じです。ライブで練習してる感じですかね。ライブで今日はここまでやってみようとかって日々、歌もそうですけど。やっぱりこれだけライブやってると本当にどうやれば一番伝わるんだろうっていうところで、この三年間アコースティックにこだわって、余計なもの排除してずっとやってきたんですけど。こんなアルバムを作ってみて改めて僕はロックも好きだしアコースティックも好きだって再認識させられたアルバムでもありましたね」
千「この会場に来てくれてるみなさんにアンケートを書いていただいたんですけど、『もしドラえもんのどこでもドアがあったなら、今すぐ行って、もう一度食べたいよっていう郷土料理とか印象的な食べ物ありますでしょうか』」
千綿「今すぐだったら佐賀の田舎帰って母ちゃんの手料理が食いたいですね」
千「あ〜、ねぇ〜、随分帰ってないですか」
千綿「仕事でも中々帰ってないですね」
千「母ちゃんの手料理で好きなのは何?」
千綿「煮魚とか。有明海でしかとれない魚ってあるんですよ。母ちゃんの味って、みんな持ってると思うんですけど忘れられないものですよね」
千「全国いろんなこと行ってもふと思うのは母ちゃんの料理だったりするんだ」
千綿「ホントおふくろがやってるような居酒屋にしか行きませんよ、地方に行って。そういう味が大好きな、人間臭いのが好きなんですよね。歌もそうなんですけど機械音痴で、手作りというか、そういうのって温度を感じるじゃないですか。そういう歌をこれからも作っていきたいなと思いますけど」
千「なるほど。じゃライブの話を聞きたいと思いますが、一夜限りのバンドでのワンマンライブてのが控えてますが。メンバーはブルームオブユースの松ヶ下さん、そしてカレイドスコープの児島さん」
千綿「いろんなライブをやってる中でこういう人と出会ったからこそ、この夜が実現するというか」
千「あ〜、いろんな人が出てるときに、あ、いいじゃんって一緒にレコーディングしたりしながら仲間が」
千綿「小田和正さんとか出会ったりもしたんですよ。ホントこれだけやってると偶然なんでしょうけど、そのときは奇跡なんて思わないですけど、今振り返ってみるとすべてが奇跡に思えてきて、一個一個が全部大事な、つながってるんですよね」
千「千綿くんの歌って行間にすごく一人というか、孤独を感じるんだけど、だから誰かと出会ってつながっていきたいっていう強いもんが感じるもんね」
エンディングテーマは『夢の坂道』
「千綿さんのの曲を聴いてると夢の途中って言葉が出て来るんだけど、夢の途中って坂道で、あ、夢が叶ったような景色が広がるんだけど、でもやっぱり坂はキツイ、まだ続いてる、夢はずっと覚めないで続いてるんだっていう、そういうイメージを込めてみました」