Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜 from
TOKYO FM HALL
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Vol.94 2003/02/27
ON AIR (guest:田村直美)
「こんばんは、大江千里です。ようこそ。ラジオをお聴きのみなさんも一週間のご無沙汰です。もうすごい靄がかかってますけどね。今日はどんなことになるんでしょうね」
(田村直美登場)
千「白のカットソーがシンプルでかっこいいですね」
田村「すごいシンプルで来ちゃいました、今日は」
千「お久しぶりです」
田村「お久しぶりです」
千「よろしくお願いします。田村さんは87年にPEARLのボーカルとしてデビューして、そしてポップス歌手田村直美として94年にソロデビューして、そのあとは97年にまた新生PEARLをやって。非常に簡単に紹介させて頂いております(笑)。そして昨日アルバムが出ました。『new
vintage』!」
田村「(会場の拍手に)ありがとうございます」
千「ロックからポップスへ、そして今回はクラシック」
田村「やってみました。好奇心のおもむくままだよね、もう」
千「不思議なというか、今まで聴いたことないような世界でビックリしましたけど楽しかったです。今日はたっぷり」
田村「はい、聴いてください」
千「聴かせてください。さぁ今日のステージですが、ピアノの、この番組にもゲストで来てくれましたけど栗本修さんと二人で聴かせてくれます」
(田村直美ライブ)
『My funny valentine』『Love & Peace』『Imagine』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)先ほどまで栗本修さんが弾いてらしたグランドピアノに私大江千里が座りました」
(セッション)
坂本九『上を向いて歩こう』
(千里さんのピアノ演奏に合わせて二人で楽しそうに歌ってます。このセッション、かなりいい感じです。
間奏で千里さんの口笛も入りますが、最後まで続かず吹き出してました(^_^;)
千「真ん中で、グランドピアノで私は演奏させていただき」
田村「走り回ってるね」
千「ええ、そうです。舞台上手のほうに移動いたしました」
田村「面白かったね〜」
千「面白いね。この曲を選んだ理由ってのは何だったんですか」
田村「この歌はこのご時世にピッタリだろうと。今日、私が選んで来たテーマの曲ってのはわりと愛をテーマにみたいなところがあったので、やっぱり『上を向いて歩こう』は今の上を向いて歩こうよっていう気持ち?悲しいんだけどハッピーに歌える、そのへんから選びました」
千「僕は『上を向いて歩こう』って知らされて、どういうふうにやりましょうかねっていうと一言『大江さんが好きなようにやろう』って(笑)。ちょっとミュージカルっぽい感じでね」
田村「楽しかった。いかがだったでしょうか」
千「(会場の拍手に)嬉しいですね、拍手。今回のアルバムの話に入っていきたいんですけど、『new vintage』、よくビンテージもののジーンズとか」
田村「そうそう、そこから来てます、元々は。掘り出し物とか年代物。私にとっては掘り出し物、例えばジーンズも自分にピッタリのやつ、みーつけたっていうときの、そんなビンテージだったんだけど、正式にビンテージって言葉は古着のそういう意味ではないらしくて、もっと違う意味があったり。あと英語的にいうと日本で思う程いい言葉ではないってことでニューっていうのをつけて。そういう言葉はないのかもしれないんだけど、新しき古き、古き新しきというか、掘り出し物よっていうところで」
千「覚えやすいですよね、『new vintage』。今回クラシックのスタンダードだったりとか、映画『バグダッド・カフェ』だったり」
田村「やりたかったこと全部詰め込みました」
千「そもそもPEARLをやってたときにまずロックロールからガラッとポップな曲を歌い始めた、あのきっかけって何ですか。ロックを歌ってることに対して、やめた、じゃないけど(笑)」
田村「一番最初PEARLってバンドでロックロールっていう音楽が一番吸収できる音楽だよねって話をしてて。それを徹底的にやって、それからジャンルをどんどん越えていこうよ、いろんな音楽吸収しようっていうのが元々PEARLのやりたかったことなのね。ところがロックンロールをやってるときに壊れていっちゃいました。そのまま私はやっぱり吸収していくっていうところに進んでいったっていうような感じなんですね」
千「じゃポップスというセカンドステージがあったけど、今回やってるようなクラシックに歌詞を」
田村「これはサードステージだよね。だと思います」
千「そういう予感みたいなのポップスやってるときとかってあったんですか。クラシック観にいったりとか」
田村「あるんです。オペラ、一人で観にいったりとか。ないですか?何年かに一回、なんかこの形はちょっと自分にぴったりこないというか、洋服の色が合わなくなってくるような感じ」
千「フェイバリットカラーが変わっちゃうみたいな感じ?」
田村「もっと自分にぴったりくるものがあるだろうって思うと」
千「歌はもうホンットに好きなんですね」
田村「好きなんでしょうね。もう諦めました」
千「(笑)。歌からは逃れられないと。今回のクラシックに歌詞をつけるのって、僕すごい難しかったのかなって。だって器楽いろいろ合わせて、どれがメロディっていえるんだろうって」
田村「歌詞っていうより、まずはメロディ先行になって、どのメロディをチョイスするかはやっぱりいろんな試行錯誤がありました。でも一緒にやってくれた友達がクラシックのことをよく知っていたから、このへんのところのメロディはとろうよとか。とるっていう言い方は変だけど。そのへんのことは彼とすごく話したし、すごい面白かった」
千「田村さんが歌ってるのを聴いてるとロックでもクラシックでもないっていうか、ジャンルがない感じがするけれど」
田村「そうなるといいな〜とは思ってるんですけど」
千「クラシック以外にもラップが入ったりとかしてるじゃないですか。自分の中ではこれからの方向みたいなものが見えたアルバムなのかな」
田村「このアルバム作っちゃったおかげで縦軸も横軸も広がっちゃったのね。音楽ってもしかしたらもっとあるんじゃないの、ジャンルがって。当たり前のことに気づいちゃって。最近はアフリカのパーカッションのほうとか中近東のメロディとか、あのへん気持ちが奪われてる。でもクラッシックのこういう神様に捧げる音楽とか大好きだから、もっと覚えたいと思うし、日本にもいい曲いっぱいあるし」
千「佐渡おけさとかいろんなドメスティックなものの中にもいいものあるかもしれない」
田村「あるあるある。民謡も気持ちが(笑)。唱歌とか一緒に歌ったら合いそうですよね」
千「しょうかな〜(←(^_^;)すいません!」
(田村直美ライブ)
『ゆずれない願い』『世界中で最初のやさしさ』『In the name of love』
千「昨日アルバムが出ました、『new vintage』。先ほども話聞きましたけど、いろんなクラシックだったりジャズだったり、いろんな音楽との邂逅というか、新しい田村直美の方向が見えるような」
田村「この先はまだまだ広いっていうか、広くて遠いっていう感じがするけれど(笑)」
千「(笑)。でもポップスやるときにジャズもいいなと思ったこともあったんでしょ?」
田村「10年前ぐらいにまだジャズなんてとても言えないんですけど、スイングって当時言ってたんですけど、やってみたくて。ちょうど田村直美になるホントギリギリ前ぐらいにこっちかなと思ってやったんですけど、まだ掴めなかったです、スイングの形が」
千「じゃ今後もしかしたらジャズだったりラテンだったり」
田村「そう、やりたい。いっぱい音楽あるもん。音楽は国境を越えるよねって感じ」
千「最後の『In the name of love』もヘンデルの曲なんでしょ?」
田村「そう。イタリア語が歌えなくて(笑)。聞いたことないから」
千「クラシックの曲を自分のレパートリーの中に、田村直美色の曲として新しい形に作り上げていって。さっき神様がどうのこうのって話をしていたけど、リスペクトというか、先人の作ったメロディを」
田村「やってて思ったんですけど、ちゃんと神様が降りて来て作られた音楽、神様に対して作ってる音楽、神様が宿ってる音楽っていう時代だったんだなと思って。一番象徴されてるというか。決して今がないわけではないですけど、そういうものに触れることはすごくいいことみたい。歌ってるとだんだん込み上げて来るものがありますね」
千「そのメロディを解明したり詞を歌いながら作ったりしてるとき」
田村「どっかからこう引っ張られてるの(笑)」
千「(笑)。自分が媒体になって、筒になって、神様が曲を書かせてるって。会場のみなさんから寄せられたアンケート紹介していきましょう。『田村さんと千里さんが初めて出会ったのはいつ頃ですか。お互いの第一印象、何か面白いエピソード教えて』」
田村「最初に会ったのは(笑)、さっき聞いたら信濃町のスタジオだったんですよね(笑)」
千「PEARLのレコーディングしてて」
田村「私、ゲームやってたんですよね(笑)。ごめんなさい、全然」
千「滑舌のいいね」
田村「名古屋弁をまき散らしてました?」
千「名古屋弁というより滑舌のいい大きな声で『出前が来たのだ』とか『〜なのだ』という言い方を当時は使ってましたね」
田村「それが最初の出会いです。格好悪いね(笑)」
千「こっちのスタジオとそっちのスタジオでまとめて出前取ったりして、横に辻仁成くんとかも来て一緒になって食べたりしましたよね。『お二人とも花粉症は大丈夫ですか』」
田村「あ、私、今日からきました。今年は今日から。今日からきたかた多いでしょ?」
千「あ、手を挙げてらっしゃるかたが」
田村「昨日、今日あたり」
千「僕、昨日きたんですよ。張り合うわけじゃないですけど(笑)」
田村「じゃ私、一昨日きたのよ(笑)。今日です、今日。何年か前から?」
千「僕は去年ちょっときたかなって。今年ですよ、こんなにひどいのは」
田村「ホント?私もちょっと持ってるな。薬を飲むか飲まないかの瀬戸際のへんなんですけど。辛いですよね。3月、4月はレコーディングとかやっちゃダメだね」
千「ダメだね。花粉のコンセプトのね」
田村「鼻詰まりの曲とかだったらいいけどね」
千「『春にやりたいことはなんですか』」
田村「う〜ん、なんだろうな。このアルバムを作ったから、またアフリカ系の音楽もやりたくなっちゃって」
千「(笑)。随分パカ〜ッと広がったね」
田村「(笑)。そうそうそう。世の中には音楽がたくさんあると思ったから、体があるうちは短いからさ〜、全部覚えようと思ったら大至急やらないと。もう緊急的な感じでやってかないと間に合わないなと思って」
千「でもジャンルはないといっても中にある魂はロックだよね(笑)。真ん中堅いよね」
田村「(笑)。このクラシックのレコーディングやってるときも言われたの、ディレクターさんに。優しい気持ちで歌って、終わったあとにやっぱり田村さんはどっかロック魂が出ますよねって(笑)。出てないはずなのになぁ」
千「なんかでもすごい楽しみ。何かまたやりたいね、セッション」
田村「やりたいです、やりたいです」
千「是非やりましょう」
エンディングテーマは『たまごビート』
「ちょっと面白いタイトルでしょ?いろんな調理法があって、でも何かすごく強い、実は明るい、こっちも元気になるんだけど、ものすごく、そういう卵とね、ビートという言葉をくっつけて曲にしてみました」