Live Depot
Every Thursday,
PM8:00〜 from TOKYO FM HALL
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Vol.96 2003/03/13
ON AIR (guest:りんけんバンド〜上原知子ソロライブ)
「こんばんは、ようこそ、大江千里です。TFMホールへみなさん、ホントにようこそおいで下さいました。ラジオをお聴きのみなさんも一週間ぶりのご無沙汰です」
(りんけんバンド登場)
千「や〜、鮮やかです〜。どうもようこそ、はじめまして。こんばんは。黄色をベースにしたこの衣装、すごいですけど。まずはお一人ずつFMをお聴きのみなさんに挨拶をお願いします」
林賢「どうも、りんけんバンドの林賢です。三線をいつも弾いてます。今日はギター弾きますので。よろしくお願いします」
上原「こんばんは。今日は歌を歌います、上原知子です。よろしくお願いします」
山川「キーボードを弾く清仁です」
千「この衣装はすごく目を引くんですけど、何か呼び方あるんですか」
上原「これは沖縄の染め物で紅型と言います。いかがでしょうか」
千「あ、ターンして」
林賢「これ、ラジオ番組じゃなかったですか」
上原「あ、見えないの?なーんだ」
千「このあといろんなところで放送されますんで。今オンデマンドで見てらっしゃるかたいますんで」
上原「あ〜よかった、派手に着飾ってきて」
千「ラジオを聴いてるみなさん、今日黄色をベースに、これ何の模様でしょうか」
上原「赤と紫とか。いいですね、いろんな色が入って」
千「川が流れていて、そして花が咲いて鳥がいたり。クジャクのような。あとはご想像ください。りんけんバンドをちょっと簡単に説明させてください。1977年から沖縄を代表するバンドとして活躍中。26年間、ずっと沖縄なんですよね」
林賢「そうです(妙な沈黙に会場から笑い)」
千「(笑)。林賢さん、寒くないですか」
林賢「ちょっと寒いですね(笑)」
千「林賢さんの着てらっしゃるこの黄色と、ちょっと中国っぽい前の結びが」
林賢「沖縄ではムームヌチハンターと呼んでますけどね。これはオリジナルで現代ふうになってるって感じしますけどね」
千「これは知子の手縫い?」
上原「いや、ミシン使いました」
千「(笑)。ばらしてどうする?いや、でも素晴らしいですね。細かいところは細工が」
林賢「簡単に着れるようになってます」
千「マジックテープが付いてたりとか?」
林賢「そうです」
上原「ばらさないでください」
千「あ〜わかりました、これ以上聞きません(笑)。今日は三人、りんけんバンドから、三人で演奏されるってことは?」
林賢「あまりないですね。今回は上原ともこのフィーチャーってことで二人でやろうってことになりましたけど」
千「気分的には」
林賢「淋しいですね」
上原「大丈夫、大丈夫。大江さんがいらっしゃる。ね?」
千「何なりと言ってくださいね」
上原「何なりとお願いします」
千「今日はセッションもありますからね。楽しみにしています。よろしくお願いします」
(上原知子ライブ)
『小夏』『織りなす日々』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏の途中にジングルが入って)え?」
林賢「え?どうしたんですか?」
千「(ピアノ演奏を続けて)サンキュ〜!」
林賢「一瞬、何が始まってるんだろうと」
千「すいません。違う…」
林賢「やっていいのかなと思ったんですよ」
千「あ〜やりましょうか。ここからは林賢さんと一緒にセッションタイムをお送りしたいと思います」
上原「違うことするんだもん(笑)」
千「(笑)。今日はりんけんバンドのオリジナルの曲『浦風(うらかじ)』、これ浦の、浦というのはビーチの浦ですよね、かじは風ですか」
林賢「風です。海から吹いて来る風と、その風はいろんな恵みをもたらす、そういう歌です。特に美しいときは、夜明けが一番美しいんじゃないかっていう、そういう歌です」
千「そういう状況も歌詞の中に出てきます?」
林賢「出てきます。歌いますよね?」
千「歌いますよ。歌わせていただきます」
(セッション)
りんけんバンド『浦風』(千里さんが沖縄民謡ってのはどうなのかな?と思ったけど中々声が合ってたように思います)
千「すごい神秘的な曲ですよね。ホントにすごくシンプルな」
林賢「ホントに簡単な構成ですけど。僕はめんどくさがりやなんで、いつも簡単な曲を作るんです。(客席の反応に)あまりウケなかったな(笑)」
千「(笑)。テレビで林賢さんが出てらっしゃるのを観たとき、林賢さんはすごく飽きっぽいって話をやってらした」
林賢「あ、飽きっぽいです」
千「自転車乗ってどっか出かけると自転車にすぐ飽きてしまうって。新しい機材が入るとすぐ新しいのに手を出すけど、すぐ飽きてしまうって話を。ホントですか」
林賢「何でも飽きます」
上原「ホントです。この人はホントに。もうどうにもならない」
千「(笑)。どうにもならない?上原さん、ここぞとばかり」
林賢「でもですね、飽きっぽいんですけど、それ、ずっと繰り返してるんですよ」
千「え?だから飽きっぽいって言ってる(笑)。あ、飽きっぽいのを繰り返してると?」
林賢「つまりね、自転車乗るじゃないですか。30分ぐらいで飽きるじゃないですか。何かやりますよね。しばらくするとまた乗りたくなるんですよね。それの繰り返しです」
千「音楽の趣味もそうですか」
林賢「音楽は…、音楽作るときもすぐ飽きますからね。すぐやめるんですね。で、またやりたくなるんです(笑)」
千「自分の中でテンション盛り上がらへんなと思うときはもう自転車乗って海見に行ったりとか、違うことされる?」
林賢「テンションが上がらないんです、全然、何しても。いきそうでいかないで飽きてしまうっていうね」
千「(笑)。今海の近くでライブハウスがあってスタジオがあって、好きなときに、そのスタジオで録音して、いや今日は違うなと思ったら」
林賢「すぐやめます。一日大体長くて30分ぐらいとかですね」
上原「これってすごく羨ましいですか」
千「それは羨ましいですよ。だってのらないなと思ってもスタジオはやっぱり一時間いくらっていうんで、6時間とか10時間押さえられると一日ん十万とかいくわけですからね」
林賢「うち、ただですから」
上原「でもですね、周りは迷惑ですよ。私なんかいつ呼び出されるか、いつも待機してるんですよ。いつ歌うの、いつ歌うのって大変なんですよ、この人に合わせるの」
千「ご夫婦なんで、いろいろやんなきゃいけない、炊事とかやんなきゃいけなかったりとか」
上原「そうなんですよ、畑もしなきゃいけないしね」
千「(笑)。衣装も作らにゃ」
上原「衣装も作らないといけないし、大変ですよ」
千「で、今から歌うぞ、みたいな」
上原「歌うぞ、みたいな」
千「(笑)。知子さんは目がすごいキラキラして」
上原「また〜(笑)」
千「意外に今」
上原「急に言われたんで、すごい恥ずかしいんですよ(笑)」
千「すいませんです。りんけんバンドは1977年から沖縄で沖縄の言葉で音楽を作り続けてるんですが、元々のきっかけというのは?」
林賢「生まれたところが沖縄だったからという」
千「一旦東京に出られたんですよね」
林賢「出ました。多分僕、東京で生まれたら東京の歌やってると思うんですけど、たまたま沖縄だったので仕方なくやってるんです」
千「そのルーツの音楽からオリジナルを編み出したときに、突き動かすようなルーツの軸プラスアルファのオリジナルみたいなところで、知子さんのボーカルに出会ったってことは大きいんじゃないですか」
林賢「そうですね。沖縄の古い歌い方をちゃんと歌える人をと思いまして。こういう感じに活動できるのも上原知子のおかげじゃないかなと」
上原「りんけんバンドのボーカルに80歳のおばあさんを探してたそうなんですよ」
林賢「最初、おばあさんを探してたんですよ」
千「(笑)。そのほうが味のある…」
林賢「歌がすごくいいんですね、80歳とか85歳のおばあさんとか。でも、いつ逝くかわかんないんで(笑)。仕事とってもいいんですけど、一年先の仕事なんてとれないじゃないですか(笑)」
千「(笑)。来年もここで、このライブハウスでってなったときにね」
林賢「難しさがありましてね」
千「なんてデンジャラスな会話や」
林賢「それで上原知子の歌を聴いたときに、これは80歳に匹敵するなと思って、それでお願いしたんです」
千「最初上原さんの歌声を聴かれたのって、上原さん、いくつのときですか」
林賢「レコードで聴いたのがホントちっちゃい頃です。6歳とか7歳の」
千「ずっと民謡やられてたわけですか」
上原「うちが、民謡グループっていうのがあったんですね、沖縄には。需要があるんです。それってファミリーバンドみたいなものでして、お祝いがありますよね、誰々さんの古希の祝いとか、誰々さんが結婚式だとか。そういうところに私たち呼ばれて行くんですよ。だから仕事として職業として、それをやってたんですよ、小さいときから」
千「イメージですけど、沖縄って音楽が生活の中で、楽しいことがあったとき,みんな三線弾いたり太鼓たたいたり、歌歌ったりってイメージがあるんですけど、実際に多いんですか」
林賢「それはあります、実際に今も。さっき言った80歳以上の方々っていうのも中部辺りで盛んですけど、今でもおばあさんなんかが集まって歌を歌ってます。素晴らしいですよ」
千「僕は軽音バンドをアマチュアの頃に作ってて、みんなでプロになろうぜって言ってて、ま、一人だけプロになっちゃったんですけど、みんな就職するじゃないですか。そうすると久しぶりに会っても中々音楽に割く時間がなくなってきてたりとか、音楽聴く機会がないとかあるんですけど、でもなんか沖縄って…」
林賢「沖縄は関係ないですよ。音楽ないと。ミュージシャンになれる人って結構多いんですよ。周りが反対しないんです」
千「なわけないよ、なんていう反対はなし?」
林賢「そんな夢みたいなこと言うなというじゃないですか、このへんではね。ま、このへんていうか」
千「(笑)。半蔵門地区で(笑)?」
林賢「でも沖縄では、いいんじゃないっていう感じでね。いろんな民謡教室あるじゃないですか。そこ、みんなハードル低いです。ちょっと練習すれば、すぐ新人賞とかもらえるんですよ」
千「(笑)。最初、おだてられるということですか」
林賢「三線買っただけで新人賞ですからね」
千「(笑)。こういう話も聞いたんですけど、家を建てたりとかすると三線を買って床の間に飾るとかホントですか」
林賢「ホントです。それだけ楽器を大事にする、音楽を大事にする国だと言われています。僕もおじいさんからいろいろ教えてもらったんですけど、中国は書の国、日本は武の国、沖縄は音楽の国と。要するに床の間に飾るものを指してるんですよね。すごく誇りに思ってますけどね、今でも」
千「上原さんが思う沖縄の好きなところって、例えば三つあげるとすれば何でしょう」
上原「三つですか?ま、いいですけどね。すぐそう、三つとか四つとか五つとか数字をね、大変ですよ、それって」
千「(笑)」
上原「あ、どうでもいいんですけど。沖縄に来ていただくとわかるんですけど、空が広いんですよ。それ好きですね。空があって色がいっぱいあるんですよ。夕日がとっても紅い。すごい花がきれいでしょ?色がいっぱいあるから好きですね。で、結構のんびりしてるんですよね。腹立つときあるんですよ、あんまりのんびりし過ぎるとね」
千「(笑)。周りがのんびりしてると?」
上原「周りがのんびりするとだんだんね。よく考えたら、ここは沖縄だと思ったりするんですよ」
千「(笑)。空気もおいしくて、色がきれいで、そこから反物の色とかにもなるんでしょうね」
上原「きっとそうですよね。沖縄の太陽に合うと思いません?こういう色って」
千「映えそうですもんね」
(上原知子ライブ)
『波ぬ花』『肝にかかてぃ』『かでぃーくー〜唐船ドーイ』
千「お疲れさまでした。今日はスペシャルな編成で…、あの、上原さん、今低い位置にお座りになって」
上原「椅子が高すぎるんですよ、私、身長50cmしかないので」
千「あ、今おろしたわけですか。クイズで正解すると上がったり下がったりするんで」
上原「林賢さんは大当たりみたいな感じで」
千「(笑)。いやもう、おかしいです、その図は、二人で。りんけんバンドは来週3月19日に13枚目のアルバムが出るんですよね。その名も『EISA』。このコンセプトは?エイサーって昔から…」
林賢「ずっとありました。歴史が古いんですね。楽しいじゃないですか、エイサーって。速いテンポじゃなくて、わりと力強いテンポっていうのがすごい好きで」
上原「エイサーの意味わかります?旧盆にみんなで太鼓たたいて路地路地を練り歩くっていう、それがエイサー」
千「そのときに演奏する曲?ということは今回あえてエイサーってつけたってことは、これぞりんけんバンドとか?」
林賢「僕はただ好きなだけで、もっと発展してもいいんじゃないかと思ったんです。大体みんな同じような曲ばっかりやってるのね。12、3曲代表的な曲があって、ずっとそれを聴いてたんで、僕らも。それちょっとおかしいんじゃないかと。僕だけですね、そう思ってんのは」
千「いやいや、りんけんバンド流に新しいエイサーを作ってみようじゃないかと。上原さんを青山真二監督が撮り続けたドキュメント映画っていうのが」
上原「いつの間にか撮られてたんですよ。全然わかんなくて」
千「(笑)。それぐらい近くで普段の顔を。この映画が六月に公開されます。『アジマァのウタ』、これはどんな映画ですか?アジマァとは?」
林賢「アジマァとは交差するっていう意味があるんですね。交差点とか、ネクタイの結び目もアジマァです。人が集まるところもアジマァって言いますけど」
上原「だから?」
林賢「だから…アジマァの」
千「(笑)。だからアジマァの歌ってことなんですよね。いろんな音楽が交差して」
林賢「そうそう、そうです。アジマァで生まれた歌っていう意味です、これは」
千「そんな、林賢さん、すがるような目で僕のほうを見ないでください(笑)」
林賢「(笑)。いや、今日ちょっと変ですから」
上原「早く沖縄帰らないと(笑)」
千「『アジマァのウタ』のサントラで上原さん自身が」
上原「は?」
千「は?って(笑)。サウンドトラックも五月の末に出ることになってますよ。私は情報を得ておりますから」
林賢「出るんだよ、サウンドトラックが」
上原「何ですか、それ?わからない(笑)」
千「(笑)。そしてライブのほうありますね。二か月に一回、なんくるナイトっていうイベント」
林賢「大江さんも来ていただけますよね」
千「あ、次伺います」
林賢「いや、ゲストですよ」
千「ゲストですか?歌っていいですか?」
林賢「ええ」
千「じゃスケジュール調整、このあとに(笑)。5月26日に六本木のスイートベイジルで。この日はマル秘のゲストが」
林賢「そうですね。誰来るんでしょうね」
千「(笑)。誰来るんでしょうねって、僕に振った話はなしですか(笑)。26日、果たしてどういうことになるのやら。東京と大阪、じゃないや、大阪は俺だ、沖縄と東京のお客さんのノリって多少違いますか」
林賢「1600キロ離れてますからね、大分違いますよ」
千「(笑)。落語の中に入っちゃったような」
林賢「でも気候が、空気が全然違うから音がまるで違うんですよ、楽器の音が」
千「鳴りが違いますか」
林賢「全然違う。だから昨日からちょっと変です。自分の楽器弾いてる感じしないんですよ。パリパリして、全てが」
上原「ノリも変?変よね」
千「私、どう締めていいのやら(笑)。でも場所が変わるとまた違って、そういう要素もまた昨日ならでは、今日ならではのね?というわけでまとめてしまいましたけど(笑)」
上原「(笑)。すごーい」
千「沖縄の桜ってもう咲いたんですか」
林賢「散りました」
千「(笑)。あっそう。桜の一番満開のって何月頃ですか」
上原「これからですか?東京は」
千「まだまだですよ」
林賢「一月の下旬ぐらいです、満開は」
上原「今はツツジが咲いてるんですよ。巻きが入ってます」
千「(笑)。今巻きが入って。そこまで言わんでええっちゅうねん(笑)。また番組に遊びにきてください。そしてまたセッションしたいです」
上原「ホントですか?心からそう思います?」
千「(笑)。思ってますよ!何をつぶらな瞳でそんな(笑)。私を窮地に陥れるような」
エンディングテーマは『チャルメラ in my mind』
「りんけんバンドの曲を聴いてると自分のルーツって何だろうって思ったときにチャルメラが浮かんできたんです」