水の中の生き物

ミズムシ(甲殻類)
Asellus hilgendorfii Bovallius, 1886


水生生物による水質判定などでは、きたない水に生きる生き物として有名な甲殻類のミズムシです。きたない水の中という、過酷な環境の中でも生きていけるというのは、尊敬すべきことだと思います。

おそらく、水中に落ちた枯葉など、水の中の生物遺体を食べているのでしょう。ミズムシが食べた物の一部はミズムシの身体となり、その分、水中の生物遺体が減るわけです。さらにそのミズムシが魚などに食べられることで、他の生き物へと命をつないでいきます。死んだものから生きた物への関係をつなぐのです。

悪臭のただよう泥水の中から、大量にはい出してくるミズムシを不快に感じる人は少なくないでしょう。しかし、その生き方を知れば、少しは感じ方が違ってくるかもしれません。


ミズムシ甲殻類背面
2011年3月4日

大阪府鶴見緑地花の谷
(採集した個体を生息環境の落ち葉とともにシャーレに入れて撮影)

水底に沈んだ落ち葉がある場所なら、川の上流であろうが下流であろうが、甲殻類のミズムシがみつかります。


ミズムシ甲殻類頭部
同上(部分)

落ち葉などを食べているところは、陸上のオカダンゴムシやワラジムシと同じです。分類上もワラジムシ目(等脚目)という同じグループに属しています。身体の模様もよく似ているように思います。


ミズムシ甲殻類腹面
上と同じ個体(腹面)

体長が1cmほどに成長した個体は、より小さい個体を腹面に抱えていることがあります。大きい方がオスで、おそらく、小さいメスを守っているのでしょう。むりやり引き離そうとしても、2匹は離れません。まさに比翼の鳥、連理の枝です。同じ意味で「甲殻類のミズムシ」という表現を、加えていいかもしれません。


ミズムシ甲殻類雌雄
同上(部分)

オスのいちばん前の脚は大きな鈎爪になっていて、他の脚と違っています。メスのほうは、すべての脚が似たような形状です。


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