PLCの実用例


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先日、ADSLからNTTのフレッツ 光ネクストの光回線に乗り換え、あわせて、ひかりTVも契約しました。 ここでは、ひかりTVへのPLC適用例を中心に紹介していきます。

ひかりTVを見てみよう!

ひかり電話対応ホームゲートウェイ(HGW)側の設置状況は下図1の通りです。 HGWには、無線LANのアクセスポイント(AP)とPLCアダプター(BL-PA204)をLANケーブルにて 接続しています。

無線LANのAPのACアダプタはノイズ源となることがわかっていますので、 HGWのACアダプタとともにPLC用ノイズフィルタに接続しています。

ひかりTV用セット・トップ・ボックス(STB)側の設置状況は下図2の通りです。 STBにはPLCアダプター(BL-PA300)がLANケーブルにて接続しています。

PLCアダプターを接続した同一コンセントには、STBのACアダプターと TV、DVDのACケーブルを接続しています。ここでは、これらを接続した場合と接続していない場合で HGWとSTBに接続されたPLCアダプター間のTCP速度は大きく変わらなかったので、 特にPLC用ノイズフィルターは使用していません。

HGWSTB

HGWとSTBに接続されたPLCアダプター間のTCP速度を計測すると、 図4のように約25Mbps でした。ひかりTVの映像配信サービスの配信形式はH.264でHD/SDの2種類ですが、 H.264のHDで 約8Mbps、H.264のSDで 約3.7Mbps と言われていますので、十分な速度だと思います。

ここで、PLCアダプター(BL-PA300)は、ターミナルアダプターのSETUPボタンを押すことで、 マスターアダプター間とのおおよその通信速度を、ターミナルアダプターのインジケーターの点灯数 で確認することが可能です。インジケーターの点灯数は2個(UDPで10〜30Mbps 相当)でした。

通常の日常生活において、映像・音声の途切れなどの問題はなく、テレビやビデオサービスを楽しむことができています。

私のように、HGWとSTBをPLCアダプターでつなぎ、ひかりTVを視聴されたい方は、 インジケーターの点灯数2個以上であれば、十分快適に映像視聴が可能でしょう。

以下の表に、 電化製品の影響について で取り上げたノイズ源を接続・稼動した場合のHGWとSTBに接続されたPLCアダプター間のTCP速度と ひかりTV(HD映像)の視聴結果を示します。 電化製品の影響についてのページでは、受信側のPLCアダプターと同一コンセントにノイズ源を接続しましたが、 今回は、実用シーンを想定し、実際の設置場所に接続しました。

掃除機、携帯電話充電器(充電中)の場合、電化製品の影響についてのページと同様、速度の低下が確認されました。 ただし、ひかりTV(HD映像)の視聴には問題ないレベルの速度低下でした。 掃除機、携帯電話充電器は、STB側の受信側PLCアダプターを接続したコンセントと同じ回路ブレーカ(5)の コンセントに接続されているため、ノイズの影響を受けやすかったと思われます。 ためしに掃除機を受信側PLCアダプターを接続したコンセントと異なる回路ブレーカの コンセント9(3)に接続すると、まったく掃除機の影響は確認されませんでした。

一方、ドライヤー、電子レンジの場合、まったく影響は確認されませんでした。 これらは、受信側PLCアダプターを接続したコンセントと異なる回路ブレーカのコンセントに接続されているため だと思われます。

つまり、『電化製品の影響についてのページで取り上げたノイズ源も、受信側PLCアダプターを接続した コンセントと異なる回路ブレーカのコンセントに接続すれば、ほとんど影響を受けない』といってもよいでしょう。

                              
ノイズ源:掃除機(接続コンセント8(5))
機器状況 TCP速度[Mbps]映像視聴
無接続 24.9映像・音声の途切れなし
OFF接続25.3映像・音声の途切れなし
ON 16.2映像・音声の途切れなし
ノイズ源:掃除機(接続コンセント9(3))
機器状況 TCP速度[Mbps]映像視聴
無接続 23.3映像・音声の途切れなし
OFF接続23.3映像・音声の途切れなし
ON 23.3映像・音声の途切れなし
        
ノイズ源:携帯電話充電器(接続コンセント6(5))
機器状況 TCP速度[Mbps]映像視聴
無接続24.6映像・音声の途切れなし
接続(無充電)24.0映像・音声の途切れなし
接続(充電中) 20.1映像・音声の途切れなし
            
ノイズ源:ドライヤー(接続コンセント10(1))
機器状況 TCP速度[Mbps]映像視聴
OFF接続24.9映像・音声の途切れなし
ON 24.9映像・音声の途切れなし
            
ノイズ源:電子レンジ(接続コンセント7(2))
機器状況 TCP速度[Mbps]映像視聴
OFF接続24.9映像・音声の途切れなし
ON 24.9映像・音声の途切れなし

インターネットアクセス速度

また、PCのインターネットアクセス速度を調べました。 ここでは、 Radish Network Speed Testing を使わせていただきました。

PC側の設定状況は下図3-1の通りです。PCは下図3-2の通り、OAタップに接続しています。 このOAタップには、PC本体とモニター、プリンターなど多くの機器がごちゃごちゃ接続していますので PLC用ノイズフィルタを挿入しました。

快適なPLC通信を実現するためのコツは、 『PLCアダプターを接続する同一コンセントには、できるだけ、余分な機器は接続しない、 特に蛸足配線はしない』です。蛸足配線する場合は、PLC用ノイズフィルターを使用すると 安心です。

PLC側設置状況1 tap側設置状況1

HGWとPC間をLANケーブルで直接接続させた場合は、下り回線:約65Mbps でした。

一方、HGWとPC間をPLCアダプターで接続させた場合は、下り回線:約30Mbps でした。 これは、PLCアダプター間のTCP速度が図4のように 約30Mbps によるものです。

LANケーブル接続時に比べて、PLC接続時は回線速度が半分程度になってしまいますが、通常のWEBアクセスには十分です。

次に、ひかりTVの視聴とPCにてWEBアクセスを同時に行ってみました。 さらに、ひかりTVの視聴とPCにてGyaOの動画視聴を同時に行ってみました。

ひかりTV、GyaO動画ともに、映像・音声の乱れなく、スムーズに視聴できました。

PLC速度測定結果

ひかりTV契約にあたり、HGWとSTB間をLANケーブルで接続するのは、見栄えが悪いので避けたい と思ってました。

LANケーブル以外の選択肢としては、無線LANがあるのではと皆さん思われると思います。 しかし、STBをネットワークに接続するにはイーサネットコンバータタイプの無線LAN子機が必要ですが、 まだまだノートパソコンでのインターネット用途が中心のため、CardBusタイプやUSBタイプが多く、 思ったよりもイーサネットコンバータタイプの製品は市場には出ていません。

また、イーサネットコンバータタイプは、電源コンセントから電源をとる必要があります。 そこで、どうせ、電源コンセントが必要なら、電源コンセントがネットワークの 入口・出口となり、配線による見栄えを損なうことが少なく、簡単にホームネットワークを構築できるPLC がお勧めです

PLCに無線LANをつなごう!

ノートPCなどのモバイル機器のネットワークには、無線LANが便利です。

しかし、ADSLやFTTHのモデムと無線LANのアクセスポイントは、1Fに設置せざるえない 一方、3Fで無線LAN内蔵ノートPCを使いたいが、1Fと3F間は無線LANの電波が弱く安定した インターネットアクセスができないといったケースはないでしょうか?

その解決策の一つとして、1Fと3FをPLCで接続し、3FのPLCアダプターに無線LANの アクセスポイントを接続することで、アクセスポイントと無線LAN内蔵ノートPCが同じ3Fとなり、 安定したインターネットアクセスができるようになります。

つまり、「部屋間はPLC、部屋内は無線LAN(ネットワーク構成を木に例えるならば、 幹はPLC、枝葉は無線)」といったそれぞれの特徴を生かしたネットワークを構築することができます。

以下、我が家にて実証を行いました。

無線LANのアクセスポイントと無線LANカード付きノートPCの設置場所が部屋をまたがっている場合(図5:上)、 インターネットアクセス速度は、下り回線:6.5Mbps、上り回線:9.1Mbps でした。

続いて、無線LANのアクセスポイントにPLCアダプターを接続し、 アクセスポイントと無線LANカード付きノートPCの設置場所を同じ部屋にした場合(図5:下)、 インターネットアクセス速度は、下り回線:11.2Mbps、上り回線:14.8Mbps でした。

PLCと無線LANでネットワーク構築

上り/下りともに、アクセスポイントと無線LAN子機を同じ部屋にすることによる 速度向上が確認できました。

今回の実証では、そもそもアクセスポイントと無線LAN子機は同一階の設置だったため、 速度向上効果はあまり大きく見えませんでしたが、上記例のように、アクセスポイントは1F、 無線LAN子機は3Fのように異なる階に設置するケースに対しては、「部屋間はPLC、部屋内は無線LAN」 にすることによる効果は大きいと思われます。

WiiにPLCアダプターをつなごう!

任天堂のゲーム機Wiiは、インターネット接続することで、天気予報やニュースやWEBの閲覧、 また、ゲームソフトをダウンロード購入したり、「Wiiの間」と呼ばれる動画配信サービスで 無料・有料の動画コンテンツを視聴することができます。

Wii購入直後は、本体内蔵のIEEE 802.11b/gの無線LAN接続でした。天気予報やニュース閲覧は、 特に問題ないのですが、「Wiiの間」の動画コンテンツ視聴では、視聴開始に時間がかかったり、 映像が途中で止まったりするなど、やや不安定でストレスを感じたので、このたび有線LAN接続に切り替えました。

Wii本体には、LANポートがないため、有線LAN接続にするには、USB接続LANアダプターを別途購入する必要が あります。私は、任天堂純正品ではなく、バッファロー製のLUA3-U2-ATXを購入しました。 USB接続LANアダプターは、他社からも販売されていますが、通常はPC用で全てのタイプがWiiに対応するわけでは ありません。Wii用に純正品以外のUSB接続LANアダプターを購入される方は、事前によく確認して購入してください。

WiiにはPLCアダプターが上記USB接続LANアダプター経由でLANケーブルにて接続されます。 図6-1に、Wii本体側、図6-2に、PLCアダプター側の設置状況を示します。 ここで、PLCアダプターを接続したコンセントには、ひかりTV用STB、TV、DVD、そしてWiiの電源プラグを 接続しています。

Wii BL-PA304

PLCアダプター接続コンセントに電化製品を接続させる場合は、 PLC用ノイズフィルターの使用が望ましいですが、これら電化製品無接続状態と、接続し稼動させた状態で、 PLCアダプターの速度測定用インジケーターの点灯数は、同じインジケーター表示(2個と3個の繰り返し) だったので、特にPLC用ノイズフィルターは使用しませんでした。

なお、ネットワーク接続対象機器として、ひかりTV用STBとWiiの2台があるので、 スイッチングハブ内蔵タイプのPLCアダプターアダプターBL-PA304を用いました。 ネットワーク接続対象機器が複数台ある場合は、スイッチングハブ内蔵タイプのBL-PA304の使用をお勧めします。

参考までに、Wiiの「インターネットチャンネル」を使って、 速度.jp スピードテスト にて、回線速度を測定してみました。

LANケーブル接続の場合、4.1Mbps
PLC接続の場合、4.4Mbps
無線LAN接続の場合、3.9Mbps
でした(測定5回の平均値)。

Wiiの本体設定でMTU値を、デフォルト値から1454(フレッツ光ネクスト)に変更しましたが、特に速度向上は確認できませんでした。 ここで、LANケーブル接続、PLC接続、無線LAN接続で、回線速度はほぼ同等で、約4Mbpsでした。 これは、有線LAN、無線LAN問わず、「仕様上、Wiiの通信速度は10BASE-T(通信速度10Mbps)相当」によるものと思われます。

しかしながら、無線LAN接続からPLC接続に切り替えることで、通信の安定性は向上し、 「Wiiの間」の動画コンテンツ視聴も快適になりました。 Wiiをインターネット接続したいのだけど、無線LANがない方、また無線LANはあるのだが、 設置済みの無線LANアクセスポイントとWii内蔵無線LANの相性が悪い、 また、アクセスポイントとWiiの距離があるため、通信が不安定な方は、 PLC経由の有線LAN接続を検討されてもいいではないでしょうか?

このページのまとめ

  • HGWとSTBをPLCアダプターでつなぎ、ひかりTVを視聴されたい方は、 インジケーターの点灯数2個以上であれば、十分快適に映像視聴が可能でしょう。
  • PLCにとってノイズ源となる、一部の電化製品も、受信側PLCアダプターを接続した コンセントと異なる回路ブレーカのコンセントに接続すれば、ほとんど影響を受けません。
  • ひかりTVやアクトビラなどの映像サービスにも、PLCはお勧め

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