電化製品の影響について


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ここでは、電化製品のPLC通信に与える影響について紹介しましょう。

以下、特に説明をしない限り、送信側PLCアダプターは、洋室1のコンセント5(3)、受信側PLCアダプターは、コンセント6(5)に接続します (送信側PLCアダプターはPanasonic製BL-PA204、受信側PLCアダプターはPanasonic製BL-PA200)。

影響を調べる電化製品は、受信側PLCアダプターと同一コンセント6(5)に直結接続します。したがって、以下の結果は、 電化製品のノイズの影響を一番受けるケースだと思ってください。

なお、コンセント6(5)には、普段は電話子機の充電台と携帯電話の充電器を接続しているのですが、携帯電話の充電器の影響を調べるときを除き、今回はそれらは取り外しました。

掃除機の影響

まず始めに、掃除機の影響を調べてみました。

下の受信側PC2のJperf画面を見てもらうとわかりますように、掃除機OFFだとTCPで43Mbps程度の速度がでるのですが、掃除機をONし、稼動させると、 20Mbps程度と半減してしまいました。

メーカーのサイトにも代表的なノイズ源として記載されているのですが、やはり掃除機はPLCにとって厄介なようです。

また、引き続き、PLC用ノイズフィルター(BL-PST15)を掃除機に挿入したのですが、 25Mbpsとあまり改善されず、掃除機からのノイズは除去しきれていないようです。メーカーの改善を期待しましょう。

ドライヤーの影響

次に、ドライヤーの影響を調べてみました。

このドライヤーの場合、接続するだけで43Mbpsから35Mbpsと少し速度が低下しました。次に、ドライヤーをONすると、むしろ 速度の向上が確認できました。また、PLC用ノイズフィルターを挿入すると、ドライヤーの影響による速度低下はなくなりました。

このドライヤーからのノイズはほとんどPLC通信に影響を与えないようです。

充電器/ACアダプターの影響

次に、充電器/ACアダプターの影響を調べてみました。

ここでは、充電器の代表として、携帯電話の充電器の影響を調べました。

また、ACアダプターの代表として、無線LANのアクセスポイント、スイッチングハブのACアダプターの影響を調べました。

下のグラフを見てもらうとわかりますように、速度が半分以下になる場合があることが確認できました。

また、充電器の場合は、充電時のほうが、また、ACアダプターの場合は、ACアダプターのみよりも、アクセスポイント本体、スイッチングハブ本体を接続し、 本体への電源供給時のほうがPLCへの影響が大きいことも同時に確認しました。

なお、PLC用ノイズフィルターを挿入することで、ほぼこれらの影響は除去し、これらが接続されていない 場合の速度に復帰しました。

掃除機やドライヤーは、稼動時の音からして、いかにも『ノイズ出している〜』って感じですが、 これら充電器やACアダプターはおとなしいので、PLC設置時は要注意ですね。

ユーザーによっては、私のように、PLCアダプターの近くに、ADSLモデムと一緒に無線LANのアクセスポイントを 設置し、PLCと無線LANを併用する場合もありますし、スイッチングハブを使って、ひとつのPLCアダプターに複数のネットワーク機器を接続する こともありえますので、なおさら、PLC用ノイズフィルターをうまく使うなど気をつけないといけないですね。

試しに、無線LANのアクセスポイントのACアダプターとコンセントの間に、PLC用ノイズフィルターの代わりにELECOM製のノイズフィルター付きOA TAP KT-180 (標準価格¥1,000)を使ってみたところ、速度は16Mbps程度(PLC用ノイズフィルターでは40Mbpsで通信可能)で、PLC用ノイズフィルターと比較すると、 ほとんどフィルターによる改善効果は確認できませんでした。やや値は張りますが、やはり、PLC専用のノイズフィルターを使用すべきのようです。

また、ここまでは、受信側PLCアダプターと同一コンセント6(5)に、充電器/ACアダプターを直結したノイズの影響を一番受けるケースでしたが、 携帯電話の充電器をコンセント6(5)に挿し充電させた状態で、受信側PLCアダプターをリビングのTV コンセント3(5)に 移動させ、洋室1のコンセント5(3)⇒TV コンセント3(5)の速度を計測したところ、43Mbps程度と高速通信が可能でした。

受信側PLCアダプターと同相同一コンセント6(5)に携帯電話の充電器が接続されているものの、影響はあまり受けていないことがわかりました。

ただ、送受信PLCアダプターの接続コンセントの周辺コンセントに、どうしても充電器/ACアダプターを接続せざる得ない場合は、PLC用ノイズフィルターを使ったほうが 万全だと思います。

電子レンジの影響

次に、電子レンジの影響を調べてみました。

送信側PLCアダプターは、洋室1のコンセント5(3)、受信側PLCアダプターは、コンセント7(2)に接続します。

使用したPLCアダプターは、Panasonic製BL-PA100KT、BL-PA204KT、BL-PA300KTです。

電子レンジOFF/ON、さらに、PLC用ノイズフィルターを使用したときの各PLCアダプターにおける TCP速度結果を示します。

電子レンジをONすることで、充電器/ACアダプターや掃除機ほどではないですが、20%程度速度低下しました。 また、PLCノイズフィルターを使っても上述した掃除機のように、ノイズは完全には除去できていないようです。

なお、電子レンジOFFで、PLCノイズフィルターを使用すると、かなりの速度向上が確認できましたが、 コンセント7(2)には電子レンジ以外にIH炊飯器やコーヒーメーカーが接続されたテーブルタップが接続 された蛸足配線となっており、そのテーブルタップとコンセント間にPLCノイズフィルターを挿すことで、 この蛸足配線による信号減衰が低減され、速度向上したものと思われます。

このようにPLC用ノイズフィルターは、ノイズ源となる電化製品以外に、 蛸足配線の根元に挿すこともPLCの速度向上や安定化には有効です。

テレビドアホンの影響

ここまでは、コンセントに接続するタイプの電化製品の影響を見てきましたが、 ここでは、壁埋め込みタイプの電化製品として、テレビドアホンの影響を調べてみました。

テレビドアホンはコンセント接続タイプではないため、PLC用ノイズフィルターの取り付けが不可能です。 そこで、本体を壁から外し、黒と白の電源コード、それぞれにフェライトコアを 図のように挿入しました。

今回は、フェライトコアとして、TDK製ZCAT3035-1330を2個使用しました。 なお、本フェライトコアは、本来は電源ケーブルに挿入し、電源ケーブルからの輻射レベル(コモンモードノイズ) を低減するためのものです。

送信点はコンセント1(1)、受信点はコンセント3(5)の場合の、フェライトコア無し、 有りそれぞれのTCP/UDPレートを測定しました(下表参照)。 ここで、テレビドアホンはOFF状態(映像モニターや通話をしない状態)の値ですが、 ON状態(映像モニターや通話をする状態)でもレートは同じでした。

                            
ノイズ源:テレビドアホン
フェライトコア有無 TCP速度[Mbps]UDP速度[Mbps]
30.342.2
34.352.8

フェライトコアの挿入によって、TCPレートで約10%の向上が確認されましたが、 通常は、このような壁埋め込みタイプの電化製品のノイズ対策は困難です。 まずは、送受信コンセントと同一コンセントに接続する電化製品へのPLC用ノイズフィルター挿入を 優先的に実施されたらいいと思います。

ここまでは主に、受信側PLCアダプターと同一コンセントにノイズ源を接続した、 つまり、ノイズの影響を一番受けるケースの速度変化を述べてきましたが、 PLCの実用例のページでは 実使用環境でのノイズの影響度合いをみていきましょう。

このページのまとめ

  • 掃除機などのモータ系、充電器/ACアダプターは要注意⇒ただし、充電器/ACアダプターは、PLC用ノイズフィルターを使えば、ほぼ影響は受けない
  • これらのノイズ源が、家のコンセントの一つにでも接続および稼動されたからといって、家中のPLCが使えなくなるわけではない
  • 『PLC用ノイズフィルターを使う』、『PLCアダプターの接続コンセント周辺にはこれらをつながない』など PLCには対策の手立てがあることも、無線LANとの違いの一つ

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