葛温泉の話

 南鷹狩山の西南中腹にいづな宮の平という場所がある。ここで見下ろすと社村(やしろむら)の地籍の谷が続いて見える。その谷合には昔お湯が出ていて、お湯屋もあり大変きれいなお湯であったが、ある時たやな女がその湯を穢してしまった。すると神様は大変それをおこってくぞば(葛葉)に包んで高瀬川の上流へそのお湯をおうつしになった。それからはこの湯は冷えてしまって、火をかなくてはお湯も温まらず、そのために湯屋もつぶれてしまい、今ではあとかたも見えないようになってしまった。神様がくぞばに包んでおうつしになったのが今の葛温泉だ。


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