池ノ平虚空蔵様

 昔八坂村の池ノ平に僧行基の作といい伝えられている虚空蔵様があった。この虚空蔵様は水玉を持っていたので、池ノ平には大きな池があって水を満々と湛えていた。
 あるとき犀川の川向の聖山(ひじりやま)の権現様が来て、虚空蔵様の居眠りをしている間に玉を取り替えて行かれたので、池ノ平の水は段々細くなって池はなくなってしまったという。権現様は途中ノ平の瀬口(せぐち)の上で休んで行ったので、瀬口の上には細いながらも年中水が出ているようになったといい、聖山からたくさんの水の出るのもそのためだといわれている。また日でりで困るときは池ノ平の人々はこの虚空蔵様を犀川に持ち下し舟に乗せるかまたは水をあびせると必ず雨が降るといっている。僧行基の作といわれた虚空蔵様は焼けて今あるのはその後造ったものだそうだ。


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