大塩と奥州

 義経の妾静御前、夫の奥州にあるを聞きその跡を慕うて追うて下ったが、美麻村の大塩(おおしお)と奥州と間違え大町から北鷹狩山を越えて大塩に向かった。山から四五町下って大塩部落が見え始める所まで来て、「奥州はまだ見えぬか」と嘆息されたというのでその峠を今もめえぬ野(現・みえぬ原、女犬原)といっている。大塩に尋ねて来た静御前はその間違いである事を知って落胆し杖を土に立ててしばし思案にくれていた。ついにその杖に根を生じ今は二抱もある桜によく似た木になっている。木を傷つけたり折ったりすると必ず禍があると言い伝えられている。「みつめ桜」又は静(しずか)の桜といい大塩区南村旧小学校跡の東一町薬師堂にあり、県指定の天然記念物に編入されてある。めえぬ野は真澄遊覧記に出て来るみえぬ原である。


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