左右の銀杏の木

 八坂村左右部落の日向村の堂の前に何百年経ったか分からないような銀杏の老木があり、中がうろになっていて黒く焼けた跡がある。昔このうろの中に大蛇が住んでいて時々唸り声が聞こえた。あるときこのうろの中へ蜂が巣をつくった。村の若い衆がこれを捕らえるというので火をつけた。するとその火がだんだん大きくなって一日一夜燃えていたので村中大騒ぎとなり、延焼を恐れて中途から切り倒してようやく消し止めた。それ以来大蛇はどこへいったものかもう唸り声も聞こえなくなったという。一説には火澤山へ逃げて行ったともいわれ、蛇の通った跡は草木が倒れて材木を引いたようになっていたという。


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