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湖北省の省都、武漢からりっぱな高速道路を通り、車でひたすら西へ3時間、そんなところに荊州の街はひっそりとたたずんでいる。7月の武漢はとても暑い。荊州も同じだ。毎日気温は37℃だ、40℃だ、と騒がれ、しかも湿度はいつも80%以上、となかなかのものである。
さて、荊州で宿泊したのが、荊州賓館だ。豪華四つ星ホテルである。ロビーの横の壁面には、エライ人の来訪時の写真が飾られ、中には村山元首相の姿もある。何のために荊州くんだりまで来られたのだろう。
外は炎天下でも、もちろんエアコンが効いている。初日は、テレビがつかない、クローゼットの棒が落ちる、水が出ない等部屋によっていろいろなトラブルがあったが、それも翌日には解消、ダイアルアップでインターネットにもちゃんと接続できるし、バイキングの朝食もついているし、文句を言ったら罰があたるような贅沢な空間だ。ただ、湿度が高いせいか、シーツ(毎日取り替えてくれている)がいつも、洗濯物がかわかなくて臭くなったニオイなのが辛かった。
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荊州がマイナーだと思っていたのは私だけだった。実は約千八百年も前の三国志の舞台にもなっている古都、ちっともマイナーではない。街を囲む古い城壁は今でも健在だし、街に入るには必ず城門をくぐるようになっている。三国志ゆかりの場所なども沢山あるようだが、一週間の滞在期間中に見る機会がなかったので、結局マイナーなイメージのままになってしまった。
荊州賓館の向かい側には何軒か、個人経営のレストランや、小さなスーパーが軒を連ね、小さな賑わいを見せている。レストランには常連さんと一緒に行くと、ウラの建物にある厨房まで見学させてくれる。というよりも、料理を注文して任せっきりにしておくと、アヤシイ食材を使いかねないので、厨房に行ってじ〜っと見張っていなければならないのだそうだ。が、そんなに心配することはなさそうである。厨房の中はぴかぴかに磨き上げられて至って清潔だ。中には白衣を着たシェフが一人で料理をし、なぜか上半身裸の若者が二人いて下ごしらえを担当しているようだった。ところで、このあたりはハスの実や、菱の実などが特産で、必ず食卓に上る。
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荊州の街を歩いてみよう、と寸暇を惜しんでホテルから30分程度の散策タイムとなった。大通りに出てみるが、人もまばらであまり活気もない。このあたりは繁華街ではないので、ごくごく普通の中国の田舎町といった感じだ。荊州には鉄道が通っていないので、長距離交通の担い手はバスである。大きな荷物を抱えた人がさぞや沢山・・・と思ってバスステーションまで足をのばしてみたが、ごく普通のたたずまいだ。広い待合室はがら〜んとして、誰もいなかった。路上で地図や新聞を売る人もいない。お上りさんは私だけのようで、なんだか写真をとるのも恥ずかしくなってきた。
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1998年、長江は1954年以来、百年に一度の大洪水に見舞われ、荊州付近でも最高水位の記録を更新したそうだ。長江のほとりにある、観音磯頭というところに来てみると、長江は黄河のような茶色い水をたたえて、ゆったりと流れていた。あたりはぼんやりと霞んでいる。
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長江のほとりに万寿宝塔という塔がある。1548年に建てられたそうだ。塔の高さは40.76m、内側と外側に合計87体の仏像が彫られている。この塔の底面は回りの地面より7.29m低く、穴の中に建っているように見える。これは、長年の間に長江で運ばれた土砂が堆積し、周囲が高くなってしまったためである。そういえば、漢江上流でも、塔がすっかり埋まり、地上に上の方の層しか出ていないのを見たことがある。
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