三峡ダム 

三峡ダム工事現場

 荊州から車で2時間弱、三峡ダムの工事現場へやってきた。三峡ダムは現在建設中の世界最大のダムである。完成のあかつきには、堰堤の高さは185m、長さは3kmに及ぶ。常時満水位は175m、総貯水量は393億m3となる。年間発電量は849kWhで、これは現在の中国の総発電量の7分の1を超える。2003年に一部発電を始め、09年の全面稼働を目指しているそうだ。ダム湖は上流600kmにも及ぶということだ。

 三峡ダムの果たす役割として期待されているのは、洪水防止(長江は10年に1回、大洪水を起こしているが、100年確率の洪水も防ぐことができるそうだ。1500万人もの生命と財産が守られ、鉄道の北京--広州線も守られる)、発電、水上輸送、養殖(流速が遅くなるので水が澄み、淡水養殖が可能になる)、観光(水没する資源もあるが、まだまだ沢山あるそうだ)、生態系保全(気温が夏季は2℃下がり、冬季は2℃高くなるので、桐、柑橘、桑、茶、栗等の作物の生育に有利。中下流の洪水が防止されるので住血吸虫など風土病がなくなる。)、環境浄化(水力発電は化石燃料を使う火力発電より環境にやさしい)、北方の水不足解消(三峡からはるばる北京へ給水)、灌漑などである。

 といっても、数十年に渡って議論されてきたように、環境破壊や水生生物に及ぼされる被害の可能性が指摘され、100mもの水位上昇により景観は大きく様変わりし、移住人口は113万人にものぼる。ダムの寿命や洪水調節能力を疑問視する声もある・・・が、長年の調査、計画、、論証を経てサイトには現在の三斗坪という場所が選ばれ、工事はとにかく進んでいる。

 工事の準備は1993年に始まり、1994年12月に着工、現在は堤体のコンクリート打設、発電機の据え付け等が行われている。

 工事現場の見学は事前に許可がいるようだ。荊州からの車は、現場に近くなると進入を禁止され、専用のマイクロバスに乗り換えた。なんという厳重な警備!すごいスケールに違いない、と想像もつかないまま来てみたが、実際に見てみても、何がどうすごいのか、大きいのか小さいのか、よくわからなかった(とほほ)。考えてみると、ダム博士でもなく、他のダムの工事現場も見たことがないのだから、無理もない。工事の作業員も、現場近くのプレハブに沢山住んでいるようだ。

堤体の工事

 工事現場の近くは公園が作られており、展望台から工事現場を一望したり、記念写真を撮ることができる。模型などが置かれた展示館があったそうだが、なぜかなくなっていた。

工事村

公園のゴミ箱

葛洲ダム

 三峡ダムの工事現場の38km下流に、葛洲ダムというのがある。葛洲ダムは長江初のダムで、三峡の実験ダムとして位置づけられ、「三峡ダムの双子の兄弟」と呼ばれている(双子にしては誕生日が違いすぎるが)。このダムは1970年12月に着工、1988年12月に完成、堰堤の高さは53.8m、長さは2600m、総貯水量は15.8億m3、年間発電量は157kWhで、上海、河南、湖南、武漢等に送電されている。

 こちらは見学者は多くないが、キレイに磨いた石、ガラス玉、骨董品もどきなどのいやげものが売られていた。

葛洲ダム全景

葛洲ダムわきから下流を望む

いやげもの選びに余念がない

 葛洲ダムには船を通すための水門があり、船着き場にもなっているらしい。ここを見学するには、なぜか、まず入り口で大きなかばんを預けなければならない。

水門

船がついた

お客さんがおりてきた

水門入り口付近のいやげもの屋街

工事資材を運ぶトラック?


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