『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第一章 「カンマを伴う分詞句」をめぐる一般的形勢、及び基礎的作業

第5節 「脈絡内照応性」と「カンマ」の関係


〔注1−47〕

ある人物のことを初めて耳にしたり、新聞で彼のことを初めて読んだりしたときには、彼は「単なる名前」に過ぎない。しかし、彼について多くのことを耳にしたり読んだりすればするほど、その名前はそれだけいよいよ多くのことを意味するようになる。小説中の一人物に関する知識が読み進むにつれてどのように増大して行くかについても考えてみよ。しかし、正に同じことが、全く馴染みのない、例えばichneumonといった「普通名詞」の場合にも起こる。こうした場合もまた、その語の意味あるいは内包[connotation]は知識の増大とともに増大する。(Jespersen, The Philosophy of Grammar , p.66)

(〔注1−47〕 了)

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