第二章 個々の読解の在り方を吟味する
第5節 【読解 その5】について
〔注2−20〕
CGELでは、文頭の位置への可動性によって「副詞的身分」が確認される、と記述されることになる。
(動詞に後続する要素が明白に補辞[complement]である場合という一端に対し)勾配[gradient]の他端においては、文末の要素は副詞的身分[adverbial status]を有する無動詞節[verbless clause]である。こうした節の場合、その節構造の独立性は抑揚ないし句読点で刻印される。
He waited, anxious for a reply. ['He waited' , 'He was anxious for a reply.']
She was standing, a picture of innocence.
ここでは、(動詞waitedや was standingに代わって)beを使用し得る。
しかし、動詞辞は文末の要素なしでもその意味を十分保持している。文末の要素の副詞的身分は、文の容認可能性[acceptability]に影響を及ぼすことなしにそれ〔文末の要素〕を除去可能であるということによって示されている。
副詞的身分が確認されるのは、この要素が容易に前置可能である場合である。すなわち、
Anxious for a reply, he waited.(CGEL, 10.16)(下線は引用者)
無動詞節[verbless clause]は前置されることもよくある。無動詞節の副詞的身分[adverbial status]をなお一層示す事実である。
He drove the damaged car home completely undismayed.
〜 Completely undismayed, he drove the damaged car home.(ibid, Note[d])
(〔注2−20〕 了)
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