第1節 異邦人の孤立
〔注6−10〕
『クロース 現代英語文法』の記述は、基本的に、「すでにそこに実現されている発話」の受け手の視点に重きを置いてなされている。同書の目的は、その「はしがき」にあるように、「英語を外国語として学ぶ上級の学生とそれを教える教師に対して、英語が外国語として学び教えられているところでは必ず起こる、文法上の主要な問題点を説明すること」であり、「英文法を理解することを望む人びとに対する私の最初の忠告の言葉は、『文法家の規則よりは、本物で容認できる語法の実例をとれ』ということである」(p.40)という記述に見られるように、英語(既にそこにある発話)に接することを促しているのであり、まず話者ありき、ではないのである。
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