『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第六章 開かれた世界へ

第5節 解読という誘惑


〔注6−47〕

   その統語的機能は主辞であると判断されるべき副詞もある。

主辞は通常、名詞句ないし名詞節によって実現される。ある種の制限的[restricted]文脈(すべて非正式)においては、前置詞句、副詞、さらに副詞節(これらはすべて通常は、節中で副詞的要素を実現する)は、主辞として機能する。二つの条件が副詞的要素のこうした使用を許容する。
(i) 副詞的要素が暗黙の節[understood clause](15.16参照)の断片[fragment]である。ないし、
(ii) 文が非人称のit[prop it](10.26参照)を備えた文に関係づけられる。
   Slowly is exactly how he speaks. ['Speaking slowly is exactly how …']
   (CGEL, 10.15)

(〔注6−47〕 了)

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