『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第七章 開かれた世界から

第2節 《分詞構文》と主辞補辞……形容詞句・名詞句の場合


〔注7−13〕

   「文と名詞」が「同格」の関係にあると見なされている例を紹介する。「名詞が先行する文の内容を要約説明する。」(綿貫陽、宮川幸久、須貝猛敏、高松尚弘、マーク・ピーターセン 『ロイヤル英文法 改訂新版』、p.132)というのが一般的解説である。

The summer continued hot and dry, a condition which gave rise to the danger of forest fires.
(その夏は暑くて雨の降らない日が続き、山火事の危険を生む状態だった)
Naturally I left the letter unanswered -- the only way to keep myself from their company.
(当然私はその手紙に返事を出さずにおいた―彼らと縁を切るにはそれしかなかった)
(以上二例、江川泰一郎『改訂三版 英文法解説』§17同格)

Her voice is soft and beautiful -- an excellent thing in woman.
(彼女の声はやわらかくて美しいが、それは女の場合にはすばらしいことだ)(高梨健吉『総解英文法』、pp.645-646)

Sam is driving a Porsche -- the talk of this village.
(サムはポルシェを乗り回している―この村ではその話でもちきりだ)
For one reason or another, I was always moving -- an easy matter when all my possessions lay in one small trunk.
(何やかやで私はいつも引っ越しばかりしていた―それは全財産が1つの小さいトランクに入ってしまうので容易なことだったが)
(以上二例、綿貫陽、宮川幸久、須貝猛敏、高松尚弘、マーク・ピーターセン『ロイヤル英文法 改訂新版』、p.132)

He looked up at me, a quick surreptitious glance, then over at my friend.
(彼は、気がつかれないようにチラリとだが、私を見上げ、それから私の友人のほうを見た)
She went to the party alone, a rare thing for her to do.
(彼女はひとりでパーティヘ行った。彼女にはめったにないことだ)
(以上二例、杉山忠一『英文法詳解』、p.661)

   この二文例について杉山は次のような解説を残している。
その前の文〔節〕全体に対する同格とも見るべき構文である。
(杉山忠一『英文法詳解』、p.661)

太字の部分を、前にit being《またはit was》を補って、分詞構文《または独立の文》のように扱うのがよい。 (ibid)

(〔注7−13〕 了)

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