第七章 開かれた世界から
第2節 《分詞構文》と主辞補辞……形容詞句・名詞句の場合
〔注7−22〕
考える助けになる記述を引用しておく。
我々の思惟の対象は、一方においては事物[choses](地球、太陽、水、樹木など)、即ち、通常は実体[substance]と呼ばれるものであり、一方においては、事物の様態[manière des choses](丸くある[être rond]、赤くある[être rouge]、固くある[être dur]、博識である[être savant]など)、即ち、偶有性[accident]と呼ばれるものである。
そして、事物や実体と、事物のあり方[manière des choses]すなわち偶有性との間には次の相違がある。実体がそれ自体で存在するのとは異なり、偶有性は実体に依拠して初めて存在するということである。
このことが思惟対象を指示する語の間に主たる相違をもたらしているのである。というのも、実体を指示する語は実体名詞[noms substantifs]」と呼ばれているのであり、偶有性を指示するとともに、そうした偶有性が適用される主体[sujet]を表わす語は形容名詞[noms adjectifs]と呼ばれているのである。
(Grammaire de Port-Royal、pp.25--26)(太字体の語はは原文では斜体。下線は引用者)(「形容名詞」とは形容詞のこと)
こうした記述についても、[7−20]で述べたことは有効である。
(〔注7−22〕 了)
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