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だよもんド=アイ投稿専用掲示板過去ログ#4 運用2000年8月28日〜2002年9月8日

[29] 第二十七話『東京だよ おっかさん』の巻 投稿者:○川 投稿日:2002/09/08(Sun) 11:13:587

千代田区と文京区を隔てる神田川。その上に架かる水道橋の上に二人の女性がいた
欄干のそばで何やらはしゃいでいるようだが・・・

観鈴「お母さん、見て見て、鯉がたくさんいるよ」
晴子「お〜、ほんまや、ぎょうさんおるわ。よっしゃ、飲めっ」

どぼどぼどぼ・・・・
橋の上から神田川めがけ酒を注ぐ晴子

観鈴「お、お母さん・・・」
晴子「だはは、カープも目をまわすんやっ!」

場外馬券売り場帰りのおっさんたちが奇異な目で見ている中、橋を渡る二人

晴子「ここがプロレスのメッカ、後楽園ホールやっ。記念に階段の廊下に落書きやっ」
観鈴「にはは、観鈴ちんも書いちゃおっと。弁慶仁王立ち≠チと」
晴子「もう少しマシな事書けへんのかいな・・・」

後楽園ホールを出て、スタジアムの前に立つ二人

晴子「ここがにっくきジャイアンツの本拠地やっ。ろ〜っこうおろ〜しに〜♪」
観鈴「お、お母さん、ここは東京ドームだよ」
晴子「せっかくここまで来たんやっ。歌わんでどないすねん」
観鈴「ねえ、それより後楽園遊園地に行こうよ」
晴子「まあ待ちや。せっかく来たんや、いろいろ普段行けんとこ行ったろ」

その東京ドームの中には、つまらない球界の象徴のような面々が集っていた

ナベツネ「何で勝ってるのに視聴率が上がらねえんだ、バカヤロウ」
長嶋「ん〜、いわゆる巨人のランナウエイでペナントレースがつまらないからじゃないでしょうか」
一茂「おやじ〜、それ言ったら後が続かないぞ〜」

三人の姿を見つけて近付いて来るのは原辰徳監督だ

原「あ、オーナー。今日は何の御用です?」
長嶋「ん〜、いわゆる一つのシカトですか、カツノリ君」
原「辰徳ですよ。誰と間違えてるんですか、全く」
一茂「俺も無視するなよ〜」
原「で、用件は何でしたっけ、オーナー?」

一茂の存在そのものを無視する原監督

長嶋「いわゆる一つの松井君はどこでしょうか〜?」
原「松井は一人しかいませんよ。あっちでフリーバッティングやってますけど」
ナベツネ「今日は松井を慰留に来たんだ、バカヤロウ」

練習中の松井を連れて来る原監督

ナベツネ「松井、今日こそ残留を決めろ、バカヤロウ。」
松井「ですから、その件はペナントレースが終わった時点で」
ナベツネ「一体何が気に入らないんだ、バカヤロウ。理解できねえよ、バカヤロウ」
長嶋「ん〜、そうですね〜。永久に不滅な巨人軍の何が不満なのか理解できませんね〜」

小声で松井に耳打ちする原監督

原「こういう分かってない人達がいることがそもそもアレなんだろう?」
松井「まあ、それもありますし・・・」

で、分かっていない人達の方は

長嶋「こうなったら仕方ありませんね〜。私がもう一度朝日新聞に投書して残留するよう説得するんですね〜」
原「面と向かって言えばいいじゃないですか」
ナベツネ「なんでてめえは朝日に投書するんだよ、バカヤロウ。読売に投書しろバカヤロウ」
長嶋「ん〜、去年の場合はうっかり間違えたんですね〜。それに読売より朝日に載った方が何となく賢そうに見えますしね〜」
ナベツネ「てめえ、それでも読売巨人軍の終身名誉監督かっ、バカヤロウ」
長嶋「ん〜、何でしたっけそれは?」
原「やれやれ。いくら何の実権も無いお飾り名誉職とはいえ」
長嶋「ん〜、さっきから聞いていると原君は前任者である私にリスペクトがナッシングの様に見えますね〜」
一茂「そうだぞ〜。俺に対しても失礼だぞ〜」
原「あ、いくらあなたでも分かりますか、やっぱり」

にべも無く答える原。一茂については存在そのものを黙殺

長嶋「監督として、球界の先輩の意見には素直に耳を傾けるのが、よりベストなんですね〜」
原「あなたに聞くことなんて無いですよ。困った時は野村さんに聞きますから」
長嶋「ん〜、ミスターサンヨーの私をさしおいて、よりによってノムさんにアドバイスを請うなんて許しがたいんですね〜」
ナベツネ「別に勝てばいいよ、バカヤロウ」
長嶋「ん〜、そうですね〜。やはり勝利が一番大事なんですね〜」
原「相変わらず節操も責任感も無い発言してますね」
長嶋「原君は何か私にリベンジがあるんでしょうか〜」
原「言葉の意味は合ってませんが、言いたい事は分かりますよ。少なくとも僕はあなたに怨みはあっても、恩はありません」
長嶋「ん〜、身に覚えの無い事ですが、とりあえずヒアリングさせて欲しいんですね〜」

半ば呆れながらも語り始める原

原「脚の故障があるんで前の年は一塁を守ってた僕を、三塁に無理矢理戻してパンクさせたのは誰でしたっけ?」
長嶋「ん〜、ワンちゃんじゃないでしょうか?」
原「何で王さんが出てくるんですか・・・」
長嶋「じゃあ川上さんでしょうか〜」
原「それと、僕の現役最後の年に、よりによってこいつを僕の代打に出したのはだれでしたっけ?」

一茂を指差す原の手は心なしか震えているようにも見えた

長嶋「ん〜、それは野球人として最高の屈辱ですね〜。きっとそれは武上コーチの仕業なんですね〜」
一茂「オヤジ〜、いくらなんでもそりゃないよ〜」
原「死人に口無しと思って、都合の悪い事を他人のせいにしないでください」
長嶋「ん〜、じゃあ土井コーチの仕業なんですね〜」
一茂「いらねえよ、あんなやつ」
原「もういいです。記憶中枢の奥底まで無責任にできてる人と話すだけ無駄でした」
長嶋「ん〜、原君はそこまで私を侮辱するんですか〜。今でも私の支持は田中知事よりハイなんですね〜」
原「あなたを今も支持してんのはオヤジ世代だけですよ。若い人たちには只の変なおっさんです」
長嶋「ん〜、君には聞こえませんか、私を称えるファンの声が?」
原「聞こえませんよ。でも歌なら聞こえてきますね」
晴子「ろ〜っこうおろ〜しに〜♪」
松井「さ〜っそ〜と〜♪」
ナベツネ「な、何だ、この女は? どこから入ったんだ、バカヤロウ」
長嶋「ん〜、いわゆるセキュリティがナッシングなんですね〜。セコムしないといけませんね」
原「セコムしてても賊に入られたのはどなたの家でしたっけ」
ナベツネ「そうだぞ、お前あれじゃセコムのイメージダウンだろうが」
長嶋「ん〜、確かに不思議でしたね。ちゃんと寝る前に電源切ってるのになぜでしょうね〜」
ナベツネ「何考えてんだ、てめえはっ!?」
晴子「だはは、アホやアホや〜」
一茂「それはそうと松井〜、なんでお前六甲おろし一緒に歌ってんだよ」

一茂の似合わぬツッコミに思わずうろたえる松井

松井「は、いかん。つい阪神ファンだった野球少年の頃の習慣が・・・」
長嶋「ん〜、私に憧れて野球を始めたと言ってたくせにけしからんですね〜」
原「言ってませんよ。松井は掛布さんに憧れて野球始めたんですから」
長嶋「それでは私の引退試合に涙したというのは嘘だったんですね〜?」
原「0歳児の松井がどうしてそんなもの見るんですか」
晴子「そやっ! 松井、来年は阪神に来るんやっ!」
ナベツネ「何言ってやがる。松井は死ぬまで巨人だ、バカヤロウ」
松井「僕の意思は無視ですか・・・・」
晴子「人権無視やっ!松井は阪神に行けなきゃ死ぬ、言うとるで」
松井「言ってないです・・・・」
ナベツネ「勝手な事言うんじゃねえ。そもそも誰なんだ、てめえはバカヤロウ」

晴子の腕をつかみつまみ出そうとするナベツネ

晴子「こらっ、何すんねん。セクハラやっ! へんたいゆうかいまやっ!」
ナベツネ「昼間から酒の臭いプンプンさせて何がセクハラだ、バカヤロウ」

その時であった!!

観鈴「にはは、翼人き〜〜〜っく!」

どごっ!! 背後からナベツネに飛び蹴りを食らわしす観鈴

ナベツネ「バカヤロウ、痛くも痒くもねえぞ」
観鈴「が、がお。観鈴ちん大ぴんち。お小遣いも少ないし・・・」
ナベツネ「また挙動不審者が不法侵入か、バカヤロウ。お〜い、清原、出て来い」
清原「お呼びでっか〜、オーナー?」

呼ばれて飛び出て負傷欠場中の清原登場

長嶋「ん〜、まるで一つの大魔王シャザーンみたいなんですね」
一茂「なさけねえの〜。まるでアルバイト並みの扱いじゃん」
清原「が、我慢やっ・・・明日の為に今日の屈辱に耐えるんや。それが男や」

一茂の言葉に拳を握り締めてこらえる清原

ナベツネ「タダ飯食わせるのはもったいねえからな、少しでも働かせて元をとるんだ、バカヤロウ」
清原「で、何の用でっか、オーナー?」
ナベツネ「おう、そこの不法侵入の女をつまみ出せ、バカヤロウ」

ひょい、晴子と観鈴をつまみ上げる清原

晴子「こ、こら何するんや,離さんかい」
観鈴「お母さんと観鈴ちん、だぶるぴんちっ」
清原「全くしょうもないやっちゃな。ほら、こっち来るんや」
晴子「誰か〜、醜い老権力者が美人母娘を拉致・陵辱しようとしとるで〜。犯される〜〜」
ナベツネ「滅茶苦茶言うなっ! だれがお前らみたいなアル中とガキなんか犯すか、バカヤロウ」
清原「さっさとつまみだしますわ」

そのときであった!!

きらきら〜〜〜〜ん

「そこまでだよもん!」

ぶろろろろ・・・・・
まばゆい光とともにバックスクリーンの方から爆走してくるリリーフカー

清原「あ、あれは?!」

どかっ!べしょっ!ぐしゃっ!
練習中のジャイアンツの選手をはねとばしリリーフカーが迫る

アイ「書いてるやつも久しぶりなので、調子が出ないけどけど、世の中の正統なるヒロインの守護者、だよもんド=アイ!参上だよもん」
ナベツネ「あ、おまえはいつかの自転車泥棒じゃねえか、バカヤロウ」
清原「あ〜っ、やっぱり! ワイの心のお師匠様やっ!」
観鈴「にはは、久しぶり〜、元気だった〜?」
晴子「なんや、生きとったんやな。どや、久しぶりに飲もか?」
一茂「おい、工藤と江藤と元木がはねられてノビてるけどいいのか〜?」

ききっ!リリーフカーを停めてグラウンドに降り立つアイ

アイ「そこの権力に溺れた醜悪な老人達よ。いたいけな母娘を慰み者にしようなど言語道断の所業なんだよもん」
長嶋「ん〜、どこかでお会いしましたか〜?」
ナベツネ「無茶苦茶言うなっ!こいつら勝手に入って来たんだから追い出して何が悪いんだ、バカヤロウ」
アイ「言い逃れは余には通用しないんだよもん。正統なるヒロインをお持ち帰りしていいのは主人公だけなんだよもん!」
長嶋「ん〜いわゆるセオリーこそ大事なんですね〜」
原「あなたが言っても説得力皆無ですよ」
アイ「というわけで、超久々の外道焼身霊波光線だよもん!」

ぼっ! ステッキの先から火が噴き出し、あっと言う間に長嶋が丸焦げに

アイ「ありゃ? 久しぶりだから調子おかしいんだよもん。本当に焼身してしまったんだよもん」
観鈴「にはは、おじさん黒焦げ〜」
晴子「黒っ、ごっつ黒っ」
一茂「わ〜っ、おやじ〜っ」

清原の方に向き直るアイ

アイ「清原、久しぶりなんだよもん」
清原「師匠、お久しぶりです」
アイ「汝も元気そうで何よりなんだよもん。三冠王も目前で何よりなんだよもん」
原「それは松井です・・・」
一茂「てめ〜、よくもオヤジを〜。極真空手でやっつけてやる〜」
アイ「相変わらずダイコン丸出しの台詞なんだよもん」
清原「こら、師匠に何すんねん。四流ゴミタレント」

一茂の前に立ち塞がる清原

一茂「何だよ〜、お前どっちの味方だよ〜。このマルチタレントの一茂さまに歯向かう気か〜」
原「命を賭けてもいいけど、本当に君をマルチタレントだと思ってる人は全人類に一人もいないよ」
晴子「だはは、ミスタールーキー、せいぜい頑張りや〜」
一茂「大体清原〜、お前は何だよ、いつも怪我ばっかりして。プロスポーツ選手失格だぞ〜」

どごっ!ばきっ!ずがっ!ぐしゃっ!
以前と全く同じシチュで、一茂を血祭りに上げる清原

清原「おんどれなんぞに言われる筋合いは鼻くそほどもあらへんわい」
アイ「ありゃ、久々に死んでやがるんだよもん」
原「とりあえず、片付けとこう」

淡々と、黒焦げの長嶋と血みどろの一茂を片付ける原

観鈴「にはは、原さん冷静〜」
アイ「さあ、そこの老人よ。次は汝の番なんだよもん」
ナベツネ「だから、俺は松井が残留するように説得に来たんだっての、バカヤロウ」
松井「その件はペナントレースが終わったら話しますって言ってるじゃないですか」
ナベツネ「ウチの4番はお前しかいないんだ、バカヤロウ。いなくなったら新聞が売れなくなるぞ、バカヤロウ」、
清原「ワイがおる! 松井がいなくなっても4番はワイにお任せやっ」
ナベツネ「何だお前まだいたのか」
晴子「えらい言われようやな〜、だからあんとき阪神に来ればよかったんや」
清原「ここまで屈辱を受けて、もうがまん出来んわ。こんなチーム出てったるわい」
原「いいよ、別に。若手を使うから」
ナベツネ「来年はうちの四番はペタジーニだ、バカヤロウ」
晴子「なんや、いなくなったときのことも考えてるんやないか」
アイ「なら、このへんの連中はいらないんだよもん」

ご〜〜〜〜っ!
のびていた工藤、江藤、元木を黒焦げにするアイ

晴子「もったいな〜、いらんのやったら阪神にくれりゃええのに」
ナベツネ「バカヤロウ。よそのチームにはやるくらいなら飼い殺しだ、バカヤロウ」
アイ「というわけで汝も焼身なんだよもん」

ご〜〜〜〜っ!
ケシズミが一つ新たに加わった

清原「ワイはわからなくなってしもうた・・・一体ワイの今までの野球人生は何やったんや・・・」
アイ「ならもう一度初心に帰るんだよもん」

べかべか〜〜〜
今度は火ではなく光線がちゃんと出てきた・・・

清原「ワイは自分を見つめ直す旅に出ますわ。お師匠、お元気で」
アイ「汝も達者でだよもん」

かくして清原は一人東京ドームを去って行った・・・
肉離れは完治してないけど

観鈴「それじゃあ、三人で御飯食べよう。積もる話もあるし、にははっ」
晴子「だはは、ろ〜っこうおろ〜しに〜♪」
アイ「飲みながら語り合うんだよもん」

ドームを後にする3人
そして目の前に残った屍の山を冷ややかに見つめる原と松井

松井「あの、工藤さんや江藤さん、どうするんです」
原「大丈夫、若手を使うから。ところで、やっぱりアメリカに行くかい? 監督の立場としては残って欲しいけど」
松井「はい・・・」
原「そうだね。君にとってはその方がいいだろうね。こういう人達の近くにいるよりは」

水道橋駅西口歩いて五分、餃子の王将水道橋店・・・

晴子「ウチは中ジョッキの生ビールやっ」
観鈴「にはは、わたしはどろり濃厚ピーチ味」
アイ「余は牛乳なんだよもん」

餃子を肴に気色の悪い酒宴は延々と続くのであった・・・・

人々が正統なるヒロインを愛でる心を忘れた時(書いてるやつも忘れてたけど)
アイはあなたの街に行くかもしれません(行かないかもしれません)

keyの新作が出るその日まで、がんがれ僕らのだよもんド=アイ!


[28] 第二十六話「潤と香里すれちがうココロ」の巻 投稿者:>○川 投稿日:2000/11/30(Thu) 12:28:55

祝!「かのうぉ」発売記念
第二十六話「潤と香里すれちがうココロ」の巻


き〜んこ〜んか〜んこ〜ん
始業を告げるチャイムが校舎の中に響いた

名雪「ふう〜、間に合ったよ」
祐一「俺はいつ、このスリルから解放されるんだろうか」

き〜んこ〜んかんこ〜ん
最後のワンフレーズが鳴り終わる

斎藤「これで、何日連続だよ、お前ら?」
祐一「思い出す気にもなれない...」

祐一は息が上がっている

名雪「あれ、香里は?」
祐一「北川もいないな」
斎藤「二人とも今日は来てないぞ」
祐一「珍しいな..」
斎藤「今頃二人は手に手を取って、なんてな」
名雪「斎藤君、香里が居る時にそんなこと言ったら....」
祐一「今頃おまえは谷津嘉明状態だぞ」
斎藤「すみません」

がらっ
ドアが空いて入って来たのは担任の石橋教諭だ

石橋「おはよう。ホームルーム始めるぞ〜。ん、美坂と北川はどうした?」


........

その日の午後、東京の閑静な高級住宅街を歩く、明らかに場違いの賑やかな一団があった

志保「とっとこ〜走るよ Hム太郎〜♪」
琴音「一体何を唄ってるんですか、全く....」
志保「何言ってんのよ、これを書いてる奴なんか●●才になっても、この歌唄ってるのよ」
琴音「そんな人、引き合いに出さないで下さい」
冬弥「ねえ、長岡さん。今更余計なお世話かもしれないけど、この時期にこんな事してて大丈夫なの?」
志保「だ〜れに向かってそんな事言ってるの? 学業と仕事を両立させてこその、未来のジャーナリストよ」
琴音「藤田さんがここにいたら、何て言うんでしょうか....」
志保「そして私が功成り名遂げた暁には、貴方達は昔の知人としてテレビにインタビューされたりするのよ」
冬弥「遠慮しとくよ...」
志保「相変わらず淡泊な男ね〜。あんまり欲が欠けてるのも考えもんよ」

三人を含めた取材班一行は、とある豪邸の前でその歩みを止めた

志保「ここがM田佳子邸ね。あるじが現在は不在にも関わらず、大勢の人間の声が聞こえるという」
冬弥「ガセだと思うけどね」
琴音「そうですね。取材の主力はKムタク・K藤静香の取材に行ってますし。」
志保「だからこそ、我々がスクープをゲットするのよ」
冬弥「誰もいないみたいだけど」
琴音「空振りですか」
志保「こうなったら、私達だけで潜入取材を試みるのよ」
琴音「私達って.....」
志保「そうよ、私達三人にきまってるでしょ」
冬弥「何で僕達が...」
志保「あなたたち、それでもジャーナリストっ?!」
冬弥「僕、バイトの大学生...」
琴音「私、高校生....」
志保「さあ、どこか忍び込めるところを探すのよっ」
冬弥「それって不法侵入っていうんじゃ」

三人が悪戦苦闘している丁度同じ頃
風を切り、都会の町並を走り抜ける赤いマシンがあった

ぶろろろろろ......

晴子「なあ、今日はどこに泊るんや?」
アイ「あの家がいいんだよもん」
晴子「ごっつい家やな〜。あんた、こんな知り合いおったんか?」
アイ「全然」
晴子「全然って、あんた真田広之かいな。」
アイ「ん、入り口が閉まってるんだよもん」
晴子「んなもん、ブチ破ったるんや。ウチが許したる」
アイ「了承だよもん」

ぼが〜〜〜〜んん!!!!

正門を突き破り、赤いモンスターはその家の中へ突入していった


志保「何、今の音はっ?!」
琴音「正面の入り口の方ですね」
冬弥「何か、イヤな予感がするなあ」

忍び込む場所を探していた三人が表へ廻ってみると、正門は見事に破壊されていた

志保「これは天が与え給うたチャンスよっ。さあ突撃取材敢行っ!!!」
冬弥「ああ、もう完璧に不法侵入...」
志保「何言ってるの、これは事件よっ。従って我々のやってることは取材なのよっ」
琴音「もう、毒を喰らわば皿まで、です」

三人が更に中に進むと地下室への入り口のシャッターに大きな穴が空いている

志保「この先が、あの有名な地下室ね」
冬弥「何かで突っ込んだみたいだね」
琴音「バイクのタイヤの跡があります」
志保「さあ、行くわよ...」


この後、彼等の前に信じられない事態が!!!

志保「こ、これはっ...」
アイ「よお、久しぶりなんだよもん」
琴音「やっぱりあなたでしたね」
冬弥「にしても、この人達は...」

そこには酒宴に興じる一団があった

遺跡調査団F村副団長「魔が差したとしか言い様がございません」
K藤紘一元幹事長「うわぁぁぁぁぁん」
F森ペルー前大統領「私は日本国籍も持ってるよ、チミ」
西武ライオンズM坂投手「黒岩さ〜ん、何とかしてよぉ〜」
二子山親方夫人花田N子「この時、りえさんのお母様から...」
元巨人軍S山捕手「XXXする気がねえんなら、酒飲むな〜」
M浪健四郎代議士「どうせなら毒霧の方がよかったかなあ」

「よくいらっしゃいました...」

冬弥「わあっ?」
琴音「あ、あなたは...」

M田佳子「わたくしも女優生活40周年を迎え...」
アイ「あの、それはいいから、この連中は何なのか教えてくれなんだよもん」
M田「そうですか、残念ですがわたくしの話はまた別の折りにでも。
   この人達は最近世間を騒がせた人達ばかりなのはご存知でしょう」
晴子「あんたも含めてやな」
M田「あれは息子です。わたくしの女優生活も40年を過ぎ....」
アイ「だから、それはいいから本題に行って欲しいんだよもん」
M田「分かりました。しかし人の噂も七十五日と昔から申します。
   激しい嵐の間、山の動物達が一つの洞穴で雨風をしのぐと言われている様に、
この部屋には世間の風当たりを避け、ほとぼりのさめるのを待っている人達が集うのです」
志保「これは、まさに驚天動地の二十世紀最後のスクープよっ」
M田「ここの存在は決して口外することは許されません。
もしニュースにするとおっしゃるならここから返すわけにはいきませんよ」
琴音「私達をどうするつもりなんです」
M田「何も獲って食おうというわけではありません。どうです、ここでしばらく飲めや唄えやの日々を過ごすというのは」
晴子「酒がタダやったら悪うないな」
M田「御心配には及びません。息子のお小遣いが当分不要になりましたから」
晴子「何か、ちょっと引っ掛かるけど、まあええわ。飲も飲も」

早速一升ビンを手酌であけ始める晴子であった

K藤「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
晴子「やかましいっ、ええ加減に泣き止まんかいっ!!」
N子「ですからM医師とは何もございません」
志保「その辺は、本に書けないこともあったんじゃないの〜?」
F村「おお、こんな所から六十万年前の大麻がっ」
F森「隣国のコロンビアにでも逃げりゃよかったかのう、チミ」
M浪「あんたはS野綾子の家にいたんじゃなかったのか?」
F森「あんな、恩着せがましいやつの家にいたってつまんないよ、チミ」
M浪「そりゃそうだ〜。飲め飲め」
晴子「とか言いながら酒をかけるのはやめんかいっ」
志保「水鉄砲にお酒入れちゃおっと」
M坂「黒岩さ〜ん。ボク出掛けたいんです〜」
S山「おら〜お酌しろ〜」
晴子「やっぱりこういう客は最低やな」
N子「だから、何もやましいことはございません」
S山「俺はあんたでも十分ストライクゾ〜ンだ〜っ」
M浪「だから一軍に定着できなかったんだな」
K藤「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
アイ「こいつも翼人の生まれ変わりなのかもしれないんだよ...」

冬弥「なんなんだ、この人達は....」
琴音「隙を見て逃げましょう」
冬弥「長岡さんは?」
琴音「一緒に出来上がってる人はこの際放っておきましょう」
晴子「何をこそこそ言ってんねん。ほれ、飲めっ!!」
琴音「あわわわわ....ぐぷっ」
アイ「出たんだよもん、ラッパ飲みっ」

実際はラッパ飲ませ、と言う方が正しい

琴音「あはは〜、わらしぢつわ、ちょうのうりょくしゃ〜なんれすよ〜」
M田「まあ、絵に描いた様な酔っ払いですね。わたくしの四十年の女優人生でも見たことがありませんわ」
冬弥「由綺、もう二度と君に会えない様な気がするよ...」
晴子「ん〜何やしらんけど、こうして飲んどったら観鈴に会いとうなってきたわ。そや、アイ、こっちきいや」
アイ「な、なんなんだよもん? わ、何するんだよもん」
晴子「こうして髪を結んで、ちょい右向いてみ。ほら、観鈴ちんの出来上がりやっ」
アイ「そんなこと言うとH上さんが泣くんだよもん」
晴子「ほれ『がお』言うてみ、ほら」
アイ「が、がお..だよもん」

ぽかっ!

アイ「イタイ...だよもん」
晴子「ん〜そやそや、ほんまごっつカワイイわ、ウチの観鈴ちん〜」
アイ「こ、こら、ほお擦りするなだよもん」
晴子「ほんでもってちゅ〜したり、ちゅ〜したり、ちゅ〜したり」
アイ「やめてくれ〜なんだよもん」

志保「きゃははは、何なの、あの人?」
琴音「さすがにぃ〜、あの人の仲間だけのことはありますねぇ〜♪」
K藤「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
S山「俺はあんたでも守備範囲だ〜っ」
M田「わたくしの四十年の女優人生でも、まれに見る広さですわ....ぽ」
F村「おお、こんなところから六十万年前の免許証がっ」
M坂「黒岩さ〜ん、何とかしてくださ〜い」
M浪「ううっ、マゲを切ったので力が出ないっ」
F森「どうかね、チミの議席、ワシに売らんかね」

饗宴は何時までともなく続く....

冬弥「何という醜い姿だ...これが人間か...」

素面の者には耐えがたい世界だった

アイ「ふっふっふ、いい事を思い付いたんだよもん。霊波光線でこいつらを余のしもべとして、
   政界・芸能界・学界・スポーツ界を思うがままに操り、世の中を正しい正ヒロ道に導くんだよもん」


その時であった!!

「お待ちなさい!!」

晴子「ん〜誰やねん?」

「一部のマニアックなファンに支えられ、この世にはびこる中途半端な悪を懲らす
愛と正義の美少女戦士、セーラーかおりん、只今参上!!」

まあ、どんな格好かは推して知るべし

アイ「誰かと、思えば香里なんだよもん」
かおりん「香里って言うな〜っ!」
志保「あら、久しぶりね〜」
琴音「恥ずかしくないのれぇすかあ〜、その格好ぉ〜」
かおりん「う、うるさいわね...生みの親も忘れてるであろう謎の老人から、一人でも変身できる力を授かったのよ」

「何の伏線も無しに、この新キャラクターは無理がありますね」

美汐が現れた

冬弥「わ、また君かっ」
かおりん「な、何よ。あなただって何の脈絡も無く突然登場してるじゃない」
美汐「私は、そんな恥ずかしい格好はしていませんから」
かおりん「う、うるさいわねっ!!」
晴子「ウチも昔は、あんな格好でバイトしたもんや」
琴音「どんなバイトれすかぁ〜、一体.....」
美汐「香里さん、小学生の頃、あのアニメみたいな格好をしてみたかったのではありませんか?」
かおりん「それは....」
アイ「動揺してるんだよもん。図星だよもん」
かおりん「ちょ、ちょっと思った事があるだけよっ!若気の至りってやつよっ!! と、とにかく、
     こんな連中を抱き込んでのあなたの企み、たとえFIFAが許しても、このセーラーかおりんが許さないっ」
アイ「あいつの本名は美坂香里って言うんだよもん」
こんな連中『へぇ〜〜そ〜なんだ〜』
かおりん「き〜〜〜〜〜〜っ!!! セーラーかおりんだって言ってるでしょ〜っ!!」
アイ「美坂、美坂、美坂〜、だよもん」

怒髪天を衝き、アイを追いかけるかおりん

かおりん「食らいなさい、ボブチャンチンビームっ!!」

かおりんの指先からまばゆい光線が放たれた!

ひょ〜い
ばばばばばっ!!

志保「んにょめっ!?」

アイがあっさりよけたので、ビームは志保を直撃した

冬弥「長岡さん、結局君はこうなるさだめ...」
美汐「説明しよう。ボブチャンチンビームとはその名の通り、何かとても効きそうな光線である」
かおりん「思い付きで言ったんだけど、本当に出るとは思わなかったわ...」
M田「見事なアドリブですわ。四十年の女優生活の中でも初めて見ました」
冬弥「そりゃそうだよ...」

こんな連中がかおりんの周りに集まってきた

S山「うん、気に入ったっ。青春ストライクど真ん中だっ」
F森「さあ、飲みましょう。アンデス産のコカ入り酒ですよ〜、チミ」
かおりん「ちょ、ちょっと、放しなさいよ、この酔っ払い」
M浪「そ〜れ酒かけちゃれ」
M坂「黒岩さん来てくれないから、ボクも混ぜてください」
F村「おお、こんな所から六十万年前のお酒がっ」
加藤「うわぁぁぁぁぁぁぁん」
かおりん「放しなさいってば、このっ」

晴子「そやそや、新人のコが一度は通る試練なんや」
かおりん「何よそれっ?! 誰か助けて〜」
アイ「はっはっは、その調子で酔いつぶすんだよもん」

かおりん、まさに大ぴんちっ!
その時であった

「そこまでだっ!!」

F森「何だね、チミは?」

そこには手足の生えた大きな黒いポリ袋が立っていた

S山「こいつは完全にストライクゾーン外れてるな」
アイ「中が見えないと回収してもらえないんだよもん」
M浪「貴様は何者だっ?」

袋「そうだな、ゴミ袋仮面、とでも呼んでもらおうか。さあ、かおりんから手を放したまえ」

F森「何、カッコつけてんだねチミ、ゴミ袋のくせに」
M坂「やっちゃっていいですよね、黒岩さん」
S山「おお、やっちゃえやっちゃえ」
K藤「うわぁぁぁぁぁぁぁん」

ぼこっ、べきょっ、ぐちょっ
あっという間に文字通りのフクロにされるゴミ袋仮面

袋「んにゅう〜〜...」

M浪「なんだ、口ほどにもない」
F村「六十万年前の地層に埋めちゃいましょうか」
S山「埋めちゃえ、埋めちゃえ」

かおりん「あなたたち、そこまでよ」
こんな連中『へっ?』

半刻後、地下室は酔いつぶれた女達(志保を除く)と、文字通りつぶれた男達が横たわっていた


かおりん「じゃあ、私は帰るわね」
美汐「ゴミ袋さんはどうしますか」
かおりん「あなたにお願いしていいかしら?」
美汐「はい」
冬弥「他の後始末は僕がしておくよ」
美汐「すみません」



.........

M田邸の惨劇は誰にも知られる事はなかった
志保の目撃談は当然の様に浩之達に一笑に附された
そしてあの場に居合わせた者達の行方は杳として知れなかった


き〜んこ〜んか〜んこ〜ん
始業を告げるチャイムが校舎の中に響きわたる

名雪「ふう〜、間に合ったよ」
祐一「いい加減、終わりにしたいぞ、こんな生活」
名雪「香里、おはよう」
香里「おはよう」
祐一「北川、やっと来たのか..ってどうした、その顏?」
北川「別に、何でもないぞ」
名雪「何でもないわけないよ〜、青アザだらけ」
香里「大方酔っ払いにでもからまれたんでしょ」
北川「まあ、そんなところだ」

美汐「報われませんね...」
祐一「何で、お前がここにいる?」


放課後、公園を何とは無しに歩く祐一の姿があった

「祐一君」

祐一「わ、何だ、あゆか」
あゆ「何だ、はひどいよ」
祐一「ははは..じゃあタイ焼きおごってやるから怒るな」

おやじ「へい、らっしゃい」
祐一「タイ焼きを4つ」
おやじ「毎度どうも」
あゆ「あれ、おじさん、そっちの人は?」
おやじ「いやあ、何でも南米から出稼ぎに来てるそうでね、いろいろ手伝ってもらってるのさ」
F森「はいどうぞ、コカの葉入りの焼きたてですよ、チミ。お嬢ちゃんに一個オマケですよ、チミ」
おやじ「こいつ、冗談が好きでねえ」

公園のベンチでタイ焼きを食べる二人

あゆ「うぐぅ...何か、個性的な味だね...」
祐一「そ、そうだな...ところでさ」
あゆ「ん、なに?」
祐一「探し物、見つかったのか?」
あゆ「ううん、まだだよ。でもね心強い助っ人が見つかったんだよ」
祐一「助っ人?何だそれ」
あゆ「ゴッドハンドとか言って、何でも掘り出して見つけちゃう凄いおじさんなんだよ」
祐一「おまえ、おじさんに人気あるな..」
あゆ「あれ、あそこにいるのは」
祐一「北川と天野?」

美汐「差し出がましい様ですが、いいんですか北川さん、今のままで?」
北川「何が?」
美汐「香里さんとの事です」
北川「俺は、香里を陰から支えてやれればそれでいいんだ」
美汐「支えるだけ〜、美味しいところは他の人に〜、などと言う事もありえますよ」
北川「それでもいいよ」
美汐「本当に報われませんね...じゃあせめてこれを役立てて下さい」
北川「これは?」
美汐「特売の不透明ポリ袋です。黒と水色の二種類あります」
北川「ありがとう...」
美汐「言わな〜いよ〜」

祐一「何やってんだ、あの二人」
あゆ「さっそく名雪さんや栞ちゃんに教えてあげなきゃ」
祐一「あ、待てよ、おい」

あっと言う間にあゆの姿は見えなくなっっていた

祐一「さすが、食い逃げで鍛えただけあるな...名雪より早いかも」

今度競争させてみよう、と思う祐一であった



空はどこまでも青く続いていた....

人々の思いを知ってか知らずか....


[24] 新投稿SSコーナーのお知らせ 投稿者:えあ〜ず2 投稿日:2000/09/21(Thu) 02:15:56

だよもんド=アイ投稿専用掲示板に次ぐ、新しい投稿SS掲示板が設置されます。
AIRのネタバレあり。内容をごらんになるには、ドラッグするか、ctrl+A(Macな方はcommand+A)で‥‥‥。

「裏葉、ここが「掲示板」というものか?」
「はい、神奈さま。ここが今日の神奈さまの晴舞台、「掲示板」。ほーむぺーじと呼ばれる場所に設置され、いんたーねっとでつながれて、一言語れば、世界中のどこの誰にでも同時多数的にそれが伝わるという夢のような舞台でございます」
「夢の舞台‥‥‥」
「北はしべりあ、うらるのつんどら地帯から赤道直下はもろっこ、かなりあ諸島、すえず運河、南は、南極、昭和基地の皆様まで、もにたーの前で、10億は下らない人々が、神奈さまのお言葉を今や遅しと待ちわびているのでございます」
「まことかっ?」
「嘘にございます」
「‥‥‥。裏葉。余は、今、ちょっと傷ついたぞ」
「おそれいります」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥‥裏葉。今のやりとりで、余は、何をしに来たのか、忘れてしまったぞ」
「はい。本日は、神奈さまととわたくしは、こちらに宣伝のためにまいったのでございます」
「そうじゃ、そうじゃ。確か、余は、新しく作られる「AIRおんりー投稿えすえす掲示板」とかいうものの宣伝を頼まれたのじゃ」
「そうでございます。神奈さまは、うれしはずかし、「きゃんぺーん・がーる」。この裏葉も、神奈さまのこのような晴れ姿を目にすることができるとは‥‥‥」
「あっ。でも、余は、あの管理人の申す「ねたばれきゃら」とかいうものなのではないのか? それが、このようなところに出てきて「きゃんぺーん・がーる」をしてても、大丈夫なのか? 余は、可憐な美少女ゆえ、ちょっと人前に出ただけでも、すぐに目立ってしまうぞ」
「はい。神奈さま、そのご心配は、ご無用でございます。ここは、もともとあくせす数の少ないCANDY BOX! の中でも、さらに特にお客が来ないことで有名な掲示板でございますれば、神奈さまがお出ましになっても、なんら問題はないのでございます。そのようなところであればこそ、神奈さまもこちらにてご宣伝くださるように、お願い申し上げた次第」
「そうか‥‥‥」
「はい‥‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「裏葉。ちょっと聞いたら、ほっとしたけど、よくよく考えたら、うれしくないぞ」
「深くお考えにならないのが、肝要にございます。それより、宣伝でございます」
「う、うむ。ああ、新しい投稿掲示板は、「KGGのお部屋」というところにあるらしいぞ。「AIRおんりー、ぎゃぐおんりー」、理を守れば、誰でも投稿できるそうじゃ」
「たいとるは、『神尾晴子、観鈴の親子漫才劇場!』。なんだか、楽しそうな名前でございますね。「親子」というのがよろしゅうございます。もちろん、AIRのぎゃぐであれば、登場人物、話の筋もなんでもよろしいそうでございますよ」
「AIRでぎゃぐであれば、誰が出てもよいということじゃな」
「そのようでございます」
「あっ。でも、余のえすえすも、誰か書いてくれるであろうか? 余は、可憐な美少女であるという自覚はあるが、それほどおもしろいきゃらでも、笑えるきゃらでもないし、「ねたばれきゃら」だから、知らない者も多いと聞くし‥‥‥」
「それは、大丈夫でございます。この裏葉が保証いたします。神奈さまのボケは、AIRの華っ。神奈さまなくして、なんの「AIRぎゃぐさいと」でございましょうっ!(右手、握りこぶし)」
「そうかっ!」
「そうですっ!! (両手、握りこぶし)」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「裏葉。ちょっと聞いたら、うれしかったけど、よくよく考えたら、ぜんぜんまったくうれしくないぞっ」
「世の中、深くお考えにならないのが、肝要にてございます」


新しい投稿SS掲示板は、「AIRオンリー、ギャグオンリー」の「神尾晴子、観鈴の親子漫才劇場!」です。詳細は、「KGGのお部屋」へ。

この、「だよもんド=アイ投稿専用掲示板」も引き続き、よろしく〜!


[23] 第二十四話『悪魔はふたたび! 夏の扉を開けて 』の巻 投稿者:○川 投稿日:2000/08/28(Mon) 10:41:13

今回は前期必殺シリーズ風に
(分かんないって....)

(OPナレーション 芥川隆行)

気怠さだけが人生か それなら今日は何なのさ
昨日Airで今日ガッツ 今日は正ヒロ明日脇慕
夏のアキバは汗まみれ 明日天気になあれ



ここ古○の浜では、予想外の珍事に呆気にとられる一団がいた

朔美「先生、こっちです」
真帆「これね、加宮さんの言ってたのは」
則之「何なんだ、こいつ?」

眼前の砂浜に横たわるキテレツな扮装の少女に
一同の視点は釘付けになっている

ゆず「 ..... 」
春奈「ゆっちゃん、目が点」
真帆「まさか、また現れるなんて...」
哲哉「先生、こいつに会ったことあるんですか?!」
真帆「ええ、以前この○東に旅の途中の少年が来たことがあったの」
春奈「へえ、そんなことがあったんだ」
真帆「私はその少年に、すぐここを去るように言ったの。
その時だった、このコが唐突に現れたのは」
哲哉「それで、何かあったんですか?」

真帆は視線を海の方に向けると語り始めた

真帆「少年とこのコは知り合いだったみたいね」
春奈「その少年っていうのも、イカれた...」
真帆「少年の方は普通よ。このコの方はツルさんの駄菓子屋で
置いてあるものをみんな食い散らかしていなくなったわ」
則之「それだけですか?」
真帆「ええ、誰もいないんだからいただくんだよ、とか言って」
春奈「ただの食い逃げ..」
真帆「食べたいだけ食べるとこのコはどこへともなく消え去ったわ。
   でも私には、このコの存在自体が、この不安定な○東の地に
   何らかの影響を与える危険な存在のような気がするの。
その少年もこのコと色々な経緯があったみたいね。
もし、また現れたら連絡をくれって」
哲哉「どうするんです?連絡するんですか」

この古○に他所の人間を呼ぶのはあまり感心できたことではない

真帆「でも、この電話番号011で始まってるから」
朔美「北海道ね...」
春奈「とりあえず、するだけしてみましょうよ」
真帆「そうね。」



(メインタイトル)
《正ヒロの使者 だよもんド=アイ》

(サブタイトル)
第二十四話『悪魔はふたたび! 夏の扉を開けて 』の巻



ここは東京
レストランPiaキャ○ットの中で向かい合う二人の男...

北川「と、いうわけでよろしくな」
祐一「何でお前がここにいるんだ?」
北川「半分はお前のせいだろうがっ!」
祐一「何が?」
北川「あれほどミーナちゃんのことは香里に言うな、と言ったのに」
祐一「言ったっけ?」

両者の認識には天地ほどの隔たりがあった

北川「言った。命賭けてもいいぞ」
祐一「そうだっけ? でもおれ、香里には言ってないぞ」
北川「じゃあなんであいつは知ってたんだ」
祐一「名雪には言ったけど」
北川「それじゃバレるにきまってるだろうがっ!」
祐一「で、香里の怒りが収まるまでこっちに避難、というわけね」
北川「今度は言うなよ〜」
祐一「分かったよ、まったく」
北川「あいつ、最近は打撃技のバリエーションが増えたんだ」
祐一「ふ〜ん」

あちこちに青アザの見える北川の顏を見て納得する祐一
興奮してしゃべったせいでノドが乾いたのか
北川はコップの冷水を飲み干した

北川「すみませ〜ん、水くださ〜い」
美奈「あ、北川さん。来てくれたんですね」
北川「もちろんだよ、ミーナちゃん。また会いに来るって言っただろ」
美奈「ミーナ感激ですぅ」
祐一「 .....」

北川のあまりに分かりやすいリアクションと
美奈のサービス精神に祐一は言葉もなかった。

ぱぱぱらっぱ〜 ぱぱぱらっぱ〜♪
突如 おジャ魔女ど○み#のメロディーを奏でて真琴の携帯が鳴った

真琴「あう〜 真琴だよ」
祐一「なんて出方だ..」

親族の自分が遠慮して携帯を持っていないのに
全くこいつは、とか思う祐一だが

真琴「ゆういち〜 名雪から」
祐一「もしもし、何かあったのか?」

話し込む祐一の表情が曇った

真琴「?」
祐一「分かった。あとでまた連絡する」

ぷちっ
無造作に通話を終わらせる祐一

北川「何だったんだ?」
祐一「ちょっと、ある所に行って来る」
北川「何だよ、ある所って?」
祐一「真琴、携帯貸しといてくれ」
真琴「あう〜」
祐一「北川のを使わせてもらえ」
北川「なあ、みんなで行けばいいんじゃないのか」
祐一「いや、ちょっと危ないところなんだ」
北川「だったらなおさら...」
祐一「" あいつ "も一枚噛んでる」
北川「う...」

言葉に詰まる北川
またどんなとばっちりを食うかもしれない

祐一「天野がここへ戻って来るかもしれないしな。
   真琴を頼むよ」
北川「仕方ないな」



一方こちらは北の街の水瀬家

栞 「何だったんですか、さっきの電話?」
名雪「くと○とか言う所からだったよ」
香里「く○う? どこなの、それ?」
名雪「以前祐一が行ったことのあるところらしいんだけど
   よくわかんない」
栞 「それで、何の用件だったんですか」
名雪「また現れた、って伝えてもらえば分かるって言ってた」
栞 「さっぱりわかんないです」
香里「そこの地元の女の子とでも仲良くなったんじゃないの?
   北川君みたいに」
名雪「香里、まだ怒ってる...」
香里「別に、怒ってなんかいないわよ」
栞 「ずっと不機嫌なんですよ、お姉ちゃん」
香里「余計なこと言わないの、べとべと娘」
栞 「そんなこと言う人嫌いです」
名雪「わ、久しぶり...」


次の日の午後...

がたんがたん、がたんがたん
規則正しい揺れが続く単調な路線
二両編成のローカル線の車両には乗客は祐一ひとり
と、思ったのだが...

志保「あら、この前の少年じゃない」
祐一「相澤祐一だ」
志保「そうそう、その祐一よ、祐一」
琴音「長岡さん、馴れ馴れし過ぎます」
志保「いいのよ、一度会ったら友達で,毎日会ったら兄弟だって
   ゲーマーズの店長さんも言ってるでしょ」
琴音「言ってません。そのフレーズは"お母さんとい○しょ"じゃないですか」
冬弥「僕もN○Kでは仕事したことないな」

何なのだろう、この人達は?
祐一は当惑の色を隠せない

志保「紹介するわ、私の仕事仲間の琴音と冬弥よ」
祐一「この前のメンツは..」
志保「あれはプライベートの友達よ。私は仕事と私生活はしっかり区別してるの」
祐一「仕事って、あんたも高校生じゃ...」
志保「いいのよ、いちいち突っ込まなくて。
   今回は『ぶらり 人の道 途中下車の旅』のロケ地の下見なのよ」
琴音「相澤さんは長岡さんとどういう知り合いなんですか?」
祐一「いや、この前初めて会ったんだけど」
冬弥「長岡さんらしいね」
祐一「そうなんですか」
冬弥「うん、まあね」
祐一「大変ですね」
冬弥「うん、まあね」

冬弥の短い返事だけで、言いたい事は十分伝わった気がした

志保「何を男同士でしみじみ会話してんのよ
   それはそうと祐一はどこへ行くの?」
祐一「いや、その、この次の古○ってとこへ...」
志保「じゃあ、そこで降りましょ。この路線さびれたところばっかりで
   このままじゃ番組に使えないなあって思ってたのよ」
祐一「やめといた方がいいと思うけど...」
志保「何でよ。じゃあどうしてあなたはそこへ行くワケ?」
祐一「実は、ちょっと、危ないところなんだよ」
志保「それを聞いちゃあ、なおさらよね。この志保ちゃんの
   ジャーナリスト魂についた炎は、もう誰にも消せないわ」
琴音「やめた方がいいんじゃ..」
冬弥「もう無駄だよ...」
祐一「大変ですね」
冬弥「うん、まあね」


(アイキャッチ)
《正ヒロの使者 だよもんド=アイ》



無人の駅に降り立つ祐一を真帆が出迎えた

祐一「あ、どうも。この前はお世話になりました」
真帆「本来はここに呼ぶべきじゃなかったかもしれないけど、
   来てくれてありがとう。ところで、後の人達は?」
祐一「はは...これは、その..助っ人です」

真帆の赤い軽自動車は苦しそうなエンジン音をたてて
坂道を昇って行く

真帆「狭いけどすぐ着きますから、少しだけ辛抱して下さい」
志保「何かこう、わくわくするわね」
琴音「それは長岡さんだけです。また炭にされても知りませんよ」
志保「女子三日会わざれば刮目して見よ、って言うでしょ。
もう昔の私とは違うのよ」
琴音「勝手に故事を作り替えないで下さい。男子でしょう、それは」

きっ
短いブレーキ音を上げて車は停った

則之「先生帰ってきたぞ」
ゆず「人数多い...」
春奈「ほんとだ」

志保「おっきい家ね〜、旧家に潜む危険な謎って感じで一本創れそうね」
琴音「長岡さん、口が過ぎますよ」
祐一「で、あいつはどこです」
真帆「蔵の中に運んでおいたわ」
志保「土蔵の座敷牢に秘められた謎、いいわね、かなりいい絵が撮れそうね」
冬弥「勝手に牢なんて作っちゃ駄目だよ」
志保「いいのよ、それくらいの事は演出の許容範囲よ
あ〜わくわくするわね、中に何があるのかしら?」
祐一「あいつだよ」
志保「あいつって...」
琴音「まさか...」
祐一「そう、志保もよく知ってる...」
志保「なれなれしく呼び捨てにしないでよ」
冬弥「一度会ったら友達じゃなかったっけ...」

ば〜ん!!
勢いよく蔵の扉が開いて、中から強烈な風が吹き出した

冬弥「わっ、な、なんだ?」
琴音「見て下さい、蔵の入り口に...」
祐一「やっぱり、お前...」
アイ「皆さん、こんにちは、だよもんド=アイです」

なぜか手にはマイクを持っている

志保「何よ、そのらしくない挨拶は?」
アイ「いや〜やっぱ初めてのとこだからちゃんと挨拶しないと」
祐一「お前は国際プロレスのレスラーかいっ」
アイ「とまあ、一応仁義をきったところで、本題に移るんだよもん」
琴音「今回は何が目的なんです?」
アイ「この土地の混沌とした時空は、余に大いに力を与えてくれるんだよもん
従って、ここを余の根拠地にするんだよもん」
冬弥「また、ろくでもないことを...」
志保「あんたなんか杉沢村にでも住んでればいいのよ」
アイ「そんな口を叩けるのも今のうちだよもん」

一同の中身の無いやりとりを、ただ眺めるしかない
旧古○中学関係者の面々

朔美「一体、あの人達何を話してるの?」
則之「俺に聞くな、俺に」
ゆず「先生...」
真帆「祐一君を呼んだのは失敗だったかも....」
春奈「火に油ってやつね」
哲哉「今更、そんなこと言っても...」

琴音「冬弥さん、見て下さい。あの蔵の中...」
冬弥「あれは、一体...?」

蔵の中には本来そこにある筈のない光景が見えた
朱に染まった空と、延々と続く荒涼たる大地が....

アイ「はっはっは、この蔵の入り口を、そのまま異界への入り口に
させてもらったんだよもん。ここから無尽蔵の力を得るんだよもん」
祐一「また、とんでもないことを」
アイ「さあ、というわけで異界からいろいろと召喚するんだよもん」

べかべか〜
見る者を脱力させる気怠い光が辺りをおおった

アイ「いでよ、我が忠実なる下僕よ」

果たして門をくぐって出て来た者は?!(ガチンコ風)

繭 「うわぁぁぁぁぁん」
アイ「げ、なんでお前が出て来るんだよもん?」
繭 「しらないとこ、うわぁぁぁぁぁん」
アイ「こ、こら、泣くなだよもん」
繭 「みずか..おねえちゃん...」

知っている顏を見て少し落ち着きを取り戻す繭

琴音「え?」
祐一「お前、みずか、って名前なのか?」
アイ「し、知らないんだよもん。余は長森瑞佳なんて名前じゃないんだよもん」
冬弥「へえ、そういう名前なんだ」
志保「ちょっと、その子、山手中央署に補導されてた非行少女じゃない」(※第九話)
琴音「保護されていた少女です。グレてません」

繭はアイの服のすそを掴んで離れない

アイ「仕方ないんだよもん。後で家に送ってやるんだよもん。
だが違うゲームのキャラクターの汝等は、余の正体を知ったからには
このまま帰すわけにはいかないんだよもん。
今度こそいでよ、我が忠実なる下僕達よ!」

べかべか〜
そして遂に あの男達が現れた!(ガチンコ風)

Nガシマ「ん〜、いわゆるここは誰?私はどこ?なんですね〜」
Nベツネ「一体ここはどこなんだ? バカ野郎!
シドニーに一軍選手は出さんぞ、バカ野郎!」
アイ「何でお前等が出て来るんだよもん?」(※第十二話)
Nベツネ「あ、てめえ、俺の自転車を返せ、バカ野郎!
あれは共○党員だった頃、なけなしの金で買った
大事な自転車なんだぞ、バカ野郎。
松井や上原よりも大事なものなんだぞバカ野郎」
アイ「こ、こら、クソじじい、離せだよもん」
Nガシマ「ん〜いつぞやのチルドレンなお嬢さんですね〜
私を東京ドームまでスーベニアしてほしいんですね〜」
繭 「う、う...、うわあああああん」
アイ「こら、繭を泣かすなだよもん、
ええい、こいつらを追っ払うもの召喚!!」

べかべか〜

美汐「そして遂に、あの男が姿を現した!」
アイ「なんでお前が出て来るんだよもん?」
美汐「私はオマケです。本命はこちらです」
留美「ちょっと、何よ《あの男》って」
美汐「言葉じりを捉えるより、今は為すべきことがあります」
留美「何よ、それ?第一ここはどこなの」
アイ「そうなんだよもん、このセクハラ親父達を片付けるんだよもん」
留美「片付けるって、瑞佳、あんた何やってんの? それに何よ、その格好?」
アイ「瑞佳って呼ぶな〜だよもん」
Nガシマ「ん〜いつかのバイオレンスなお姉さんなんですね〜」
留美「そういうあんたは、いつかの誘拐未遂犯じゃないの。
今度は脂ぎった好色そうな相棒まで連れちゃって。
Malcolm.Xさんが新なんか党から抜けたのに
   ま〜だ、誘拐が割の合わない犯罪だって事が分からないみたいね」
アイ「はい、これ貸すから頼むんだよもん」

アイは漆黒の剣だよもんソードを七瀬に手渡した

留美「わ、何か凄いわねこれ、まあいいわ、覚悟なさい!」

めり、ぽき、ぐしゃ!
昔の松本零士のマンガの様な擬音が古○の海に響いた
Nベツネ「いてえぞ、バカ野郎 ...」
Nガシマ「いわゆるボディーがブロークンハートですね〜 ...」
アイ「ほいっとな、だよもん」

ボロ雑巾のようになったNガシマとNベツネを
異界の門の向こうに放り投げるアイ
後日この二人は神田川に浮かぶのを発見されることとなる

留美「悪は滅びたわ、ところで瑞佳、あんた何やってんの?」
アイ「まあ、それは置いといて、お帰りはこちらだよもん。
繭を連れて帰ってくれなんだよもん」
留美「何か釈然としないけど、まあいいわ。さ、帰ろう椎名」
繭 「みゅ〜」
留美「ま〜ぜて、ま〜ぜて、まぜまぜみっくす〜♪」
繭 「みゅ〜♪」

手をつないだ二人の歌声は蔵の中へ消えていった

真帆「一体なんだったのかしら、あの人達は?」
朔美「異界の者共?」
則之「随分現実臭かったぞ...」

祐一「天野...」
美汐「祐一さん...」
祐一「似合ってないぞ、羽リュック」
美汐「久しぶりの再会で言うセリフがそれでは
   あまりに酷と言うものです」
祐一「それに、お前今までどこにいたんだ?」
美汐「それを聞くのは酷というものです」
祐一「やっぱり本当に天野だ」
美汐「当然です」

春奈「こっちはこっちで二人だけの世界ね」
哲哉「勝手にやってくれ...」

アイ「汝等、余を無視するなだよもん。
   次なる下僕よ、いで...あれ?」

アイはよろめいて地面に膝をついた

アイ「力が入らないんだよもん...」
美汐「異界から際限無く何かを引き出そうとすれば 
   あなたの力もそれに応じて消耗するのは
   至極当然でしょう」
アイ「相変わらずムカつく物言いの解説娘だよもん
   ならばエネルギーチャージと行くんだよもん」

アイは早速怪しげな地球に優しいY印牛乳を取り出した

美汐「止めた方がいいんじゃないですか」
アイ「うるさいんだよもん。ちょっと毒のある大人の味なんだよもん」

ごきゅごきゅ...
よせばいいのに一気飲みのアイ

アイ「次なる下僕よ、いでよだよもん!」

ぼが〜んん!!!
次の瞬間、黄ばんだ光と共に異界の門は消え失せ
後には倒れたアイと元通りの土蔵が残った

志保「な、何なの?」
琴音「飲んだものがいけなかったんじゃ..」
冬弥「だろうね...」

倒れたアイのそばに近寄る一同

朔美「噛みつかないかな?」
祐一「それはないと思いますよ」
冬弥「どうするの、祐一君?」
真帆「私に考えがあるわ」



(アイキャッチ)
《正ヒロの使者 だよもんド=アイ》



真帆の指示で男性陣は蔵の中から
古ぼけた瓶の様な器を運び出した

琴音「何ですか、これは?」
真帆「うつぼ舟よ。これに災いを封じ込め
   常世へ向けて流すのがこの土地に伝わる
   禊の儀式なのよ...」
美汐「念の為言っておきますが、ゲームにも小説にも
   こんなものは出て来ません」
祐一「書いたヤツは、また呪われるな、きっと」
志保「さあ、とっとと押し込めて流しちゃいましょ」
冬弥「いいのかなあ...」
志保「煮ても焼いても大丈夫よ、こいつは」

一同が浜から海へ向けて押し流すと
アイを載せたうつぼ舟は潮の流れに乗り
外海へ流れて行った

志保「終わったわね....」
琴音「これ、使うんですか、テレビで?」
冬弥「やっぱり、無理だよね...」
祐一「さあ、帰ろう天野」
美汐「はい..」

振り向く祐一

祐一「どうも、おかげで尋ね人にも会えました」
真帆「もう、ここへは来てはダメよ」
祐一「はい..」

携帯を取り出す祐一

祐一「名雪か? 天野にやっと会えたぞ。
   これから帰るよ」
志保「女の子のお友達が多いみたいね〜♪」
琴音「長岡さん、失礼ですよ」
祐一「ひとまず東京に戻ろう。真琴も待ってるぞ」
天野「そうですね」


一方北の街では

名雪「美汐ちゃん、見つかったって」
栞 「よかったですね」
名雪「香里もいい加減、仲直りしたら?」
香里「なによ、それ」
栞 「お姉ちゃん、素直じゃないです」
香里「分かったわよ、そこまで言うんなら
   あなた達の顔を立ててあげる」

名雪の部屋の電話を手に取る香里に
目線を合わせて笑う名雪と栞だった..

とぅるるる....かちゃ

香里「もしもし?」
真琴「あう〜真琴だよ」
香里「え?」
真琴「沢渡真琴だよ」
香里「ど、どうしてあなたが北川君の携帯に出るのよ?」
真琴「使っていいって(祐一が)言ったもん」
香里「あなた東京にいるんじゃなかったの?
   北川君もそこにいるの?」
真琴「あう〜、いるよ。(祐一と)二人で東京に来たんだもん」
香里「それ、どう言うこと? 聞いてないわよ」
真琴「そんなことないよ、(祐一と)二人で東京に行くって
   夏休みの前から決めてたよ。
   名雪も秋子さんも知ってるよ」
香里「そう、私だけカヤの外だったってわけね...」
真琴「あう〜、そうそう」(※よく意味が分かっていない)
香里「そう、せいぜい仲良くね ...」

ぷつんっ、つーつーつー

北川「あれ、電話だったの? 祐一から?」
真琴「ううん、なかよくしろって」
北川「なんだそりゃ?」


がちゃんっ

香里「......」
名雪「どうしたの?」
栞 「お姉ちゃん?」
香里「ねえ名雪...私達、友達よね?」
名雪「どうしたの、いきなりそんなこと?」
香里「だったら隠し事は無しにして」

思わず名雪の襟元をつかむ香里

名雪「香里、苦しいよ...」
栞 「お姉ちゃん?」
香里「今まで知ってて隠してたのね、あなたは」
名雪「うにゅ...」
香里「一体いつからなのっ?!」
名雪「だおー...」
栞 「お姉ちゃん、やめてっ」
香里「止めないで、栞....
   まさか、あなたも知ってたんじゃ...」
栞 「お、お姉ちゃん、苦し...」
香里「知らなかったのは私だけだったのねっ!
   とんだピエロだったってわけね、私は!!」

ぶんぶんぶん...
風車の様に名雪と栞を振り回す香里

秋子さん「あらあら、随分にぎやかね」
香里「秋子さん、あなたも知ってたんですねっ!!」
秋子さん「なんだかよく分かりませんけど、落ち着いて下さいね」

さくっ、一さじジャムをすくうと電光石火の速さで
スプーンを香里の口に放りこむ秋子さん

香里「?!?!」

へなへな....
香里は脱力してその場にへたりこむ

名雪「苦しかったよ...」
栞 「これが、噂に聞くジャムの威力なんですね」
秋子さん「若さ故、人は苦しむのね」


喧騒の絶えることのない東京駅
志保一行と祐一達はここでお別れだ

琴音「結局、今回は無駄骨でしたね」
真琴「あう〜、むだ、むだ」
志保「何か腹立つわね、この子は」
冬弥「そうでもないさ。あいつの正体が見えてきたし」
北川「ミーナちゃん、またね」
美奈「また来てくださいね〜」
祐一「.....」
冬弥「祐一君、それじゃ気をつけて」
祐一「さっきのことですけど」
冬弥「本当の名前かどうかは知らないけど、調べてみるよ」
祐一「冬弥さん、まだ続けるんですかこの仕事?」
冬弥「うん、まあね」

お互い、顔を見合わせて苦笑する二人だった


ごとごとん、ごとごとん
寝台特急が規則正しいリズムを刻み
夜の線路を駆け抜ける

デッキで一人夜の景色を眺める北川
「北川君」
驚いて振り向くとそこには

北川「月宮さん!?」
あゆ「こんばんは、眠れないの?」
北川「ん、まあね。でも同じ列車に乗ってるとは思わなかった」
あゆ「北川君、まだ帰らない方がいいと思うんだ」
北川「大丈夫だよ、美坂はすぐ怒るけど、機嫌が直るのも早いんだ」
あゆ「でも.....」
美汐「あゆさん」
あゆ「わ!」
美汐「これ、お返しします。祐一さんに、似合わないって言われましたし」

羽リュックを手ずから渡す美汐

あゆ「ありがと..」
北川「さあ、もう寝ようよ」
美汐「そうですね、明日は明日の風が吹くでしょう」

明日の風は大暴風雨であることを北川は知る由もなかった...


(EDナレーション 芥川隆行)

そして、うつぼ舟は潮流に乗って流れて行く
その行きつく先は、誰も知らない...
書いているヤツでさえも...
ああ、館山先生ごめんなさい
謝るくらいなら最初から書くな、と思う皇帝陛下であった


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