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神尾晴子、観鈴の親子SS劇場! 過去ログ#1 運用2000年4月10日〜2000年4月21日

[52] サインはぶいっ! 第九話「観鈴空中で闘う」の巻 投稿者:○川 投稿日:2001/12/29(Sat) 18:36:14


ぶい・あい・しー・てぃー・おー・あーる・わ〜い サインはぶいっ!

誰も覚えていない過去のあらすじ

なぜか西園寺女学院の挑戦を受けた通天閣(仮名)バレー部
敵地に乗り込んでの戦いで、まずはいきなり美凪の殺人スパイクが炸裂し志保を戦線離脱に追い込んだ
果たして部の存亡を賭けた両者の息詰まる戦いの行方は? (ナレーション 沢りつお)

往人「ナレーターが変わってるぞ、おい」
裏葉「何をおっしゃっているのですか、往人殿」
往人「それに何か物凄く長い間休んでいたような気がする」
裏葉「気のせいでございますよ。千年の歳月を思えば、一瞬のまばたきのようなものです」

美凪のスパイクで意気上がる通天閣(仮名)

聖「さあ佳乃、一気にたたみかけるのだ」
佳乃「うん、見ててよ、お姉ちゃん」

みちる「あてにしていいのかなあ、かのりん」
往人「するのは勝手だがな」

圭子「綾香さん」
綾香「心配無用よ。あの選手はサーブがネットを越えないヘタレその1よっ」

佳乃「うう、失礼だよぉ。いくよ、必殺のドライブサーブっ!」

ぱきーん!

往人「え?」
みちる「にょわ?」

乾いた音を立てたサーブはネットを越えた
美凪のスパイクと比べれば取るに足らない威力ではあったが、西園寺の手薄なレシーブ網を破るには十分な威力だった

マルチ「わっわっ!?」

べちーん!!
あわれ、うろたえるメイドロボの顔面に当たったボールは、力なくコートに転がった

佳乃「うう、サービスエースだよぉ、感激だよぉ」

しかし! この後とんでもない事態が!

綾香「審判、今のサーブ、変な音がしましたよ。調べてください」

綾香のアピールで佳乃に詰め寄る副審

副審「君、ちょっとその手首のバンダナを見せなさい」
佳乃「うう、駄目だよぉ。このバンダナを外すと恐ろしい事が」
副審「いいから、ちょっと見せなさい」
佳乃「駄目だってば。外すとピッコロ大魔王のふういんが」
副審「『封印』くらい漢字でしゃべらんかい。とにかく見せなさいっ」

聖 「佳乃に何をするかっ!!」
どきゃっ!!
聖のトラースキックが副審に炸裂

ごとんっ
はずみでバンダナの下から何かが落ちる鈍い音がした

副審「何ですか、今、床に落ちたこれは?」
佳乃「うう、鉄板だよぉ」
副審「競技規則第4条第5項2 競技者は競技に有利になるものを身に着けてはならない」
聖 「・・・・・・」
副審「はい、というわけで今の得点は取り消し。西園寺に1点ね。」
佳乃「はい・・・」
副審「それと、チームドクターさん。あなたは退場です」
聖 「はい・・・」

茂美「(は、恥ずかしいっ、東京まで来てこれかいっ・・・)」
留美「(私の知り合い、いないでしょうね・・・)」

トルシエ校長「こんな恥ずかしい部は何としても廃部ザマス」
ダバディー教頭「禿しく胴衣です」

晴子「聖センセ〜、こっちやこっち」

退場の聖、晴子と並んで観戦

晴子「先生も熱いな〜 驚いたわ」
聖 「お恥ずかしい」

圭子「なりふり構わない人達ですね」
綾香「向こうは負けたら解散、って言うのはどうやら本当だったみたいね」
レミィ「窮鼠猫を噛むネ。では行きます」

ぼんっ
ごく平均的なサーブがネットを越えた

留美「おっしゃあ」
七瀬のレシーブ

茂美「遠野さんっ」
きれいにトスが上がった

綾香「来るわよっ」
部員A「正式の部員の意地に賭けても止めてみせますっ」

対面の美凪をブロックしようと試みるが

ずばんっっ!!
部員A「???!!!」

どべし!
美凪のスパイクをまともに受けたAさんは、木の葉の様に宙を舞い、コートに叩き付けられた
ボールは弧を描き観客席に吸い込まれる

綾香「Aさんっ!」
駆け寄る西園寺の選手達

マルチ「志保さんに続いてAさんまで〜」
圭子「死んでませんからねっ!」
レミィ「死に水は取るからネ」
圭子「どうしても殺したいんですかっ!」
綾香「しっかりしてAさん」
部員A「先輩....わたし、最後まで名無しのままでしたね.....」

無念の涙を呑んで唯一の正式部員Aさん退場
西園寺側は早くも一回目のタイムアウト

綾香「あなたの出番が来るとは思わなかったわ」
セリオ「バレーボールのスキルはサテライトシステムでダウンロードを完了しています」
綾香「ならいいわ。どう、あのスパイクをレシーブできる?」
セリオ「可能です。実際に見て誤差を修正しました」
綾香「みんな、あのスパイクは全部セリオに任せるのよ。いい?」

一方、通天閣(仮名)側はうかれまくっていた

観鈴「にはは・・遠野さん絶好調〜」
佳乃「もうこの前の総得点の倍だよぉ」
往人「たった2点だろ、2点」
神奈「ということは、我々は前の二倍強くなったのじゃな」
観鈴「そうそう。これからどんどん強くなるんだよ、カーナビさん」
美凪「俺達は強い!・・・・なんちって」
留美「スラダンかい・・・」
佳乃「うう、ながあしの進歩だよぉ」
茂美「まだ2−1なのに、どうしてここまで浮かれられるのかしらね」
観鈴「川口さん、嬉しくないの?」
茂美「う、嬉しいに決まってるわっ。このまま一気にねじ伏せるわよっ」
留美「あなたが神尾さんに甘いからそうなるのよ・・・・・」

タイムアウトが解けて試合再開

茂美「あの小さい選手が穴みたいね」
マルチに狙いをつける茂美

往人「それを言ったらウチは半分が大穴だ」
みちる「うにゅ〜、身も蓋もない言い方だよ、それは」

茂美「えいっ!」
ばんっ! マルチを狙ったサーブがネットを越えた

セリオ「はいっ」
次の瞬間、マルチの前に割って入ったセリオがレシーブ

綾香「ナイスレシーブっ!」
ばんっ!!!
綾香の2アタックがあっという間に決まった

江夏「見たかね、チミ。完璧なレシーブだよ、チミ」
裏葉「ただものではありませんね、あの方」

西園寺はセリオのサーブだ

綾香「セリオ、後列のヘタレ1号を狙うのよ」
セリオ「あの霧島と言う選手ですね、了解しました」

聖「こ、こらっ!佳乃をヘタレとはなんだっ!」
晴子「セ、センセ、落ち着いてや・・」
聖は佳乃に関する事は離れていても聞き取れるのだ!

セリオ「行きます」
ばんっ!恐ろしく正確なコントロールでサーブが佳乃を襲う

留美「どこに来るか分かってればとれるわ。なめるんじゃないわよ!」
ぼんっ、割って入った七瀬のレシーブ

茂美「遠野さんっ」
茂美の絶好のトスが上がった

美凪「らーぶあた〜っく」
ずばんっ!! 轟音を響かせスパイクが炸裂した! と思った次の瞬間

セリオ「はいっ!」
ばーん 完璧なレシーブがボールを捕らえていた

茂美「えっ?」
留美「とられた?」

綾香「レミィ、トスよっ!」
レミィ「は、はいっ」

レミィのトスは絶好のボールとなった
綾香「アタック!」

ばんっ!綾香のスパイクはあっと言う間にコートに突き刺さった

場内は一気に大歓声に包まれる

マルチ「セリオさん、すごいですぅ〜」
綾香「完璧ね、サテライトシステム」
圭子「見てください、向こうは顔色無しですよ」

佳乃「が〜〜ん、ショックだよぉ・・・」
神奈「ま、まぐれじゃ、まぐれ」
茂美「だといいんだけど・・・」

綾香「今度はサービスエース狙わなくてもいいわよ。セリオ」
セリオ「はい、お嬢様」

留美「なめんじゃないわよ。今度こそ見てなさい」

裏葉「いえ、なめてるのではありませんわ」
江夏「どういうことかね、チミ?」

セリオ「はいっ」
サーブは正確に通天閣(仮名)側のコートに落ちる

留美「このっ!」
七瀬のレシーブ

裏葉「わざと遠野さまのスパイクを打たせたいのです」
江夏「わざとスパイクさせるのかね、チミ?」

茂美「今度こそ頼むわよっ」
美凪「あたっくけ〜ん」

ばばーん!!
再び強烈なスパイクが炸裂した!・・・が

ばんっ! セリオのレシーブが再び完璧に防ぐ!

レミィ「はい、綾香っ」
綾香「はいっ!」

ばーん! 再び綾香の電光石火のスパイクが決まった

場内は再び大歓声に包まれた

茂美「また・・・止められた・・」
留美「まぐれじゃなかった・・・」
佳乃「が〜〜〜〜ん、ダブルショックだよぉ・・」

裏葉「こちらの一番の武器である遠野さまのスパイクを完全に防いでみせるのが狙いだったのです」
江夏「そのためにわざとスパイクを打たせたというのかね、チミ?」
裏葉「はい、おそらく。切り札が通じない事を見せつけ、こちらの戦意を挫くためでございましょう」
江夏「それを、あの綾香という子は計算したのかね、チミ」
裏葉「あの綾香と言う方、勝負の機微をよくご存知でおられるようですね」

敬介「何て恐ろしい子だ、あ・あい〜ん・・」
往人「こんなときまでセリフ噛むなよ・・・」

美凪のスパイクが封じられては通天閣側に勝機はない
あっと言う間に第1セットを奪われるのであった・・・

ハーフタイムに入り、対抗策に苦心惨憺する通天閣(仮名)一同

佳乃「が〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん、とにかくショックだよぉ」
茂美「事態はこの前の試合より遥かに深刻ね・・・」
観鈴「がお・・・・負けちゃうよ、このままだと」
留美「終わってもいないのに何言ってんのよ!」
観鈴「がお・・・・七瀬さんが怒った」
神奈「おわっ、すぽおつどりんくをこぼしてしまったのじゃっ」
留美「おのれは、何ならちゃんと飲めるんじゃいっ!?」

みちる「江夏せんせい、何かいい策はないの?」
江夏「あのレシーブをどうすれば崩せるか、見当もつかないよ、チミ」

敬介が小声で往人にささやく
敬介「国崎君、何とかならないのかい、君の力で」
往人「無理だっての。遠野をジャンプさせるだけでクタクタだぞ」
敬介「ボールを変化させるとかだね」
往人「あんな、空中を動いてるものを、無理だって」

江夏「裏葉さん、どうしたのかね、チミ。すごい汗だよ、チミ」

美凪のスパイクのために裏葉は法術全開であったのだが・・・

みちる「にょわ、ほんとだ。裏葉もドリンク飲む?」
裏葉「かたじけのうございます」

神奈と違ってしっかりドリンクを飲みながら思案する裏葉
裏葉「(あの選手、心が読めませぬ。一体、何者・・・)」

一方、西園寺側は・・・

綾香「レシーブはセリオに任せて、レミィはトスに専念して」
レミィ「オッケーね。泥舟に乗ったつもりで任せナサイ」
マルチ「お嬢様、私全然お役に立ててないですぅ」
綾香「気にしないの。あのスパイクはセリオにしかとれないわ」
理緒「・・・・・・」
圭子「雛山さん、気分が悪いんですか?」
理緒「いえ、何でもないです」
セリオ「時間ですね」
綾香「さあ、みんな行くわよ!」

第2セットが始まった
通天閣(仮名)側の攻撃は全てセリオに拾われ、綾香のスパイクがコートに炸裂する

晴子「こるぁ〜〜〜〜っ!!、変なおじさん監督!何ぞ策は無いんかい、この玉無しっ!!」

往人「晴子のヤツ、場所が変わっても言う事は同じかよ」
観鈴「お母さん・・・」

みちる「たぶちせんせい〜」
江夏「何か、打つ手は無いのかね、チミ」
敬介「な、ないです、あ・あい〜〜ん・・・」

もとより打つ手などある筈が無かった

冷酷に試合は進み、スコアはマッチポイント0−24
西園寺圧倒的優勢のまま、試合は終わるかに見えた

綾香「さあ、決めるわよっ!」
理緒「・・・・・・・」
圭子「雛山さん、顔色が悪いですよ。大丈夫ですか?」
理緒「大丈夫です・・・」
綾香「何とか頑張って。あと1点だから」
理緒「(お、お腹が空いて目が回る〜。でも何とか我慢しなくちゃ)」

理緒は昼食に出た弁当を、家族へのお土産にするために食べていなかったのある

長瀬「どうやらこのまま終わりそうですな。あのスパイクが出たときは肝を冷やしましたが」
芹香「・・・・・・・・・・」
長瀬「まだ、何か気になる事がおありですかな? 大丈夫、あと1点で終わりでございます」
芹香「・・・・・・・・・・」
長瀬「そ、そうですな。油断大敵と申しますからな」

長瀬は心に芽生えた一抹の不安を拭えなかった

長瀬「(なぜだ? 何だ、この胸騒ぎは・・・)」

聖 「悔しいが、もはやこれまでかな」
ぎゅっ・・・こぶしを握り締める晴子
晴子「聖センセ、ウチちょっとトイレや」
聖 「あ、はい・・・」

カバンを持ってこそこそ物陰へ行く晴子

聖「神尾さん、負けるところを見たくないのかな・・・」

控え室へと駆け足で急ぐ晴子
晴子「待っとれや、観鈴。お母ちゃんが必ず何とかしてやるさかいな」

一方コートでは、いよいよ通天閣は追い詰められていた

美凪「あたっく〜にじゅうご〜」
ばば〜ん! うなる美凪のスパイクだが

セリオ「はいっ」
完璧に拾われる

レミィ「これで決まりネ」
レミィのトスがきれいに上がる

綾香「えいっ!!」
ばしっ!! スパイクがエンドラインぎりぎりを襲う

茂美「しまった!」
逆をつかれた茂美は動けない
ばしっ!! ボールは激しく床をたたいた

ばっ! 白い旗が上に上がった
線審「アウト!」

茂美「ふう・・・」
留美「助かった〜」

綾香「しまった、狙い過ぎちゃった」
圭子「ドンマイです、あと1点ですよ」

佳乃「さあ、ここから反撃だよぉ」

江夏「だが次のサーブは神奈君だよ、チミ」
みちる「うにゅ〜〜・・・もうダメ・・・」

神奈「こら、みちるっ!!余を侮るでないぞっ」
佳乃「そうだよぉ、万が一ってこともあるよぉ」

ば〜〜ん!!!
その時であった、コートに通じる控え室の扉が開いたのは

「待たんか〜い!!」

体育館の全ての人の視線が一点に集中した。・・・・・

謎の女「ウチがピンチサーバーやっ」

そこには通天閣のユニフォームに身を包み、オカメの面を被った謎(?)の女性が・・・

副審「だ、誰ですか、あなたは?」
謎の女「ウチは通天閣(仮名)第7のメンバー、オカメ仮面やっ」

気まずい沈黙が体育館を覆った

往人「・・・・・・」
みちる「・・・・・・」
敬介「・・・・・・」
江夏「・・・・・・」

裏葉「(今でございますね)」
すっと気配を消す裏葉

観鈴「・・・・・・」
留美「・・・・・・」
茂美「・・・・・・」

佳乃「ねえ、あの人だれぇ?」
美凪「考え中・・・考え中・・・」

聖 「・・・・・・・・」

長瀬「あ、あの女・・・お嬢様、試合前におっしゃってたのはこの事でございますか?」
芹香「・・・・・・・・・・・・」

綾香「試合前のメンバー表交換のとき、あんな人は載ってませんでしたよ」
主審「え?・・・載ってる・・・・・!?」
謎の女「そやろ? なら平気やっ!」

メンバー表を見直して唖然とする主審
もちろん、裏葉がたった今、密かに書き加えたのである

副審「ちょっと待ってください。あんなふざけたお面をした人、試合に出していいんですか?」
主審「いや、競技規則第4条第5項2 競技者は競技に有利になるものを身に着けてはならない、とある」
副審「だったら、あんなオカメの面を付けて試合するなんて」
主審「あんなものを付けてプレーが有利になると思うかね?」
副審「そんな・・」
主審「いやらしいまでにルールの盲点を突いているよ」

謎の女「全く、男ドアホウ甲子園を知らんのかいな」

美凪「アストロ球団・・・・ぽ」

圭子「綾香さん、いいんですか? あんな人の出場を認めて?」
綾香「構わないわ。ルールに反してないって言うんなら受けて立とうじゃないの」
圭子「でも・・・」
綾香「心配いらないわ。あの選手、肌のツヤの悪さや緩み具合から見て二十台の終わりか、三十路前半ね」

謎の女「何や、誰かがウチの悪口言ってるような気がするで」

圭子「それは、もはや高校生ではないんじゃあ・・・」
綾香「あの張りのない筋肉は、おそらく酒か何かで弛みきってるそれよ。恐れるには足りないわ」
圭子「はい・・・」

神奈「こら、余が次のさあばあなのじゃぞ。勝手に決めるでないっ」
晴子「パックのジュースも飲めんお子様は休んどき。ウチにお任せやっ」

神奈を押しのけるオカメ仮面

裏葉「神奈様、こちらへ」
神奈「全く、余を誰だと思っておるのじゃ・・・」
裏葉の隣に腰をおろす神奈

ゆっくりとモーションに入るオカメ仮面
にょほほ〜・・・という効果音が聞こえてきそうだ
謎の女「いくでぇ〜」

べしょっ
活きの悪い音と共に異様なサーブが発せられた

みょおおおおお・・・・
ハエの止まりそうなサーブは辛うじてネットを越えた

綾香「こんなサーブ誰でも取れるわっ」

セリオがレシーブの体勢に入ったそのときであった

マルチ「これなら・・・私でもレシーブできます」
球道の前にマルチが割り込んできた
無論、彼女にはボールしか見えていない

圭子「あぶない!」
レミィ「ぶつかる?」

セリオの電子頭脳は瞬時に計算を下した
「衝突回避不可→最優先事項=マルチさんの安全確保」

がつんっ!!鈍い衝突音がした
ボールはコートに落ち、マルチを抱き止める格好でセリオが倒れている

理緒「マルチさん!」
圭子「セリオ!」

駆け寄る西園寺のメンバー

綾香「二人とも、大丈夫?」
マルチ「私は・・・セリオさんのおかげですぅ」
圭子「セリオ、アンテナが・・・」

壊れたアンテナをレミィが拾い上げる
レミィ「ダメですネ。完全に壊れてます」
セリオ「接続部にも少しダメージを受けました。サテライトシステムは・・・使えません」
マルチ「すみませ〜ん・・・私のせいで・・・」

さわっ・・・・二人のメイドロボの頭をそっとなでる綾香

綾香「セリオ、あなたは身を呈して友達を守ったのよね。」
セリオ「分かりません。ただあのときは、それが最も優先されるべきかと」
綾香「マルチも、何とかチームの役に立ちたかったのよね」
マルチ「は、はい・・・」

ぎゅっ・・・二人を抱きしめる綾香

綾香「二人とも、もう何も言わなくていいわ。」
マルチ「はい・・」
セリオ「お嬢様・・・」

長瀬「ああ、二人は更に限りなく人間に近付いたのですね。年甲斐もなく涙が出て参りました」
芹香「・・・・・・・・・・・」

往人「何かよくわからんが、向こうは感動のシーンらしいぞ」
裏葉「そうでございますね」

綾香「正直、サテライトシステムを使うのはずるいかな〜、って思ってたの」
圭子「綾香さん・・・」
綾香「セリオ、あなたも一人の等身大のプレイヤーとして戦いましょう」
セリオ「はい、お嬢様」
綾香「全力で、正々堂々と戦いましょう、みんな!」
西園寺一同「はいっ!!」

観鈴「にはは、正々堂々」
佳乃「そうだよ、こっちもせいせいどうどうだよぉ」

裏葉「・・・・・・・」
往人「・・・・・・・」
敬介「・・・・・・・」

みちる「んにゅ?どうしたの黙っちゃって」

謎の女「いくでえっ」

べろ〜ん・・・・
気だるいサーブはまたも辛うじてネットを越える

圭子「はいっ」
難なくレシーブ!

綾香「レミィ、思い切り高くトスしてっ!」

レミィ「はいなっ」
ぽーん
レミィのトスは男子の最高到達点レベルまで上がった

綾香「ブロックできるものならやってみなさい!」
ダンっ!!
助走をつけて思い切り飛び上がる綾香

茂美「ええっ?!」
留美「高いっ!!」

ぎゅっ!
神奈の手を握りしめる裏葉

神奈「おわっ、どうしたのじゃ裏葉っ?!」
裏葉「(翼人の力を、観鈴さまに・・・)」

ふわっ・・・いきなり宙に浮く観鈴
観鈴「が、がお・・・?」

敬介「なっ?」
往人「観鈴に・・翼が?」

その瞬間、往人は確かに見た。翼を広げ宙に舞う観鈴の姿を

綾香「!?そんな」

ばしっ!!
自分と同じ高さまで到達した観鈴に驚愕しながらも、渾身のスパイクを放つ綾香

バーン!
観鈴ちんの顔面ブロック!!

ばしっ!!
理緒「きゃっ!!」
弾き返されたボールは勢いの全く衰えないまま理緒を直撃! 

ころころ・・・気付いた時、ボールは西園寺コートに転がっていた

どさっ・・・
コートに落ちて倒れる観鈴

茂美「神尾さんっ!?」
謎の女「観鈴っ!!」

駆け寄る一同

一方、理緒も立ち上がれなかった
空腹にボールの直撃がとどめをさしたのだ

マルチ「雛山さん、死なないでください〜」
圭子「死にませんっ!!」
レミィ「何か言い残す事はないデスカ?」
圭子「どうしても殺したいんですか、皆さんは?」

一方、観鈴を抱き起こすオカメ仮面

謎の女「観鈴、しっかりするんや」
観鈴「おか・・・オカメさん・・・私、頑張ったよね・・」
謎の女「ああ、頑張ったで」
観鈴「目立ってたよね・・・」
謎の女「ああ、最後に目立ってたで」
往人「気にしてたのか観鈴、影が薄かったのを・・・」
観鈴「にはは・・・ぶいっ・・」

がくっ・・・オカメ仮面の腕の中で力尽きる観鈴

謎の女「観鈴ーっ・・・・・・・」

美凪「あのうみーどこまでーもー」
留美「気絶しただけでしょうがっ」

佳乃「うう、感動だよぉ・・ぶいっ!」
神奈「ぶい、なのじゃっ!」
茂美「ぶいよっ!神尾さんっ!」

留美「(か、川口さんまで・・・)」

江夏「ぶいなのだよ、チミ」
敬介「ぶいだよ、あい〜ん」
美凪「ぶいぶいぶい・・びくとりー」
みちる「美凪・・・・」
裏葉「ぶいでございます」

留美「わ、わたしも・・・ぶい・・」
往人「結局周囲に流されるんだな・・」

主審「ぶいっ・・・」
トルシエ校長「審判、何やってるザマス! 試合はどうなったザマス?」
副審「そうですよ、どうするんですか、この試合?」
主審「と、言ってもねえ。両チーム試合続行不可能だから、引き分けかな」
ダバディー教頭「そんな・・・」

佳乃「と言う事はぁ」
茂美「負けなかったんだから、廃部じゃないわよっ!!」
神奈「そうなのか、裏葉? ばれえ部はなくならないのじゃな?」
裏葉「そうですとも、あと千年は大丈夫でございます」
みちる「それは言い過ぎだよ・・・・」

圭子「綾香さん・・・」
綾香「みんな、よくやってくれたわ。勝てなかったのは残念だけど」
セリオ「お嬢様・・」
レミィ「まずは三人の勇者のお墓を作るネ」
マルチ「はい、志保さん達には安らかに眠ってもらいたいです」
圭子「どうしても殺したいんですかっ!?」

長瀬「お嬢様、ご立派でしたぞ・・・」
芹香「・・・・・・・・・・・・・・」

佳乃「あれぇ、オカメさんがいないよぉ」
往人「そりゃあ、いつまでもいないだろ」
佳乃「誰だったのかなあ、オカメさん?」
留美「し、知らないわよ」

晴子「いや〜、便秘がやっと治ったわ。なんや試合終わってるがな」
聖「(神尾さん、あなたって人は・・・・・・)」

何も言えない聖であった

晴子「でも、久々にぎょうさん(運動)したら腹減ったわ〜」
聖「ん、神尾さん。何を食べているのだ?」
晴子「なかなか、いけるわ、この弁当」
聖「そんな御弁当、どこで売っていたかな」
晴子「選手の控え室のとこにあったんや。きっと余ったんやな」
聖「いいのかね、勝手に食べて?」
晴子「ウチの観鈴ちんが試合に出とるんや。選手の身内は選手も同然やっ」

訳の分からぬ理屈で晴子の胃の中に消える理緒の弁当であった

観衆の拍手に包まれながら退場する両チームの選手達
その後、西園寺バレー部は何とか部員を確保し、廃部を免れたという・・

その夜・・・

観鈴「にはは、ただいま〜」
晴子「お帰り。なんや、遅かったな」
観鈴「聖先生にしっかり診察してもらったからだよ」
往人「回復の早いやつだ」

どんっ・・テーブルに一升瓶を置く晴子

晴子「さあっ、廃部免れ記念の酒盛りやっ」
観鈴「私、未成年・・・」
晴子「いいから飲めっ」
美凪「ぐびぐびぐび・・・・・・」
往人「と、遠野っ?」
美凪「れっどすねーく・かも〜ん」
観鈴「ああっ、遠野さんが大変なことにっ」


一方、霧島診療所では

佳乃「ねえ、お姉ちゃん。あのオカメさんは誰だったのかなあ・・」
聖 「ははは・・・・案外ポテトの変身じゃないのか・・・」

ぴこぴこぴこ・・・・・ポテトは不思議な踊りを踊った

佳乃「ポテトのおかげだったんだね、ありがとぉ〜」
聖「(いつかは真実を語るときも来よう・・)」


かくして、なし崩し的に廃部をまたも免れた通天閣(仮名)バレー部
しかし、彼女達の前には、きっと新たなる試練が待ち構えているだろう(多分)
その時に備え、今はその疲れた体を休ませよ、乙女達よ
次があるかどうかは知らないが・・・・・・


試合結果

通天閣(仮名)対 西園寺女学院

第1セット 2−25 
第2セット 3−24

両者試合続行不可能により引き分け  


[51] 「かおりんの魁は止まらない♪」  投稿者:しお〜 投稿日:2001/12/26(Wed) 21:08:30

(注)今回はクロマティ高校が元ネタです。読んでない人にはあまり面白くないと思います。読んでいても面白いとは限りませんけど。

私の名前は美坂香里。でもみんなからは「栞の姉」くらいにしか見てもらえないわ。
いま私は大きなバースデーケーキの中に隠れているのよ。なぜそんなことをしてるかというと・・・・・・

(回想)
美汐「実は来週、真琴が誕生日を迎えるのです」
香里「真琴の誕生日って・・・・・・」
美汐「設定とかツッコミたいのはわかりますが、我慢して聞いて下さい。
   とりあえず真琴の誕生日なのですから、ここは祝ってあげないほうが人として不出来でしょう」
香里「それで、私にできる事でもあるの?」
美汐「あります。しかも真琴の誕生日を盛り上げると同時に、香里さんの存在を強くアピールできる画期的な方法です」
香里「私の存在をアピール!? という事は、みんなが私を脇役扱いしなくなるということ?」
美汐「その通りです」

そしてその方法が、まずバースデーケーキの中に隠れる・・・・・・
そして真琴がローソクの炎を消す瞬間、まさにパーティーのクライマックスでケーキから飛び出して
「ハッピーバースデー!」
と叫ぶ・・・・・・という作戦なのよ。
一つ疑問なのは、これってもしかしたらプレイメイトやお色気タレントがやるような色モノ扱いなんじゃないかということだわ。
でもここまで来たらやるしかないわね。ただ一歩間違えれば取り返しのつかない寒い状況になりそう・・・・・・

PRRRRR

美汐「もしもし」
香里「私よ。今ケーキの中から電話してるんだけど・・・・・・
   真琴がローソクを消す時に飛び出す作戦だけど、あまりそれにこだわらない方がいいと思うんだけど」
美汐「オイシイ時があれば臨機応変に出た方がいいという事ですね。でも、今は出ない方がいいです」
香里「どうして?」
美汐「舞さんが歌を歌ってるからです
香里「舞さんが!?」
美汐「私の言ってる意味、分かりますよね?」
香里「わかるわ‥‥舞さんが歌ってるってだけで反則よ・・・・・・っていうより私も見たいくらいだわ」
美汐「要するにここでどんなギャグをやっても、100%すべってしまうと言うことです・・・・
   失礼な言い方かも知れませんが、香里さんでは今ケーキから飛び出しても誰も相手にしない危険性があります」
香里「わかったわ」
・・・・・・でもこれってギャグだったのかしら。

PRRRRR

美汐「天野です・・・「いい知らせ」と「悪い知らせ」がありますが、どちらから聞きますか?」
香里「・・・・・・とりあえずいい方から聞いておくわ」
美汐「いい知らせは、舞さんの歌が終わった事です」

『パチパチパチ』『ヒューー!ヒューー!』『ピィィ〜〜〜』

香里「それはいい知らせね・・・で、悪い知らせは?」
美汐「アンコールを要求されてます

『アンコール!アンコール!アンコール!』

美汐「意外とうまいんですよ、歌が・・・・・・」
香里「・・・ねえ天野さん、やっぱりこの作戦ダメなんじゃないかしら」
美汐「気を落としてはいけません。頑張っていれば、いつか光が見えてくるというものです」
香里「ちょっと! あゆちゃんが勝手にケーキを食べ始めたわよ!」
美汐「え・・・これは予想外でした」
香里「ケーキに穴が空いて光がさして来たんだけど」
美汐「こんな形で光が見えてくるとは、わからないものですね」
香里「冷静に言ってる場合じゃないわよ!今あゆちゃんと目が合ったわよ!」
美汐「私が鯛焼きであゆさんの気をそらします。何とか持ちこたえて下さい」

祐一「さあ、そろそろ真琴にプレゼントを渡そうぜ」
祐一「佐祐理さんから、まじかる☆ステッキのプレゼント」
佐祐理「あははーっ、ありがたく受け取って下さいねーっ」
真琴「あうーっ、ありがとう」

祐一「秋子さんから、手作りジャムの詰め合わせ」
秋子「おめでとう、真琴」
真琴「・・・・・・ありがとう」

名雪「それじゃ、そろそろお開きにしようよ」
美汐「ちょっと待ってください、何かお忘れじゃありませんか皆さん」
北川「ああ、ケーキか・・・」
栞「肝心のバースデーケーキを忘れてましたね」
美汐「そう、ケーキです。さあ真琴、心おきなく食べてください」
真琴「あうーっ、真琴はケーキより肉まんの方がいいよっ」
秋子「まだこっちにいっぱいあるわよ、真琴」
真琴「わーい♪」
美汐・香里「な!?」

(後日、校舎屋上)
美汐「好き嫌いを考えてませんでした・・・・・・こうなったら次は栞さんの誕生日ですね」
香里「アイスケーキの中で凍えてるなんてオチはイヤよ・・・・・・」
二人の横でもくもくと鯛焼きを食べているあゆ(ゴリラ)


[50] 『天野行進曲・キネマの天地』 投稿者:○川 投稿日:2001/12/22(Sat) 18:48:21

北の町も夕刻に差し掛かった頃、とある一軒の家で謎のイベントが始まろうとしていた

美汐「というわけで、皆さん今夜はようこそ、天野家映画祭へ」

真琴「あう〜、どんどんぱふぱふ〜♪」
香里「何で私がこんなところにいるのよ」
名雪「どんな映画が見られるか楽しみだね」
祐一「お前、本当にそう思っているのか?」

美汐「というわけで、先ずは当映画祭の審査員の御紹介です」

かざす手の先には3人の審査員

審査員1「ようこそ、美汐の父です」
審査員2「美汐の母でございます」
審査員3「美汐の弟です」

真琴「あう〜、美汐の主治医だよ」
あゆ「美汐殿の家臣だよ、うぐぅ」
香里「くだんないこと言ってんじゃないわよっ!!」

べきょっ! ぼこっ!

真琴「あう〜・・・」
あゆ「うぐぅ・・・」
香里「にしても・・・何か、能面の展示会みたいな一家ね」
栞 「家族が審査員なら、私たちは何なんでしょうか?」
美汐「サクラです」
祐一「お前、それはないだろ」
美汐「では早速最初の作品を行ってみましょう」
祐一「無視かよ」
香里「(つまらない意見はシカトして進める。やるわね、天野さん)」

感心する香里をよそに演目を進める美汐

美汐「まずはこの手の映画祭の定番『死霊の盆踊り』からです」
香里「どこが定番よっ」
美汐「ご不満ですか? わざわざ世間に知名度のある映画を最初に持ってきたのに」
香里「こんなのから最初に上映する映画祭がどこにあるのよ?」
美汐「これでも世間に目一杯歩み寄っているんですが」
香里「みんな寝ちゃってもしらないわよ」
美汐「失礼ですね。この映画のどこに眠くなるところがあるんですか?」
祐一「名雪なんて、タイトル聞いただけで寝てるよ・・・」
名雪「くー・・・・」
美汐「全く、使えないサクラですね」
祐一「お前、さり気なくヒドイ事言ってるぞ」
美汐「分かりました。では変更しましょう。」
香里「わざわざ人の家に眠りに来たわけじゃないのよ、全くもう・・・」

気を取り直して(見た目は変わらないが)上映を進行する美汐

美汐「次は日本の『フィールドオブドリームス』と言うべき名作の登場です」
北川「そんな映画あったっけ?」
美汐「実写版『ドカベン』です。ごゆっくりお楽しみ下さい」
香里「ちょ、ちょっと待ちなさいっ」
美汐「色々と注文の多いサクラですね」
香里「サクラとか言う以前に、この映画のどこが日本の『フィールドオブドリームスなのよ?」
美汐「こっちの方が先ですから、本来は向こうが、アメリカの『ドカベン』と言うべきなのですが」
祐一「比較する事自体が間違ってると思う」
美汐「いやですね、ハリウッド映画というだけで盲目的に追従する日本人は」
香里「日本人とかアメリカ人とか言う以前の問題よっ」
真琴「あう〜、拓ぼんが殿馬」
香里「見てんじゃないっ!」
美汐「ふっ・・仕方ないですね。では別の映画に行きましょうか」

こだわりが有るのか無いのかよく分からない美汐

香里「何よ、その人を見下したような態度は?」
美汐「本来ならこの様な言い方は、さっきも言ったように適切ではないのですが」
香里「だったら言わなきゃいいじゃない」
美汐「大衆に歩み寄ってるんですよ。次は和製『ジュラシックパーク』とも言うべき名作の登場です」
香里「何か、予測できてきたわよ・・・」
美汐「お楽しみ下さい『恐竜・怪鳥の伝説』です」
香里「ドカベンと来たからまさかとは思ったけど、やっぱりかい!」
美汐「25年前この『恐竜・怪鳥の伝説』は『ドカベン』と2本立てで公開され、全国に反響を巻きおこしました」
香里「おこしてないわよ」
美汐「まさに邦画史上最強の二本立てと言っても過言ではありません」
香里「ある意味最強なのは認めるけどね」
美汐「香里さんはケチを付けるためにここに来たのですか?」
香里「気が付いたらここにいたのよ。別に好きで来たわけじゃないわよ」
美汐「見てもいないのに、俗世間の評価を鵜呑みにするのは恥ずべき事です」
香里「あなたの評価を真に受けるのも問題だと思うわ」
美汐「水島先生自らが演じるプレシオサウルスが湖から現れるシーンは、今でも感動します」
香里「ごっちゃになってるじゃないのよっ!」
美汐「子供の記憶なんていい加減なものです」
香里「無茶苦茶言ってるわね、全く・・・」

もはや二人の掛け合いの様を呈してきた映画祭

栞 「あの、いつになったら映画が始まるんですか?」
祐一「名雪はいいよな、寝てりゃいいんだから」
名雪「うにゅ・・・・・・」

美汐「サクラが騒がしいので、次の作品に行きます」
北川「考えてみると、あんまりな言い草だよなあ」
香里「本当に映画が用意してあるのかも怪しいわね」
美汐「次は日本の『オリエント急行殺人事件』とも言うべきこの作品です」
香里「ちょっと待ってちょうだい。ひょっとして水野大先生のあの映画?」
美汐「香里さんも、やっと上映作品の価値が分かって来たようですね」
香里「この映画祭のパターンが掴めてきただけよっ」

一連の会話を感慨深げに見つめる美汐の家族達

美汐の父「ご覧、母さん。美汐があんなに楽しそうにお友達と語り合っているよ」
美汐の母「もともとは、沈みがちなあの子を慰めるために始めた事でしたのに」
美汐の弟「もう、お姉さまは大丈夫ですね。あんなに友達がたくさんできたんですから」

美汐「では、次も思い切り世間に歩み寄った作品を行きましょう」
香里「いちいちそういう言い方しないと紹介できないの?」
美汐「『ハムナプトラ2』です。ロック様が○○な××に♂♂する様をじっくりお楽しみください」
香里「それは本業の話でしょうがっ!」
真琴「あう〜、とくと味わえ、かおりんの妙技をな」
北川「是非味わいたいぞ」
香里「何を言ってるかっ!!!」

すこん!! ぱこーん!!!!

美汐「マット界の真の姿がよく分かる映画です」
香里「『ビヨンド・ザ・マット』とごっちゃになってるわよっ!」
美汐「子供の記憶なんていい加減なものですから」
祐一「違うだろ・・・・」
名雪「く〜・・・・」
栞 「今、私は心底名雪さんがうらやましいです」

美汐の父「あんな積極的な美汐を見るのはいつ以来だろう」
美汐の母「どんな映画よりも感動を呼びますわ」
美汐の弟「お姉さま、輝いてます」

美汐「次はいよいよ感動を呼ぶ、新東宝・海女映画シリーズです」
香里「何の感動よ? 何の?!」
北川「香里が海女さんなら、俺は大感動だ」
真琴「あう〜、アワビにワカメにハマグリ〜」

ばきばきばきっ!!!

かくしてバイオレンスと掛け合いの映画祭は
肝心の映画を上映することなく延々と続くのでありました・・・・

美汐「いや〜、映画って本当にいいものですね」
祐一「本当にそう思ってるの?」


※※※※※※※※※※※※※※※ あとがき ※※※※※※※※※※※※※※※

筆者は本文中に引用した映画を、一分一秒たりとも見ておりません。

過去十年で劇場で映画を観たのは一回しかないという極めていい加減な

知識のもとに書かれておりますので、深く突っ込まないようお願い致します。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


[49] うぐトラマンあゆ 第12話「うぐぅ暗殺計画後編・私だけのジハード」の巻 投稿者:○川 投稿日:2001/12/12(Wed) 20:36:16


地球を眺めながら、いつにも増して御満悦の晴子さん

晴子「いよいよ、もうじきあの青い地球もウチらのもんやっ」
観鈴「にはは、久しぶりに侵略宇宙人らしいセリフだね」
晴子「そやっ、これで甲子園球場も武田商店もウチらのもんなんやっ」
観鈴「楽しみ、楽しみ〜」
晴子「さあ頼むでぇ、サチヨ星人」
観鈴「ああっ、見て、お母さん!」

勝手に戸棚を開けて酒を飲むサチヨ星人

晴子「こ、こらっ!それはウチのとっておきのヤツやっ」
サチヨ「何よ、ケチくさいわね。そんなだから男運が無いのよ」
晴子「よ、余計なお世話やっ!」
観鈴「ああっ、今度は頼んでもいない上寿司の出前がっ!」
サチヨ「どんどん、持って来てちょうだい。払いはそこの人にお願いね」
晴子「あかん、やっぱりこいつは、さっさと地球に行ってもらわな」

てなわけで、巨大化して地上で暴れるサチヨ星人
人類は星人の猛威の前に久しぶりに為す術もなかった

群衆A「おお見ろっ、星人が神社の御賽銭を盗っているぞっ」
サチヨ「いいのよ、落ちてるんだから」

群衆B「おお見ろっ、星人が高級品店の宝石を盗っているぞっ」
サチヨ「いいのよ、たくさんあるんだから」

群衆C「おお見ろっ、星人が領収書を捨てているぞっ」
サチヨ「いいのよ、どうせ申告しないんだから」

星人の暴れっぷりをただ見ているしかない一同

香里「すっごく嫌な侵略ね」
栞 「このまま地球は征服されてしまうんでしょうか?」
真琴「あう〜、どうすればいいの」
美汐「どうしようもないですね」

ぼかっ!

香里「諦めてるんじゃないわよっ!」
北川「何で俺が殴られるんだよ」
美汐「あゆさんがいなければ巨大化した星人には太刀打ちできません」
香里「わかってるわよ、そんなこと・・・」

その頃あゆは特命課の執拗な取調べを受けていた

桜井刑事「さあ、いい加減に正直に話すんだ」
吉野刑事「罪を認めて早く楽になるんだ」
あゆ「うぐぅ、暑苦しい取り調べだよ〜」

橘警部補「あの子、なかなか口を割りませんね、オヤジさん」
船村刑事「因果な商売ですねえ、刑事ってやつは」

神代課長「どうかね、取調べの方は?」
橘警部補「かなり、てこずってますね」
神代課長「今回のヤマには何かあるような気がする。慎重に頼むよ」

津上刑事「さあ、風呂場で男の入浴を覗いただろう」
あゆ「うぐぅ、そんなもの見てないよ」
高杉刑事「何て往生際の悪いやつなんだろうねえ」


一方、サチヨ星人は更に暴れまくっていた

群衆A「うわ〜、ナベツネが怪獣に踏み潰された〜」
群衆B「うわ〜、いまだにニュージーランドの柔道の審判が怪獣に踏み潰された〜」
群衆C「うわ〜、百瀬が怪獣に踏み潰された〜」

香里「最後のはちょっとヤバイわね・・・」
美汐「そうですね」
北川「ナベツネは員数合わせかよ」

群衆D「うぐトラマンはどうしたんだ〜?」
群衆E「何で助けに来てくれないんだ〜?」

そのあゆが警察で東映的な取り調べを受けていることなど人々には知る由も無かった

桜井刑事「さあ、いい加減に認めたらどうなんだ」
あゆ「うぐぅ、知らないってば〜」
船村刑事「桜井君、私が代わろう」
桜井刑事「オヤジさん・・」

あゆに語りかける船村刑事

船村刑事「お嬢ちゃん、少し私の話を聞いてくれるかな」
あゆ「うぐぅ・・」
船村刑事「そう、あれは確か〜・・・・刑事になって2年目の事だったんだが〜」

吉野刑事「桜井さん」
桜井刑事「そう、オヤジさんにかかって落ちないホシはいない。」

船村刑事「岩海苔は一つ一つ、岩に貼り付いているやつを手で剥がしていくんだ」
あゆ「うぐぅ、いつの間にかワケの分かんない話になってるよ〜」
船村刑事「冬場のこの取り入れの仕事は、とっても辛いんだなあ〜、これが」
あゆ「なんだか、もうどうでもよくなってきたよ・・・」

橘警部補「おお、さすがはオヤジさん」
津上刑事「もう一息ですね」

あゆが思わず容疑を認めそうになったその時、取調室の扉が開いた

桜井刑事「こら、部外者が勝手に入っちゃいかん」
神代課長「あ、あなたは・・・」

秋子さん「お邪魔しますね」
あゆ「あ、秋子さん、助けてよ〜」
秋子さん「さあ、あゆちゃん、帰りましょう。」

吉野刑事「こ、こら、何を言ってるんだ、あんた?」
神代課長「いいんだ、吉野。・・・どうぞ、お連れください」
桜井刑事「課長、一体どうしたんです。あの女性は何者なんですか?」
神代課長「桜井、余計な詮索は無用だ。直ちに釈放するんだ」

秋子さん「どうも、お邪魔しました。さあ、あゆちゃん、外にはお客さんが待ってるわよ」
あゆ「うん、ボク頑張るよ」
船村刑事「ちょっと待ちたまえ。お嬢ちゃん、この岩海苔の佃煮をもっていきなさい」
あゆ「うん、ありがと」

ビン入りの佃煮を持って悠々と去っていく、秋子さんとあゆであった

桜井刑事「オヤジさん、今の女性は一体?」
船村刑事「因果な商売だねえ〜、刑事ってやつは」
高杉刑事「東映的だねえ、全く」
神代課長「まさか、あの方がここに現れるとは・・・」

二人が外に出ると、サチヨ星人が相変わらず暴れまくっていた

秋子さん「さあ、あゆちゃん。ここからは円谷的に戦うのよ」
あゆ「うん、見ててね、秋子さん」

べかべか〜〜〜
生ぬるい光とともに、正義の巨人うぐトラマンあゆ出現

群衆A「おお、うぐトラマンあゆだっ」
群衆B「頼むぞ、あゆ」

香里「あゆちゃん?」
栞 「あゆさんは、どうやって星人を倒すつもりなんでしょう?」

にらみ合うサチヨ星人とあゆ

サチヨ「よく、出てこられたわね。でも所詮、コロンビア大学卒の私の敵ではないわ」←例によって経歴詐称
あゆ「そんなこけおどしに怯むボクじゃないよ。喰らえ、海王キィ〜〜ック!」

ごいん!
あっさり外骨格に弾かれるあゆの蹴り

あゆ「じゃあ、久々のオリバ流アンチェインキィ〜〜ック!」
ごいん!
あゆ「鎬流勘違いキィ〜〜ック!」
ごいん!

香里「何も考えてないじゃないのよっ」
美汐「やっぱり行き当たりばったりでしたか・・・」
真琴「あう〜、街がめちゃくちゃ〜」

ぶーーーーん・・・・・
自家用機から街を見下ろす石原都知事

石原都知事「今度こそ、真の破壊と建設がもたらされるにょ、ひっひっひ・・・」

美汐「高いところなら怪獣に踏まれないと思ってるんですね、全く」
栞 「あゆさん、しっかり! 今までの辛かった特訓を忘れたんですか?!」

あゆ「うぐぅ・・・・・・・・・」

あゆの脳裏に今までの数々の理不尽な特訓の思い出が鮮やかに甦って来た

あゆ「うぐぅ、何か思い出したら腹立ってきたよ・・・」

香里「そうよ、その怒りを星人にぶつけるのよっ」

あゆ「本当は香里さんにぶつけたいんだけど、後が怖いから・・・」

背中のリュックからビンを取り出すあゆ

香里「あれは!? 秋子さんの数あるジャムの中でも最凶を誇る、オサマ印のミックス・ジャム!」
美汐「謎ジャムをオチに使うのは、反則だと私は思います」
香里「この際、背に腹は代えられないわ。あゆちゃん、それで星人の外骨格を粉砕するのよ」

あゆ「というわけで、おばさん覚悟しなよっ!」

がしっ!!
知事の飛行機を鷲掴みにするあゆ

石原都知事「わっ、何すんだ、こらっ!?」

あゆ「必殺アルカイダアタァ〜〜ック!!」

飛行機にジャムを詰めて投げつけるあゆ

ぼか〜〜〜〜んんん!!!
爆発と同時に物凄い煙が上がった

香里「すごい・・・これがジャムの威力・・・」
美汐「煙を、よく見てください」
栞 「煙が、人の顔の様に見えます」
北川「なあ、都知事は・・・」

ジャムと反応した強化外骨格が、煙を発して消滅してゆく
天に昇って行く煙は、確かに人の安らいだ顔の様にも見えた

香里「外骨格に篭められた怨念が浄化されて天に昇って行くわ」
栞 「秋子さんのジャムが、成仏させたのですね」
真琴「あう〜、秋子さんは仏様」
北川「都知事も仏様になったんじゃないのか?」

群衆A「おお、星人の肉体そのものが消滅していくぞ」
群衆B「外骨格が消えて、ドロドロの中身を支えきれなくなったんだ」

美汐「勝ったんですね」
香里「喜ぶのは早いわ。見なさい」
栞 「あれは!?」

煙が完全に消え去った時、人々の目に飛び込んできたもの
それは顔だけとなりながらも触手を伸ばし宙に浮かぶサチヨ星人の姿であった

サチヨ「まだまだ終わってないわよ」
あゆ「うぐぅ・・・」

香里「何と言う生命力なの」

桜井刑事「オヤジさん、何て禍々しい姿なんでしょうか」
船村刑事「いかにも東映的な姿だねぇ〜〜、桜井君」

サチヨ星人「今回はとりあえず引き下がるわ。いずれまた会いましょう、お嬢ちゃん」

そのまま宇宙へと消え去るサチヨ星人であった

香里「すっごい嫌なビジュアルだったわね」
栞 「また来るんでしょうか?」
美汐「とりあえず今回は反則オチで逃れましたね」

ともかく今回は都知事の尊い犠牲の上に地球の平和は守られた
でも盗られたものは結局帰って来ないぞ。
負けるなあゆ!地球を守れ、うぐトラマンあゆ!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

晴子「今度こそいけると思ったんやけどな〜。あかんかったな〜」
観鈴「もうあの人とは関わりたくないよ、お母さん」
晴子「そやな。酒は全部飲まれるし、デメリット有り過ぎやった」
観鈴「次はどうするの?」
晴子「次は燃える男、星野新監督やっ。今度こそ猛虎復活やっ」
観鈴「3年前も同じこと言ってたね・・・・・」
晴子「やなこと思い出させんといてや。新しいタイガースの誕生やっ」
観鈴「鍋だけ替えても具が腐ってたら同じだよ」

ぼかっ!!

果たして猛虎復活はあるのか?
地球の運命は星野新監督(多分)の肩にかかっているのだ
でもヘッドコーチがたぶちさんじゃねえ・・・・・


[48] 泥沼不評シリーズ第8弾「かおりんの魔法は止まらない」 投稿者:○川 投稿日:2001/12/10(Mon) 20:26:53


真琴「あう〜、とうとう山田の手首がっ」
香里「あなたは他に考える事はないのっ?!」

ぼかっ!!

相変わらずの国際女子プロレスの面々である

真琴「あう〜、痛いよ、何すんのさ、香里」
香里「今時、ドカベンにこれほどのめりこむ人も珍しいわね、全く」
真琴「だってチャンピオンの看板だよっ」
香里「知名度と面白さは別問題よ」
美汐「確かに、BJ、がきデカ、マカロニと並べば、どれが看板とは言い辛いですね」
香里「いつの話よ!? いつの!?」
真琴「あう〜、たかがマンガの事で熱くならないでよ香里」
香里「誰のせいよっ!!」

そこに割って入る影が・・・

栞 「お姉ちゃん、落ち着いてください」
香里「珍しいわね、栞がコタツから出てるなんて」
栞 「そんなこと言うお姉ちゃん嫌いです」
香里「で、どうしたのよ、一体。何かあったの?」
栞 「実は、本を出さないかって企画が来てるんですよ」
香里「本を? あなたが? また清岡純子写真集?」
栞 「違います。ウチの団体を取材するんです」
名雪「わ、びっくり」

さっと色めき立つ一同

名雪「じゃあ『私とぴろ』なんてテーマでどうかな、香里?」
香里「それじゃ単なる猫好きのエッセイじゃないの」
名雪「だって、猫さんなんだよ」
香里「しかも猫アレルギーなのに」
あゆ「ねえ、ボクのアイディア聞いてよ」
香里「それで、どこの企画なのよ、栞?」
あゆ「ひどいよ、香里さん・・・」
栞 「フリーのライターさんの持ち込み企画なんですよ」

表情がかすかに曇る香里

香里「フリー? あんまり期待でき無さそうね」
美汐「急に態度が冷淡になりましたね」
香里「フリーライターなんて、この前の立ちんぼのお姉ちゃんよりも不安定な職業よ」
美汐「逆に思い切った企画ができるかもしれませんよ」
香里「ま、いい方にとればね・・・」

二人をよそに皮算用に精を出す残りの一同

北川「出だしは俺のモノローグから、ってのはどうだ?」
あゆ「カラーグラビアにはボクの写真を」
栞 「カットは私が描きます」
名雪「栞ちゃん、それはやめた方が・・・」

香里「浮かれすぎよ。具体的な事は何も決まってないのに」
美汐「日本がH組を簡単に通過できると思ってるようなものですね」
真琴「あう〜、日本はHな組〜」
香里「違うっ!」

やはり真琴が一際テンションが高いようだ

香里「日本中探しても、あれほど浮かれてる姿がさまになる人はいないわね」
美汐「同感です」
真琴「あう〜、真琴、絶対売れる本のタイトルを考えたよ。みんな聞いてよ」
香里「どんなやつよ?」
真琴「名付けて『ハリー・ポッターと魔法のまこぴー』だよ」
名雪「それはちょっと問題あるかも」
香里「大ありよっ!!」
名雪「真琴一人だけ、名前が出てずるいよ」
香里「そっちかい!?」
真琴「大丈夫だよ、ハリー・ポッターと付くだけで買う馬鹿が世の中にはいっぱいいるよっ」
香里「その後で訴えられるかも、ということを考えてない馬鹿もいるわね」
真琴「失敗を恐れていては前進もありえないよっ」
香里「これのどこが前進よ、どこが!?大体、あなたハリー・ポッター読んだこともないでしょ」
(実は書いてるやつも読んでない)
真琴「あう〜、おジャ魔女どれみ、みたいなもんでしょ?」
香里「違うっ!」
真琴「じゃあ、仮面ライダーアギトみたいなの?」
香里「何でそっちに行くのよっ!」

一同のやりとりを冷ややかに見つめる美汐

香里「何よ、一人だけ高いところから見下したような、その態度は?」
美汐「物事は常に準備が大切なのです。私は幼き頃からこの様な時に備えてきました」
香里「嫌な子供ね」
美汐「ここに私が今まで書き溜めた数々の文書があります。これに少し手を加えればいいのです」
香里「ちゃんと紙に書いてあるのね。米粒にでも書いたのかと思って、心配したわよ」

ぱらぱらぱら・・・
美汐の文章に目を通す香里

香里「何よ、この『真説・日本映画史』ってのは?」
美汐「見ての通りですが」
香里「プロレスと関係ないじゃないの。第一、中身はまた新東宝のエログロ映画レビューばかりだし」
美汐「池内淳子の『花嫁吸血魔』も遂に念願のDVD化されましたし」
香里「一体誰の念願なのよ」
美汐「では、こちらを見て下さい」
香里「こっちは・・『真説・日本プロレス史』? やっと本題になったわね」

適当なページを開いて読み始める香里

香里「・・・・・・」
美汐「いかがですか。私の最大の労作ですよ」
香里「物凄い字の密度で、見てるだけで大変。確かに労作なのは認めるけど。」
美汐「それは光栄というものです」
香里「ただ・・内容がちょっと偏ってると思うんだけど。何で全体の2/3が国際プロレスなのよ?」
美汐「日本のプロレスの歴史は国際プロレスの歴史と言っても過言ではありません」
香里「20年も前に潰れてるんだけど」
美汐「最後の羅臼町の興行で10万人くらいお客が入れば、まだまだ行けたのです」
香里「あの辺に、そんな人口いないわよ」
美汐「惜しい団体をなくしました」
香里「そもそも、あなた生まれてないでしょ、その頃」

真琴「二人とも、タイトル考えるの手伝ってよ〜」
香里「中身も決まってないのに、タイトル考えても仕方ないでしょ」
あゆ「ねえ、ボクのアイディア・・・」
真琴「大事なのは人目を引くタイトルと装丁だよっ。中身なんかどうだっていいんだよっ」
香里「いいわけないでしょっ!」
美汐「香里さんの言う通りですよ、真琴。というわけで、私の『真説・日本プロレス史』を」
香里「これ、肝心のウチの団体のことが全然書いてないじゃないのよ」
美汐「それは引退してから、じっくりと書く予定です」
香里「それじゃ意味無いでしょっ!!」

真琴「あう、じゃもっといいタイトルを考えたよ。団体のためにもなるよ」
香里「どんなのよ?」
真琴「題して『血液がサラサラになる国際女子プロレス』だよ」
香里「何よそれはっ! 世の中の話題を取り入れりゃいいってものじゃないわよっ!」
名雪「それに、本当にサラサラになるかあやしいよ」
香里「なるわけないでしょっ!!」
真琴「あう〜、それじゃ『血液がサラサラになるハリー・ポッター』はどう?」
香里「ハリー・ポッターから離れろっ!!!」
あゆ「ボクのアイディア聞いてよ〜・・・」

全然まとまらない皮算用会議であった

香里「もう、いい加減にしなさいっ」
真琴「あう〜、だってだって・・」
香里「だってもヘチマもないっ!」

香里の一喝で静まる一同

香里「みんな、自分達の本分を忘れてない? 戦う者としての在り方を」
一同「・・・・・・」
香里「客商売なんだから、そりゃ目立つ事も大事よ。でもね、その為に奇をてらうんじゃ本末転倒でしょ」

香里いつになくマジモード

香里「自分達の戦う姿を、ありのままに見てもらいなさい!堂々と胸を張って」
一同「男らしい!!」
真琴「あう〜、さすが香里は心に海綿体を持つ女だねっ」 (C)742
北川「そうだ、今こそ心の海綿体を燃やすんだっ」
香里「あるか、そんなもんっ!!」

どかっ!! ばきっ!!

かくして、国際女子プロレスの本は、選手達の日常をルポした恐ろしく地道な内容となり
なぜか硬派な社会派の出版社から、地味な装丁・タイトルでの小部数の出版となったのであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日、佐祐理さんがジムに顔を出した

佐祐理「それで、本の売れ行きはどうなんですか〜?」
香里「それが、取次ぎの鈴木書店の倒産の影響で・・・・」

ただでさえ少ない流通部数が更に減ってしまっていた

佐祐理「はえ〜、ほんとに少ないですね・・・」
香里「プロレスファンの間では早くも『幻の書』って呼ばれてます」
佐祐理「この前、私が出した本より売れてませんね」
香里「佐祐理さんが本を?」
佐祐理「知人に頼まれてお弁当のレシピを書いたんですよ。」

『まじかる☆さゆりんの血液がサラサラになる御弁当』

香里「また、これかい・・・」
佐祐理「ささやかですが印税も頂けました〜。これでお父様に何かプレゼントできます」
香里「ウチの本の100倍は売れてますね・・・」

自分は間違っていたのだろうか? 自問自答を繰り返す香里

真琴「今度は『盆と正月が一緒に来たハリー・ポッター』だよっ、あう〜」
美汐「真琴、香里さんの鉄拳が怖くないのですか?」
香里「・・・・・・・・何かが違うわ・・・・・」

黙々とトレーニングを始めるしかない香里であった

日本の出版文化はどこへ向かうのか? 
書いてるやつにそんなこと分かる筈もなく、次回へ続く。


[47] ダークKANON 投稿者:たぶち 投稿日:2001/11/20(Tue) 16:52:12

・・・始まりはふとしたことだった
 
時は2月14日。ちなみに、この世で一番たぶちに関係のない日でもあるが

相沢祐一は五人の少女に同時に呼び出しを受けた。
祐一「あのーもしもし?」
それがいつのまにか祐一が一番愛してるは誰か?コンテストになっている
(しかも祐一の感情を無視して・・・)

       ひゆぅぅぅぅーー

 寒空の下、五人の少女がにらみ合っている。
あゆ「祐一君が本当に好きなのは、ぼくだっ!」
名雪「違うよあゆちゃん。祐一はいつも意地悪ばっかり言うけど本当は私のことを・・」
栞「あゆさんも名雪さんも違います。祐一さんは私のことが好きなんですう」
舞「・・・違う、祐一が好きなのは私・・・」
真琴[あううーー」(ほかの四人のパワーに押されている)
??「それは違う!!!」

    突然誰かが乱入してきた・・・

北川「俺が一番好きなのは祐一だ!そして祐一が好きなのはこの俺・ってひでぶっ!!」
  
   突然、北川のあごにメリケンサックがめり込む。

香里「いいかげんにしなさい、北川君!ただでさえどこのHPのSSでも祐一あーんど北川ラブラブ説が出てるのに。」
祐一(しらなかった・・・そんなこと・・・・)
北川「だって仕方ないじゃないか!好きなものは好きだからしょうがない!!略して『すき〇ょ』・ってひでぶぶっ!!」
   再び香里のメリケンサックが入る
香里「こんなところで業界初の某ボーイズラブのソフトの名前を出すなっ!だいたいそんなことばかりしてるとたぶちみたくクラスでホモ説が出るわよ。」
北川「が、がお」

      香里、北川を引きずって退場
祐一(そういえばAIR編の鳥と同じ名前だなあれって)

栞「・・・結局、お姉ちゃんは何をしに来たんでしょう・・・ってそれどころじゃないです祐一さん」
名雪「私なんか後ろからだったんだよっ!!」
真琴「私のときはものみの丘・・・」
舞「・・・みんながうらやむ夜の学校」
晴子「うちのときなんか、「ケツの〇〇」やで」
祐一「おーおー、ちょっと目話した隙にすごい会話になってるっなあ・・・ってPC版のネタばれをするなー」
あゆ「DC版やってないたぶちが悪いんだよ・・・しかも晴子さんまで入ってるし・・・」
美汐「鬼畜ですね」
佐由理「きちく?」

祐一「あー美汐!余計なこと言うな佐由理さんにー」
真琴「ど外道!」
        祐一ものもいわず殴る
真琴「あううーーー」

だんだん暴走していきみなチョコのことなど忘れている。       
祐一(よしこうなったら!)「みんなよく聞け!俺が本当に好きなのは!」

一同「ごくっ」
  
祐一「俺が好きなのは柳也だ!!!!」

一同+柳也「えっ!!!」
祐一(これだけ言えばみんな静かになるだろう。)
 
静まり返る一同。だが        
            
あゆ「祐一君。僕もう祐一君と会えないと思うんだ。遠いところに行かないと・・・」
          あゆ元からそこにいなかったように消える。
祐一「あゆっ勝手にエンディングモードに入るな。栞!あゆを止めてくれって栞!」
          栞、ポケットから黄色いカッターを取り出す
栞「祐一さん私本当は食べられないアイス食べられて幸せでした・・・さようなら・・」
祐一「って死ぬな栞。名雪助けてくれって、おい名雪?」
          名雪、地面に座り込む
名雪「祐一・・・私笑えなくなっちゃったよ」
祐一「おまえもか!くそ!舞頼む『あの力』でみんなを救ってくれ」
舞「春・夏・秋・冬。楽しい思い出が祐一とともにありますように・・・」
          舞、腹に剣を突き刺す
祐一「ああ春夏秋冬♪いい曲だよなって違う!!こうなったら真琴だけが頼りだ」
真琴「チリリン・チリン・チリ・ぽとっ(鈴が地面に落ちる音)」
          真琴が永遠の眠りにつく
あとに残されたのは感情のなくなった名雪とそれぞれ腕と腹から血を流している栞と舞の姿

祐一「おれのせいなのかーーーーーーーーーーーーー」
美汐「はい。多分・・・・・・・・」

              FIN

・おまけ
秋子「あらあら、また祐一さんのエンディングが見れませんでした。これで何回目のBADエンドかしら?」
                そんなときは・・・
秋子さん、おもむろにドリーム・キ〇ストの電源スイッチを押す。
                 「ぷちっ」
画面が砂嵐になり祐一たちの姿がTVから消えた。

秋子「さあ今日の晩御飯何にしようかしら?」  
  
              END


[46] 誰も待ってないのに再登場 第七弾「かおりんのテロは止まらない」 投稿者:○川 投稿日:2001/10/31(Wed) 13:34:36


深まる秋、今日ものんきな国際女子プロレスの面々は・・・・

真琴「あう〜、山田が手首を痛めちゃったよ〜」

ぼかっ!!

真琴「あう〜、痛いよ、何すんのさ香里」
香里「あんたね、チャンピオン読んでる暇あったら練習しなさいよ」
真琴「そんな場合じゃないよっ。山田の三冠王に赤信号なんだよっ」
香里「本気でそんなこと心配してるのは、あなたと水島新司本人だけよ」

香里の冷酷なツッコミにも真琴はひるまない

真琴「真琴は、常に時代のトレンドを掴むためにマンガを読んでるんだからねっ」
香里「少なくとも、ドカベンプロ野球編がトレンドでないことは確かよ」

そこへ例によって美汐登場

美汐「真琴、あなたの頼み通り、駅までお客様を迎えに行ってきましたよ」

怪訝そうな表情の香里が口を開いた

香里「お客さん?誰よそれ?」
真琴「あう〜待ってたよ。二人とも入ってよ」

美汐の後ろから二人の外国人女性が現れた

香里「また、外国人なの。でもこの近所には女性はいなかったと思うけど」
真琴「ウチの団体はエースがしょっぱくて、カードがマンネリ化してるからね。真琴はいつも打開策を考えてたんだよ」
香里「あんたにしょっぱいなんて言われたくないわよっ!」
真琴「だから新戦力をスカウトして来たんだよ。コロンビアからやって来たイザベラちゃんとマリアちゃんだよっ」
香里「コロンビア? なんでわざわざ南米から・・・」
真琴「普段は大久保駅前を主戦場にしているんだよっ」
香里「立ちんぼのお姉ちゃんじゃないのよっ! 何でよりによってそんな人達を連れてくるのよ」
真琴「やる気は十二分にあるよっ。彼女達の未知数の力に賭けてみようよ」

真琴、いつになく熱弁

イザベラ「ワタシ、何デモヤリマス。」
マリア「日本語モデキマス。シャチョサン、オッキイネ。ゼンブハイラナイネ。」

香里「や、やめなさいっ!」
美汐「香里さん、顔赤いですよ」
香里「う、うるさいわねっ」
真琴「あう、経験豊富そうに見えて、実は皆無だから」
北川「そうか、よかった」
香里「何を言ってるかっ!!」

どかっ!ばきっ!
左右のワンツーで吹き飛ぶ北川

香里「はぁ、はぁ・・・」
マリア「ナゼ、怒ルデスカ? 日本人ミナ、コレイウト喜ブ、チガイマスカ?」
香里「お願いだからやめてちょうだい・・・・」
真琴「あう〜、まだ動揺してる」
香里「元はあんたのせいでしょうがっ」

エキサイトする香里をよそに尋ねる美汐

美汐「でも、なぜウチでプロレスをやろうと思ったのですか? ウチは業界一の貧乏団体ですよ」
イザベラ「ソレデモマシ。今ノ仕事、ピンハネキツイ。オカネ、チットモ貯マラナイ」
マリア「不景気デ客ヘッテル。仕送リ満足ニデキナイ。コノママダト故郷ノ家族、内臓売ルシカナイ」
香里「生々しくて返す言葉も無いわね」

更に熱弁の真琴

真琴「このやる気を買おうよ。そして彼女達が一人前のレスラーになるまでを描く企画をテレビに売り込むんだよ。
   題して『割り切った私達。レスラーになれるなら何でもやります』だよっ」
香里「そんなAVみたいなタイトル付けないでちょうだいっ。第一、企画自体がWWFやガチンコ!のパクリじゃないのよっ!」
真琴「あう、パクリじゃないよ、オマージュだよ」
香里「とにかく、もう既にある企画なんて相手にされないわよ」
真琴「じゃあ逆転の発想で、香里が大久保駅前に立てばいいんだよ」

ぼかぼかぼかぼかっ!!!

香里「そんなことやったら一生世間の笑い者よっ!」
真琴「あう〜、一生一度ならピエロも主役だよっ。」
香里「反論までパクリじゃないのっ。しかも20年以上昔の歌を・・・」
美汐「私の家では、ヒットチャートのNo1です」
香里「あなたには聞いてないの。」

更にしつこく食い下がる真琴

真琴「パクリが責められるなら講談社も責められるべきだよ。ラブ○なの最終回で重大なパクリがあったんだよ」
香里「何よ、唐突に。単に結婚式で終わってるだけじゃないの」
真琴「何言ってんのさ。これはKanonの真琴シナリオの丘のシーンのパクリだよっ」
香里「これがパクリなら、結婚式のシーンがあるマンガはみんなパクリじゃないのっ!」
真琴「おまけにヴェールが小道具なんて、これは確信犯的パクリだよ、あう〜」
香里「いい加減にしなさいっ」
真琴「何と言われようと真琴は泣き寝入りはしないよっ。講談社に白い粉の入った手紙送っちゃうもんね」
美汐「いくら何でも、この御時世にそれはちょっとマズイですよ、真琴」
真琴「心配いらないよ。この粉はイザベラさんが故郷から持ち込んだ粉だから」
イザベラ「コノ粉使ウト、食ベナクテモ平気。トテモキモチヨクナル」
香里「余計マズイじゃないのっ!!」

何とか平静を取り戻すと香里は口を開いた

香里「ともかく、ウチは人を増やす余裕もないのよ。悪いけど、お引取り願えるかしら」
マリア「ワタシタチ、帰リノ電車賃モナイ。財布スッカラカン」
イザベラ「ココ三日、水ト粉ダケネ」
香里「・・・・・・・」

なけなしののお札を財布から取り出す香里

香里「これで何か美味しいものでも食べなさいよ。」
マリア「香里サン、コノ御恩忘レナイネ」
香里「忘れていいから粉はやめなさい、粉は」

かくして真琴の企画はポシャったのであった
そして翌日・・・

香里「あ〜あ、あのお金でプロテインでも買おうと思ってたのに」
真琴「あう、そんなもの使うと、筋肉は付いても、頭ハゲて内臓や骨もダメになるよ」
香里「それはプロテインじゃなくてステロイドでしょうがっ!!」
真琴「あう〜、大した違いはないよっ。」
香里「大有りよっ! ところで、あなたが持ってる袋の中の白い粉は何よ?」
真琴「あう〜、教えてあげない」
香里「こら、待ちなさいっ」

鬼ごっこを始める二人

北川「ほんとは何なんだ、あの粉?」
美汐「化学調味料です。今の真琴には包丁人味平が時代のトレンドなのです」
北川「はあ・・・」

香里「ち、違うっ。何かが違うわ。私の目指していたものはこんなんじゃないっ」


真琴をどつきながらも、かおりんの悪夢は今日も覚めないのでありました


[45] 不評連続企画・第六弾「かおりんの蹴は止まらない!」 投稿者:○川 投稿日:2001/10/09(Tue) 20:06:38


めっきり秋めいてきた今日この頃
業界一の弱小団体である国際女子プロレスにも秋の気配が・・・・・

「コタツが心地よい季節になったね、名雪さん」
「そうだね、あゆちゃん。なんか幸せな気分だよ」
「コタツで食べるバニラアイスは最高です」

「あなた達は、一体いつ練習するのよっ!」

  かおりん今日も怒り爆発
  
「お姉ちゃん、イライラするのはお肌によくないです」
「そうだよ、香里。たまには一緒にコタツに当たろうよ」

「たまにはコタツから出よう、と言う気にならないのっ!?」

  怒りながらも、トレーニングを始める香里

「今日もお怒りですね、香里さん」

  今日も唐突に美汐登場

「いつも心臓に悪い現れ方するわね。真琴はどうしたの?」
「さあ・・・朝早く出かけて行きましたけど」
「ロードワーク・・・なわけないわね。まあ、あの子に期待しても無駄でしょうけど」

  その時、立て付けの悪いジムの扉が開いた

「今の言葉は聞き捨てならないよっ。今日から真琴は生まれ変わるんだからねっ」

  高らかに宣言する真琴

「今日は妙にテンション高いわね。何か変なものでも食べたの?」
「失礼だねっ。それにいつも変なもの食べてるから関係ないよっ。」

  真琴はめげた様子も無くまくしたてる

「確かにそうね」
「今日から真琴は爆殺シューターとして生まれ変わるんだよ」

「真琴、そのフレーズは縁起が悪いですよ」

  某破○王の昔のフレーズでは、美汐の突っ込みも、ごもっともではある

「じゃあフレーズは別なの考えるよっ。とにかく真琴は必殺のキックを身に付けるんだよっ」
「あなた、昨日のK−1観て感化されたわね? この前はワンピ○スを読んで、海賊になるとか言ってなかった?」
「あう...それはそれ、これはこれだよっ。ちゃんとコーチも連れてきたんだよ」
「誰よ、それ?」
「あう〜、先生どうぞ」

  立て付けの悪い扉を開けて入ってきたのは

「ハイ、オ邪魔シマス」

  近所の産廃処理会社で働くタイ人、カウルーン・ムアンチャイさん(45歳)であった

「あう〜、キックと言えばムエタイ。本場タイからのスペシャルコーチだよ」
「ただの出稼ぎ労働者でしょうがっ!!」
「失礼だね。ムアンチャイさんは三度の飯よりムエタイが好きな、ムエタイ通だよっ」
「そんな人、タイには腐るほどいるでしょっ!」
「ナンプラー漬ケヲ肴二一杯ヤリナガラ観ルムエタイハ最高デス」
「一杯飲み屋で野球の話をしてる、その辺の親父と同レベルじゃないのっ!」

  息巻く香里に美汐が耳打ちする

「いいじゃないですか。せっかくやる気になってるんですから」
「そうね・・・・でもムアンチャイさん、迷惑じゃないの?」

「私、心配イラナイ。今日仕事休ミ。貧乏ナコノ団体ノチカラニナリタイネ」
「あう〜、ムアンチャイさん、ありがとう」

「は〜・・・・・相変わらず、出稼ぎ外国人にまで同情されてるのね、私達」

  香里思わずため息

「あう〜、というわけで、先ず試合前の踊りから教えてっ」
「何で、すぐにキックの練習をしないのよ?」
「真琴は先ず形から入るタイプなんだよっ」
「はいはい・・・好きにしなさい」

  早速、珍妙な踊りを始める真琴であった

「あう〜、イヤミのシェーみたい」

  ぱんっっ!!!
  ハリセンが真琴の後頭部を直撃

「あう〜、ムアンチャイさん痛いよ〜」
「試合前ノ踊リハ、仏二祈リ捧ゲル大切ナ儀式。真面目二ヤルネ」
「真琴、仏様なんて信じてないもん」

  ぱんっ!!

「仏ヲ信ジナイ奴ハ死ネバイインダッ。真面目二ヤリナサイッ」
「あう〜、分かったから叩かないで〜」

「殆どハヌマーン化してますね」
「何よ、それ」

  冷ややかに踊りの特訓を見つめる美汐と香里

「あう〜、踊りの最後にお尻で割り箸折るのダメ?」

  ぱんっっ!!!

「仏ヲ侮辱スル者ハ地獄二落チナサイッ!」
「あう〜、普段は喜んで観てるくせに〜」
「ソレハソレ、コレハコレッ!」
「あう〜・・・・」

  小一時間ほど、踊りの練習は続いた

「真琴、コレデ試合前ノ踊リハマスターシタネ。ヨク頑張ッタ。感動シタ。」
「あう〜、これで真琴も一人前の踊り子だね。ありがとう、ムアンチャイさん」

  抱き合って喜ぶ師弟二人

「肝心のキックの練習はどうしたのよ」
「いいじゃん、もう踊りは完璧だよ」
「何のためのキック練習よっ!!」

  香里に怒られ、渋々キックの練習にとりかかる真琴

「あう、でもウチにはサンドバックもないよ」

  そこに美汐登場

「心配無用です。サンドバックをお持ちしました」
「どうしたのよ、これ? ウチにこんなもの買うお金は無かったはずよ」

  心配そうに尋ねる香里に答えて

「私が作りました」
「また、あなたのホームメイドね・・・」
「はい、中身は近所の製材所から大量に出る廃材のおが屑(ホルムアルデヒド入り)です」
「外皮はどうしたのよ?」
「これは近所の○○○から貰ってきた動物の皮です」
「何進将軍の元のお仕事ね。自主規制ご苦労様」

  危ない由来のサンドバックを見据える真琴

「あう、行くよ、必殺の真琴ちゃんハイキック!」

  べちょ!
  ごろごろごろごろ〜〜〜〜〜っ

  鈍い音の後、痛みにのた打ち回る真琴がいた

「あう〜っ、痛いよ〜〜〜っ!」
「情けないわねっ。これでよくキックを覚えるなんて言えたもんだわ」

「あう〜、師匠、サンドバックがいじめるよ〜」
「痛クナイネ、真琴。モウ大丈夫ネ、コンナ危険ナコト、モウヤラセナイネ」

「厳しいのか甘いのか、よく分からないコーチですね」

  美汐も今回はどこか冷ややかだ

「あう、真琴は練習よりも実戦で力を発揮するタイプだよっ。今度はリングで実戦スパーだよ」
「はいはい、分かったわよ。私が相手になってあげるわ」

  リングに上がる真琴と香里

「どうでもいいけど大丈夫?スネが真っ赤になってるわよ」

  見た目も痛々しい真琴の脚であった

「あう、真琴には最後の決め技が残っているよ」
「はいはい、出してごらんなさい。よけないで受けてあげるから」
「あう〜、行くよっ。必殺・真空飛び膝蹴りっ!!」

  ぐきょっ!!
  ごろごろごろごろ〜〜〜〜〜っ

「あう〜っ、ヒザが〜」
「お腹にヒザ蹴りくらわして、どうしてヒザが壊れるのよっ」
「あう〜、香里の腹筋は凶器〜っ」

「仕方ないですね、真琴。手当てしますから、こっちにいらっしゃい」
「あう〜・・・」

  美汐に包帯ぐるぐる巻きにされる真琴

  そのとき、また立て付けの悪い扉が開いた

「よぉ、お疲れさん。あれ、沢渡さん、怪我かい?」
「あ、北川君。見ての通り、キックの練習でこの有様よ。」

  香里の言葉に表情が曇る北川

「これじゃ次の試合は無理かもな。どうする? リーフプロレスは地方巡業に出てるから選手借りられないぞ」
「そうね・・・・・・・はい、北川君これ」
「何だよ、これは?」
「リングコスチュームよ。あなたは今から女子レスラー『ガッツ・ジュン』に生まれ変わるのよ」

「また女装ネタですか・・・」

  美汐の冷たい目線が香里に向けられる

「背に腹は代えられないわ。ムアンチャイさん、北川君の代わりにレフリーやってちょうだい」
「OKネ。ワタシ、一度ヤッテミタカッタ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして興行から一週間の後・・・

「あう〜、また『ガッツ・ジュン』にファンレターが来てるよ」
「何か、妙な人気が出ちゃいましたね。何ででしょうか?」

「幾ら香里さんに叩きのめされても立ち上がる、不屈の根性がファンの共感を呼んだようですね」

  栞の疑問に美汐がきっぱり答える

「あう〜、ネットでも人気者だよ。『やられてる表情がイイ! ジュンたんハァハァ・・』だって」
「ヤな人気ね」

「あう、それに謎のレフリー、ミスター・トムヤンクンも大人気だよっ」
「みんなに割り箸折りをさせようとするレフリーが、どうして大人気なのよっ!!」
「だからこそ大人気なんだよ。時代がやっと真琴に追い付いて来たね」
「時代が狂って来てるのよっ!」

  香里の怒りもどこ吹く風、メイクの向上に余念の無い北川と、
  ミスター・トムヤンクンことムアンチャイさんの指導の元、更なる踊りの修行に励む真琴の姿があった

「あう〜、とくと味わえ! まこぴーの妙技をな!!」
「ソウネ、真琴、ソノ調子ネ」

「違う、絶対違うわ。私が求めているものはこれじゃないっ!!!」


  かおりんの悪夢は今日も続くのでした・・・・




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