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第壱章 術者誕生

 

● サイコタイプと能力値

 基本ルールでは、5種類のサイコタイプを用意してあります。

サイコタイプ 筋 力 運動力 耐久力 知 力 感覚力 精神力 霊 力 行使術力種
虚空士 虚、式、凍
光芒士 光、空、雷
地霊士 霊、地、式
天空士 水、凍、空
火焔土 火、雷、地

 それぞれのサイコタイプの特徴は以下のとおりです。

虚空士 ・・・  影・幻・空間を操る捕らえ所のない術者です。筋力・耐久力が劣っているので武器を持った正面からの戦いは避けた方がいいかも知れませんが、術力の選択法(<二重身>、<虚撃>等の攻撃補助系を選択する)によってはかなり戦える術者になります。
光芒士 ・・・  光・気・術力の物質化を得意とするある意味虚空士の対極にある術者です。全ての能力に劣ったところがないので一見どんな事でもできる様に思えますが、術力が攻撃的なので、前衛か後衛かにかかわらず強力な攻撃力を有する術者となるでしょう。
地霊士 ・・・  身体・生命・精神を司る決して攻撃的とは言えない一風変わった術者です。肉体的な能力に劣っていますが、感覚力と精神力が優れているので術力を使うのが得意です。特に生命系の術力に関しては地霊士以外は全く使えないようなものですので、キーポイントとも言える術者となることでしょう。
天空士 ・・・  水・空気を駆る中庸な術者です。能力値は中庸とはほど遠いのですが、術力は攻守バランスがとれていますから序盤はともかく成長すれば優秀な術者となるでしょう。ただし、耐久力の低さは致命的ですのでそこを何とかカバーしなければ1回目の成長すらできないでしょう。
火焔土 ・・・  炎・熱を支配する極めて強力な攻撃力を持つ術者です。その攻撃力は光芒士の比ではありませんが、攻撃力以外の能力に、つまり防御・移動系の術力に欠陥があります。

 キャラクターメイクの際には上表の能力値に5ポイントを割り振ることができます。これはプレイヤーの自由に割り振る事ができますし、上限もありません。各能力値それぞれ以下のような使い方をします。

『筋 力』 ・・・  腕力の強さを表します。白兵戦でのダメージを強化したり、つかみかかってきた手を振り払うのに使ったりします。
『運動力』 ・・・  主に身の軽さを表します。武器を命中させたり、逆に敵刃をよけたり、機先を制することができます。戦闘面で最も使用頻度の高い能力値ですので敵前に立つことの多い人に必須の能力値です。
『耐久力』 ・・・  身体の丈夫さを表す能力値です。HPに直接関与する能力値である上に身体に作用する術力に抵抗する能力値でもあります。
『知 力』 ・・・  単に知識量の多さを表すだけでなく、頭の「キレ」をも表す能力値です。さらに、「観察力」も『知力』に分類され(『感覚力』ではないので注意して下さい)、戦闘面でも『知力』が高ければ「時間的な間合いの取り方」に長けていることになりますので、以外と重要な能力値です。
『感覚力』 ・・・  霊的な「もの」の認識能力です。平常時は主に「精霊との接点」の多さを示す能力値で、集積能力に関係のある能力値です。この能力値が高過ぎると様々な霊障に苦しめられやすいことになります。
『精神力』 ・・・  精神の丈夫さを表す能力値です。APに直接関与する能力値である上に大半の術力に抵抗する能力値でもあります。
『霊 力』 ・・・  術力を駆使する能力を表しており、『運動力』とならんで重要な能力値であると言えるでしょう。

 能力値とは少し違うかもしれませんが、RSP(現実的技能ポイント)、PSP(霊的技能ポイント)、天勢値の3つがあります。

能力値 ポイント
RSP 1D3+8
PSP 1D3+10
天勢値 3D6

 RSPは「刀剣術」「天文学」などの一般的な技能の他に「座禅」などの精神的な技能もこの範疇です。つまりは術力でない技能は全てRSPを消費して獲得・成長します。一方全ての術力はPSPを消費して獲得・成長するのです。
 全ての術力・技能はキャラクターメイクの際には1LVを獲得するのに1ポイント、2LVに成長するのにさらに2ポイント。3LVに成長するのにはさらに3ポイントを消費します。以下同様に4ポイント、5ポイントと増えていきます。例外は『秘術』と呼ばれる高等術力で、これは2倍の消費がないと獲得・成長することはできません。
 さて、天勢値ですが、これは改めて第2章でロールの仕方と共に説明します。

 

● ゲーム中の諸数値

 HPはその術者の生命力を表していて、初期最大値は『耐久力』×3点で、この値が怪我などで『耐久力』×1を下回ると『デスチャート』で判定しなければなりません。ですから、『デスチャート』の結果によってはHPがマイナスになることも有り得ますし、逆にプラスでも死亡する事があります。
 一方APは術力を使うための値であり、初期最大値を『精神力』×3点とします。APはHPと異なり、0になるまでは何のペナルティもありませんが、0になると「集積」することも霊的なものを感知する事も(装精霊で強化することも)できなくなります。また、マイナスになることは絶対にありません。マイナスになるような攻撃を受けても0で止まります。

 強撃点は白兵戦における追加ダメージのことで、『筋力』÷2(端数切り捨て)で算出されます。素手による攻撃の強撃点は特に空手(くうしゅ)強撃点と呼び、(『筋力』+「強撃」)÷2点です。空手とは呼びますが、蹴りや体当たり・頭突き・格闘にも加算できます。

 集積力とは周囲から霊的なエネルギーをAPの形にして取り込む能力のことで、『感覚力』×2+総合LVで算出されます。戦闘中に集積をするにはS行動(後述)で「集積ロール」を試み、成功しなければなりません。
 「集積ロール」とは、2D6を振り、その結果「集積力」≧2D6が成立すれば、先ほどの「集積力」と2D6との差だけAPを回復できます。これはあくまで回復であって、AP最大値を越えて集積することはできません。また、『式』はこの能力を持っていません。術者であれ禍族であれ、APを周囲の精霊から分けてもらっているので、1度その場の精霊と同調に失敗、すなわち「集積ロール」に失敗すると、そこで集積することはできなくなります。

 SMVは、戦闘中の行動の順番に関する数値で、『運動力』×2で算出します。この数値が大きいと、戦闘中の行動を他よりも早く行えます。また、『運動力』が術力などで変化したり、重い鎧を装着したりすると変化することがあります。この数値は『式』も同様です。

 伝承力とは、術者と禍族のみがもつ、まさしく伝説に残るような事をする力で、√総合LV(端数切り捨て)点をシナリオの最初に与えられ・使えます。なお、シナリオ終了時に持ち越すことはできません。
 伝承力を発動させるには使用者が「重傷状態」になっているか、「心が燃えている」必要があります。「重傷状態」は判断できますが、「心が燃えている」の方は完全にGMの裁量です。ちなみに伝承点(伝承力のつかえる回数)はゲーム中に『天勢値』を10点消費することで回復しますが、先程の使用回数以上にストックすることはできません。伝承点が使われたときの効果は次の章を読んで下さい。

 経済力とは単純に財産のみを表すものではなく、物を手にいれるために費やせる時間的猶予や、必要なコネを含めるポイントで、単位はmp(Money Point)を使います。最初にもっている経済力は2D6+5mpです。物を入手するために消費するmpは同じ物を入手するとしても舞台となる世界によって異なります。ちなみにキャラメイク時の経済力はかなり少なめになっています。

 移動力とは1回の行動で移動できる距離のことです。移動力は『運動力』×1mです。次の章で詳しく記述される、コンビネーションで「疾走」と組み合わせるのなら移動力×1m移動しつつ他の行動が取れます。移動力はカウンターの際に重要なファクターとなります。

 

第壱章追記

● 純血化

 一部の例外的なサイコタイプを除いて、術者は3種類の術力系統を使用することができます。ですが、3種類使える分、極端に優れた術者は生まれなくなっています。雑種の動物は汎用性には優れてはいても、個々の能力においては劣っているものです。
 術力が遺伝形質であることに気付いた術者達は、自分たちの能力の純度を保つように縁組みしていくことにしました。これらの純血化された一族の術者は、使える術力系統こそ少ないものの、術者としての能力が高くなります。
 純血化された術者はキャラクターを作る際に割り振れる能力値が多くなります。術力系統を1つ削ると+3。2つで+6。3つで+9点です。術力系統を削らなくても5点を割り振ることができますので、結果として8/11/14点を能力値に分配することができるのです(3つとも術力系統を削ると『霊力』の4点が無駄になるのであまり効果的ではありませんが)。

 

● 装精霊

 『装精霊』とは術者と禍族のみが身体の周りにまとうことができる精霊の力で(何故こんなことができるかは第7章で推測されています)、通常、視覚的には見られません。
 ルール的には『感覚力』+総合LV点を能力値に割り振って加算する事ができます。ただし、『感覚力』と『天勢値』には加算できません。また、『装精霊』は戦闘中も組み替えることができ、S行動でいつでも可能です。『装精霊』で『耐久力』・『精神力』を増加してもAP・HPは増加しませんので注意して下さい。
 『装精霊』のルールはあくまでオプションですので使わなくても構いません。

 

● 瘴害

 『感覚力』が高すぎる術者は感知したくない「もの」まで感知してしまいます。精霊との交信を得意とする術者は、ついでにその他の「もの」の声まで聞いてしまうのですから当然のことでしょう。
 このルールを<瘴害>といいます。
 おもに戦闘時のほかには演出としてしか用いられることはないのですが、周囲で高レベルの妖術が発動されると肉体的な能力が減少することがあります。これが<瘴害>です。
 具体的な数字で言いますと、12÷『感覚力』(端数切り捨て)を算出し、これを「瘴害値」と呼びます。術者の周囲(『感覚力』の2乗m内)で「傷害値」以上のレベルの妖術が発動していると『筋力』『運動力』が<範囲内で最も高い妖術>レベル点だけ減少してしまうのです。
 <瘴害>はほかにも強い負の感情とともに発動した術力・霊的存在にも適用されます。また、逆もまた真なりで、強い正の感情を伴って発動された術力も禍族に対して<瘴害>の効果を持ちます。
 <瘴害>を防ぐには自分の霊的感覚力を落とす必要があります。霊的感覚力を落とすと、自然、精霊とのコンタクト能力も落ちますので、装精霊の能力は低下します。ルール的に言うと装精霊を1点消費するごとに「瘴害値」が1点ずつ上昇することになります。これによって、低レベルの妖術では<瘴害>が発生しないことになります。

 

第壱章番外 「汝、誕生せよ」

<番外編登場人物紹介>

  神   ・・・  DOCの全てを知り尽くし、DOCの世界において全てができる者。必殺技は<天罰覿面(てんばつてきめん)>。
悪  魔 ・・・  神が知っていても口にできない邪悪で卑怯なことを指摘する者。特に禍族について妙に詳しい。必殺技は<マンチキン攻撃>。
恭  弥 ・・・  神の披造物その1。本名、成沢 恭弥。天空土。妙に冷酷な面を持つのは悪魔の影響からであろうか・・・。必殺技は未定(おって習得予定)。
由香理 ・・・  神の披造物その2。本名、神山 由香理。地霊士。一見温和だが、恭弥を奴隷のように駆使している。必殺技は永久未定。

 

  神   まず試しに術者を作らんと話が始まらんからな。早速天空土でも作ろうかのう。
悪  魔  100%の趣味ですね。
  神   やかましいわい。天空士の能力値はこの章の始めにある表を参照ということで、5ポイントのボーナスは『耐久力』+2、『精神力』『感覚力』『霊力』に+1かの。
悪  魔  妥当ですね。『耐久力』はそのままでは使い物にならないし、『感覚力』は「集積力」のためですね。『精神力』『霊力』は高度な術力を駆使するには必須ですからね。でもまだまだですね。それだったら『感覚力』に全部つぎ込んで、「装精霊」で同じようにカバーする方が・・・。
  神   またお前はそんなことを。APが0になったらパーだろうに。まあいい。能力値の次は『天勢値』・RSP・PSPだが、順に・・・11、10、12じゃ。総合LVが1じゃから『伝承力』は1点。『装精霊』は5点。通常時の『装精霊』の分配は『運動力』に3点、『霊力』に2点じゃ。
悪  魔  素晴らしい分配法ですね。『筋力』の低さは見放したという訳ですか。あきらめた「強撃点」は+1。SMVは(5+3)×2=16。集積力は9ですね。
  神   「移動力」は『運動力』の8。「経済力」は・・・15じゃな。おっと。HP/APは『耐久力』『精神力』の3倍だから、共に12じゃ。現段階ではここまでじゃよ。
悪  魔  パーソナリティはいいんですか?
  神   あとで本人に決めさせれば良かろう。一応、現段階では22年前のβステージ(後述)生まれというだけにしておこう。

 

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