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第壱章へ

第弐章 行為判定

 

● 技能

 人間生きていれば様々な事を試みるものです。術者とて例外ではありません。その試みが成功するか否かは経験と才能、そして運に掛かっていると言えないでしょうか。DOCでは経験・才能・運をそれぞれ「技能レベル」『能力値』「ダイス」で表現(?)します。

 技能レベルが高いことはその事について熟知していることになり、能力値が高いのは才能があることを示し、ダイス目が高いことはそのときは運がよかったことを表します。
 ですから、高い技能は誰もが求める物ですが、そうそう獲得できるものではありません。それに、人間というものは割と不器用で、全ての分野に熟達することはめったにできません。言い方を変えれば、人間は修得できる技能に限度があると言えます。
 ルール的に言ってしまうと、「合計RSPを越えた技能の獲得・成長はできない」となります。
 RSPの獲得については第一章及び第六章に譲ります。技能は別表の81種類の技能の中から選ぶことができます。

 基本的に1レベルの技能の獲得には1点のRSPが必要となります。
 そして、1レベルの技能を2レベルにするには2点のRSPが、以下同様に3点、4点・・・となっていく訳です。
 ですから、今まで持っていなかった技能を2レベル獲得するには3点のRSPが必要なのです。
 また、技能表中で△印の技能はそのステージでの修得が困難で、技能の獲得・成長に通常の2倍のRSPが必要です。×印の技能はそのステージでは習得できない技能であることを表します。

 

● ロールと『天勢値』

 さて、実際の判定方法ですが、まず、「目標値」を決定します。
 基本的にGMがその行為の難しさを考慮して決定しますが、PC間でのことならば、お互いの「達成値」がそれにあたります。
 『縁故』を使わない限り判定の仕方は技能の有無によって異なり、技能のある場合の達成値は

『適当な能力値』+「適当な技能LV」+2D6

であり、逆に技能がない場合は

『適当な能力値』+1D6

でその行為の目標値と比較します。目標値が固定されているときは、

「目標値」≦「達成値」

目標値が変動するとき、つまり何らかの形で行為と行為がぶつかるときは、

「前に行われている達成値」<「後から行う達成値」

が成り立てば成功です。
 術力の発動などの場合は前者、キャラクター同士の戦闘などは、後者を使います。

 通常ならばこれだけなのですが、振ったダイスの目が「2」か「12」ならば(「1ゾロ」「6ゾロ」ではありませんので注意して下さい)「ファンブル」「クリティカル」が発生します。

 ダイス目が「2」ならば「ファンブル」が発生し、達成値から現在の『天勢値』の値を差し引き、それを達成値とします。
 また、「12」だったならば「クリティカル」であり、『天勢値』の値を達成値に加算します。

 どちらの場合も発生・算出した後に『天勢値』が1点上昇します。
 『天勢値』はこの他にも「キャラクターの心が燃えている」ときも上昇できます。
 その燃え具合をGMが判断して、1〜5点の『天勢値』を与えて下さい。当然ながら激しく燃えているほど多くの『天勢値』を与えるべきでしょう。
 ちなみに、『天勢値』の能動的な使い方には下の2種類があります。

・ 達成値の加算
・ 伝承点への変換

 前者は単純で、『天勢値』を1点消費するごとに達成値を3点上昇させることができますが、ダイスを振る前にこの旨(および何点消費するか)を宣言しなければなりません。
 後者の方もかなり簡単です。『天勢値』を10点消費すると伝承点を1点獲得できるということで、前述(第壱章)の通りです。

 

● 伝承力

 DOCには個人の持つ「運」(つまり『天勢』)より強力な力が存在します。それが「伝承力」です。
 その使用回数をルール上『伝承点』と呼びますが、伝承点1点で以下の4つのうちのどれかが可能です。

・ あらゆる行為ロールの達成値を「目標値+1」にする
・ 『必殺技』を発動させる
・ あらゆる悪化コンディションの回復、および、APの超回復
・ 1ARの獲得

 1つ目の「あらゆる行為ロールの達成値を『目標値+1』にする」はまさしく達成値を引き上げるのに用います。
 これは普通に判定を試みて、失敗だと分かってからでも構いません。
 デスチャートでこれを使うと、「ペナルティなし」を含む任意の結果になります。

 2つ目も読んで字のごとく『必殺技』を発動させることができます。必殺技については第5章を参照にして下さい。

 3つ目ですが、「悪化コンディション」とはデスチャートの結果と術力の影響による能力値等の低下の事です。
 これらを一時的に(総合レベル×1Rの間)皆無にして、さらにAPを「最大AP×2」にまで引き上げ、伝承点を消費した瞬間にAPを完全回復します。

 最後の4つ目は、いかなる時でもARを得ることができるという意味です。
 1AR≒1行動ですので、緊急時に使うことになるでしょうが、ARを獲得しても、「スキ」の最中では行動できません(分からない用語も第四章を読めば分かるでしょう)。

 本当に超人的な力を発揮する事ができる『伝承力』ですが、「心が燃えている」の解釈を間違えないで下さい。式にはこの能力は全くありません。まして術力によって作られた疑似生物にはあろうはずもありませんが、禍族には伝承力があります。

 

● 技能のコンビネーション

 さらに難解なルールですが、「コンビネーション制限」というものがあります。何か1つの技能では完全に作業できないようなこと、例えば「飛び蹴り」や「抜き撃ち」などを行おうとするときに関わってきます。
 「コンビネーション制限」とは、能力値ではなく技能に課されるペナルティのことで、「コンビネーション」技能が深く関与します。
 「コンビネーション」技能とは2つ以上のことを同時に行うことに関しての「要領のよさ」を表す技能で、この技能が高ければ制限を受けないですむ場合もあります。実際には以下の手順を踏みます。

  1. 関与する技能LVの平均値を出す(DOCでは特に指示のない限り端数は四捨五入する)。

  2. 平均値と「コンビネーション」技能LVを比較し、小さい方を疑似技能LVとする。
    術力を含む場合はさらに「魔法物理学」とも比較し、三者の中で最小の物を疑似技能レベルとする。

  3. 能力値は適当と思われる方を使用する。どちらでもかまわない場合は高い方の能力値を用いる。

 

● 特殊な技能

 それぞれの技能については大体分かると思いますが、特殊な使い方をする物だけ説明しておきたいと思います。

 

 

 

 

 

第弐章追記

● 天勢ロール

 『天勢値』はその人の運勢や生きる底力を示唆する数値です。そこで、運の善し悪しを判断するときには『天勢値』を用いてロールをすることがあります。これを天勢ロールと言います。
 天勢ロールはダイスを振り、ダイス目の合計が『天勢値』以下であれば成功です。目標値が固定値なので、同点でも成功になります。天勢ロールで振るダイスの数は基本的に成功しやすい方がダイスの数が少なくなってきますが、状況によって変わります。
 例えば、1枚だけ買った宝くじが1等に当たるとは思えませんが(12D6)、数万枚買えば話は変わってきます(9D6)。また、英雄と呼ばれるような『天勢値』の高い人達は奇跡を起こすことが多いのです。

 

第弐章番外 「汝、経験せよ」

 と、いうわけで、めでたく恭弥の人格もできたわけじゃな。よってわしは7日目の休みをとるぞ。

悪魔・恭弥

 (勝手だなぁ)

悪 魔

 でも何か言うことがあったでしょう?

 やかましい。言い忘れたことじゃが、このRPGでは基本的に端数を四捨五入する。では後は頼んだぞ。(光となって消える)

恭 弥

 さて、技能を獲得すればいいんだな。俺のRSPは10点だから、「蹴撃」「回避」「防御」をそれぞれ1レベル(1×3=3RSP)。それから「跳躍」「コンビネーション」を2レベルずつだから(1+2)×2=6を加算して合計9RSP。さらに「2輪車」1レベルも加えて計10RSPだ。

悪 魔

 「座禅」はいいんですか?

恭 弥

 そこまで戦闘オンリィな人間になると神様が怒るからな。確かに「座禅」がなければ術力に対して無防備なのは確かだが、『運動力』が高ければ半分の術力は回避できるさ。

悪 魔

 「迎撃」技能があればの話ですけどね。

恭 弥

 ガーン(笑)。

悪 魔

 何故笑うんです? 早急に何とかするんですね。

恭 弥

 さすがは悪魔様。「回避で1ARを消費するくらいならカウンターする方がいい」とあなたもおっしゃってましたね。

悪 魔

 舞台裏での事はオフレコにしてくれる約束だったじゃないですか(苦笑)。

 

目標値

事   象

 4 できなかったら人間やめるべき。 
 6 できて当然。  
 8 ミスがなければできる。
10 普通成功する。
12 意外と成功する。
14 成功するか否かは五分と五分。
16 術者なら成功率は50%。
18 技能があれば結構成功する。
20 技能がなければ絶対無理。
22 たいてい失敗に終わる。
24 できる方がどうかしてる。
26 成功したらそれは奇跡。
28 できたら人間じゃない。

 

恭 弥

 悪魔に約束を守れと言われるとは。そんな訳で「回避」を「迎撃」に変更しよう(笑)。ちなみに上の表は目標値と事象の目安だそうです。

悪 魔

 神様には内緒ですよ。私がレクチャーしたなんて。

恭 弥

 色々とあったが、俺の技能は「蹴撃」1、「迎撃」1、「防御」1、「2輪車」1、「跳躍」2、「コンビネーション」2LVです。RSPは10点全部消費した。

悪 魔

 では実践してみましょう。ほら、ここにバイクがありますよ。

恭 弥

 信用してもいいものか? まあいい、乗ればいいんだろ。で、先がヘアピンカーブのような気がするが?

悪 魔

 そのとおり。見事なコーナリングを期待していますよ(ニヤリ)。装精霊ありの『運動力』と「2輪」で14です。

恭 弥

 上等だ。俺の『運動力』は5、装精霊は+3、「2輪車」技能は1LVで2D6が・・・6。合計15だからギリギリだけど成功だぜ。

悪 魔

 悪いんですが事件という物は単独では起きにくいものなんですよ。ここで「殺気感知」をして下さい。目標値は11です。

恭 弥

 俺は「殺気感知」を持っていないので達成値は『感覚力』+1D6だな。・・・(ダイスを振る)・・・げ、「2」だ。ファンブルなので、4+2−11(『天勢値』)=−5。失敗だな。

悪 魔

 確認しなくても失敗です。次の攻撃に対して「回避」「迎撃」はできません。突然どこかから一発の銃弾が撃たれます。幸いにも狙撃手は鏡を砕くことを狙ってたんですがね。

恭 弥

 周囲を見渡して狙撃手を探したいんだけど・・・。

悪 魔

 ただの捜索ではなくバイク上での捜索ですから「捜索」と「2輪車」を組み合わせて判定して下さい。目標値は14です。

恭 弥

 「捜索」はもっていないが「2輪車」なら1LVがあるんで平均値の0.5を四捨五入して1LV。「コンビネーション」技能は2LVなのでコンビネーションによる制限はない。つまり疑似レベルは1LV。疑似レベルが0ではないのでロールは2D6でできる。ダイスは・・・10だから『感覚力』と加算して、達成値は15。成功だな。

悪 魔

 えぇ。左後方にいました。しかし、計ったようなシチュエーションでしたね。

 

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