第弐章 行為判定
● 技能
人間生きていれば様々な事を試みるものです。術者とて例外ではありません。その試みが成功するか否かは経験と才能、そして運に掛かっていると言えないでしょうか。DOCでは経験・才能・運をそれぞれ「技能レベル」『能力値』「ダイス」で表現(?)します。
技能レベルが高いことはその事について熟知していることになり、能力値が高いのは才能があることを示し、ダイス目が高いことはそのときは運がよかったことを表します。
ですから、高い技能は誰もが求める物ですが、そうそう獲得できるものではありません。それに、人間というものは割と不器用で、全ての分野に熟達することはめったにできません。言い方を変えれば、人間は修得できる技能に限度があると言えます。
ルール的に言ってしまうと、「合計RSPを越えた技能の獲得・成長はできない」となります。
RSPの獲得については第一章及び第六章に譲ります。技能は別表の81種類の技能の中から選ぶことができます。
基本的に1レベルの技能の獲得には1点のRSPが必要となります。
そして、1レベルの技能を2レベルにするには2点のRSPが、以下同様に3点、4点・・・となっていく訳です。
ですから、今まで持っていなかった技能を2レベル獲得するには3点のRSPが必要なのです。
また、技能表中で△印の技能はそのステージでの修得が困難で、技能の獲得・成長に通常の2倍のRSPが必要です。×印の技能はそのステージでは習得できない技能であることを表します。
● ロールと『天勢値』
さて、実際の判定方法ですが、まず、「目標値」を決定します。
基本的にGMがその行為の難しさを考慮して決定しますが、PC間でのことならば、お互いの「達成値」がそれにあたります。
『縁故』を使わない限り判定の仕方は技能の有無によって異なり、技能のある場合の達成値は
『適当な能力値』+「適当な技能LV」+2D6
であり、逆に技能がない場合は
『適当な能力値』+1D6
でその行為の目標値と比較します。目標値が固定されているときは、
「目標値」≦「達成値」
目標値が変動するとき、つまり何らかの形で行為と行為がぶつかるときは、
「前に行われている達成値」<「後から行う達成値」
が成り立てば成功です。
術力の発動などの場合は前者、キャラクター同士の戦闘などは、後者を使います。
通常ならばこれだけなのですが、振ったダイスの目が「2」か「12」ならば(「1ゾロ」「6ゾロ」ではありませんので注意して下さい)「ファンブル」「クリティカル」が発生します。
ダイス目が「2」ならば「ファンブル」が発生し、達成値から現在の『天勢値』の値を差し引き、それを達成値とします。
また、「12」だったならば「クリティカル」であり、『天勢値』の値を達成値に加算します。
どちらの場合も発生・算出した後に『天勢値』が1点上昇します。
『天勢値』はこの他にも「キャラクターの心が燃えている」ときも上昇できます。
その燃え具合をGMが判断して、1〜5点の『天勢値』を与えて下さい。当然ながら激しく燃えているほど多くの『天勢値』を与えるべきでしょう。
ちなみに、『天勢値』の能動的な使い方には下の2種類があります。
・ 達成値の加算 ・ 伝承点への変換 |
前者は単純で、『天勢値』を1点消費するごとに達成値を3点上昇させることができますが、ダイスを振る前にこの旨(および何点消費するか)を宣言しなければなりません。
後者の方もかなり簡単です。『天勢値』を10点消費すると伝承点を1点獲得できるということで、前述(第壱章)の通りです。
● 伝承力
DOCには個人の持つ「運」(つまり『天勢』)より強力な力が存在します。それが「伝承力」です。
その使用回数をルール上『伝承点』と呼びますが、伝承点1点で以下の4つのうちのどれかが可能です。
・
あらゆる行為ロールの達成値を「目標値+1」にする ・ 『必殺技』を発動させる ・ あらゆる悪化コンディションの回復、および、APの超回復 ・ 1ARの獲得 |
1つ目の「あらゆる行為ロールの達成値を『目標値+1』にする」はまさしく達成値を引き上げるのに用います。
これは普通に判定を試みて、失敗だと分かってからでも構いません。
デスチャートでこれを使うと、「ペナルティなし」を含む任意の結果になります。
2つ目も読んで字のごとく『必殺技』を発動させることができます。必殺技については第5章を参照にして下さい。
3つ目ですが、「悪化コンディション」とはデスチャートの結果と術力の影響による能力値等の低下の事です。
これらを一時的に(総合レベル×1Rの間)皆無にして、さらにAPを「最大AP×2」にまで引き上げ、伝承点を消費した瞬間にAPを完全回復します。
最後の4つ目は、いかなる時でもARを得ることができるという意味です。
1AR≒1行動ですので、緊急時に使うことになるでしょうが、ARを獲得しても、「スキ」の最中では行動できません(分からない用語も第四章を読めば分かるでしょう)。
本当に超人的な力を発揮する事ができる『伝承力』ですが、「心が燃えている」の解釈を間違えないで下さい。式にはこの能力は全くありません。まして術力によって作られた疑似生物にはあろうはずもありませんが、禍族には伝承力があります。
● 技能のコンビネーション
さらに難解なルールですが、「コンビネーション制限」というものがあります。何か1つの技能では完全に作業できないようなこと、例えば「飛び蹴り」や「抜き撃ち」などを行おうとするときに関わってきます。
「コンビネーション制限」とは、能力値ではなく技能に課されるペナルティのことで、「コンビネーション」技能が深く関与します。
「コンビネーション」技能とは2つ以上のことを同時に行うことに関しての「要領のよさ」を表す技能で、この技能が高ければ制限を受けないですむ場合もあります。実際には以下の手順を踏みます。
関与する技能LVの平均値を出す(DOCでは特に指示のない限り端数は四捨五入する)。
平均値と「コンビネーション」技能LVを比較し、小さい方を疑似技能LVとする。
術力を含む場合はさらに「魔法物理学」とも比較し、三者の中で最小の物を疑似技能レベルとする。
能力値は適当と思われる方を使用する。どちらでもかまわない場合は高い方の能力値を用いる。
● 特殊な技能
それぞれの技能については大体分かると思いますが、特殊な使い方をする物だけ説明しておきたいと思います。
「点撃」
表中にも書いてあるように「点撃」を攻撃を命中させる技能とコンビネーションさせることによって、相手の防具の装甲の薄いところに攻撃を命中させて、防護点を半分にすることができます。
これは術力などの超自然的な防護点には効果がありません。
また、この技能と「医学」と攻撃を命中させる技能とを三重にコンビネーションして、相手の「防御or回避」+『運動力』と、「座禅」+『耐久力』の両方に勝っていれば、相手を気絶させることができます。
このとき、「回避」には勝っているのに「座禅」には負けていたとすると、事象としては命中しているのですが、ダメージを与えることはできません。
さらに、この技能の3つ目の使い方に「点撃」を攻撃を命中させる技能とコンビネーションして、相手の持っている武器をたたき落とすことがあげられます。
相手に命中した際にクリーンヒットしていれば「武器落とし」は成立します。
「2輪」「4輪」「航空機」「操船術」
これらの技能は何らかの乗り物を運転するためのものですが、大型の兵器か中範囲爆発物による攻撃(大抵は砲撃でしょう)を受けたときに「防御」技能と同様に使うことができます。
とはいえ、運転中は「防御」技能自体を使うことはできませんので、もっぱらこれらの技能を使うことになるでしょう。
しかし、「大型」「中範囲」といっても漠然としすぎていて掴みにくいでしょう。著者にも 『ここからここまで』と明言することはできません。
例えば手榴弾が飛んできたとしましょう。バイクならば瞬時に距離を置こうとすることが可能でしょうが、宇前船では・・・。逆もまたしかり。大口径の衛星ビーム砲で攻撃されたときに宇宙船が回避行動を取るのは良くある(?)話ですが、バイクでは多少動いたところで巻き込まれるのは目に見えています。
一般則として、下限は「コクピット・操舵室・ブリッジ・シートetc・・・から攻撃が見えるもの」で、上限は「半径『移動力×1m』以上の効果範囲を持つ兵器」となります。
ですが、バイク等が横に動きにくいのを計算に入れて、少し前方に攻撃すればやはりダメージを軽減することはできなくなるでしょう。
「歌唱」「〜演奏」「舞踏」「演劇」
人通りの多い場所で2時間以上これらの芸術を披露していると、2時間につき「達成値」÷20日分の生活費と等しい収入を得ることができます。
2人以上で協力した場合は達成値にサポートした人の技能LVを加算できます。
「雑学」
他の知識系の技能の代わりに使用することができますが、達成値に−4のペナルティ受けます。
やはり、「雑学」の知識は広く浅いようです。
「医学」
10分を必要としますが、応急手当てをすることができます。
減少したHPを「達成値」÷5点だけ回復させます。
ただし、これには『救急セット』が必要ですし、1人の患者に対して1回しか試みることができません。
第弐章追記
● 天勢ロール
『天勢値』はその人の運勢や生きる底力を示唆する数値です。そこで、運の善し悪しを判断するときには『天勢値』を用いてロールをすることがあります。これを天勢ロールと言います。
天勢ロールはダイスを振り、ダイス目の合計が『天勢値』以下であれば成功です。目標値が固定値なので、同点でも成功になります。天勢ロールで振るダイスの数は基本的に成功しやすい方がダイスの数が少なくなってきますが、状況によって変わります。
例えば、1枚だけ買った宝くじが1等に当たるとは思えませんが(12D6)、数万枚買えば話は変わってきます(9D6)。また、英雄と呼ばれるような『天勢値』の高い人達は奇跡を起こすことが多いのです。
第弐章番外 「汝、経験せよ」
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目標値 | 事 象 |
4 | できなかったら人間やめるべき。 |
6 | できて当然。 |
8 | ミスがなければできる。 |
10 | 普通成功する。 |
12 | 意外と成功する。 |
14 | 成功するか否かは五分と五分。 |
16 | 術者なら成功率は50%。 |
18 | 技能があれば結構成功する。 |
20 | 技能がなければ絶対無理。 |
22 | たいてい失敗に終わる。 |
24 | できる方がどうかしてる。 |
26 | 成功したらそれは奇跡。 |
28 | できたら人間じゃない。 |
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