第伍章 必殺技!
必殺技――文字そのままの意味だとすると(敵を)絶対に殺す技。しかし、DOCの術者が使える必殺技は必ずしも殺せるとは限りません。太陽の光を浴びないと絶対に死なない化け物や、肉体を持たない精神体を相手にすることもあるからです。
まあ、必殺技が発動すればまず1人は死人が出ることは確実でしょう。必殺技は伝承点1点を消費すれば発動はしますが、効果を上乗せするためにはHP/AP/天勢値を消費する必要があります。これらの消費によって命中の達成値や攻撃力を上昇させることができるのです。
注意してほしいのは、DOCにおける必殺技は「通常の攻撃のバージョンアップ」であるということです。通常の攻撃よりも攻撃範囲が広がったり、命中の達成値や攻撃力が上昇したりするのです。
● 消費値
さて、先程も書きましたが、必殺技を発動させるときはたいていHP・AP・『天勢値』を消費しますが、これはその都度どれだけ消費するか決定して構いません。毎回消費する値を変更できるのです。この消費する数値を『消費値』と呼びます。
消費値(Kで表されます)は
消費値=消費するHP+消費するAP+(消費する天勢値)×3
で算出します。ですが、それぞれの消費するポイントには限界があります。APをマイナスにすることはできませんし、『天勢値』も同様にマイナスにすることはできません。HPはある程度マイナスにすることが可能ですが、最大(最低?)でもマイナス総合LV×2点までにしか減少させることはできません。
また逆にHP・AP・『天勢値』を全く消費しなくても構いません(もちろん伝承点は消費します)。これらの理由から、伝承点の使用条件は「重傷状態」よりも「心が燃えている」の方が有利だということがお分かりでしょう。
● 基本攻撃
先ほどから幾度も述べているように、DOCの必殺技は「通常の攻撃・術力の超強化」です。ですのでまず「通常の攻撃・術力」を決めなければなりません。これを必殺技の「基本攻撃」と呼びます。基本攻撃は決定したら、もう二度と変えることはできません。
基本攻撃は技能・術力またはそれらのコンビネーションの形で記します。例えば「刀剣術」とか、<煉獄>+<裂焦球>、あるいは「点撃」+「光学」+<緋光斬>のようにです。ここで注意すべき点は2点あります。
まず、必殺技はSLCの3種に属さない行動ですので、必殺技の基本攻撃にする場合は、術力をコンビネーションさせるさせるときでも共通の行動種がなくてもコンビネーションが可能になります。
次に、基本攻撃に組み込んだ技能・術力は必ずしも用いなくても構いませんが、使用できるシチュエーションによる制限や、APの消費(術力)・発動キーによる規制等を受けてしまうということです。基本攻撃が「跳躍」+「刀剣術」の必殺技は跳ばなくても使用することはできますが、跳べない状況(組み付かれているときなど)では使えません。対象が人質をとっているので、「手撃」+「点撃」+<透徹波>の<透徹波>をやめることはできます。でも消費値の他に<透徹波>分の消費APは必要になりますし、達成値が<透徹波>の発動値以上でなければいけません。つまり、基本攻撃に多くの技能・術力を組み込むと、多くのバリエーションを派生させることができますが、その反面コスト・制限も多く、一長一短なのです。
なお、基本攻撃はダメージを与えるもの、ないし、ダメージを回復させるものでなければなりません。ですので、<招-××>・「疾走」+「体術」・「歌唱」・<虚言>・集積のようなものではいけません。ダメージを回復させるものは、攻撃力修正分が回復量に加算されます。「達成値÷A点回復」のような術力は達成値が上昇した分に加えて攻撃力修正分も加算されますのでかなり回復させることができます。
● 必殺技リスト
必殺技は「通常の攻撃のバージョンアップ」であるということは先程も述べましたが、必殺技は基本となる攻撃によってかなり異なりますし、本当に多くの種類の必殺技があるでしょうが、今回は『撃』『砕』『翔』『烈』『斬』『吼』『陣』『拳』『襲』『轟』の10種類を掲示しておきます。
リスト中の「基本攻撃」は攻撃範囲で分類されています。普通の攻撃に関しては説明しなくても大丈夫でしょうが、“精×○m内1点(人)”と書かれている術力は「射撃系」で、“(精×〇m内)半径△m”は「エリア攻撃系」。“直径○m×△m”は「指向性攻撃系」に、“接触”は「白兵攻撃系」に分類されます。しかし、自身が突進する術力など“使用者~△m”のものは「射撃系ないし白兵攻撃系」となり、どちらでもできることになります。
『撃』 | |||||||
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『砕』 |
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『翔』 |
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『烈』 |
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『斬』 |
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『吼』 |
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『陣』 |
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『拳』 |
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『襲』 |
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『轟』 |
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● 必殺技にならない基本攻撃
すでにお気づきかもしれませんが、基本攻撃に“壁型”と“地雷型”、それから“符型”が入っていません。これは「基本的に」必殺技にはできないことを意味しているのですが、あくまでも「基本的に」です。“壁型”はどうしても無理だと思いますが、“地雷型”や“符型”は他の術力と組み合わせることで必殺技化(というか基本攻撃化)が可能です。
(強い)
少年はすでにそう判断していた。確かにそれは正しい評価と言えよう。少年の敵は外見では分からないが、500年以上生きてきた『化け物』なのだ。
「どうした少年。こんなもので終りか?」
「まさか。てめえを倒すまで終わらねえよ」
「意気込みだけでこの私を倒せるといいがな」
少年の攻撃はこれまでことごとく防がれてきた。しかし、少年に残された武器は意気込みだけではない。まだ彼には切り札が残されている。
「稲妻よ、一条の糸となれ!」
「<雷繊糸>だと!? 無駄だ! 君では私まで届かない!」
わりと高等な術力である<雷繊糸>は、触れる者に超高圧の電流を浴びせる。しかし、その本体である<糸>の長さは術者の能力によって変わり得るものである。少年の場合はせいぜい3m。敵との距離は10m弱。
「そいつはどうかな?」
「何!?」
突然、一陣の風が戦場になだれ込んできた。その風は少年の背中を、腕を、そして手を撫で、目前の敵の方へと流れていく。一本の黄金色の糸を抱いて。狙い澄ましたかのような風に乗って<雷繊糸>は肢体に巻き付く。高圧電流を秘めた<糸>が絡み付いた以上、解放より『死』の方が身近な存在である。
「リーチが足らないことぐらい百も承知だ。だが俺には<風手>があるから通常の<雷繊糸>でもよけることは難しい。まして俺の<飛燕雷光斬>ならなおさらだ」
・・・とまあ、こんなかんじで。
上の例は作成した符や“地雷”を飛ばして確実に敵にヒットさせるタイプの代表例です。必殺技は伝承点を消費すると言う性質上、確実に敵に対する攻撃が発動する必要があります。敵に回避されるのはまあ仕方のない(?)ことですが、踏むか踏まないか分からない“地雷”という形態は望ましくありません。数百年後に何の罪もない子供が死ぬかも知れませんし、何より“地雷”のありかが分かってしまったら伝承点が、ひいては流した血と燃やした心が無駄になってしまいます。
それを解消する例が前述の<飛燕雷光斬>なのです。今回は、基本攻撃が<雷繊糸>+<風手>です。<雷繊糸>が1点への攻撃なので、「射撃系」の扱いになりますが、これが<炎烈符>+<反発>だったりすると「エリア攻撃系」になるでしょう。
各GMは“地雷”が飛ぶか否か、実際に被害が出る範囲はどれ位かを考慮して下さい。また、“壁型”は攻撃能力の有無に関係なく必殺技に使えません。
言い忘れましたが、必殺技はSLCのどれにも属さない行動です。ですから、他の場合と異なり術力についても発動可能なSLC分類に関わらずコンビネーションさせられますが、その反面、元の行動に関わらず必殺技は2AR・「スキ」第0MVまでになります。
● 見切り
「フッ。同じ技が2度も通用すると思ったのか!!」というセリフを聞いたことがある方は多いと思います。DOCでもやはり1度『見切られた』必殺技は2度と通用しません。『見切り』は発動させた必殺技の消費値÷5点の『天勢値』を消費すれば成功します。
別に必ず『見切り』をする必要はありませんが、天勢値が0になろうとも『見切り』を行うことは可能です。ただし、その時はすなわちその者の命運の尽きる時です。術者ならずとも人間及び全ての動物は、これから先の人生(?)を進んでいくための推進力のような力を持っています。この力を「天勢力」と呼び、便宜上数値化したもののことを『天勢値』と呼んでいます。
ですから「天勢力」を失った生物は生命を維持することさえできなくなり死んでしまいます。一般的な理由としては「寿命」や「事故」「過労」として扱われてしまうことでしょう。また、厳密な定義では術者とは術力を駆使する人間のことではなく、この「天勢力」を自分の意志で使用できる者のことです。
話を本題に戻しましょう。必殺技の『見切り』以外で天勢値を自発的に0以下にすることはできません(まあ、自分に<災厄>をかける禍族がいれば話は別ですが)。この『見切り』によって天勢値が0になった者や、見切ったものの死亡した者は、もう一行動しか取れなくなります。その行動とは・・・
(伝えなくては・・・こいつの真の『切り札』の正体を・・・)
宿敵との戦いの最中に彼は自分に残された先のない生命でできる最期の使命を考えていた。幸運にも彼には今まで生死を共にした親友がいる。
「・・・あいつは・・・あいつだけは殺させない」
「一体どうやってだね? その状態でこの私に何かできるのかね?」
冷ややかな声だった。そして同じくらい冷ややかな事実を突き付けられているのに気付いた。自分の“死の運命”だ。
「・・・オレにできるのはあいつのために死ぬことだけか」
彼の脳裏に1つのアイデアが閃いていた。宿敵は今背を向けている。今しかチャンスはないのだ。ダイイングメッセージ――現実味のない手段だと以前酷評したこともあったが、今となってはこの手段が頼みの網だ。あいつならこのメッセージを受けとってくれるだろう。
「何故だ。死に逝く者がどうして微笑んでいるのだ」
彼らの宿敵は彼に疑問の言葉を投げかけたが、彼の耳に届いた最期の言葉は宿敵の言葉ではなく、子供の頃からの親友の笑い声だけだった。
とまあ、要するに何かのメッセージを誰かに残すのです。
ダイイングメッセージといっても何も解読に文庫本1冊かかるほど難解なダイイングメッセージでなくても構いません(それはそれでストーリーになっていいと思いますが)。自らの血で字を書き残したとしても、テレパシーのような超自然的な力でも一向に構いませんが、1つだけ注意してほしいのは「手段に関わらず敵にバレるまえに味方に伝わる」という点です。「そんな馬鹿な!」というような手段でもこれだけは譲りません。命と引き換えですからこれ位のわがままは許してあげて下さい。
またダイイングメッセージとはいつでもメッセージの形態をしている必要はありません。前述のテレパシーのような超自然的な力でも「尋常でない傷口」でも「アイコンタクト」でも何でも構わないのです。ただ、形態によっては多数の人間に伝わらないかも知れません。
ダイイングメッセージを直接受けとった人物はあたかも自分が『見切った』かのようにダメージを皆無にできます。1度『見切られた』必殺技は「必殺技のバージョンアップ」を行わない限り『見切った』人物には通用しません。
また、ある種の組織に於いては部下が死ぬ間際に上官にダイイングメッセージを送るのは当然とされています(笑)。
● 必殺技のバージョンアップ
必殺技は術者と禍族にのみ使える特殊な能力ですが、1人の人間が体得できる必殺技の数は1個だけです。しかし、アニメなどではしばしば『必殺技のバージョンアップ』を行っています。DOCでも代償さえ払えばこれは可能です。
代償とは普通『天勢値』5点で、5点消費すればそれ以降「基本攻撃」以外を変更された必殺技に更新することができます。このバージョンアップはシナリオ開始前に行って下さい(β以外)。
『必殺技のバージョンアップ』のメリットはこれだけではありません。必殺技を『見切』られてから『バージョンアップ』を行うとそれ以後消費値に+5の修正を受けられます。
この修正は『見切り』→『バージョンアップ』を行う度にどんどん加算されますので、DOCでキャンペーンをやる場合は「好敵手がいた方が強くなれる」のです。もはや『バージョンアップ』に例えはいらないのではないでしょうか。
● 合体必殺技
あらゆるジャンルにおける禁断の秘技・『合体必殺技』のルールをお教えしましょう。『合体必殺技』を発動させるには第7章で記述されている「縁故」で結ばれている術者が2人(以上)目的は違っても同じ対象に対して「心を燃やしている」必要があります。その条件がそろってさえいれば処理することは以下の3つです。
・ カテゴリーの選択 ・ 事前設定数値の変更 ・ 消費値の累積 |
『合体必殺技』は参加する複数の人間の持つ必殺技カテゴリーのうち1つを選びます。その人の必殺技をメインに他の人が補助するということになります。しかし、必殺技のカテゴリーに由来した人と基本行動に由来した人物は異なっても構いません。Aという人の基本攻撃をBという人の必殺技カテゴリーで発動させても構いません。この場合はメインの人物はBの方です。
必殺技のカテゴリーが決定したら(必要があれば)事前設定数値を決定して下さい。これはメインとなる人物の本来の数値と異なっても構いません。つまり、合体必殺技は基礎となる必殺技とはほとんど違う必殺技になってしまいますので、基礎となる必殺技が『見切られて』いても通用します。
最後に消費値を計算します。これは純粋に全員が消費した消費値を加算していき、さらに参加者をつなぐ「縁故」LVも5倍で加算することができます。まあ、必殺技の名前・描写などは勝手に決めて下さい。
ちなみに合体とはいってもただ単に必殺技を同時に撃つだけではありません。特に必殺技カテゴリーと基本攻撃の由来する人物が異なるときなどに効果を発揮するでしょう・・・。
目を焼くほどの爆光が収まるとそこには必殺技が命中する前と全く同じ姿の老人が立っていた。
「馬鹿な・・・俺の<緋龍斬>が外れるはずは」
光芒士の男はつぶやかずにいられなかった。
「愚か。愚かよのう。どんなに強力でもわしには光術など効かんよ」
老人は楽しげにそう言った。
「・・・<歪曲>・・・」
「ほう。そこの娘は虚空士か? だがもはやその娘は自分ひとりで戦える状態ではないようじゃな」
確かにその通りだ。彼女にはもうほとんど天勢力も生命力も残っていなかった。こうなると光芒士がさっきの必殺技で全力を使わずに余力を残しておいたのは正解だっただろうが、これほどの実力を持った相手に同じ技は二度通用しない。
「万策尽きたのじゃろう」
「・・・ねえ。ひとつだけ手段があるわ」
娘は相棒にだけ聞こえる声で言った。
「あたしに向けてもう1回さっきの必殺技を撃って。そのエネルギーをあたしが次元のエネルギ一に変換してあいつにぶつけるのよ」
たしかに男にはもう1度必殺技を撃つことができるだけの力がある。だが・・・、
「無茶だ。お前の命の保証はないぞ」
「でもそれしかないじゃない。上手くやればあたしは全然消耗しないでいいの」
「嘘じゃないんだろうな」
「当たり前でしょ」
「・・・分かった。やってみよう」
男は半信半疑のまま必殺技の構えに入った。
「無駄なことをするもんじゃな」
男は老魔術師の言葉に構わず、ためらいと命運をのせ、極限まで強化した無数のレーザー光を撃ちはなった。
「無駄だと言ったはずじゃぞ」
老魔術師のまわりの空聞が<歪曲>し始める。
「それはどうかしら?」
突然男と魔術師の間に娘が割り込んで来た。娘はその背中で渾身の力を込められた無数の<緋光斬>を受け止める。
「何!」
老魔術師の顔に驚愕の表情が浮かぶ。
「例えどんなに強力な<歪曲>空間でも虚術だけは止められないわ!」
「「くらえ!<緋龍虚空斬>!!」」
娘の両掌から<緋光斬>よりもさらに強力な時空のエネルギー<次元斬>が無数に発せられる。<次元斬>は狙いあやまたず老魔術師の腕に、脚に、胸に、そして額に命中し、全てが確実に貫通していった。
「まさか・・・このわしが・・・」
老魔術師はその言葉と共に絶命した。だが、くずれおちたのはひとりではなかった。虚空士の娘もまた力なく倒れていたのだ。
「おいっ。消耗はしないはずだろう!?」
「・・・消耗を避ければどうしても威力が下がるから・・・」
「また俺をだましたな」
「・・・あたしのこと嫌いになった?」
女は不安気に聞いた。
「少しな。罰として治療だけは受けてもらうからな」
その答えは否定とはいえなかった。
少々長くなってしまいましたが、この例だと基本攻撃は虚空土の娘の<次元斬>、必殺技カテゴリーは光芒土の持つ<烈>です。ですから攻撃力・属性・効果範囲は娘の<次元斬>を基本としますが、判定をするのは必殺技カテゴリーの持ち主である男(のプレイヤー)が行います。
合体必殺技では参加する全員が伝承点を1点ずつ消費する必要があります。数人で1点ずつ消費するのですから無駄が多いような気がするかもしれませんが発動に必要な伝承点(=1点)以外が余るようなら余った伝承点1点を50点の消費値に加算することができます。これができるのは合体必殺技のときのみですが、合体必殺技のときは1点以上伝承点を消費することも可能です。
合体必殺技は切り札中の切り札ですので軽々しく使わないほうが身のためでしょう。当然ではありますが、合体必殺技を『見切られた』場合はベースとなった人物の通常の必殺技(先の例なら男の<緋龍斬>)も『見切られた』ことになります。
合体させるか否かはともかく必殺技は基本攻撃によって属性を決定します(攻撃力のタイプではありません)。基本攻撃が<火弾>ならばどんな必殺技であろうとも炎による攻撃と見なします。基本攻撃が特に属性を持っていないならば(例:日本刀での斬撃、「蹴撃」による蹴り等)それらは全てオーラによる攻撃と見なすことも可能です。
第伍章追記
● 必殺技オプション
必殺技に細かいオプションをつけることができます。「転倒」「後退」「発動時移動」「技能追加」「反発」「相殺」「L行動化」の7つです。
これらのオプションを組み込んだ必殺技を発動させると、消費値が何点か減ってしまいます。そして、その減った消費値を元に命中値修正や攻撃力修正を算出して下さい。
・ 転倒(-5点)
クリーンヒットしたら相手が転倒します。DOCにおける必殺技は発動後のスキが非常に大きいので、反撃を避けるためにもこのようなオプションは意外と助かります。基本攻撃が転倒するような攻撃(一部の術力や跳躍攻撃等)にこのオプションをつけると起きあがる行動が通常のS行動からL行動になってしまいます。
・ 後退(-5点/m)
クリーンヒットしたら相手を数m後ろに押しのけます。どのようなシチュエーションで使うかは謎ですが、あらかじめ敵の後方に「地雷」を設置しておいたり、断崖から突き落とすときなどが考えられるでしょう。このオプションは敵を後方に押しのけるだけで自分が移動できるかどうかは別問題です。
・
発動時移動(-5点/「移動力の3分の1」m)
必殺技を発動させる直前ないし直後に「移動力の3分の1」mだけ移動します。どう使うかは使用者の頭脳次第ではないでしょうか。
・ 技能追加(-10/20点)
基本攻撃に新しい技能を「臨時的に」追加します。このオプションは状況に応じてかなり有効に使えることと思います。基本攻撃「短刀術」の必殺技に「投擲」を組み込むと射撃系の基本攻撃にもなります。装甲が非常に硬い敵に遭遇したら「点撃」を組み込むと防護点を半分にできます。技能の唯一の例外は「投げ技」技能で、この技能だけは20点の消費になってしまいます。
・ 反発(-10点)
敵の何らかの攻撃と同時に必殺技を放つ場合、攻撃のエネルギーが反発し、どちらか片方に(攻撃の達成値が低い方に)両方の攻撃が流れます。相手の効果範囲が広範囲でも相手を中心とした半径~mに変化しますが、複数の攻撃目標を持つ攻撃(『烈』の必殺技・火術<烈焦球>・水術<水天弓>等)の場合は自分のところに来た攻撃だけが反発の対象となります。
・ 相殺(-10点)
敵の何らかの攻撃と同時に必殺技を放つ場合、攻撃のエネルギーが相殺し、ダメージの少ない方が少ない分だけダメージを受けます。35点の攻撃と75点の攻撃ならば35点の方が75-35=40点のダメージを受けます。反発の必殺技と相殺の必殺技がぶつかった場合、双方が素通りして通常通り「たまたま同じMVに攻撃が発生しただけ」になります。
・ L行動化(-25点)
必殺技は通常「2AR・「スキ」第0MVまで」の特殊な行動ですが、このオプションを組み込むことによって普通のL行動にしてしまいます。スキの間は防御もできなければ伝承点を消費してARを獲得することもできませんので、かなり危険な状況になってしまいます。このオプションがあれば、発動後の危険性を格段に減少することになります。反面、必殺技発動のタイミングは1MV遅れてしまいます。
・ 反動S/反動L(+5/+15)
このオプションが付いた必殺技を発動させると、発動後に使用者は転倒します。反動SならばS行動で起き上がれますが、反動LだとL行動でなければなりません。必殺技の直後は長いスキになっていますので、絶対に戦闘が終わるという確信があるときか、博打に出なければ勝てないときにしか使わないオプションでしょう。
・ 制御不能1~7(説明文参照)
この必殺技は正確に消費値を制御することができません。ですが、制御しない分だけ必殺技の威力は強化されます。この制御不能のレベルは事前に設定・固定しておきます。
制御不能の必殺技は消費値を決定する際に3段階のステップをおきます。まず最初に通常どおり消費値を決定します。
次に制御不能のレベル(1~7)個だけD6を振ります。そしてその合計値分だけさらに多く消費しなければなりません。この追加消費値の内訳(HP/AP/天勢値のバランス)は自由に割り振って構いませんが、この消費値が払えないときや、払いたくないときは必殺技は発動しません。伝承点と第一段階で自分で決定した消費値は失われます。
追加消費値を消費できたのならば、追加消費値は2倍にして消費値に加算し、通常どおりの処理に戻ります。つまり、実際に消費する量が「自由に決めた消費値」+1~7D6(追加消費値)であるのに対して、達成値や攻撃力を計算する際の消費値は「自由に決めた消費値」+「追加消費値」×2になるので、1~7D6点だけ得する計算になります。
このオプションも「賭け」です。7D6にもなると追加消費値は7~42になりますので、差の35点が支払える場合にしか使われないでしょう。いわば、このオプションは「反動」以上の本当に最後の手段だと言えます。ちなみに、追加消費値を決めるロールには縁故が適用されません。
これらのオプションで効果を累積できるのは「後退」「発動時移動」のみであり、「技能追加」は1つしかできないことに注意して下さい。
第伍章番外 「汝、必殺技を放て」
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