寄りみち(VOL.72, 99年6月号)

 6月は梅の月ですあじさいとカタツムリ

 梅雨前線はどこへ行ってしまったのでしょうか。梅雨入りしたものの,いい天気が続いています。真夏のような天気で,やっぱりビールが良く売れます。
 暑い日,仕事の後の一杯,本当においしいですね。休みの日の一杯もいいけど,やっぱり仕事を終えての旨さは格別です。9時30分,シャッターを閉めるのが,ちょっと待ち遠しい。

 さて6月は手造りの好きな方には忙しい月なのではないでしょうか。梅干し,梅酒,らっきょう漬け,など。
 どれもすぐに食べたりできませんが,出来上がりを思いながらの作業は楽しいですね。また自分で手をかけた物はおいしい。

 今年の梅酒はどうしようか?
 この2〜3年は,常陸山(ひたちやま)という梅酒用の本格焼酎で漬けているのですが,待ちきれない。常陸山を使うと梅酒としての本来の旨さが出てくるのに2〜3年かかるのですが,つい飲んでしまう。1年でも,まずくない・・・(おいしい) でももし,2〜3年熟成させたら,すご〜くおいしいんだろうなぁ,きっと。

 そう考えると,今年こそ絶対に飲まないで3年間熟成させようかと思ったりしている(あんまり自身はないけど)。
 うまくいけば,3年後にご報告したいと思います。


極寒の東北<4> 酒楽童子酒蔵訪問の旅

 今回の旅も「出羽鶴酒造」と「刈穂酒造」の見学を残すのみとなった。

 特急いなほ12号が,6分遅れていたので秋田駅での乗り換えを心配したが,無事に14時12分大曲駅に到着した。
 出羽鶴と刈穂の両蔵を経営する秋田清酒の息子さんの伊藤洋平さんと佐渡技師長さん,事務の方と迎えに来てくださった。

 我々一行は,それぞれ3台の車に分乗し,先ずは「出羽鶴酒造」へ向かった。走り出してすぐ今年の雪の深さに驚いた。このあたりはそれほど深くなるところではないのに,今年は130センチ程の積雪があり佐渡技師長さんも2度ほど雪下ろしをされたそうだ。

 30分ほどで「出羽鶴酒造」に到着。曇天の空から雪混じりのお日様がときおり顔を出す。母屋の会議室でしばしのレクチャーを受け,いざ蔵へ。みんなで白衣を着込むと,怪しいにわか学者菅谷一同しばらく爆笑!

 蔵の入口で,仕込水を味わう。「出羽鶴」の水は軟水で(刈穂の水は「硬水」)両蔵の造りの違いがはっきり出るという。「出羽鶴」では,一般レギュラー酒が中心であったが,近年では特定名称酒にシフトしてきている。数年前に訪れたとき貯蔵庫であった所に,総米1500kg仕込の開放サーマルタンクが並んでいた。

 もろみを見せていただくのに,はしごを上がると,そこには小さな「添え桶」が置いてある。三段仕込みの最初添え仕込みの段階で,いきなり大きなタンクに仕込まず,小さなタンクでより健全な発行をさせるのが目的。一同感心しながら佐渡技師長の話を聞いている。
 「やまとしずく」の仕込みタンクは,すばらしい芳香をはなっていた。

 その後,酒母室でもろみと酵母のアンプルを拝見,麹室では,なぜ「突きハゼ麹」にするか天窓の役目,等ご指導いただく。 
 吟醸蔵では600kgと750kgの開放タンクがならぶ,隅の方に少し似つかわしくない小さなタンクがあった。
 佐渡技師長さんによるとよく入賞する縁起の良いタンクだそうだ。神がかり的要素を見るようだった。

 会議室に戻り,出品酒36号ホ,純米松倉をきかせていただく。
 もう少し「出羽鶴」に居たかったが時間も押している。心残りのまま「刈穂酒造」に向かう。

 刈穂酒造に向かう途中「○×白衣」という看板発見!佐渡技師長さんに伺うと,なんと日本の白衣の70パーセントはここで作られているという。なんと凄い商品!そんな話をしながら「刈穂酒造」に到着,刈穂酒造は県内一の穀倉地帯「仙北平野」の中央に位置し慶応元年から酒造りを行なっている。大正2年,出羽鶴の兄弟蔵として「刈穂酒造」となる。

 社長の伊藤辰郎氏は,16代目の頭首で伊藤家の歴史は秋田酒の歴史と大き関わっている。酒好きならば,ぜひ歴史を振返ってもらいたい。酵母の花咲爺さんと言っても過言でない「花岡正庸」先生と秋田酒を探ると,とっても興味深いですよ。
 ぜひ,篠田次郎(著)「吟醸酒の来た道」の第3章「昭和3年 花岡正庸」をお読み下さい。
 刈穂酒造で,佐渡技師長さんからビックリする新聞を見せていただいた。「どぶろく」の記事である。いまだに「どぶろく」(密造酒)が造られているようで,花岡先生の「どぶろく」退治もいまだ終結せずとは・・・。

 話を刈穂酒造に戻そう。刈穂では2000石全て特定名称酒だけを醸している。吟醸と純米で,約90%を占める。
 近年唯一特定名称を名乗れない純米酒を発売した。「大正復刻酒」で,精米80%で日本で最初に分離した酵母「サッカロマイスサケ」で仕込んだ非常に面白味のある酒です。刈穂では,昔ながらの秋田流生モト仕込みを主流にしており,秋になってグッと味の載ってくる酒が多い。

 山廃酒母室は,酵母添加前と添加後の二つに分けられている。麹室も二つに分かれているが,どちらも麹蓋を使用している。
 圧巻は搾りの「酒槽」が6槽あることだ。
 それぞれの造りに適した搾りが可能になる。見学の後,「純米大吟やまとしずく」「大吟醸生 吟千樹」「六舟」「純米超辛」ときき酒させていただいた。

 蔵元の今後の方向性などお話を聞かせていただいた。
 また,鑑評会の話の中で「伝統の生モトで鑑評会に出品したことがありますか」と佐渡技師長に伺うと,なんとあるという。結果は散々だったそうだ。・・・・みんなで大爆笑。

 気づくと外は真暗,時が経つのは早い。もう,おいとまの時間になってしまった。
 19時大曲発・秋田新幹線こまち26号で帰路についた。
 洋平さんからのハムとソーセージ,そして吟醸酒の差し入れが心にしみた。
   蔵元訪問の旅 おわり


西田酒造の皆様,喜久水酒造の皆様,そして秋田清酒の皆様,吟醸造りの忙しい最中に本当にありがとうございました。


さて七輪でぐい呑みは焼ける? 〜やってみました〜

 「陶磁郎」という雑誌に”七輪でぐい呑みを焼こう”というのが載っていた。時間は2〜3時間で自分で作ったぐい呑みで”乾杯!”が出来るというものだった。

 「うわ〜,やってみたいな」と単純に思ってしまった。
 そして,陶芸を本格的にやっている迷陶芸家のNOBUさんに相談すると「いいですょ,やりましょう」と快く引き受けてくれた。しかし「そう簡単にはいきませんよ」の注意付きであった。

 いよいよ当日,海鮮山解さんに場所を借りてウキウキと真剣な空気の中で作業が進む。数日前からNOBUさんが私たちでも焼きやすい土をブレンドして練ってくれたにもかかわらず,素焼きの段階でパンパン割れる。

 ワクワク,ドキドキの時間が過ぎてゆく。(自分の作品が心配だ〜!)

 みんなが疲れている中でNOBUさんだけが働いている。NOBUさんに悪いなあと思いながらも,何をしてよいのかわからずに,ただ見守るのみ。2〜3時間の予定(NOBUさんの予定では最低でも5〜6時間)がなんと12時間。各自 自慢のぐい呑みで”乾杯”できたのは夜10時を過ぎていた。しかし,本焼きの時に炎の中で真っ赤になっている自分の作品を見た時のゾクゾクする気持ち,こういうのは久しぶりでした。

 一つ一つの作業に夢中になっていた気がします。そして,酒一筋”秘伝・山廃純米大吟(生)”で乾杯.その一口のおいしさは12時間の時間にかえがたいものでした。NOBUさんに感謝!ありがとうございます。またよろしくお願いします。

 楽しかったです。チャレンジなさる方,ガイドブックをお貸しします。

当日は10名強の参加(ほとんど陶芸経験なし)で,割れることを想定して50個くらいの作品を焼きました。2〜3人で数個の作品ならば,2〜3時間でやけるかも・・・。


酒一筋・田植祭に行ってきました

 6月5日(土)快晴,西暦2000年に出来上がる「田植酒が飲みた〜い。そんな熱烈『酒一筋』ファン約10名が酒米の帝王『赤磐雄町』の田植祭りに参加した。鈴木さん,小泉さんは前日に岡山入り,石毛さんは夜行で,私達夫婦と海鮮山解ファミリー,中川さん,池田さんは朝一番の飛行機で岡山へと向かった。

 雄町の里もすこぶる快晴,気持ちがいい。田植祭り参加者は今年も50名を超えているようだ。多人数だ。
 田植に来ているのみ「おっ,今年も少し楽かな〜」なんて海鮮山解の大将・栄治さんとニヤリ・・・。

 田圃に入るとドピーカンの空から痛いぐらいにお日様が私達を歓迎してくれている。朝が早いから,たまにクラクラしてくる。 ここで田圃にダイビングするわけにはいかない。カッチョ悪いもん?内心はやってみたいが・・・。

 それでも田植祭りが終わった時の満足感はいい。田圃に向かって「今年も元気に育ってくれよ」と心の中でつぶやいた。

お知らせ: 稲の発育は酒一筋のホームページで見ることができます。



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