第4部
☆四万十川へ・・・・・。
やはり行かねばならないかも、何も考えずもう一泊ここにいて帰ることも考えていたが、来年又来ることも誓っていたばかりだし、そんなに時間をかけてみなくても良いという気持ちもあった。やはり今まで支えてくれたのもOさんだし、あとで何言われるか分からないので、行くことに決定。
今、11時。店の人に聞くと、
「ここから100キロ以上あるし、ゴールデンウィークは一番混んでいる。四万十川付近にはなかなか泊まれないよー」。
どうしよう、
「すごい峠があるから気を付けて」
ん・・・・。
目的がすごく薄くなった今、このままテンションを上げていくことができるのだろうか?やる気満々で走っても、休みいれて、6時間から7時間かかる。さらに、泊まれなかったらどうする?気持ちが萎えてきていた。
そうだ!自転車たたみ、担いで電車に乗ればよい。たまには、そんな旅も良いのじゃないだろうか?明日の朝出て行ったら、余分に金もかかるし。
割り切ったら急に気持ちが楽になり、高知駅に向かうことにした。戻る途中に「坂本竜馬記念館」があった。電車で行くことにしていたので少し気を楽にして、もう少し見て行く事にした。
来ている人たちは、彼のファン多そうだ。彼のゆかりのものがいっぱい展示してあり、ウンチクたれている人たちも多かった。俺も本当はたれていたいけど、話し掛けて話すほど時間は無かった。
実は、彼の直筆の手紙には興味があった。彼の「エヘン文」と言われる乙女姉さんに宛てた手紙がある。なんとなく江戸時代にこんな文章が本当に書かれていたのか興味があり、探しながら歩いた。
「あった!」
うまいかどうか分からない字で
「・・・・勝麟太郎という大先生に門人となりかわいがられ候、すこしエヘン顔をしており・・・・・・エヘンエヘン かしこ。」
何かとてもうれしかった。実行力がありユーモアもあり、いつのまにか誰からも好かれている。理想だけど、言い伝えだけかもしれない。でもこの文を見ていると、多分本当にそうだったんだろうと思った。
また写真の竜馬は、懐に片手を入れている(銅像でもそうだけど)。これは、池田屋事件で襲われたときに受けた傷を隠すためだったと言われていると書いてあった。
「なるほどー!知らなかったー!」
記念館を出て、高知駅へ。電車で中村駅に向かった(四万十川最寄の駅)。自転車かついで電車に乗るとすぐ日記を書き始めた。
なんか字がぐにゃぐにゃになってゆく。
なんだーめちゃくちゃ揺れるじゃねーか。
よく見ると、電車からちょっと煙が出ている。電車にはつき物の、電車の上には電線が無い。
ん・・・・、自走している。
もしかして、ディーゼル車!
確か昔、八高線あたりがディーゼル車だと聞いたことがあった。今ではあまりないんじゃないかなー。そういう意味では、今ではあまり乗れない電車(と言うよりディーゼル車)で、移動して良かったかもしれない。
それからまた、ぐにゃぐにゃ日記書きながら、いつのまにか寝てしまった。
中村駅に着き、観光案内所に走る。
「もう中村には、泊まるとこないよ」
☆四万十川で会ったお遍路さん
「え・・・。」
まずい。今回は、軽装しかもって来ていない。せめて寝袋だけあればよかったのに。
色々探してもらって、やっと一軒だけあいているとのこと、
「近いよ車で1時間ぐらい。」
なんだとー、どうする。
一旦断り、しばし考える。
今日は温泉入るつもりだったし、今日入れなけりゃヤダ。温泉は、泊まる先には無い。かと言って、温泉入ってから30キロ以上走るのだと、温泉でビールは飲めないし、何か満足できない。
考えた末、又電車のりゃいいんだ!もうどうでもいいや!
予約成立。
ここでは手数料取られた。学生マジックついに途切れる・・・・。
今3時過ぎ、こちらは7時ごろまで明るいので取り敢えずは、四万十川に行こう。
四万十川は、期待通りとてもきれいな川だった。最後の清流と言われる所以はダムがないこと、自然のままで上流から下流まで流れている。
テント張れそうないい場所たくさんあり、今度はテント持って来たい思った。次は温泉を探す。簡保の宿がすぐ近くにあるはず。
あったあった、温泉行こう。
久しぶりの大きな湯船でゆっくりして、ビールとOさんのノルマを達成。
何か終わった気持ちでいっぱいだった。携帯見てもメール入ってなかった。
良かった、もう次の指令は無い。
日が傾いてきたので、駅に向かおう。
駅で電車待っていると、学生のお遍路さんが横に座って話し掛けてきた。知っている人も多いと思うけどお遍路さんとは、四国を弘法大師が、仏教巡礼して回った八十八の寺を同じ順番で歩いて道を辿る事。同じ行程を歩いて周ると、ご利益があるそう。
ぐらいのことしか知らない(多分あっていると思ったけど違ったら指摘して)。
お遍路さんは、年配者が多いので彼みたいに学生で周る人はほとんどいないし、皆んな、車やバスを使う人たちが一番多いらしい。彼はかれこれ、16日ほど歩いてお遍路を周っているらしい。結構ウマが合ったので、1時間ほど談笑した。彼は野宿する。
こんなことなら一緒に野宿しても良かったかなーと思いながら彼とは再会と旅の安全を願って別れた。
電車に乗る。宿は、地図を見ると駅から歩いて5.6分。
☆・・・・はこれがいけなかった。後悔先に立たず。
駅につき周りを見る。
「真っ暗じゃねーか!」
明かりがほとんど見えないし、人も一人も歩いていない。
何か自転車めんどーになってきた。組み立てるには暗いし、担ぐのもめんどー。
「明日早ければ大丈夫か。」
輪行バックに入れたまま、駅の自転車置き場にチェーンロックして、そのまま宿泊地に向かった。
真っ暗。場所違ったら困るので電話してみよう。
「駅からすぐですよ。真っ暗の方向であってますよ。」
何か謎の宿泊地、国道沿いを歩いていると、交差して曲がるはずの道が陸橋の下を通っている。周りを見ても繋がる道なし。
「何で崖みたいなところ降りるんだよー!」叫んでいた。
ふざけんなー!
寒いよー!
崖を降りる。道に下りるのに2mぐらい飛び降りなければならなくなった。周りにも降りる場所は無い。
なんでアスレチックみたいなんだろう。誰が地図作りやがったんだ。
荷物を抱えながら、足元の隅っこにぶら下がりながら、下に下りる。
自転車あったらこれねーじゃねーか。
道が全然分からない。明かりを求めながら、歩いてゆく。
星だけが明るくきれいだった。こんなにきれいな星を見るのも久しぶり。それよりどこで俺は寝るんだろう。
しばらく歩くと、店が一軒閉めようとしていた。道をおばさんに聞く。
「何でこんなとこ歩いてんのー。でも近いよ。」
こんなとこと言われても、何でここにいるか俺にもわからなかった。
やっとたどり着く。何か旅行の中でも一二の嬉しさかも・・。宿泊地のおばさんが、鍵くれて
「ごゆっくり。」
言われなくともゆっくりする。自販機があったので、取り敢えずビールでも飲もうと金を入れる。
「チャリーン」いい音だ。
電源が入っていない!
何なんだー!
しばらく格闘していると、おばさん出てきて電源入れてくれた。
「あら売り切れだねー」
固まっていると、そのまま消えていってしまった。
やる気ねーのかよー。
部屋に入ると、お茶があった。シャワー浴びてお茶飲んで・・・。
ビールが無い・・・。くるしー・・・・。
☆そんなバカナーーーー!!!!!
5月4日
朝は、1時間に一本の始発電車にあわせ早起きをして、昨日来たのと違う道を選びながら駅に向かう。今日こそは、楽しい一日を送るのだ。どうするかは決めてないけど。意外とあっさり駅に着く。暗くて見えない道がたくさんあった。
「まあいいか。まず自転車を・・・・。」
「あれ・・・・。」
「自転車を・・・・。」
冷静さを失った。遠くから見て黒い輪行バックが無い!
走っていった。よくみると、鍵のかかった分解されている自転車はあった。バックと工具等部品の一部が、無くなっている!!このままでは自転車にも乗れない!!!
周りの畑の中まで捜しまくったが無い。まずい。輪行バックが無いと自転車を電車に持ち込めないルールになっているのだ。もうすぐ電車が来る。乗らないと次は一時間後。駅前には、ジュースの自動販売機が一台置いてあるだけ。知らん顔して乗ってしまおう。まずは大きな都市に行かなくては・・・。
電車は時間どおりにきた。駅は無人駅だったので無理やり電車に乗り、駅員に交渉。何とか乗せてくれた。まずはこの電車は中村までいける。でも中村も小さい駅なので、どうにもならない。しかも休日の最中。この辺は、店ほとんど閉まってしまうのだ。金もほとんどギリギリだったのでやはり大都市で何とかするしかない。
今の状況をOさんにメールした。しばらくするとメールかえってきた。
「それは大変だ。金もバックも無いのかー。フェリーで三重までくれば車に乗せてってやる。なんてね。すごく金かかったりして・・・。」
「・・・・・・・・・。」
急に無責任な親父に変身していた。
☆事態は解決へ
まずは、地図を見ながら目的地を探すと、やはり高知しかない。高知まで行けば、何とか金つくってどうにかなるだろう。
駅員に注意されるたびに、事情を話し先に進む。電車で話し掛けられても寝た振りとかしながら、高知に着く頃にはすっかり疲れていた。
部品買いに行くのもめんどくさいので、もう宅急便で送ることにした。普通のところでは受け取ってくれないので、ちゃんとした宅急便の集配所に行かねばならない。事情を話してタクシーのトランクに自転車をはみ出しながら、宅急便集配所へ。
何とかなった。着払いで解決。
銀行関係は全部金引き出せなかったが、西武にキャッシングマシンを発見。
お金もできて、夜行バスに乗ることにしてチケットを買う。
高知城をふらふらしてからOさんに解決したことを報告するとメール返ってくる。
「まいどで借りたんじゃねか?まーいど、まいどー」
「・・・・・・。」
やっぱりのんきな親父のままだった。
サウナでゆっくりした。さすがに竜馬の本もたくさんあり、色々回想するにはぴったりの場所だった。最後は忙しかったけど、やさしい人たちにも会ったし、気持ちも切り替えることもできた。
皆んないろいろなことに悩みながら、成長してゆく。34歳の癖に、こんな体験ができる自分をとても幸せだと感じた。辛いこともいっぱいあるかもしれないけど、やっぱり「面白く無き世を面白く!」するために、頑張ろう。世の中が大変なのはあたりまえ、それをどう面白く生きるかが問題なのだ。そして又ここに戻ってこよう。
おわりに・・・・
ここまで作成するの大変だったけど、今となっては読むほうが大変だろう。本は人の体験をそのまま自分の体験にすることができる。そう思いながら頑張ってつくった。この文が皆に少しでも勇気が与えられればと思います。何か感ずるとこあれば、メールでの感想待ってます。ホームページ化するのも大変だった。
おわり