/// キャンパスに残る文化財、同志社  ///  (01/05/06)

クラーク記念館
 京都御苑の北側に広がる同志社大学、
中学校、同志社女子大ですが、その
キャンパスには国の重要文化財に
指定されている煉瓦造り建物が幾つか
あります。

同志社と云えば新島襄がキリスト教
精神に基づき建学した私学として
知られています。その新島襄が過ごした
自宅は京都御苑の東側の丸太町通に
近い寺町通に面してあり、こちらは
京都市有形文化財に指定されています。

同志社大学キャンパス正門を入ると、
良心碑があります。「良心之全身ニ
充満シタル丈夫ノ起リ来ラン事ヲ」との
新島襄の言葉が刻まれています。
良心碑の西側に有終館、北に進んで
クラーク記念館、ひとつ建物があって
ハリス理化学館、続いて礼拝堂、彰栄館と
重要文化財の煉瓦造りの建築物が並びます。
有終館
有終館は明治20年(1887)、レンガ造りの
図書館として建築されています。当時は
日本最大の学校図書館だったとか。所々に
黒く焼き上げたレンガが使われており、
洗練されたアクセントになっています。
なお、それ以外にも煤けた壁面が見られる
のですが、これは昭和天皇の即位式典の
際の出火で煤けた跡だそうです。
内部は焼失しており、そして即位式典中の
失態だと云うことで、取り壊しの論議も
あったそうですが、武田五一によって
外壁保存が行われ今に残ります。

クラーク記念館は同志社のシンボルとも
云える建物です。
設計はR.SEELで、アメリカのクラーク
夫妻の亡き息子のメモリアルホールを
造ってほしい、との願いで明治26年
(1893)に竣工した建物です。
ハリス理化学館
なお、あの有名な「少年よ大志を抱け」の
クラーク博士とは全く関係はないそうです。

ハリス理化学館は明治23年(1890)年
竣工のレンガ造り、アメリカの実業家
J.N.ハリスの寄付により建てられました。
設計はフランス人のA.N.ハンセルでクラーク
記念館がドイツゴジックを基調とするのに
対してイギリス様式の建物です。

有終館はアメリカンスタイル、クラーク
記念館はゴジック様式、ハリス理化学館は
イギリス様式と、レンガの積み方ひとつ
とっても特徴、違いが見て取れます。

ちなみにレンガの積み方には三つある
そうです。長手積み、イギリス積み、
そしてフランス積み、長手積みは単純に
礼拝堂
半分の寸法づつをづらして上部に重ねて
いく積み方、イギリス積みは一段目は
小口のレンガ、二段目はその倍の長さの
レンガを上部にづらして積んでいく方法、
フランス積みは同じ段の中にも小口レンガと
大きいレンガを交互に入れながら、上部に
づらせて積み上げる方法だそうです。

礼拝堂は彰栄館と同じくD.C.グリーンの 設計で、綺麗なアメリカンゴジック様式 ですが、内部は日本人大工の手による 木組みだそうです。 レンガ造りのプロテスタント礼拝堂としては 日本最古の建物です。
彰栄館
最後に彰栄館、明治17年(1884)竣工の
建物で京都市内に現存する最古のレンガ
造り建物です。
外観はアメリカンゴジックですが、内部は
真壁の間仕切りがある和風になっています。
なお、塔の頂部にはめ込まれている時計
自体も重要文化財だそうです。
このキャンパスに残る重要文化財ですが、
クラーク記念館を除き現在も学校施設と
して日常的に使われている建物です。

以前に洒落た三条通、京都の洋館と云う
話題を紹介したことがありますが、
京都には明治、大正期の洋館が減少傾向
とはいえ数多く残っています。
これら近代建築もおりをみて紹介して
いこうと思います。

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