///  京都のお正月  ///  (00/12/27)

 お正月と云えば雑煮ですが、京都では「西京味噌」という白みそを
使います。白くて、甘くて、まったりした味です。その中に、丸餅を入れ、
目が出るようにとクワイが入り、そのほかにカシライモ、雑煮大根などが
入ったのが京都の一般的な雑煮でしょうか。

お盆の食事と同じでダシも生臭ものを避け、昆布でとります。
もともとは宮中に伝わる白味噌仕立てを町人が真似たのがその
始まりだとか。

雑煮は、男性は内側も外側も朱の椀、女性は外が黒、中側が朱の椀で
いただきます。神様を迎えての食事なので、お椀の蓋はしません。
お箸は両端が削られた白木の柳箸を使います。何でも片側を人が使い、
もう片方を神様がお使いになるそうです。
柳を使うのは白く清浄で強い木であること、邪気を払う霊木と
されること、また春には先んじて芽を出す縁起の良い木だからそうです。

また箸紙(箸袋)にも京都独特の習慣があります。
普通は取りやすいように箸紙を横方向に置きますが、京都での
祝いの膳では縦方向に置きます。そして水引も神様が使う側にかけます。
見た目は違っている置き方、かけ方の方が美しく見えるので、
いつの間にかそれが普通となってしまったのかな…

安倍晴明と云う人物が人気のようですが、この箸紙の置き方一つも
安倍晴明にまつわる陰陽の思想から来ています。

 またお正月の食の習慣として「にらみ鯛」と云うものがあります。
お正月の三が日の膳に毎回登場するのですが、にらむだけで箸を
付けないと云うものです。めでたい鯛をにらむだけで箸を付けないと
云う変わった風習ですが、三日ほどたった鯛は身が締まって
お茶漬けには最高と云う話もあります。

現代の住環境では三日間も部屋に放置すればそれこそ危ない食品に
なりかねないです。でも鯛を冷蔵庫に入れたのでは風味が落ちるし…

旧家では今でもこの「にらみ鯛」と云う風習を残しているらしいですが、
一般には一回だけとか、形だけと云うようになって来ているようです。

///  年神様  ///  (00/12/27)

 年の神様は年神と云われ、農耕の神様でもありました。年神様を迎え
もてなすことで、一年の豊作を祈願すると云うのがお正月の意味合いだ
そうです。門松は年神の依代(よりしろ)と云われ、いわば年神様が
降りてくる目印だそうで、しめ縄、しめ飾りは年神様が降り立つ場所を
祓い清めると云う意味だそうです。

京都の門松は至って質素です。旧家では「根引きの松」を門松として
飾ります。根が付きますようにとの願いからか、根ごと引き抜いた
細い若松を使い、木の部分を白い半紙で巻き、紅白の水引を結んだ門松です。

門松を立てる日は26、27、28、30日が一般的です。29日は「苦立て」、
31日は「一夜飾り」と云って避けます。

そして年神様の食事が鏡餅であり、昆布、干し柿、熨斗あわび、ゆずり葉、
だいだいなどです。でもこれは地方によって異なるのではないかと思います。

お正月の縁起もの

裏白  :葉の裏が白いことから、裏表のないことを表します。
     裏側を表に使って鏡餅や正月飾りに使うのが一般的。

松   :樹齢が長いので、長寿の象徴。

南天  :難を転じると云う意味合いがあり、赤飯に添えられて
     いたりします。

つくばね:羽つきの羽のような形をしており、八方に広がる葉の形が
     おめでたいとされます。

だいだい:家系が代々繁栄するようにとの願いから。

ゆずり葉:新しい葉が出てから、古い葉が落ちるので、子孫繁栄の
     象徴とされます。

昆布  :よろこぶの意味。

干し柿 :幸をしっかりとり込むの意味があるそうです。

 何気なく、のっかている飾りや植物にもそれぞれ曰く意味合いが
あるようです。

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