宇宙工房 repairs(衛星ペーパークラフトの修復)

2007 03/03

宇宙工房は久々に活動を再開しました。今回はペーパークラフトの修復をテーマにしようかなと思います。昨年の一般公開で破損したペーパークラフトの補修の様子を紹介します。

中の衛星がスピン軸で回転する(!)ペーパークラフトおもちゃ

当工房では去年の宇宙研一般公開に合わせて、衛星のペーパークラフトを透明な球体(半球を貼り合わせたもの)に閉じ込めたおもちゃを製作しました(宇宙工房 近況(もうすぐ宇宙研の一般公開))。球体の中の衛星は糸を使って軸を固定してあり、スピン軸に沿って自由に回転できるようになっています。これを転がして遊ぶと、中の衛星が非常に面白い動きをします。

しかし子供たちは、これを転がすだけでなく、投げる、落とす、ぶつける…。

結局、球殻は傷だらけになったので処分することにし、破損した中のペーパークラフトだけを補修しました。

MMOを修復

まず分解

水星探査機MMOのペーパークラフトは、2本のマストのうち1本が破断し、上部のハイゲインアンテナは糸の張力で外れたのでセロテープでぐるぐる巻きにして応急処置した状態になっています。

水星探査機MMOの状態。

まずは、応急処置した部分や、外れかかっている部品を完全に外します。アロンアルファで接着した部分などは剥がしにくいですが、のりしろは多少傷ついても構わないのでカッターで切り入れるなどして、とにかく外します。のりしろに付着した余計な接着剤や破れは削り取り、のりしろ面をなめらかにし直しておきます。

MMOをいったん分解。道具も揃えてっと。

表面補修は色鉛筆と水のりで

紙の表面が剥げたりして、図柄が剥がれてしまうことがよくあります。これは水のりで伸ばしながら出来る限り元の位置になるよう貼りなおします。それでも紙の白色が露出してしまった部分は、近い色の色鉛筆でぬると目立たなくなります。色鉛筆でなく色ペン等を使うと、破れた紙のケバケバの繊維に良く染みこんで思いのほか濃い色になることがあるので注意。

色鉛筆は水彩色鉛筆を用いると、水でぬらした絵筆を使って色を塗り広げたり、色を混ぜたりできるのでお勧めです。ただし、水彩色鉛筆の顔料は一度湿らすと再び溶かすのが難しいので、絵筆の使用はなるべく手短に、一発勝負でやってください。

表面の破れは水のりで補修+色鉛筆で目立たなくする。

しわ、折れは補強

紙は、一度折れたりしわがよったりしてしまうと、元に戻す手段がありません。そうなると形が崩れる一方なので、できるだけ形を元にもどした上で、補強をして変形しないようにします。補強の方法は2つ。

(1)小さな面積の補強なら、接着剤やのりをその部分に染み込ませてバリバリに固めて変形しにくくします。かなり効果的。ただし接着剤で変色する可能性があります。

(2)広い面積の補修や強い強度が要求される部分では、別途材料を用意し(ペーパークラフトと同じ紙でよい)、裏に張り合わせるなどして補強します。マストのような細い部品については、内側に紙の筒を入れて芯にするとよいでしょう。

マストの中に芯を入れて補強。

PLANET-Cの修復

金星探査機PLANET-Cのペーパークラフトは、不吉にも一般公開開始早々に太陽電池パネルが両方外れてしまい、セロテープで応急処置をした状態です。

PLANET-Cの状態。

そこで太陽電池パネルを外して付け直しました。パネルは折れ曲がっていたので、濡らしたティッシュなどで少し水気を与えた上で書類の山に挟んでプレスしたところ少し改善しました。とりあえずこれでいいことに。

修復後のPLANET-C。色が剥げてる…。

実際のPLANET-Cの設計は、最近になってかなり変更がありました。このペーパークラフトは、2007年現在ミッション公式サイトでまだ公開されていますが、設計変更以前の古い形のものです。これ以上丁寧に補修するくらいなら新しい設計をもとにゼロから作り直したいくらいなので、このペーパークラフトについてはもうこれで放置。

ジオテイル、あけぼの、クロス・スケール

一般公開で製作したペーパークラフトのおもちゃは、上記のMMOとPLANET-Cの他に、3種類の地球磁気圏観測衛星があります。これらについては中のペーパークラフトの損傷が少なかったので、記念にこの球体のまま保存することにします。これらは、一般公開以外のイベントにも使用されましたし、今後もどこかで登場するかもしれません。

ジオテイル、あけぼの、クロス・スケール

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