従軍記2000-2001Special

関西シクロクロス野洲大会 2001/01/08
■大津行き夜行高速バスの車中で、異変に気がついたのは午前1時5分である。心地よかった振動がない…品川を出発、確か11時すぎには横浜にて乗車が完了し、あとは東名ひた走り…のはずだったのだが。窓の向こうは雪、そして壁が見える。はてここはどこじゃ??? 結局それから5時間たっても、体感では数キロしか進まず。本来の滋賀到着予定時刻、午前6時をまわったところで、意を決し運転席へ。そこには窮屈な姿勢で眠り込むドライバーの姿が。なんと数台前のトラックが道を塞ぎ、撤去作業が終了、公団がGOサインを出したのは午前9時であった、場所は小山バス停付近…途中下車も叶わず、彦根でやっとバスから解放されたのは午後1時半。とりあえず野洲まで行ってみる。サイトのご来訪者《Yさん》に野洲駅でピックアップしてもらい、結果を聞き、そのまま帰途につくこととなる。伸び盛りの辻浦が圧勝、小平は後半タレたらしい。三船プロは4位。この3名はチェコでの世界選手権出場を決めている。《Yさん》自身は2度めのクロスでかなり面白さを味わったようだ。夏ごろはクロス出場のつもりはさらさらない様子だっただけに、意外な展開である。布教の成果があらわれたわけではないだろうが、なにはともあれ競技人口が増えるのはよいことだ。滋賀県の空には完全型の虹がかかっている。アルカンシェル…クロスの未来は果して明るいのか? 私は名古屋から新幹線に乗車し、帰途についたのであった。

 

シクロクロス・ミーティング2000-2001 最終戦 原村大会 2000/12/30
■2000年12月30日、いよいよ今世紀最後のシクロクロス。前日まで本業フル操業のため、夜の移動がかなわず、朝一番のあずさで出撃。9時55分に茅野駅にて《Mさん》がピックアップしてくれる。もうレースは始まっているが、諏訪南IC出口200メートル手前、さらに原村は樅の木荘付近に事故現場を有する私としては、このアイスバーンでは安全第一を奨励する。案の定、上りには道の中央で停まったクルマが…。
■八ヶ岳農業実践大学校駐車場に着いたのは10時半をまわったころ。どうやらC3の表彰式の最中らしい。おや、なんと優勝者として大石一夫しゃちょーの名が呼ばれているではないか!びっくり。しゃちょーってば何時のまに? 慌てて長靴に履き替え表彰台へ駆けつけたが、すで遅し。大石しゃちょー「来るの遅すぎだよ」といいながらも走り自体相当に楽しかったらしい、「二、三日前に急に走りたくなってさー。レイトフィー払って出たよ」とご満悦である。ご褒美に、おみやげショップのクルミレーズンパンを差し上げることとする。
■レースの合間に、《むつみさん》の紹介で、サイトのご来訪者《がとーさん》と初顔合わせ。《がとーさん》が管理するサイト『Bike Sports Press』 は「現場主義」に基づくレースレポートが売り。自転車雑誌に記事を書いたことはないとのことだが、クオリティは高い。こういう方に21世紀はお任せしたいものだ。
■早々にシリーズリーダーを決めている小平幸永(スワコレーシング)。今シーズンC3からクロス再挑戦してきた山口孝徳(CWSクラブ)、最終戦ステージ優勝に賭ける元全日本チャンプ松井俊明(Testach-NCFR)、総合3位を狙う深谷幸彦(NEWS-NCFR)、悲願のお立ち台なるか浜久之(スワコレーシング)、イキのいい《西の新人王》辻浦圭一(Testach)、忘れちゃいけない《日本最速国家公務員》小坂正則(スワコレーシング)らによる怒涛のスタートダッシュを見送り、例によって逆まわりでコース探索。牛や馬ややぎも観客である。と、犬を連れた鈴木雷太発見。「駐車場に繋がれてたから連れてきた」とは雷太の弁だが、どう見ても連れられているのは雷太の方である。犬は一緒に散歩してくれる人なら誰でも良かったらしく、雷太をなかば引きずりながら去っていった。
■レースの方は例によって小平まっしぐら、2位の山口に大差でポールtoフィニッシュ。今シーズンC1昇格という大躍進を遂げた辻浦が、松井の猛追を振り切って3位、浜はまたまたお立ち台を逃した。個人的に注目していた小坂は、大怪我からよく復帰してきたものの明らかに練習不足、オーバーウェイト気味。小平にラップされはしたが、最後まで走り切ったということは来期での復活が期待できるか???
■さてさて注目のシリーズ賞金総額25万円の行方は? レディスはさっきまで白いジャージ(全日本チャンピオンジャージ)を着ていた藤野むつみが、赤いジャージ(シリーズ優勝)もゲット、これで運は使い果したとは本人の弁。しかし、フジノよ、続けることは大事だ、これからもシクロクロスに愛を! C1は小平、松井、浜、山口、深谷、辻浦が軽自動車の荷台にてんこ盛り、賞品と賞金を手ににっこり…までは良かったが、当然のように小平が連れてきていたエンペラー号が荷台から落下!のハプニングも。
■ところで表彰式の陰でもうひと騒動。優勝者ののし袋は中身に見合った非常に豪華なものであったが、実は結婚のお祝用、ということは結び切り、「これって二度とできないってこと?」との私の発言に「私はともかく小平君にこれはまずいんじゃあないの?」と本気で心配するシリーズチャンピオン藤野むつみであった。ううむ、沢田ディレクターはそこまでは気がまわらなかったと見える。来シーズンはTUNE UP PRESSが熨斗袋スポンサーか???(中身は無理だが)
■さていつも慌ただしい従軍生活に終止符を打つべく、今回は後イベントとして『クリテリウムin原村』以来お世話になっているやなぎぺんしょんZigZag泊。楽しみにしていたディナーは相変わらず美味で、つい食べすぎのまま年越し、新世紀を迎えることになった。

 

大阪〜穂高2泊3日シクロクロスの旅 2000/12/22-12/24
■2000年12月22日(金)22時10分会社を退出、23時新宿西口高速バスターミナル発「枚方行」乗車。久々の夜行高速バス。前日まで2泊3日で仕事していたため、机以外の場所で夜を過ごせるのは大変喜ばしい。睡眠には飢えていたはずだが、どうも爆睡には至れず。
■2000年12月23日(土)朝5時10分、運転席との境のカーテンが開けられ否応無しの目覚め。宇治東インターチェンジにて高速を降りる。宇治駅からこまめな降車開始。
京阪枚方駅北口着午前6時10分。予定より40分早い。洗顔して大阪方面行きの普通京阪電車に乗車。寝屋川駅着午前6時40分。東京より寒い。ピックアップして貰い、無事会場入りを果たした。
■コースは淀川河川敷の公園内。「三途の淀川」とのウワサを聞いていたので早速下見と思ったのだが、8時30分になってもどこがコースかわからない。「スタート/ゴール」という看板が、今どき新鮮ではある。下見せぬまま本番スタート。C3は2クラスに分かれ盛況ぶりが伺える。今やクロスの本場は関西!との根拠はこのへんにあるのだろうか。派閥争いがあろうとなかろうといずれにしろ私は低レベルの話には興味がない。テクを磨きスピードを維持し、どんな状況にも対処できる応用力をもって世界に挑戦してもらいたいだけである。C1は個人TTの様相、飽きかけたところでトラブル続出。リーダーの辻浦圭一(Testach-Racing)が後輪タイヤをはずし、半周リム走りの荒技。チームメイトのナイスなフォローで辻浦見事に優勝。このファイトと、段差でのジャンプを毎周回見せてくれた福田選手(ナカガワ)のエンターテイナーぶりで、関西まで出かけた甲斐はあったのか???
■15時20分、会場を後にする。乗り物は駐車場内で一番汚い(オーナー本人が言うので間違いない)、水アカだらけのHONDA today。しかし、中身はスゴイぞ、SONYの豪華ナビゲーションシステム付。オーナーである《でんか》の希望は、まず風呂とのことで、早速ナビゲーションシステムで探索、立派な健康ランド風銭湯へ至る。私は失礼して、クルマに乗ったまま寝込む。16時36分《でんか》、駐車場に帰還、早速出発。
■目指すは私の宿泊地、伊那。途中運転交代してみたが渋滞は一切無く快調。地味なPAにて目的地をかなり絞り込んでインプットし直し再スタート。残り102km。眠くもなく、絶好調、おっと雨が降ってきた。《妖怪雨ふらし》の実力ここにあり。伊那の常宿《Mさん》宅着20時54分。薪ストーブのある快適な木造家屋。内装は殆どご夫婦のハンドメイド。早速薪ストーブで作ったチキン料理をごちそうになる。《でんか》は山梨の常宿《ひらがなひろし》宅へ去る。猫のぱるをいじって大満足。久々、寝具上での睡眠が心地よい夜なのであった(どんな生活じゃ!)

■2000年12月24日(日)《Mさん》のクルマで、CCM2000-2001第8戦穂高大会会場へ向かう。オフィシャルではないというのがなんともラクちん。今回は大石一夫しゃちょーが穂高大会を復活させたお祝いに、TUNE UP PRESがシャンパンスポンサーとして協力している。したがって、表彰式には間に合わないと。会場であるアートヒルズ着10時20分。《Mさん》のクルマに長靴をキープしている私だが、今大会ばかりは不要、というよりもこのオシャレな雰囲気に長靴は似合わない。
■コースは往年の「藤森クロス」を思い起こさせる猫の目コース。砂利や抜けないシングルトラックなど選手の評判はイマイチとのことだが、アートヒルズの敷地内で開催したということには拍手をおくりたい。観客の応援は不可欠。クロスといえばいつも悩まされるトイレの問題も今回は清潔さにおいて高レベル、これなら女性の観戦も安心。
■いきなり《シクロクロスの鬼》佐宗広明と再会、ガッチリ握手。昨シーズンは転勤のためCCMには出走せず、なんと降格、カテゴリー2でのスタートだ。「カテ2なんてもう一生出ないかと思ってたぜぃ」と本人は笑っているが、期するところはあるようだ。カウントダウンとともにみるみる《鬼》の表情となる。《鬼》は快調に走る。《マッシモ》こと真下伸大(日本鋪道)とのバトルが続くが、《鬼》の意地を見せマッシモを振り切って3位入賞。フィニッシュと共に倒れ込み「こんな苦しいことよくやってきたよ。でも面白かったぜ」とひとこと。《おもしろ苦しい》という表現は佐宗が言い出した、ミーティング史に残る名言。若い工芸作家が心を込めたガラスのカップを手にして、感謝の言葉を述べる佐宗にはレース中の《鬼》の面影はない。来シーズンはカテ1復帰を目指すという佐宗広明に栄光あれ。
■コースを逆回り(観戦の常識)に1周しているとエアロセプシーあづみの時代の元選手・喜代浜くんに再会、大石社長栄光の1993年がフラッシュバック、握手しつつ感涙。あづみののヘルパー時代にお世話になったフォトグラファーご一家にも再会、当時小学生だったご子息は背の高い青年に…私のことは覚えていないそうだが、私の当時の愛車カプチーノは覚えていてくれた!
■第7戦終了時総合2位の松井俊明(Testach-NCFR)と、総合6位の山口孝徳(CWSクラブ)は欠場。インタビューを目論んでいた《クロスの帝王》《日本最速の国家公務員》小坂正則(スワコR)はプログラムに名はあるものの、姿は見えず、やはり欠場らしい。ううむ。全日本のタイトルをとるまで乗り続けてくれるだろうか???
■第7戦でシリーズ総合優勝を決めている小平幸永(スワコR)の連勝を誰が止めるのか? いよいよC1スタート。昇格したばかりの小笠原崇裕(サイクルマインド)がなんと最初の周回を小平に先んじる。しかし小平顔色を変えず小笠原をパス、小笠原よく追走するも、逆転ならず。宮沢崇史(サイクルマインド)のスタートダッシュ後のタイヤはずれトラブルに巻き込まれた深谷幸彦(NEWS-NCFR)が遅れを取りかえし、小笠原をパス、2位キープ。「曲がった道は久々なもんで〜」と宮沢、大きく後退。4位は最近総合力がアップした浜久之(スワコR)。「4位の帝王」の現状を打破したい浜だがまたまたお立ち台を逃すこととなった。小平終始冷静なレース運び、トップ独走。その視線の先には遠くチェコの地があるのか。豪華シャンパンシャワー、豪華な花束、優雅なガラスのカップを手に、「素晴らしい会場を提供してくださってありがとうございます。こんな大勢の観客の前で勝利できたことに喜びを感じます。」と好青年ぶりを発揮する小平。さらなる精進で、めざせ世界!
■C1を観戦しながら、当日限りのスペシャルメニューである豚汁を試食したMillet.Kは、穂高駅から「あずさ」で帰途についた。めでたしめでたし…のはずが、大石しゃちょーってば、入賞者に賞金を渡すのを思い切り忘れたそうで、ご愛嬌なのであった。

 

シクロクロス・ミーティング2000-2001 第4戦 伊那大会 2000/11/19
■第4戦にして今季初観戦。世界選手権の高速化がすすむ今日とはいえ、やはり泥試合、担ぎを見ずしてクロスの面白苦しさは語れまい。本場ヨーロッパのコースだけが高速化しているのではなく、レースが高速化しているのだ。ひとたび雨とあれば、泥区間は必至。パワー不足の日本選手が苦しめられるのはいうまでもない。というわけで第4戦には、クロス伊那組が丹念に整備(笑)した田んぼの泥区間30mが登場! ちょうど見下ろせる位置に絶好の観戦ポイント。そして全日本でおなじみの、心臓破り激坂観戦ポイントも健在だ。
■C3には筧五郎(日本鋪道)が出走、ロードで培ったスピードを発揮して優勝、速攻昇格を決める。その昔、戸津井俊介とともに《松本スイマーズ》として海パン姿でミーティングに乱入していた過去を一体誰が知ろうか(TUP79号参照のこと)。
■C1は久々役者が揃った。鈴木雷太(BSアンカー)、2000年全日本チャンピオン松井俊明(Testach-NCFR)、三船雅彦(Tonisstiner-Colnago)。残念なのは、小坂正則(スワコレーシング)がシーズンインで復調の兆しを見せたのも束の間、第2戦で大落車、全日本出場すら危ぶまれている状態ということ。
■さてレースはミーティング3連勝中の小平幸永(スワコR)の《養成ギプス》として?来日したベルギー選手2名が快走。ひとりは走り専門のPascal、ホームステイ先の《小坂叔父さん》によれば「頭の中まで筋肉」とのことだ。もうひとりは通訳を兼ねるEricで41歳。何とクリップペダルを器用に使っている。序盤は小平ペース、かわって中盤はPascalリード。連勝ストップかと思われたが、小平再度逆転、三船プロすらラップする勢いで4連勝! なお、ジャンを前に山を下りていくと、道端でオリンピック疲れの雷太が死んでいた…。

 

 

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