森県本州最北端に位置し、津軽海峡を挟んで北海道に通じる縄文文化の橋渡し役を演じてきた。

 “縄文文化の宝庫”と云われた、青森県を中心とした東北地方北部では縄文前期中頃から中期中頃の円筒土器文化、後期の十腰内文化、そして晩期の亀ヶ岡文化が代表的縄文文化遺産として知られている。

 今回の青森県内縄文遺跡巡りシリーズでカバーされていない縄文後期・晩期の代表的縄文遺物の傑作を以下紹介する。

立体的土偶 森県今野遺跡から出土した女性をかたどった土製品で、縄文前期・中期の板状・十字形という単純な形から、この土偶のように後期には立体的土偶に変わる。
この写真ではハッキリ見えないが、顔全体が前方に突き出している。
この作品は後期の特徴を良く現した土偶として知られている。

晩期入ると写実的人間表現から段々とデフォルメされ、後述の遮光器土偶へと変身して行く。

狩猟文土器 戸市韮窪遺跡から出土した狩猟風景を描いた縄文後期土器で、全国的にも極めて珍しい出土例と云う。

この土器(下半部)には、写真ではハッキリ見えないが、弓矢と獲物・樹木・落し穴と見られる写実的絵柄が粘土紐の貼付けにより描かれている。

遮光器土偶 20年青森県木造町の亀ヶ岡遺跡から出土した、エスキモー人が着けた“雪めがね”に似た土偶。“亀ヶ岡”文化の名は、この亀ヶ岡遺跡に由来しており、江戸時代からその華麗な土器(亀ヶ岡式土器)として知られていると云う。
不思議な顔つきと優れた芸術性により、縄文文化を代表する土偶として高い評価を受けている。赤く彩色された痕跡がある。

漆塗り土器 文晩期には多くの漆塗り土器が作られたが、写真左の作品は黒漆を塗った後に、ベンガラを混ぜた赤漆を使って流麗な曲線文様を描いている。
これら土器以外にも亀ヶ岡遺跡からは数多くの漆塗り土器が出土しているが、何らかの祭祀目的に使われたと見られている。

 森県内には以上の作品以外にも数多くの芸術的優品が見つかっている。

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