千葉県内には縄文・弥生時代を通じて珍しい遺物が散見される。

 いずれも何らかの祭祀に係わりがあると見られ、それまでの形式・ルールにとらわれない何か特別なイベントのために創造されたと考えられる。

成田市南羽鳥遺跡出土の人頭形土製品

 穴住居跡の中央にある約300基もの土壙の一つから、横たえて置いた形で見つかったと云う。

 縄文前期の遺跡で死者の副葬品と見られ、実にリアルで立体的土製品はこの時期類例がないと云う。
しかも唯一点だけ見つかり、特別な人物の写実像と考えられる。

耳がないのが気にかかるが。

能満上小貝塚のイノシシ形土製品

 きな鼻・尖った背中・つま先立ちの後足など、写実的に表現された縄文晩期の土製品

 描かれた「I字文」と呼ばれる文様は、土偶・土版・石剣など呪術的色彩の濃い製品によく使われていることから、何らかの儀式の際に用いられたと見られている。

手永貝塚の異形肢付土器

 ぼ完形のまま出土し、全面に朱が塗られた痕跡が見られると云う。
三角形の透かし穴に挟まれて三叉文様が見られ、内部は中空となっている。

 香炉形土器や土偶をイメージさせる独創性豊かな土製品で、明らかに祭祀用に創造されたと見られる。

 土偶から派生展開された第二の異形土偶とも考えられる。

三島台遺跡の人面土器

 西歴紀元後1世紀頃の弥生人面土器で、器高約18cm、顔から胴部にかけて赤色塗彩されている。

 穏やかに空を仰ぐような顔の表情・保存状態の良さ・手を表現しているなど珍しい作例で、頭上に穴が空いていることから乳児などの容骨器として使われたと見られている。