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柊原(くぬぎばる)貝塚は鹿児島湾沿いの標高約10mの沖積平野に立地する、縄文後期から古墳時代にかけての複合遺跡。 農道整備事業に伴い平成3年に分布調査、平成7年には文化財確認調査、そして平成9年6月から10年7月にかけて約2,300uについて全面発掘調査が実施された。 調査の結果、約500uに広がる貝塚・土壙墓など多くの遺構の他、5体の人骨・イヌの骨や獣骨・魚骨・骨角器・炭化したドングリなどの種・土器・土製品・石器・石製品・軽石製品など縄文後期から晩期初頭にかけての遺物が大量に検出された。 |
柊原貝塚現場
台地中央に積み上げられた貝塚には、直径約200mを越すモノも見つかり、マガキ・バイガイなどの巻貝が多いことが特徴として挙げられる。
代表的遺物の一つが60点余りの軽石製岩偶で、軽石に線刻を施し、人体や物体を表現したと考えられる。 シラス台地で手に入る軽石を使っている点が火山国らしい特徴で、軽石をいろいろな大きさの楕円形に整形し、昆虫のセミのような図案の人体などを表現したものも見られる。
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線刻による頭部・両腕・足の描き方には規則性が窺え、赤色顔料を施した痕跡が残っているモノも数点出土したと云う。 岩偶は鹿児島湾沿岸の遺跡から出土するが、当遺跡が岩偶作りの中心地であったと見られる。 全般に作りが粗雑で、急ごしらえの感があり、祭祀など何らかのイベントのために作られたと考えられている。 |
又もう一つの代表的出土遺物にいろいろな装飾品が挙げられる。 以下それら代表的装飾品を紹介する。
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これら各種アクセサリーは身分的格差を象徴するような祭祀用具と考えられる。 又軽石製品をはじめこれらアクセサリーは、再生・食糧の安定・豊穣を祈願した祭祀用に供せられたと見られ、豊かな精神文化・信仰を裏付ける遺物として注目される。 |
縄文後期後半から晩期初頭にかけての地層から出土した深鉢土器で、貝殻文系土器として鹿児島県の地域色を色濃く表している。 農道に直接かかわっていない周辺や貝塚の貝層部分はほとんど現状保存されたままであり、貝塚の中には多くの人骨が眠り、又数多くの遺構・遺物が今尚残されていると考えられる。 |