宮坂貝塚は鹿児島神宮が所在する標高約30mのテラス状を呈した台地西端の緩斜面に位置する。貝殻の散布状況から台地端部全体に広がっている可能性があり、かなりの未調査部分を残していると云える。

 本貝塚は平成6年神宮内の駐車場・進入路建設工事中に貝層が露出し、平成10年貝層崩落の恐れから、現地発掘調査及び保存策が講じられた。

 発掘調査の結果、ハマグリを主体とする貝類のほか、土器・獣骨・鹿角製品・鹿の歯・黒曜石製石鏃など縄文早期の遺物が出土した。
しかし住居址など住居部分については未だ見つかっていない。 

以下文字列にポインタをおくと、宮坂貝塚に関する貴重な資料に出会いますよ!

 神宮境内登り車道の東壁(写真右側)・標高27付近の貝塚

 3つのブロックの貝層の一つで、長さ約1m・厚さ約45cmの貝層

 貝層面がアカホヤ地層の下層であることから縄文早期の貝層

 ハマグリ・カキ・ハイガイ・アカニシなどの貝類・獣骨など

鹿児島神宮境内登り車道東壁、標高27m付近に貝層が見える。
壁は高い所で5.5m、傾斜角度は約50度と急斜面上にあり、地層は12層に区分されるが、縄文時代の所産は第3層のアカホヤ層の下層、縄文早期と見られる。

 3つのブロックの貝層は南北1m前後・厚さ45m前後を測り、残存状態が良好な貝類は、ハマグリを主体として、カキ・ハイガイ・マガキ・アカニシ・ヒメアカガイなどが見つかっている。
アカホヤ層の下位にあり、又出土した土器標識から見ても縄文早期の貝塚と断定され、県内では最古の貝塚の一つとして注目される。

 標高約30m付近の小高い台地に形成された本貝塚は、縄文海進の当時、海水面が現在より6mほど高く、現在の海岸線より3kmほど内陸に入り込み、深く内湾に位置していたと見られる。
獣骨では鹿の骨・歯、鳥類の骨が出土している。

(轟式土器片)
殻による条痕、竹管状工具による条線を持つ、縄文早期の土器片が多量に出土したが、崩落土に混入していた小破片がほとんどで、復元までには至っていない。

 竹管状の工具で施文された沈線の幅が不統一な“轟式”と称せられる土器片で、縄文早期中葉〜末葉に属する。」

 いずれにしても本貝塚の所属時期の古さ及び出土土器の重要性から見て、県内では貴重な貝塚として位置付けられている。

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