(大阪阪南市の向出遺跡)

 道の延伸工事に伴う、5,000uに及ぶ発掘調査で、縄文時代後期(約3,500年前)と見られる土坑墓200基以上が出土した。向出遺跡は、2つの川に挟まれた狭い平坦な台地上を中心に広がっている。 

 縄文時代後期までの墓域としては西日本最大級で、2基の環状墓群は全国的にも珍しいと言われる。

 遺跡全体の領域は、更に数倍の面積に広がるものと推定され、近畿地方で有数の縄文時代後期遺跡であることは間違いない。

(円形土坑墓のうち、各種石器や土器が混在)

 ろいろな種類の土坑墓は、当時の多様な葬送儀礼・社会構造が垣間見られる。土坑墓埋葬品の違いは、何を意味するのか?埋葬された土器・石器の量の違いは身分の差か、貧富の差か?

 被葬者が使っていた土器・石器等を冥土の土産に持たせたのではないか?

(方形土坑墓は伸展葬用で、成人対象か?)

 辺が1.5〜2.0mの長方形土坑墓で成人対象の伸展葬と見られるモノ、円形土坑墓のように屈葬で子供対象と見られるモノ等が混在。

 しかし方形土坑墓の数が少ないのは、短命であった証左か?

(女性的石組みと見えるが、子孫繁栄の祈りを込めた祭事用か?)

 めて暗示的で女性の陰部を連想させる形態の石組み。一方祭事具として使われたと見られる石棒も近辺で発見、石棒は豊僥を、女性的石組は子宝を意味・願っているのではないか?

 向出遺跡発掘調査は、多くの疑問を残したまま中途半端な状態で、98/3末で打ち切られ誠に残念。

 工事優先の今日的社会通念を、何とか早く変えられないものか!!

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