つくば市内の縄文遺跡は市内全域に分布しており、出土した土器から大部分は縄文中期中頃を中心とする遺跡。

 しかし本格的発掘調査が進められていない中、中台遺跡がやっと日の目を見たと云える。

 中台遺跡は筑波山麓の丘陵に連なる中台台地上にあり、桜川左岸沿いの微高知に立地している。
周辺には佐都ケ岩屋古墳や平沢官衛遺跡・中台廃寺など著名な遺跡が多い。

 当遺跡は出土遺物から縄文中期・後期が主体であるが、縄文前期の繊維土器や晩期の亀ヶ岡式土器なども出土しており、代表的拠点集落として知られている。

 又今回の調査では先土器時代から縄文・弥生・古墳から近世までの遺構・遺物が出土したと云う。

中台遺跡現場

 成2〜4年にかけ県営住宅団地造成工事に伴い発掘調査が行なわれ、多くの遺構と大量の遺物を検出している。

 出土した縄文遺構としては竪穴住居跡12軒・フラスコ状土壙70基などで、他に竪穴住居跡では弥生10軒・古墳104軒・奈良平安128軒などが検出されたと云う。

以下出土した縄文遺物を紹介する。

大量の土器が出土しているが、縄文中期の加曾利E式が中心と云われる。

中台浅鉢土器

 縁部文様が簡単になるが、胴部は隆帯による渦巻文を伴う区画文様を施している浅鉢土器。

縄文遺物としては頭部だけの土偶と腕が欠落しているもののほぼ完形の土偶、ヒスイ製大珠及びけつ状耳飾りなどの装身具及び石棒と石剣など非日常的用具が検出されている。

中台遺跡の頭部だけ並びに完形土偶

中台遺跡の装身具

中台遺跡の石棒・石剣

 上のように出土遺物も散発的で、現在までのところ拠点集落の生活様式などを窺い知るところまで行っていない。

 今後更に周辺の開発が進むものと予想されるが、筑波山南山麓から城山北側の湊所にかけて縄文遺跡が集中する桜川左岸地域の実態解明に期待したい。