ツ原遺跡は、縄文時代中期前半から後期前半(約5,000〜4,000年前)の集落跡で、八ヶ岳の火山活動により形成された尾根状台地、標高約950mに位置している。

中ッ原遺跡の現地説明会風景

 明員の右足元に見えるのが仮面土偶。

 平成11年初めより平成12年末まで13,000uほどを発掘調査する予定だが、平成12年8月までに竪穴住居址58軒・土坑580余りが既に確認されている。

 平成12年8月には全長35mほど顔が逆三角形の大型仮面土偶が出土し、特徴としては胴部には手の込んだ紋様が施され、又女性器がハッキリかたどられており、国内最大級の完全な形をした土偶として脚光を浴びている。

(中ツ原集落跡出土の仮面土偶)

 文後期前半(約4,000年前)の集落跡中央部にある墓域の土坑の底に横たわった状態で見つかり、土坑の長さ約1.3m・幅1.0mほど・深さ45cmほどの土坑で見つかった土偶は、そこに人為的に安置されていたと見られる。。

 中空の土偶の内部には歯か人骨の一部が入っていた可能性があると云われ、又土偶の下の土中にはシャーマンのようなシンボル的な遺体が埋葬されていたかも知れないとも云われている。

仮面出土状況

完形復元土偶

の出土状況などから呪術や縄文人の精神世界と深く関係があると考えられる。

 仮面土偶が見つかった墓域中央穴の両サイドの土坑からは、直径30cmほどの杯を伏せたような甕が確認され、今後の発掘調査により集落跡の全体像が明らかにされるものと期待される。

中ッ原遺跡の配石遺構

 偶が出土した周辺の発掘状況。

 配石遺構があちらこちらで見つかったり、又多くの土坑が重複する範囲で、鉢被せが行われた墓壙が見つかるなど墓域の全容解明にも大いに期待がかかる。

仮面土偶は1986年同市の棚畑遺跡で発見された国宝縄文のビーナス(高さ約27cm)を上回る大型完全土偶として注目され、土偶の造形・文様・焼き方等芸術品としての評価も高い。

昨年発掘された特筆すべき遺物としてヒスイ製ペンダントが見つかっており、今年末までの発掘調査の成果にかける期待は一層大きいものとなったと云える。

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