伊勢遺跡は栗東市と守山市の境界に広がる弥生遺跡で、近年宅地化が進むにつれて、発掘調査が繰り返されてきた。
しかし住宅建設など個別案件に伴うこまごました発掘調査が中心で、纏まった面の調査は限られていた。

 今回は2004年10月以降、学校新設工事に先立ち、約10,000uに及ぶ大掛かりな発掘調査が2005年3月まで実施された。
本遺跡は両市に跨る大型建物群などから構成される、近江を代表する弥生後期の拠点集落として知られている。
これまで守山市側の本遺跡調査では、一辺が14mほどを測る方形の棟持柱付大型掘立柱建物13基が見つかり、そのうち7基が単なる偶然でなく、計画的に意図された円周線上に配されていると考えられていた。

このことから、今回の栗東市側の発掘調査で、その円周線上に位置する調査区域の発掘結果に大いなる関心としかるべき成果が期待されていた。

 この調査区域は建物形式・規模・配置や出土遺物から生活臭を感じさせない非日常的生活空間と見られる。
しかし発掘調査の結果は、弥生時代後期では竪穴住居址2棟・掘立柱建物1棟のほか溝状遺構・井戸などの遺構のほか、遺物では弥生土器片が河内式を含め若干数検出されたに過ぎなかった。
その他では古墳・平安時代の掘立柱建物が10棟以上出土した
ここでは発掘調査現場とその周辺環境のうち、守山市側の本遺跡現場、遠方に見える高層マンション付近のJR栗東駅前更に遥かに霞む三上山などを画像で紹介する。

 方には野洲町の三上山が望視出来るランドスケープに恵まれ、南方にはJR栗東駅前の高層マンションを望み、又北側道路を挟んで守山市側に広がる伊勢遺跡が眠る田畑に囲まれるなどの周辺環境に立地する。

 今回の発掘調査区域のうち、北側のB地区で弥生後期の遺構が全てここで確認されている。

竪穴住居跡T 竪穴住居跡U

穴住居跡は2棟出土し、いずれも長軸約5.4m・短軸約4.5mで、溝状遺構は幅5〜6m・深さ1.5mほどで河川から派生して東西に伸びている。

 期待された大型掘立柱建物は確認されなかったが、竪穴住居・井戸など生活施設が発見されたことで、生活臭が漂う集落像に広がりが確認されたと云える。
本遺跡の全体像を掌握するためには更なる発掘調査が待たれる。

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