萪内(しだない)遺跡は御所ダム建設に伴い昭和51年以来発掘調査が繰り返され、遺跡面積は30,000u余りに達する、縄文後期から晩期初頭にわたる集落跡であることが判明した。

 本遺跡は雫石盆地の東南縁で、雫石川右岸に発達した沖積世段丘上、標高約170mほどの扇状地に所在する。
12,000u余りの発掘調査の結果、水田開発などにより一部が削平・撹乱されていたものの、配石群・土壙群・住居址群のほか、湿地部堆積の砂層や泥炭層からは土器・石器の他自然堆積の堅果類種子などと共に、赤色漆製の木製品・木製容器・割材・建材など各種木製品が多種検出された。

遺跡現場 所ダム下に水没した遺跡現場から遠方に雪冠した岩手山や御所大橋が見渡せる。
住居址群16棟前後が未調査のまま破壊されたり、又削平・撹乱により土壙上部の配石群が検出されたのは極稀で、集落の輪郭は不明。
調査済数棟の住居址は直径3.5〜4.0mほどの円形を呈し、中心部には小礫を組んだ円形石囲炉を伴い、旧河道北側の砂州状地から検出されたと云う。

大型土偶頭部 各種土偶

 顔部は人頭大で丸顔に眉引部が突き出し、大きく高い鼻や開いた耳など写実的に表現されており、仮面を装着しているように見える。

 頭部や顎には、鳥の羽や鬚ようの繊維質のものを差し込む孔が空けられ、儀式を取り仕切る呪術者の姿を連想させる。

 又本来全身像であったとすりと、頭部の大きさから群を抜いた特大土偶と云えるが。本遺跡から出土した胴部・足部など他の土偶片と比較・検証してみよう!

次に人の形状に似た木製品、赤色漆塗り弓、トーテムポール風木製品、ワニの形状をした木製品、透かし入り建材そして土止用の棒状部材の順番で、貴重な木製品を紹介する。

湿地部からは人の形状に似た木製品や赤色漆塗り弓・トーテムポール形木製品・ワニ風木製品などが出土した。

 又川岸に作られた水汲・洗場や割杭を打ち込んで構築された漁労施設或いは土止用の棒状杭列などの遺構に関連したものと思われる建材・部材も多数検出された。

足跡 真は萪内縄文人の足跡を剥ぎ取ったサンプル。

湿地部堆積の泥炭層から見つかったもので、貴重な資料として保存されている。

足跡の数は88足にも及んだと云う。

漆塗横櫛 い漆が塗られて、文様が浮き彫りされ、両端に角がついている。
結び目の位置や歯の本数など酷似する横櫛が函館の御殿場遺跡などから出土している点を考え合わせると、漆加工の専門職人が集中製作し、東北から北海道地方にかけて交易・流通させていたかも知れない。

 所ダム建設に伴い発掘調査された遺跡群には、下猿田・繋・南ノ又・上野などの縄文遺跡が含まれている

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