下堤遺跡は秋田市の南東部、標高40mほどの御所野台地の中央部に位置する、旧石器・縄文・弥生から奈良・平安時代に至る複合遺跡。

 秋田新都市開発整備事業・“御所野ニュータウン”開発に伴い、昭和57年以降発掘調査が繰返され、これまでの調査で下堤A〜Gまで7ヶ所の縄文遺跡を含む、旧石器から平安時代まで28ヶ所の遺跡が確認された。

地域整備公団・秋田県・秋田市の事業主体のニュータウン振興計画面積は、住宅用地93haを含む、約380haの広大な地域に及び、計画人口約11,000人余りという東北地方最大級の複合型巨大ニュータウン開発は現在も進行中である。
遺跡地域・時代区分が錯綜し、御所野ニュータウン全体の遺跡発掘調査結果が報告されていないが、例えば24ヶ所の縄文遺跡の一つである「下堤A遺跡」は御所野台地の北西部の舌状台地に立地する縄文及び平安時代の遺跡として確認されている。
昭和62年度の発掘調査では、縄文中期の竪穴住居跡74棟・フラスコ状ピット28基・土壙190基などの遺構が検出された。

遺跡現場 遺跡周辺

 ”秋田テクノポリス”の中核を成す、写真のような東北最大のショッピングセンターはじめ、総合福祉センター・老人福祉センター・学校・道路など本格的職住型ニュータウンが開発途上にある。

 出土した竪穴住居跡の平面形は円形・楕円形を呈し、複式炉・石囲い炉・石囲い土器埋設炉・土器埋設炉など多様に及んでいる。

大木式土器 北陸系土器

 土土器には大木式土器・円筒式土器のほかに、両土器の折衷形や北陸系円筒土器などが検出され、北陸地方との交流が窺い知れる。

以下文字列にポインタをおくと、横・縦形石匙、長方形型石鏃、土偶と四角形土製品そして土偶と三角形土製品がご覧いただけますよ!

 多数・多種類の石器類の中で特徴的石器として縦形石匙

 同じく特徴的石器として長方形型石鏃

 北陸地方の文化を積極的に取り込んだ四角形土製品及び土偶

 北陸地方の文化を積極的に取り込んだ三角形土製品及び土偶

 数・多種類の石器類の中で特徴的石器は、縦形石匙及び長方形型石鏃で、秋田縄文人の独創的・自由闊達な大陸系風土・文化的土壌が窺える。

 叉四角形・三角形土製品に見られるように、北陸地方の文化を積極的に取り込み、進化させる進取的風土が、北陸系土器の事例と共に、窺い知れる。

 これらの発見はほんの一部に過ぎないと思われ、今後とも御所野台地固有の縄文文化を掘り下げる機会を待ちたい。

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