ようこそ! 秋田能代市の杉沢台遺跡館へ

杉沢台遺跡は米代川下流の右岸に広がる東雲台地の北縁に営まれた、縄文前期と晩期を中心とした大規模な集落跡。

 本遺跡は台地北縁上とその傾斜面にかけて形成され、その範囲は約35,000㎡に及んでいるが、発掘調査面積は約4,600㎡余り(全体の13%ほど)と云う。

 昭和55年に能代開拓建設事業に伴って発掘調査が行なわれた結果、縄文前期の遺構が多数検出され、中でも竪穴住居跡44棟及び貯蔵穴と見られる袋状ピット109基などが確認された。
縄文前期の集落のあり方を考察できる貴重な遺跡として、昭和56年に国の史跡に指定された。

遺跡現場Ⅰ 遺跡現場Ⅱ

 跡の中央を南北に県道が通り、遺跡は二分されている。

 標高約35mの沖積台地下には竹生川が流れ、水量の豊富な湧水が出ると云う。

(発掘現場の上空写真)
真中央左側の数多い貯蔵穴の真上に超大型住居跡が見える。
竪穴住居跡44棟のうち4棟が大型住居址で、多数の柱穴を伴い、床面は二段で内部に地床炉が多数確認され、叉建替えがあったことも判明した。

台地の最も高い中央部に長径約31m・面積が222㎡ほどに達する超大型住居跡が認められ、この住居周辺に小型・中型住居が位置し、フラスコ状土壙は斜面に構築されていることが分かる。当時の集落の在り方が見て取れる。
フラスコ状ピットは底径2mほど、深さも同様なものが多く、これら内部に貝類・土器などが廃棄されていたと云う。

 この超大型住居は、集会所・祭祀会場・共同作業所などが考えられ、或いは同時期の周辺集落に対する誇示・シンボル的存在であったかもしれない。

石器類 石器類Ⅱ

 土した石器類のうち、特に石錘・石匙が多く、本集落の生活様式を反映していると云える。
写真には反映されていないが、石錘では切目部二ヶ所のモノが圧倒的に多く、叉石匙は横形より縦形が圧倒的に多いという、当地固有の特徴・生活習慣の現われとして興味深い。

今回の発掘調査・研究に歯科学的分析も試みられ、フラスコ状ピットに残された木炭火痕のC?放射性炭素年代測定の結果、紀元前4,800~4,950年代の遺構であることが判明した。
叉フラスコ状ピットから出土した貝層から保存状態が良好な貝類の採取季節についても分析が試みられ、貝層内の分布でも貝層の上面には春が多く、下方面には春と夏を示す貝が混在していたと云う。
食生活習慣・サイクルを示すデータとしてこれまた興味深い。

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