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飛ノ台貝塚は東京湾に注ぐ海老川や長津川を見下ろす、広さ約30,000uに及ぶ標高約15mの台地上にあり、縄文早期(約7,000年前)を中心に旧石器時代の石器工房・縄文前期や古墳時代の住居跡を含む複合遺跡。 昭和27年に発見されたが、特に日本で初めて「炉穴」が発見された遺跡として注目を集めたと云う。 その後昭和52年から平成5年まで4回の発掘調査が行われ、竪穴住居址24棟・炉穴約400基・貝塚約40ヶ所などが検出されている。 |
現在は博物館を含む飛ノ台史跡公園として住居跡・炉穴群・貝塚・土壙などが復元されている。 写真のように住居の近くに炉穴が群集しており、住居跡を巡るように重なり合った炉穴が発見された。
炉穴には楕円形の穴の一方で火を焚いたため、周りが赤く焼けこげた部分がハッキリ見られ、中には煙道を持った炉穴も出土していると云う。 縄文早期には屋外にある炉穴・調理場が住居と一体となり、家族の生活の場となっていたと見られる。 |
貝殻で土器の表面・裏面を引っかいたり、線を引いたりした条痕文や土器表面を盛り上げた隆起線文が顕著に見受けられる。 条痕文や隆起線文を横に展開してみると、単なる装飾ではなく飛ノ台ムラのメッセージが込められているように感じ取れると云う。 当遺跡から出土したいろいろな貝層・貝類・貝刃などを以下に紹介する。 |
貝殻にはハイガイ・ハマグリ・マガキなどが多く見られる。 貝を加工した道具として貝刃が検出されたが、貝殻の固さを利用して魚の鱗を取るためなどに使われたと見られる。 |
二体の人骨
頭を北に向けて両膝を深く曲げ、抱き合うような二体の人骨は、縄文早期のモノとしては大変珍しく、しかも合葬されていたことが注目されたと云う。 調査の結果、壮年期男性と思春期女性と判明、夫婦か又は恋人同士と推測される。 |
動物形土製品
様々な加工が施された土製品・石製品の中で、特に珍しいモノとしてはイノシシのような顔をした土製品が注目された。 口から顔の後ろまで孔が通じている。 乳児用のオモチャとしてか、或いは出産を祈る祭祀用として作られたのであろうか? 縄文早期の遺跡として遺存状態が良く、出土した遺構・遺物も多く、特に当時から既に安住生活が行われていたことを示唆しているという意味で考古学上貴重な資料と云える。 |